ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3851291/4694917
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 89M/100M
メンバー Total :335
Today : 0
書き込み Total : 1988
Today : 1
passion
新作コーナー
No 26 HIT数 9684
日付 2009/01/06 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル Passion-果てしなき愛- 25.途
本文


    

    

  

 

collage & music by tomtommama

 

story by kurumi

 








  例えそうでなかったとしたら・・・

  奪い取るしかない・・・

攻撃的にも思えたフランクの言葉がジニョンには不思議と
優しく心に響いていた。

フランクの唇が彼女の唇を噛みながら彼女を愛しむように音を立てた。

互いの唇から漏れる甘い吐息がひとつになると、まるで心までもが
交じり合い、抱きあう錯覚を覚えた。

きっととっくにふたりの心は重りあっていた
きっととっくに・・・ふたりは信じあっていた

互いの瞳の奥にその事実を見出すだけで
重ねた唇の熱がふたりの心を繋ぐだけで・・・
ふたりのすべてが救われるようだった

そしてふたりは心の中で互いに向かって叫んでいた。

  あなたを・・・誰よりも・・・何よりも・・・

  愛している・・・と・・・


「僕を・・・信じるね」

「ええ・・・」

「僕がここへ何をしに来たのか・・・
 誰の為に来たのか・・・」

「わかってるわ」

「君の立場が今以上に悪くなるかもしれない・・・
 今以上に辛い思いをするかもしれない・・・でも・・・
 ほんの少しの間だ・・・だから・・・耐えられるね」

「ええ・・・大丈夫」

フランクはジニョンの頭を優しく撫でて、声には出さず≪いい子だ≫
と口を動かし微笑んだ。
ジニョンは彼が昔よくしてくれたその仕草に、口を尖らせてみせて
「もう子供じゃないのよ」と笑った。



フランクとジニョンはふたり並んでカサブランカを後にした。
ジニョンはもう、仲間達にもフランクとの関係を隠そうとはしなかった。
案の定ふたりを追う仲間達の目は決して温かいものではなかった。
≪私は大丈夫≫
ジニョンはフランクを見上げて、瞳の奥でそう語りかけた。
フランクは彼女の肩を強く抱き寄せて、それに答えた。



ソウルホテルの夜は、神々しいほどに輝いていた。

ジニョンはダイヤモンドヴィラの眩しいばかりのライティングに
視線を送りながら、その裏側に思いを馳せて心を曇らせた。

「それじゃ・・・今日はもう遅いから帰るわ」
ジニョンがフランクに向かってそう言った瞬間、フランクは
彼女の手首をグイと掴んだ。

「な・・フランク・・何?」

彼はジニョンの手を掴んだまま、サファイアの方角を目指して
無言で坂を上がって行った。

「フランク!」 ジニョンは大またで歩くフランクについて行くために
小走りにならざる得なかった。
その間、彼は彼女の手を決して離さず、自分の斜め後ろで
文句を並べ立てる彼女の顔を覗くこともなく、真直ぐ前だけを見て
突き進むように歩いた。

そしてフランクは、サファイアの自分の部屋の前に着くなり、
大きく息をひとつ吐いた。
ジニョンは胸を押さえ、苦しそうに小刻みに呼吸を繰り返しながら
彼への不満を繋げようとした。「フ・・フラン・・ク・・もう・・」 
しかしフランクは彼女のその声など聞こえないかのように、構わず
そのまま部屋のドアを開けた。

部屋に入りメインルームのドアを開けると寛ぐレオの姿がそこにあった。
「ボス・・遅かったな・・・あ・・」
レオは振り向いた瞬間、フランクの横で困惑を絵にかいたような
ジニョンの姿を見て、言葉を途切れさせた。

「レオ・・お前、今夜は何処かに用があるんだったよな」
フランクは表情も変えず突然そう言った。

「用?・・いやそんなものは・・・」 
レオがそう言いかけた時もフランクの顔は無表情だった。
「あ、ああ・・そうだった・・・
 俺は今夜は用があって・・そうだ・・帰らないんだった」
しかしレオはたった今思い出したというように、そう言いながら、
自分の部屋へと急いだ。

「ボ~ス・・俺は明日の昼頃。帰ってくるんだったよな」
ほんの少しして部屋から上着を持って出て来たレオがそう言って、
彼のそばをわざとらしく横切った。

「・・・・・」 
フランクは変わらず無表情のまま、彼のその言葉にも返事をせず、
彼が部屋を出るのを待った。

「何のつもり?」 ジニョンは怪訝そうにフランクの顔を覗いた。

「こっちへ来て」
フランクはその間ずっと離していなかったジニョンの手をしっかり握り直して
彼女を自分の寝室へと導いた。

「駄目よ」 ジニョンは思わず彼の手から逃れようと腕を引いた。

「どうして?」 しかしフランクは決してその手を離さなかった。

「だって・・だめ・・」 ジニョンはそう言って下を向いた。

「ジニョン・・僕を見なさい。」 フランクの拒絶を許さないような
強い言葉にジニョンは困惑を抱いたまま顔を上げた。「・・・・・」

「ホテルでお客様との個人的な時間は過ごせません・・
 そう言いたいの?」

「・・・・・」

「なら聞く。・・今君は職務中?」

「違・・う・・けど・・・」

「ここの従業員は個人的にここへ宿泊することはないの?」

「・・・あ・・るけど・・」

「だったら・・君は今一個人・・そして僕の恋人だ。」

「そう・・だけど・・」

「君は僕を信じると言った・・」

「でも・・それとこれとは違う。」 
有無を言わせないように畳み掛けるフランクの言い様に、
ジニョンは何んとか応戦しようと顎を上げた。

「何が違う?」

「無茶言わないで」

「何が無茶?君を抱きたいと思うことが?」

「フランク・・」

「僕は・・君が欲しい。」 
フランクはジニョンの目を真直ぐに見つめて自分の想いを
率直に告げた。

「でも・・・ここではいや」 ジニョンは彼のその目を頑なに拒んだ。

「ここでなきゃ駄目だ。」 彼は引かなかった。

「どうして?」 彼女も引かなかった。

「どうしても。」 
フランクは彼女の迷いを払拭するかのように突然彼女をきつく抱きしめた。

「・・・フ・・ランク・・」

彼は彼女の耳元で、「ここでなきゃ駄目だ・・・」と繰り返し囁いた。
そしていつの間にか薄紅色に変わった彼女の柔らかい耳を唇で噛んで
誘うようにくちづけを繰り返した。

強引な言葉とは裏腹に、フランクのその行為は繊細で優しかった。

「・・・だめ・・よ・・・だ・・め・・・」 ジニョンはまだ足掻いていた。
しかし、いつの間にか甘い吐息と化した彼女の声からは拒絶の色は
消えていた。

 ジニョン・・・

 君は今までも・・・これからも・・・ソウルホテルを離すことはできない

 それなら・・・僕は・・・

 そのホテルごと君を愛するしか・・・ないだろ?

 君は僕のすることを信じると決めたんだ

 だったら・・・

 その覚悟を・・・見せて・・・

 

 




テジュンは「21世紀ヴィジョン」への出資者を手当たり次第に探した。

ソウルホテルの主要株主はもちろんのこと、面識のある有識者、
韓国内外大企業の経営者、思い当たる所にはなりふり構わず願い出た。
しかし、その結果は散々なものだった。

ヨンスの言うように、今ソウルホテルは多大な負債を抱えている。
≪そんな状況下で、いったい誰がお金を出すだろう≫
テジュンの胸の奥に、諦めの雫が滴り落ちかけていた。
そんな時、一本の電話を受け取った。

「ヒョン・・・元気ですか?」

「ジョルジュ?」 
それはソウルホテル長男イ・ジョルジュからのものだった。

「ええ・・お久しぶりです」

「お前!・・」
ジョルジュがソウルを再び離れて7年が経過しようとしていた。
その間彼は一度も韓国の地を踏んではいなかった。

「ヒョン、ご無沙汰して申し訳ありませんでした・・」

テジュンがソウルホテルで働くようになった頃、彼はまだ高校生だった。
その頃からホテルのふたりの息子達はテジュンを兄と慕っていた。

「まったくだ」 テジュンは突き放したようにそう言った。
しかし彼のその言葉には温かさが滲み出ていた。

「父の葬儀の時は大事な仕事で拘束されていて・・・
 申し訳なく思っています」

「ああ、わかってるよ・・聞いている・・
 しかし、社長が寂しがってらっしゃるぞ
 ホテルも今大変だしな」

「ええ、でもホテルにはあなたがいる」

「俺は・・・」 

「ん?」

「俺は・・・何の役にも立たんさ」 テジュンは少し寂しそうに言った。

「そんなことはない・・・ソウルホテルはあなたじゃないと駄目だよ・・
 父さんがいつもそう言っていた」

「俺じゃなきゃ駄目なことなんて、あるのか?」
テジュンは珍しく弱気になっていた。

「何言ってるの?ヒョン・・・
 あなたがいつも父さんや母さんを助けてくれていたんでしょ?
 あなたが・・・ジニョンを励ましてくれてたんでしょ?
 あなたがヨンジェを立ち直らせてくれた
 僕は・・・あなたに沢山の恩を感じてるんだ」

「恩?・・そんなもの感じる必要はない・・
 それよりジョルジュ・・帰って来ないのか」

「いや、そこはもう僕の場所じゃない
 ホテルはあなたが・・・そしてホテルをいつの日か・・
 その時が来たらヨンジェに・・・」

「お前・・・やっぱりその為に?」

「えっ?・・」

「ヨンジェの為に・・・」

「そんなことはないよ・・・
 僕はジニョンに振られて逃げ出しただけ・・・」

「そうか?」

「でも、ホテルのことは・・・
 ホテルはやはり実の息子が継ぐべきだ。
 ヨンジェが継ぐべき・・・・そう思ってる」

ジョルジュはその昔、子供に恵まれなかったチェ社長夫妻が、
養子縁組をした子供でその5年後に生まれたヨンジェは
その事実を知らされていなかった。
その為に、ヨンジェはジョルジュがホテルを捨てて行ったと思い込み
彼に対して複雑な思いを募らせていた。

「ジョルジュ・・・」

「それはそうとジニョンは・・・元気?」

「ああ・・元気だ」 ≪色々あるがな≫

「そう・・・ヒョン・・・ごめんね」 
≪きっとフランク・シンの存在はあなたを苦しめているんだろうね≫

「ん?」

「いや・・・何でもない」
≪ごめん・・・でもジニョンには・・彼だけなんだ・・・
  フランク・シン・・・彼だけなんだ・・・≫

「ところで急に何だ?・・もしかして社長の・・」≪病気のことを?≫

「母さんがどうかしたの?」

「あ・・いや・・」
社長から病気のことはジョルジュに伝えるな、と口止めされたことを
思わず言い掛けてしまいテジュンは慌てて口を噤んだ。

「今日僕が電話したのはビジネスなんです」
ジョルジュはそのことをまだ知らないようだった。

「ビジネス?」

「ええ・・今僕がお世話になっている方が・・」

「・・・お前、今何処に?」

「今僕はNYパーキンコーポレーションにいます」

「パーキン・・?」

「ああ・・・それでね、ヒョン、実は頼みがあります」






「あなたって・・・」
ベッドにうつ伏せたまま、ジニョンはフランクの顔を見ることなく
シーツの中に潜ったようにモゴモゴと口を開いた。

「何?」 フランクは彼女のその背中に唇を落として聞いた。

「あなたって・・・きらい。」

「そう・・・」

「本当よ!・・あなたって・・本当に嫌い!」
ジニョンは勢い良くフランクに振り返って睨んだ。

「でも・・・そうは言ってなかった、さっき・・」

「その勝ち誇った顔・・もっと嫌い!」

「この顔は・・生まれつきだ」
フランクは満面の笑みを彼女に向けた。

ジニョンの顔は頬を膨らませて彼を睨んだままだった。
フランクは微笑みながら彼女の大きく膨れた頬を自分の唇で押して潰すと
彼女の背中にもう一度腕を回した。 「ごめん・・・」

「・・・・・・!」 
ジニョンは彼の唇で潰されたその頬が次第に緩むのを感じていた。

「もっと謝らなきゃ駄目?」
フランクが彼女から少しだけ離れて、彼女の顔を覗きこむように言った。
彼女は彼のその顔を見て、思わず吹き出したように笑うと
彼の背中に腕を回し、優しく撫でた。
そして安心しきったような笑みを浮かべながら彼の胸に頬を埋めた。


 ジニョン・・・いいかい?

 これから僕達はふたりで歩くんだ

 ふたりで・・・信じた途を・・・

 そうしたらきっと

 明るい光へと辿り着くことができる


 さっきふたりで眺めたあの眩いホテルの輝きを

 本物の輝きにするために・・・

 君があの輝きを心から愛しめるように・・・

 心から誇れるように・・・


 そして僕は・・・僕の手に残るのは君だけでいい・・・

 君がそばにいてくれる・・・

 それだけでいい


 本当だよ・・・

 たとえ・・・多くの何かを失おうとも・・・

 僕は何ひとつ悔いは無い・・・


 それが僕のただひとつの途だから・・・

 君が・・・僕の・・・



    ・・・途だから・・・












 




 



 

  
前の書き込み Passion-果てしなき愛-...
次の書き込み Passion-果てしなき愛-...
 
hiro305
あのカサブランカでのキスでようやくジニョンは心を解いたのですね。やっと重なった2人の心だもの、フランクが少々強引でも赦しちゃう・・何を失おうともジニョンだけを求める彼の想い 凄いです。 2012/01/25 16:23
ayagiku
PCの調子が悪くて今も恐る恐る。。。フランクのよき理解者レイとジニョンの幸せを願うジョルジュ、今後の期待が∞大に♪ 2009/01/09 10:24
akanenoai
僕の手に残るのは君だけでいい・私もこれにまいりました。改めてkurumi☆さん、今年も宜しくお願いします。毎週去年同様、首を長ーくして待ってます。 2009/01/08 22:38
いわしお
遅くなりましたが・・・明けましておめでとうございます。 今年もkurumiさんの創作を涙しながら^^・・読んでいこうと思ってます・・大変でしょうが頑張ってください 今年も宜しくお願いします。 2009/01/08 21:51
4ジュナ
フランクの強引さにドキドキとうっとり~(〃▽〃)バックの二人にも妄想炸裂!一気に二人の関係が進んできてウエルカムな展開だわ~♥♥これからジョルジュとレイも登場?うぅ~楽しみ~♪ 2009/01/08 00:39
やまはな
 ̄m ̄ フランクのこんな強引なところ望んでいたんです♪本編では後半はちょっと控えめかな?と思ってしまってたので(〃'∇'〃)ゝエヘヘ・・ジョルジュ、レイの登場で益々面白くなりそうです^^ 2009/01/07 23:43
六角
新年早々ありがとう(^v^) 背景&story最高! お年玉とごちそう両方 頂いた気分 はぁ~うっとりです❤ 斜めにした二人が・・・妄想モード突入 2009/01/07 00:08
toko7
ちょっと、ホッとする展開なのかな~~?安心してていいのかな~?それにしてもサファイアでの二人は素敵ですね^^ 2009/01/06 23:58
れいもん
待ってました。レスは久しぶりですm(__)m二人が寄り添えるようになってよかった。。フランクの台詞にくらくらです。背景にもドキドキです。「もっと謝らなきゃ駄目?」はあ。。素敵。。 2009/01/06 22:51
eikoada
「ホテルごと君を愛するしか・・・ないだろ?」・・・サファイアで結ばれることは、二人にとって深い意味がありますね・・・(*^o^*) ジョルジュ二人の味方ですよね^^きっと・・・。 2009/01/06 19:32
ノラン
ジョルジュやパーキンなど懐かしい名前も出てきて、これからどんな人間関係をみせてくれるのかしら~^^ 2009/01/06 16:29
ノラン
「ここではいや」「ここでなきゃ駄目だ」の言葉にドキドキです☆分かるなぁ~お互いの気持ち~それにバックのバラ二輪が寄り添う二人のようです。音楽とフランクの横顔がいっそう切なくしてくれるし・・・ 2009/01/06 16:21
あきちん
何か・・もしかして・・・ちょっぴり安心してもいいのかしら(少し疑り深くなってる私(笑)。このまま明るい光に辿り着いて。 2009/01/06 15:24
marchingma
きゃ~!素敵すぎます(^^)強引なフランクも音楽もバックの絵も・・・(*^_^*) 2009/01/06 11:56
Lusieta
それにしてもtomさん、この角度だとこうなるのですね。あぁ・・・・すごいわ。ほんとにそう見える(*^m^*)でも・・・こういう時はメガネをはずそう(´ー`) 2009/01/06 08:13
Lusieta
待っていました。本編のあのシーンの続きはこんなふうだったんですね。ステキです。少しずつ事態が動いていきますね。フランクの強引さにほっとしたりしています。ジョルジュ、ちょっとかわいそうになりました。 2009/01/06 08:12
mf1117
あぁ~・・・二人に見えてきた途・・・【僕の手に残るのは君だけでいい・・・】←私も言われたい!! 2009/01/06 08:11
utahime27
お~ジニョンを愛していた二人の男・・・ジョルジュとレイ。きっと二人の味方よね、kurumiさん?トンネルの向こうに途が見えてきたのね・・・しかし・・・5行目にゾクッとしたわ・・・恥ずかしいけど・・・ 2009/01/06 00:37

おめでとうございます。今年も・・・ついていきます・・。待っておりました・・・毎回の呼吸困難も今日は幸せにアップアップと・・。 2009/01/06 00:25
 
 

IMX