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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3850884/4694510
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passion
新作コーナー
No 20 HIT数 9043
日付 2008/12/05 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル Passion-果てしなき愛- 19.父の罪
本文


    

    

  

 

collage & music by tomtommama

 

story by kurumi

 






会議を終えてサファイアの部屋に戻ったフランクは椅子に腰をかけ
しばらく瞑想するように目を閉じていた。
レオはそんな彼に敢えて声を掛け、その瞑想の邪魔をした。

「ボス・・・ジニョンさんのことだが」

「ん?」 フランクは迷惑そうに眉を顰めて、レオを目の端に入れた。

「そろそろ、お前の本音を聞かせてくれないか」 
レオはフランクから視線を逸らして言った。

「本音?」

「お前はここをどうしようとしてる?」

「ふっ・・今更、何を・・・」

「俺達はハンガン流通の依頼を受けて、ソウルホテルの買収に来てる」
レオは今度は真直ぐにフランクを見て、早口にそう言った。

「確認するまでも無い」 
フランクはわかりきったことだと言わんばかりに、素っ気無く答えた。

「お前とジニョンさんの関係と、この仕事は別問題と
 俺は解釈してるが・・」

「ああ」

「信じていいんだな。」 レオは念を押した。

「だから。エリックの書類に判を押した」

「もしもこの取引でハンガン流通を裏切ることがあったら
 お前も俺も、この世界じゃ生きていけないぞ」

「しつこい。」 フランクはレオの顔を下からギロリと睨み付けた。

「なら、いい・・」

しかしフランクはその瞬間、レオから視線を逸らしてしまった。
そしてその時レオはフランクの悪い癖を見逃さなかった。
フランクはレオに対して、いつも高圧的な態度を取るが
少しでも後ろめたいことがある時の彼の目は少し寂しげに翳る。

それでもレオは何も言わなかった。

≪お前がその気ならそれでもいいさ・・・俺は俺の考えで、事を進める
  例えお前とたもとを分かとうとも。・・それでいいんだな、フランク≫




ソ・ヨンスもまたホテルの一室で椅子に腰掛け目を閉じていた。
そして彼はさっき会議室で10年ぶりに会った若者に思いを巡らせ
溜息を吐いた。


≪ジニョン・・・どうかわかってくれないか≫

≪何をわかれと言うの!パパ!
 パパは私の気持ちを無視したのよ・・・≫

≪そうじゃない・・私はお前のことを思って≫

≪パパにはわかって欲しかった・・
 彼のこと・・わかってくれると思ってた・・
 そう信じてたのに・・・≫

忘れかけていたはずの罪が、ヨンスの胸を締め付け、
額に薄く汗を滲ませた。
「しばらくはホテル住まいだな」 ヨンスは小さく呟いた。




会議があった翌日のホテルのバックヤードは朝早くから
騒々しかった。
リストラの噂が館内に巡り、多くのスタッフが仕事どころでは
なくなっていたのだった。

総支配人に向かって、辛らつな暴言を吐く者さえいた。

「リストラはしない。」 テジュンは彼らに力強くそう言った。

「本当なんですか?新しい理事が決定事項だと
 言ったそうじゃないですか!」

「リストラなどしなくても済むように、利益を上げて、
 このホテルを活性化していけばいいわけです。
 それには皆さんの大きな協力が必要です。
 今までのように、いや、今まで以上にどうか、
 力を貸して下さい、お願いです」
テジュンは従業員に向かって深く頭を下げた。

「総支配人達幹部の方は安心かもしれないですが、
 首を切られるのは私達下っ端の人間でしょう?
 しかし、私達にも生活があるんです・・
 子供もいる・・親もいる・・もしも、そんなことになったら、
 一体どうすればいいんですか?」
テジュンの誠意を理解しながらも、目に見えぬ不安に駆られた
納得できない幾つもの目がテジュンを責めた。

 

 



その頃サファイアヴィラのフランクの部屋にはひとりの男の姿があった。

「お呼びでしょうか」 
オ・ヒョンマン・・・ソウルホテル副総支配人だった。


「お掛け下さい」 
フランクはヒョンマンに向かって無表情に言った。

ヒョンマンは先刻この場所で起こした自分の不祥事を考えて
何か苦言を吐かれるのかと身構えてフランクの前に座った。

「あなたにお聞きしたいことがあります・・副総支配人。」 
フランクは冷たい微笑を浮かべて静かに言った。

「先日のことなら・・・」 ヒョンマンは怪訝そうに彼を見た。

「ハン・テジュン総支配人をどう思われますか?」
「どうとは?」

「彼は先刻私が命じたリストラ要員のリストを提出できると
 思われますか?」
「何故私にそんなことを聞くんです?」

「私が・・・彼にはできないと思っているからです」
「・・・・・」

「そして・・・あなたに尋ねるのは・・・
 あなたにならできると思うからです・・それも・・完璧に。」
フランクはそう言ってヒョンマンに向かって不適な笑みを浮かべた。

「・・・・・」
「出来ますか?」 フランクの言葉と目がヒョンマンを威圧した。

「ホテルを裏切れとおっしゃるんですか?」
「結果的にはホテルの為です」

「ホテルの・・為・・・」
「そしてあなたには総支配人の地位を・・」 そう言ってフランクは
目に何の感情も浮かべぬまま片方の口角だけを上げた。

「ハンには、社長初め、ソ弁護士・・強い味方が存在する・・・」 
ヒョンマンはいつもそのことが自分を苛立たせるのだと思っていた。

フランクは彼のその言葉を聞いて“ふっ・・”と笑みを浮かべた。
「前社長の意思を頑なに守ろうとする者は、このホテルから
 排除します・・ひとり残らず。」

「・・・・・そんなこと、無理に決まっている」
「無理・・・・そんな言葉は私は知らない」 フランクの目が
冷たく光るのを見て、ヒョンマンは背筋に冷たいものが走るのを感じた。

「ソ・ジニョンも前社長の・・」 彼は意味有りげにフランクを見た。

「彼女のことは・・」 
フランクはヒョンマンを睨み付け彼の言葉を遮ると、
恐ろしい程に冷静な声でヒョンマンとの間にガラスの壁を打ち立てた。
「ソ・ジニョンのことは・・・
 あなたなどに考えていただかなくて結構。」

 

 


騒ぎを何んとか鎮めて、落ち着きを取り戻したオフィスでは、
テジュン初め、幾人かの支配人達が大きく溜息をついて一様に
肩を落としていた。

ジニョンは彼らのその様子に、酷く胸が痛んだ。
何も言えない自分が情けなかった。

「あんなこと言って大丈夫なのか?総支配人」 
料理長がポツリと言った。

「何をです?」 テジュンは少しぶっきらぼうに言った。

「リストラはしない、そうおっしゃったわ、皆んなに・・」 
今度はスンジョンが口を開いた。

「しないさ。」 
テジュンは自分にも言い聞かせるように答えた。

「でも・・」 
そう言い掛けて、スンジョンはジニョンを見て、口をつぐんだ。

「ごめんなさい」 ジニョンは項垂れ謝っていた。

「何でお前が謝るんだ!」 テジュンは怒ったように言った。

「私、もう一度彼に話を・・」

「二度と余計なことをするなと言っただろ!」 
テジュンは思わずジニョンに向かって激高してしまった。 

「テジュン!お前らしくないぞ!」 料理長が彼を嗜めた。

「すみません・・・どうかしてました・・・悪かった・・・」 
テジュンは料理長に詫びた後、ジニョンの肩に手を置いた。

ジニョンは無言で大きく頭を横に振った。
彼女にはテジュンの辛い気持ちが手に取るようにわかっていた。
≪従業員の気持ちをいつも慮る人だもの≫

ジニョンもまた苦しいはずだと、テジュンは思った。





翌日の午後、ソ・ヨンスが“話がしたい”とフランクの部屋を訪ねて来た。

「ご無沙汰しておりました」 
フランクは起立して、彼に丁寧に頭を下げた。

「ソウルホテルへの復讐かな?それとも・・・
 私への復讐か・・・」 ヨンスは椅子に腰掛けながら言った。

「何のことでしょう」

「10年前、君はジニョンの為にこのホテルを命がけで救ってくれた
 しかし私は、そんな君を・・・ジニョンから引き離した
 当然恨みに思っただろう」 ヨンスは視線を落とした。

「決めたのは私です」

「それで・・・その復讐の行方はいかに?・・・」

「復讐など、くだらない感情の産物でしかありません」
ヨンスは“当然だろう”というように笑みを浮かべた。
≪この男はそんな男ではない≫それはよくわかっていた。

「・・・・今でもジニョンを?」 

「ここであなたにお答えした方がいいのでしょうか」

「君がここにいることが答え・・そうなのかな」

「随分婉曲な言い回しですね。」

「あいつを愛してる男がもうひとりいるぞ」

「それは知らなかった」 フランクはフッと笑って見せた。

「しかし、ジニョンにとっては君の生き方より
 その男の生き方の方が親としては心穏やかだ」

「・・・・あなたがおっしゃる・・・楽に生きられる・・・ですか?
 しかし残念なことに、私は・・私のやり方でしか、生きられません」

「そうか・・・そうだな・・・」

ふたりの男は少しの間、互いの視線から視線を逸らさないまま
沈黙していた。

そして、ソ・ヨンスはまた静かに口を開いた。
「私はもちろん、立場的にホテル側に沿う」

「当然でしょう」

「そしてジニョンの父として・・・奴の味方をするが?・・」

「ふっ・・・」 
フランクはヨンスのその言葉に何故か敵意を感じず、笑ってしまった。

「取るに足らないということかな?」

「私も立場的にあなたを追い込むことになります」

「無論だろう」

「そして私は目的の為なら、誰であろうと容赦はしません」

「当然だ。」


「ご理解頂けて良かった」

「誤解してもらっては困る。理解はできない。」

「残念です」

「しかし・・見違えるようだ」

「・・・・・」

「10年前の君と・・・」

「そうでしょうか」

「自信に溢れている」

「お褒め頂いたのでしょうか」

ヨンスはただ黙って微笑んだ。


ヨンスはわかっていた。娘ジニョンが何年経っても忘れられない男は、
彼ただひとりなのだということを。


 10年前私はジニョンの気持ちを無視して、あの子を彼から引き離した。

 韓国に戻ってからの三年は私にとって地獄だった。

    ≪パパにはわかって欲しかった・・
     彼のこと・・わかってくれると思ってた・・
     そう信じてたのに・・・≫

 私はただ・・・娘ジニョンの安息を願った
 神からの預かりものであった娘の生涯の幸せを願った

 そうして彼から娘を奪い取った

 しかしそれはきっと、神に逆らったことだったのかもしれない

 ジニョンはそれ以来、私との溝を深め、ただひたすらに
 勉強に打ち込んでいた。
 私からの独立を望み、大学の資金すら私に出させてくれなかった。

     ≪フランクは必ず私を迎えに来るの≫

 あの子はそう繰り返した。

     ≪ジニョンには彼だけなんです≫

 ジニョンと生きてくれると信じたジョルジュは
 そう言い残して去って行った。
   
 “親のエゴ”フランクに言われたあのひと言が深く身に沁みた
 しかし、風の噂で“フランク・シン”の近況を耳にするにつけ、
 私は決して間違ってなかった、と自分を信じていた
 あの男の、人を人とも思わない冷酷な商法を聞く度に
 私は自分のしたことを肯定し、胸を撫で下ろしたものだ

 ジニョンがソウルホテルに入社して、人との係りを学んで行くにつれ
 あの子の私への感情も穏やかさを取り戻していった


 しかしあの子の心深くに潜む暗闇は拭い去ることはできなかった
 時折夢に魘され、あの子の口から聞こえてくるその名前に耳を塞いだ
 そして・・・
 いつも周囲に笑顔を忘れないあの子が、時折ふっと見せる
 物憂げな寂しい横顔に気づかない振りをして来て
 もう何年になるだろう・・・

 そのことを考える度、あの男のことを思い出していた
 良かれと思ってやったことが、結局娘を不幸にしているのではないか
 そう思うとやるせなかった


 ドンスク社長からジニョンとテジュンのことを聞かされた時
 それでも父として、ハン・テジュンをジニョンが愛したのなら
 喜ばしいことだと思った。

 ふたりの門出を喜ぼうと帰って来た時、そこに彼がいた

  ・・・フランク・シン・・・

 ヨンスはその時悟った。彼はまたソウルホテルを救いに来たのだと。

他でもない、ジニョンひとりの為に・・・。

≪しかしあのやり方では、ジニョンの心は離れていく一方だぞ


 それでもいいのか?フランク・・・
 それでも君は、このホテルを・・・


  ジニョンのホテルを・・・


      ・・・守ろうとするのか≫・・・

 


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hiro305
ジニョンパパもこの10年苦しんでいたのですね。彼がフランクの真意を理解してくれてちょっとだけホッとしています。それにしても人間模様が凄い このホテリアをヨンジュンに演じて欲しい~~ 2012/01/21 20:39
eikoada
フランクの真意を、悟ってくれたジニョンパパ・・・。フランクの孤独な戦いも、きっと救われますよね・・・そう信じるしかない;; 背景のフランクの眼力・・・すごい! 2008/12/10 23:27
ノラン
ますますkurumiワールドに嵌ってしまいます~☆もう絶対、kurumiワールドから逃れられない私です~☆ 2008/12/09 11:56
ノラン
いやぁ~、今回もただただ様々な人の心模様まで描かれたkurumiワールドに脱帽です☆きっとこの十年間にいろいろな人達の様々な想いがあったであろうことを、この一話で描き、私達に想像させるなんて… 2008/12/09 11:53
toko7
ヨンスにはわかっていたのですね。これからkurumiホテリアーはどんな展開になっていくのでしょう?楽しみです! 2008/12/08 00:54
kurumi☆
akanenoaiさん、ジニョンも信じてるんですよ^^その気持ちはこれからわかってきますが^^でも自分の本当の気持ちに気がつかないことって、ありますよね^^ 2008/12/07 23:29
akanenoai
ジニョン一人の為にソウルホテルを救いに来た、お父さんでもそう思ったのにジニョンは何故フランクを信じられなかったのでしょうか、それだけが残念です、ふふ、完全にフランクよりですね。 2008/12/07 15:57
六角
すいません(TT) 誤字です 転回→展開です  2008/12/06 00:28
六角
ジョルジュはジニョンをあきらめて 去って行ったんですか・・ 気になってました。 ヨンスパパ フランクの事 理解してくれたんですね☆この先どんな転回になるのか楽しみです 次回が待ち遠しい! 2008/12/06 00:09
4ジュナ
フランクのこと、何もかも分かっていたジニョンの父…敵対しているように見えて、実はフランクのことを見守っているような…きっと無理をしているんだろうなフランク…切なくて涙が出てきちゃう…(T_T) 2008/12/05 23:39
mf1117
このような展開に、ただ心を奪われて読みふけっています。だから何時もコメントが・・・凄い!!凄すぎですkurumiさん・・本当に・・ 2008/12/05 22:26
utahime27
やはりジニョンの父は二人の理解者・・・と言っていいですよね?フランクの数少ない理解者・・・でも・・・娘の父・・・「彼は必ず私を迎えに来る」この娘の言葉を忘れていない父・・・罪は償われるのか・・・ 2008/12/05 21:43
ayagiku
ジニョンパパの10年も辛かったはず、10年の時間がフランクを理解する事ができたみたい。2人を大きな愛で導いてください、ジニョンを愛しているのなら。。。 2008/12/05 21:35
Lusieta
すごい・・・。お父さんは見抜いていたんですね。でも、口に出すわけにはいかないと、ちゃんとわかっていたんですね。すごいな。こんな展開にするkurumiさんがすごいってことなんだけど。 2008/12/05 21:33
 
 

IMX