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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3827839/4671465
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passion
新作コーナー
No 28 HIT数 9676
日付 2009/01/21 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル Passion-果てしなき愛- 27.絆
本文


     

    

  

 

collage & music by tomtommama

 

story by kurumi

 
















「ジェニー?」


≪ジニョンさんと一緒に住んでいるジェニーです≫

  ・・・あの子が・・・


「何てことだ・・・」

「どうした?ボス・・」

「ジェニー・・・ドンヒ・・・」 フランクは不思議な巡り合せに驚きながら
胸を突き上げてくる熱いものを秘かに堪えていた。

「この子も・・・リストに?」 
フランクは次に用意していたリストラ対象者リストを指してそう言った。

「ああ・・次のリストには上がっている」
レオが手に持った書類を指ではじいて答えた。

「・・・・・」

「フランク・・これは既にソウルホテル側にも渡してあるものだ
 今更この中から、たったひとりを外すわけには・・
 それがお前の妹とあっちゃ、尚更だな・・」

「わかってる」

「しかし・・・どうする・・」

「期限はいつだった?」

「ひと月後だ・・・そろそろ各人にホテル顧問弁護士から
 告知されることになってる」

フランクは前回の急襲的なリストラのやり方に対して、
ソウルホテル側から強い抗議を受けていた。
そしてジニョンの父ソ・ヨンスから、今後のリストラは飽くまでも
正攻法で決着をつけることを進言され、フランクも承諾した。

もともと前回は、ホテル側に大きなショックを与えることが目的であり、
その目的が達せられた今となっては、フランクにとっても
ホテルへのそれ以上の攻撃は無意味でもあった。

結果、ヨンスの要求通り今後のリストラは彼によって個人への事前告知、
そして必要に応じて各人のその後の求職相談にも乗ることを
条件とし、進めることとなった。

それにしても皮肉なことだ。
フランクがホテル経営監査人としての立場で動いているとはいえ、
今や、フランク・シンという男はホテルに勤める人間にとって
脅威とされている男である。

そしてその男フランクが突きつける銃の先には妹ドンヒがいた。





その日の昼下がり、フランクはバックヤードのドアをそっと押した。
そのドアの向こう側では、裏で働く人々が行き交い、忙しく動いていた。
まるで表舞台とは別の時間が早回しに存在しているようだった。

そこを何かを捜し求めながらゆっくりと進む場違いな男とすれ違う度に、
人々は怪訝な表情を露にしていた。


「ジェニー!何やってるんだ!
 早くじゃがいもとたまねぎ持って来い!」

厨房の奥から聞こえてきた怒号に、フランクは胸が騒いだ。

「はい!」

快活な声と共に厨房から飛び出して来たひとりの女の子と、
フランクは出会いがしらにぶつかった。

「きゃっ・・ごめんなさい!」
「失礼・・」

彼女はぶつかった男が、ホテルの、そしてテジュンの敵であることに
瞬時に表情を強ばらせ、彼を睨み付けながらその横を通り過ぎた。

彼は、彼女が食料庫に入り、そこから玉ねぎの箱を抱えて出て来る行動を
胸が潰れるような思いでずっと目で追っていた。

その時転びそうになった彼女を、思わず助けしようと彼の腕が伸びたが
冷たく彼女に撥ねつけられた。

彼女の持つ箱から転げ落ちた玉ねぎを彼が拾い上げ彼女に差し出すと
彼女はそれを彼の手から乱暴に奪い取った。

「ここはお偉い方がいらっしゃるところではありませんよ!
 たとえ理事であっても、ここへの出入りは料理長の許可を得て
 白衣を着なければ入れないんです
 それともまたリストラする人間を探してるんですか?」

彼女は彼に対して、敵意をむき出しに突っかかってきた。

「あ・・いや・・」 
情けないことにこの時彼は、彼女への言葉が何ひとつ浮かばなかった。
何かに突かれたかのように、胸が痛く、苦しかった。

「何もご用が無いなら、邪魔しないで下さい!」
ドンヒはそう言い捨てて、プイと顔を背けた。

フランクにとって、ドンヒに突き放されたことはショックではなかった。

ただ微かに記憶に残る母の面影を彼女の中に見つけて、
胸が震えるほど熱く、動揺する自分に衝撃を受けていた。


  この韓国を出てアメリカに渡ったあの日・・・
  僕はまだ11歳の誕生日を迎えていなかった

  その半年前から養護施設に預けられていたドンヒは
  既に僕の存在も忘れかけていた

  あの別れの朝、最後にひと目だけどうしても会いたくて
  あの子がいる施設にひとりで行った

  目の前に現れた小さくてあどけないドンヒに
  僕は思わず彼女の手に頬ずりをして泣いた
  そして僕は次第に愛しさが込み上げて、
  思わず彼女を強く抱きしめてしまった
  ドンヒは突然の僕の行為にびっくりしたみたいに
  まるで火がついたように泣き叫んだ

  母さんはとっくに死んで・・・父さんは僕を捨てた
  そしてたったひとり僕に残されたはずのあの子は
  既に僕の存在すらも忘れかけていた
 
  あの時の僕の思いは今も覚えている
  あの子のあどけない顔を覗きながら僕はこう思っていた

  ≪この子が僕を忘れてしまったら・・・
   僕という存在はいったいどこにあったんだろう
   どこへ消えてしまうんだろう・・≫と・・・

  そして今、ジェニー・アダムスとして生きるこの子には
  現実に僕の存在など、心の隅にすらない・・・

  あの時あの子を抱きしめて泣いてしまったのは・・・
  その恐怖に震えていたのかもしれない・・・

  それともただ・・・
  あの子の温もりを失いたくなかっただけなのかもしれない

  あの時僕らはとても長いこと・・・声を上げて泣いていた
  例えあの子と僕の涙の理由は違っていても
  あの時は確かに僕達ふたりは繋がっていたんだ・・・

  でも・・・僕にはその後の記憶がない
  その後どうやってドンヒの手を離したのか・・・
  その記憶がまったく無い・・・

  時が過ぎ・・・故郷が恋しくて涙する度に思い出していたのは
  その時のドンヒの大きな泣き声とあの子の甘い匂いだった

  ≪あの頃僕が大人だったなら・・・≫何度思ったか知れなかった
  ≪そうしたら決して君の手を離しはしなかったのに・・≫

 

 



「こうしてここから眺める景色は実に爽快だね」
フランクは漢江を挟んだ向かい側の高台から流れる光の糸を
愛しそうに眺めながら言った。

「ええ」 ジニョンもまた彼と同じ景色に視線を向け、頬を緩めた。
三十分ほど前、フランクからの電話を受け、彼女は彼の為に
ダイアモンドヴィラのエントランス前に椅子をふたつ並べ待っていた。

「どうぞ・・・掛けて」 
ジニョンは目の前の椅子を示して、フランクに言った。

「ああ・・ありがとう・・・でもいいの?ここでこうして
 僕と過ごしても・・・」 フランクは首をかしげるようにして微笑んだ。

「私・・・今は勤務中じゃないの」 ジニョンは悪戯っぽい笑顔で答えた。

「そう・・」 彼は彼女に穏やかな視線を送ると、椅子に腰を下ろし、
目の前の美しい景色にまた視線を移した。
そして清々しく深呼吸するように胸を逸らした。

ジニョンもまた椅子に腰を下ろすと、彼の横顔を愛しげに見つめた。

「どうして・・・話してくれなかったの?妹さんがいたなんて・・・」

十年前、フランクはジニョンに自分の生い立ちを語っていた。
しかしその時、彼の口から妹の存在は語られなかった。

「んー・・・どうしてだろう・・・
 心の何処かで・・僕の中に彼女を置き去りにしたという
 罪悪感があったのかもしれない」
フランクはゆっくりと語り始めたが、その瞳には寂しさが漂っていた。

「あなたが置き去りにしたんじゃないわ」
ジニョンはすかさずそう言った。

「思い出したところでどうする?そう思っていた・・・
 忘れようとしたんだ・・・韓国での全てを・・・
 あの子の存在をも・・・」

「・・・・」

「それなのに・・・
 あの子を見てると、喉に何かが閊えたみたいに苦しかった
 あの子の苦労や不幸な出来事全てが
 自分の責任のような気に・・・」
フランクは込み上げる涙を堪えるかのように、宙を仰いだ。

「あなたのせいじゃない」 ジニョンは努めて静かにそう言った。
本当は叫びたかった。
≪苦しまないで≫ そう言って彼を抱きしめたかった。
でも今は、彼はきっとそうして欲しくはないのだと思った。

「そんなに真剣に慰めないで・・ジニョン・・・」
そう言ったフランクに、ジニョンは泣き顔のような笑顔を向けた。

≪そうなのね・・・今は・・・
  こうしてあなたを見つめていればいいのね・・・フランク≫

「ああ・・・」 フランクはジニョンの心の声にそう答えた。

ジニョンは一瞬少し驚いた顔をして、直ぐに満面の笑顔を彼に送った。


「でも・・・あなたの妹さんが・・・ジェニーだったなんて・・・」

「さっき、厨房に行ってみたんだ」

「そう」

「でも睨まれた」 フランクは寂しげに苦笑した。

「ふふ・・あなたは今、ホテルの敵だから」

「その前にも彼女には会ったことがある」

「そうなの?・・いつ?」

「二週間くらい前・・君のアパートの前で・・・
 その時も彼女にきつく睨まれた」 フランクはまた苦笑した。

「・・・・・」

「ジニョンオンニにはテジュンさんという恋人がいますって
 あなたはジニョンさんを心配しないでって・・」

「あ・・ジェニー・・テジュン信者だから」

「信者?」

「ええ・・テジュンssiの言うことには間違いはないと
 思ってるの・・あの子・・」

「信用があるんだね・・彼・・」

「アメリカで彼女が十代の頃から彼が世話をしていたのよ」

「アメリカで?」

「彼女を面倒見ていた牧師さんが亡くなって、
 テジュンssiが後を引き受けたらしいわ」

「そう・・・そうだったのか・・・」 

「彼が彼女をここへ連れて来たの」

「・・・・・・」

「・・・・フランク?」 
ジニョンは遠くに視線を置いたまま沈黙したフランクに問いかけた。

「同じアメリカに住んでいたのに・・・どうして出会ったのが・・・
 僕じゃなくて、彼だったんだろう・・・」

視線はそのままにポツリとそう言ったフランクに、ジニョンは
掛ける言葉を見つけられなくて、しばらく彼の横顔を見つめていた。
「・・・・・」

「あ・・ごめん・・・」

「ううん・・・」

「・・・彼に感謝しないといけないね」

「・・・そうね」

「彼女・・・」

「えっ?」

「僕に会いたくないかもしれない」

「そんなことないわ・・あの子が韓国に来た理由は 
 もしかしたら、本当の家族に会えるかもって・・
 そう思っていたのよ
 きっと本当のことがわかったら喜ぶ・・」

「僕は・・・本当の家族だろうか・・・」

「弱気なのね・・・あなたらしくないわ」≪いいえ、あなたらしい・・・≫
「彼女に・・・ジェニーには私から言って欲しい?」

「ああ・・そうしてくれると助かる」

「しょうがないわね、本当に・・・弱虫なんだから・・」
そう言ったジニョンの目はとても優しかった。

「ああ・・弱虫なんだ・・・
 君がいないと・・・何も出来ない」 そう言ってフランクは
寂しさを残したままの熱いまなざしでジニョンを見つめた。

「冷酷なハンターはまた何処かへ消えたの?」

「ふっ・・・それを言われると胸が痛い」

「でも・・・」

「ん?・・・」

「弱虫で・・いいわ・・・」 ジニョンは悪戯っぽい眼差しでそう言った。
「私の前では・・・弱虫でいい」

フランクは「フッ・・」と小さく笑いながらジニョンから顔を逸らせると、
直ぐに彼女に視線を戻して、優しく睨んだ。

そしてふたりはしばらく言葉を交わすことなく、ただそこに佇んだ。

彼女は彼の心を癒すように優しくその眼差しを見つめ続け・・・

彼は彼女に、もろく崩れてしまいそうな心を素直に委ねていた。





ジニョンはフランクと別れた後、ジェニーを探して厨房に向かった。

「ジェニーは?」

「たった今あがったよ」 料理長が大きな声を張り上げた。

「そう、ありがとう!」 ジニョンはすぐさまきびすを返した。

「おい!・・・何なんだ?いったい・・忙しい奴だな・・」 
料理長の声がジニョンの背中を追いかけたが彼女は既に走って消えていた。

今度は更衣室へと向かった。「ジェニー知らない?」

「ジェニーなら、たった今・・」とスタッフに出口を指差され、
ジニョンは従業員通用口へとまたも走った。

家に帰れば彼女に会えるのはわかっている。

でも・・・急いで伝えたかった。一刻も早く知らせてあげたかった。

≪ジェニーの為・・いいえ、フランクの為に・・・≫

ジニョンが呼吸を小刻みに乱しながら通用口を走って出ると、
スロープの先にジェニーの影をやっと見つけた。

「ジェニー!待って!」 

ジェニーはジニョンの大きな声に驚き振り向いた。

「オンニ・・・どうしたの?」

ジニョンは更に走ると、やっとのこと、ジェニーを捕まえることができた。
しかし彼女は走り過ぎた為に、呼吸を整えるのに少々時間が掛かった。
その間、ジニョンはジェニーの腕をしっかりと掴んで離さなかった。
ジェニーはそんなジニョンを不思議そうに見つめていた。

「オンニ・・・いったい・・どうしたの?」

「ハァハァ・・待って・・ハァハァ・・ちょっと苦しい・・
 あなたの・・・」

「ん?」

「あなたの・・お兄さんが・・・みつかった」

「・・・・・・!」






翌朝フランクがジョギングから部屋に戻ると、ジェニーが
部屋の前に立っていた。

彼女の目が、ジニョンから事情を聞いてそこに来たことを
素直に物語っていた。

フランクは軽く息を整えながら、彼女へ掛けるべき言葉を探した。


   ・・・「・・・・・朝ごはんは?」・・・




















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hiro305
テジュンによって救われていたドンヒの存在に余計ジニョンやソウルホテルとの絆を感じさせられるでしょうね。言葉の一つ一つにうなずいてしまいます。 2012/01/25 16:53
hiro305
強くて弱いフランク、ジニョンだけが知る彼の心の寂しさ。この不安げな瞳でバックヤードを行くドンヒョクはとっても人間的でした。tomちゃん、このフランクはピッタリです。同じアメリカにいながら自分ではなく 2012/01/25 16:52
六角
ゆるぎ無き愛と信頼で結ばれた2人会話が素敵★  ジニョンに包まれ癒されるフランク もう一人で悩まないで これからは、いつも2人ですよ! 2009/01/22 21:06
ノラン
ありがとう、kurumiさん☆バックの不安と期待の入り混じったあの時のドンヒョクの表情も持ってきてくれたtomさんにも感謝です☆ 2009/01/21 22:31
ノラン
あぁ~涙・涙・涙です。私の大好きなシーンの一つであるバックヤードのドンヒョクが、こんなふうに言葉で表現されると、改めてホテリアーというドラマにハマった私は幸せだと思います☆ 2009/01/21 22:28
Lusieta
彼はこれからどんなふうに救っていくのでしょうか。またあのシーンこのシーンの「kurumiアレンジ」が楽しみになってきました。 2009/01/21 21:45
Lusieta
あのシーンのその奥のいきさつがこんなふうで・・・、ほんとはこんなセリフで・・・。うぅ~ん、いつもながらうなります。妹がいて、妹を家族を守ってくれたテジュンがいて、そしてジニョンがいるホテルを・・・ 2009/01/21 21:44
ayagiku
「私の前では・・・弱虫でいい」ジニョンにだけ弱みを見せられるフランク、間違いなく2人は半身です。 2009/01/21 20:52
toko7
心が通い合っている。。。と言うのはこのことを言うのですね^^ジニョンはフランクの心をわかって丸ごと包み込んでるのですね!。。。羨ましい! 2009/01/21 19:50
eikoada
>「私の前では・・・弱虫でいい」・・・フランクを丸ごと包んでくれるようなジニョンが、いてくれて・・・救われます。 背景のフランクの愛と切なさに満ちた眼差し・・見ているこちらも泣けてくる~;;  2009/01/21 19:22
4ジュナ
ジェニーを優しく見つめるこのバックのフランクを見ていると、凄く切なくて…愛おしそうに、でも少し怯えたようなこの表情。ジニョンが言う「弱虫」なフランクがここにいるのよね…本編のシーンが甦ってきます… 2009/01/21 15:46
あきちん
今回も涙で文字が霞んじゃって・・・。本当に次から次からフランクには試練が・・・。でも逃げずに立ち向かっていくんですね。ジニョンと共に。言葉のいらない2人の絆だけがフランクの支えなのね。 2009/01/21 11:47
やまはな
二度目の再会に繋がっていくのかな・・・「どうして出会ったのが、僕ではなく彼だったんだろう・・・」・・・そうなのよね、これもやっぱり運命、絆なんでしょうか。 2009/01/21 11:30
やまはな
フランク・シンの見せ場は冷徹な企業ハンター、シン・ドンヒョクとしては、ジニョンとの出会いは勿論ですが、ドンヒとの再会がもうひとつの見せ場ですよね^^そして、許す事はできない、でも恋しい父との 2009/01/21 11:20

朝から・・涙が止められない・・職場で読むんじゃなかった・・もう・・私の胸一杯の切なさが・・≪いいえ、あなたらしい・・・≫で癒される・・・。 2009/01/21 10:33
 
 

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