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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3850910/4694536
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passion
新作コーナー
No 21 HIT数 9183
日付 2008/12/09 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル Passion-果てしなき愛- 20.信じるということ
本文  


    

    

  

 

collage & music by tomtommama

 

story by kurumi

 







ヨンスが部屋を出て行ってから、フランクはゆっくりと目を閉じた

10年前のあの日、ジニョンの父ソ・ヨンスの口から出た言葉は
今でもはっきりと心に残っている

≪君のような男のそばで・・・
  這い上がって生きることを強いられた男のそばで・・・
  これから先も果たしてジニョンは
  安穏と暮らしていけるのだろうか・・・・≫

ヨンスのその言葉がフランクにジニョンとの別れを決意させたことは
事実だった
そして今も彼の環境は何ひとつ変わってはいない

≪いや、10年前よりも尚、平穏とは無縁の世界に生きている
  それなら何故僕は、こうしてここにいるのか

  それは・・・ジニョン・・・
  君がいるからという以外に何の意味もないだろう
  僕はもう二度と・・・
  自分の心に嘘はつくまい・・そう決めたんだ
  誰が何と言おうとも・・・誰が深く悲しもうとも・・・

  そうすることが・・・
  僕自身の心のままに君を求めることが・・・
  君の幸せでもあると信じたい・・・
  いや・・信じているんだ
  それを否定するものなど・・・この世には存在しないはず・・・
  そうじゃなかったのか?・・ジニョン・・・≫





「ジニョン、これから従業員のみんなにカサブランカを
 見学させる予定なんだ・・お前も一緒に」

「今から?」 
ジニョンは正直そんな気分にはなれなかったが、
今はテジュンの言う通りにしようと思い、頷いた。

 

テジュンが10名程の従業員を引き連れカサブランカを説明しながら
階段を上から下りていると、ジニョンの視界にカウンターで寛ぐ
フランクの姿が入ってきた。
彼もまた、ジニョンに気がついたようだった。

ジニョンは慌てて彼から視線を逸らし、思わず二階に駆け戻った。
≪バカ・・どうして逃げたりするのよ・・≫

ジニョンが柱に寄りかかって、動揺してしまった鼓動を落ち着かせようと
手で胸を抑えた時、突然背後から誰かにもう片方の手を掴まれ驚いた。

フランクだった。

螺旋階段を彼女を追って上って来た彼が彼女の手を掴んだまま
心を絞るような目で彼女を見上げていた。

≪お願い・・・そんな目で・・見ないで・・・≫

「どうして逃げる?」

「来ないで・・・」 

「どうして?」

「あなたとは・・・もう逢えない・・」 

「それは君の本心?」 
階段の段差のせいで丁度フランクの目線がジニョンを
見上げるような位置にあって、彼女が彼を避けようと視線を落としても、
彼の真直ぐな眼差しから逃れるのは難しかった。

「・・・・・・」

「信じられない?・・・どうしても・・・」

「何を信じろと言うの?」

「僕が・・・君を愛してるということ・・・
 それが始まりで・・・それがすべてだということ
 それだけのことだ・・・」

フランクは真直ぐにジニョンの目を見て、彼女を説くように言った。

「わからないわ」

「わからない?・・・君の昔からの口癖だね
 僕がそれを聞く度、いつもイラついていたこと・・
 知ってたかい?」

「・・・・・・」 ジニョンは無言で悲しそうにフランクを睨んだ。

「どうしてわかろうとしない?」 フランクは苛立ちを隠せなかった。

「勝手なこと言わないで!」 ジニョンもまた同じだった。
しかし、その苛立ちとはまったく別の感情が彼女の胸を締め付けた。 

ジニョンは自分の胸が本当に潰れるのかと思った。
苦しくてたまらなかった。きっとホテルへの思いとフランクへの想いが、
自分の中で懸命に戦っているのだと覚悟した。

「仲間達が・・・苦しんでるの・・・
 あなたのせいよ・・・」

「僕のせい・・・」 
フランクはジニョンの言葉をなぞってゆっくりと言った。

「わかるでしょ?・・私は・・あなたを・・・
 許すわけにはいかない・・・」
「・・・・・」
「・・お願い・・・リストラなんて・・」

「それは・・聞けない。」 
フランクの声には断固とした強い決意が見えた。

「どうしても?」 ジニョンは請うように彼を見上げた。

「一ヶ月待って・・・一ヶ月経って・・・
 そしたら、どうして僕がそうするのか、
 理解できるはずだ」

「理解?・・・いいえ、きっと理解なんてできない・・
 前にも言ったはずよ・・私達にとって・・
 大切なのは仲間・・
 ここで一緒に働いている仲間なの・・」

「僕よりも?」

「・・・・・もう行かないと・・・
 下で待ってるわ・・みんなが・・・」

「答えろ・・僕よりも大事なのか?」 フランクはジニョンの腕を強く掴んだ。

「あなただって・・」

「あなただって?・・・何?」

「あなただって・・私より仕事・・」
「僕には君より大事なものはこの世に何ひとつない!」 
フランクはジニョンの言葉を遮って断言するように言った。
ふたりは睨み合ったまま互いを見つめていた。

それはジニョンにもとうにわかっていた。
心はとうに彼を信じていた。
それでも・・・

「・・・・・」

「もう一度」 
逃げようとするジニョンの腕をフランクは更に強く掴んだ。

「・・・・」

「もう一度だけ・・話を聞いて・・」

「・・・・」

「僕の懺悔を聞くと、約束したでしょ?
 あの教会で・・今日の12時に・・」

「行けないわ」

「待ってる・・・」

「無理よ」

「待ってる。」 フランクはジニョンの二の腕を掴んだまま彼女の視線を
自分の正面に合わせるように彼女を揺らした。

ジニョンは彼の目の前で溢れる涙をどうしようもなかった。
彼は無言で、彼女の頬を伝う涙を指で拭った。

フランクのそばを離れた後、ジニョンは結局下で待つ
テジュン達の元には戻れなかった。
彼らの前に立つ勇気が持てなかった。
今自分がどんな顔をしているのか・・・不安でならなかった。
それはフランクによって窮地に立たされた彼らに対してより
フランクに対する自分の想いが遥かに大きいことに、
彼女の本能が答えていたからだった。

 


スンジョンが、ひとりだけでオフィスに戻って来たジニョンを
見つけて、
怪訝そうな目を向けた。

「総支配人達と一緒じゃなかったの?」

「ええ・・気分が乗らなくて・・」

「何かあったの?」 
スンジョンは疑うようにジニョンの顔を下から覗いた。

「いいえ・・何も・・」

「はっ・・あなたって正直ね、何か遭ったって顔・・
 隠せてないわよ」

「・・・・」

「話してみたら?・・気分が乗ったら、だけど・・」

「・・・・」


スンジョンの目を見れば、その言葉が決して面白がっているのでは
ないことがわかる。
ジニョンは彼女の目を見つめて、小さく笑った。

そしてスンジョンにフランクとのNYでの出逢いから別れ、
ソウルでの再会のいきさつを話して聞かせた。

ジニョンは初めてだった。こんな風にフランクのことを人に
話そうと思ったことなど今まで一度もなかったのだ。

先日の一件で、イ・スンジョンはジニョンを悪く言う人間から、
彼女を庇ってくれた。
以来、スンジョンは、ジニョンにとって信頼に値する人間になっていた。


「情熱的な恋だったのね・・・」 
スンジョンは溜息混じりに羨ましそうに言った。


「それで一度は消えてしまった彼が
 10年ぶりにあなたの前に現れて・・・
 そしてまたふたりは愛し合った・・・そういうことね」 
スンジョンは今度は両手を組むと夢見心地な目で天を仰いだ。

「そう思ってました」

「違ったの?」

「だって!彼は・・ホテルを・・
 私達のホテルを買収しようと・・」

「彼があなたを騙したと思ってるの?」

「いいえ、そんなはずはないと思ってる・・
 ・・・そう思いたい・・」
ジニョンはスンジョンにすがりつくような目を向けた。

「それじゃ、彼を信じるのね?」

「わからないの・・自分でもわからない・・でも・・・」

「でも?」

「逢いたい・・・」

「・・・・困ったわね」

「ええ・・とても」

「でも彼って酷い人よね
 あなたの前から勝手に消えたのにまたのこのこと現れて
 あなたの気持ちを弄んだんだわ」

「違う!彼が消えたのは・・・父が・・・私の父が・・・
 彼にそうするように・・・そう言ったから・・」

「でも今はあなたを騙してるんでしょ?
 好きでもないあなたを仕事に利用したんでしょ?」

「そんなことない!彼・・私のことは本気だって言ってる・・
 愛してるって・・
 騙してないって。信じてくれって・・」 
ジニョンはスンジョンに食って掛かるように言った。

スンジョンはフーと技とらしく溜息を宙に吐くと「馬鹿みたい」 
と少し投げやりに言ってジニョンを驚かせた。
「だったら。」 そして今度はジニョンの目をしっかりと見た。

「・・・・・」 ジニョンは無言のまま彼女の言葉を待っていた。

「だったら・・いいじゃない。」
そう言ってスンジョンはジニョンに微笑んだ。

「先輩・・・」
「信じてるんでしょ?彼を」 
ジニョン自身の心の中の答えがスンジョンの言葉を借りて発せられたことに、
ジニョンは胸の奥で安堵に似たものを噛み締めていた。

「それでこれから・・・どうするの?」

「さっき、カサブランカで偶然彼と逢って・・・
 今日の12時に逢いたいって・・」

「行くの?」

「わからない」

「行くべきだわ」

「先輩・・・」

「行かないときっと後悔する」

「行っても後悔するわ、きっと・・」

「そうなの?だったら余計ね
 行っても行かなくても後悔するなら、やはり行くべきよ」

「・・・・・」 スンジョンはいつものジニョンらしからぬ迷いに、
大きなため息をひとつついた。

「ソ・ジニョン!しっかりしなさい!あなたはきっと、10年前も今も・・
 彼への気持ちはこれっぽっちも変わってないのよ
 そして彼の気持ちも同じだと、心の底では信じてる
 そうなんでしょ?
 確かに彼は私達の大事なホテルを潰そうとしてる人よ
 そうなると私としてもきっと・・すごく・・困ったことになるわ・・
 でももし彼が言うようにあなたへの想いと
 仕事のことが別だとしたら・・
 あなたのことを本当に愛していて・・
 迎えに来たというのも真実だとしたら・・・とにかく
 彼の話をもう一度聞いてみてもいいんじゃない?
 そして、あなた自身の本当の気持ちを見つけるべきよ
 あなたが・・・どうしたいのか・・・」

「私が・・・どうしたいのか・・・」 
ジニョンはスンジョンの顔を見つめて、彼女の言葉をただ繰り返した。

「そう!彼がどうしたいのかじゃなく・・・
 あなたがどうしたいのかよ」

「それで・・もし、私がホテルじゃなく彼を選んだら?」

「選んだら?」

「そうしたら・・・私は悪い女・・ですか?・・・」

「ふー・・・そうね・・・もしそうなったら・・・
 私達は困ったことになるのかな・・・
 私達はあなたに裏切られたってことになる?
 ・・・そうかもしれない」

スンジョンは黒目だけを上に向けて、口を尖らせて見せた後
ジニョンの目を見て、にっこり微笑んだ。
「・・・・」

「でも、いいわ・・そんなこと深く考えない」

「・・・・」

「それに・・・」

「・・・・それに?」

「何だか、かっこいいじゃない?
 私もなってみたいもの」

「えっ?」


「悪い女・・・。
 あ・・ごめん・・・でも誤解しないで。
 決して面白がってるわけじゃないの・・・」

「そうですか?」 ジニョンは疑いの眼差しを彼女に向けた。

「ちょっと!私は至って真面目よ!
 いいじゃない・・なったって・・悪い女。
 ソ・ジニョン!愛は・・・何ものにも代え難いものよ」

「先輩・・・」 

「何よ!」

「・・・・スンジョン先輩って・・・
 どうして、恋愛もしたことないのに、
 そんな立派なことが言えるの?」
ジニョンはスンジョンに対して少しふざけたように言いながら、
彼女の言葉によって救われた自分を素直に認めていた。

不思議なほどに心の重荷が軽くなっている自分に驚いて、胸を詰まらせた。

「余計なお世話だわ」 スンジョンはプイとそっぽを向いた。

 



ジニョンは時計を見た。針は11時50分を指していた。

≪行っても行かなくても後悔するなら、やはり行くべきよ≫

スンジョンの言葉がジニョンの胸の高鳴りに後押しをするように
何度も語りかけた。

ジニョンが勢い良く席を立った音は、目の前の席のスンジョンを驚かせた。

「行くの?」 スンジョンは小声で言った。

ジニョンは唇を強く結んで大きく頭を縦に振った。
スンジョンはそんな彼女を見て微笑むと、突然背伸びをして見せた。

「あ~あ・・私そろそろ退社時間なんだけど、今やってるこれね・・
 あと一時間位掛かりそう・・」
そして周りに居たスタッフに聞こえよがしにそう言うと、
ジニョンにわざとらしい渋い顔で書類を翳して見せた。

「ありがとう・・先輩・・」
ジニョンはまだ勤務中にも係らずオフィスを飛び出していた。

スンジョンは出て行く彼女の後姿を溜息混じりに見送りながら呟いた。
「私だって・・・そんな恋がしてみたいわ」

 


フランクは今度こそジニョンに全てを告白しようと決めていた。
彼は腕時計を見て、少し早めに教会へ向かおうと、上着を手に取った。

彼の携帯電話が鳴ったのはその時だった。

「ハロー・・」 

「助けて・・・」 その声は酷く怯えていた。



     ・・・「だれ?」・・・

 





 

 









 

 



 


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hiro305
イ・スンジョン本編よりも素敵な女性に^^ ジニョンの背中を押してくれて有難う~でも教会に来られないのはフランクの方なんですね。やっと信じる思いを取り戻したジニョンがまた揺れるのかな~~? 2012/01/21 20:57
eikoada
「行くべきだわ」・・あぁスンジョン先輩いい女になってるぅ~! 教会に行けない原因は、女の影・・!フランク、どうなるの~? 2008/12/10 23:34
toko7
スンジョン良い奴!!でも、最後の電話気になりますね!いったいどうなっていくのでしょう? 2008/12/10 21:27
ayagiku
次回から週1のUPとか無理をしないでください、待ち遠しいけど。。。出来たら本編の16話までは今年中にお願いします♪辛いままで新年は迎えたくないので! 2008/12/09 21:05
ayagiku
ジニョンにいい助言者が出来てよかった、フランクにはレイモンドがいるし。。。電話の相手はユンヒ?次回の展開を想像するの楽しいんです。 2008/12/09 20:58
yonpy
早く、次を読ませてー。 2008/12/09 20:10
4ジュナ
教会での待ち合わせに行けなくなるのはジニョンでなくフランク?意外な展開だわ・・・電話の相手は誰?「助けて・・・」なんて、フランクでなくても気になる~(@_@;) 2008/12/09 15:49
4ジュナ
本編とはちょっと違って、スンジョンが凄く頼もしい先輩になってる~(^^;)ジニョンのフランクに対しての本当の気持ちに気付かせてくれて、超カッコいいわ~(〃▽〃) 2008/12/09 15:47
ノラン
カッコいいぞ~!スンジョン♪ジニョンの心の整理がついて、これからは迷わない!?(爆)少しずつ本編と違う展開に…目が離せない~~~次回にはどんな展開に…次回が待てない(爆) 2008/12/09 12:14
六角
僕が君を愛してるということ・・・それがすべてだ くぅ~良い! スンジョン先輩ありがとう ジニョンの背中押してくれて☆ ナニナニ?今回フランクに問題発生!予想外です 2008/12/09 01:20
Lusieta
んで、教会に行ってほしいけど・・・フランクが行けなくなるの? それは予想外です。 背景の、光の中でジニョンを見上げる目と絡む指に目を凝らしてしています。そしてアップの苦悩の顔もステキです。 2008/12/09 00:38
Lusieta
すごいな、kurumiさん、ちゃんと連れてきてくれた(´ー`) こんなふうに本編とは違う流れが、新鮮でうれしいです。ジニョン、ほんとはもうとっくに100%信じてるでしょ。そのまま彼を見つめててほしい。 2008/12/09 00:35
 
 

IMX