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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3791135/4634761
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passion
新作コーナー
No 30 HIT数 9817
日付 2009/02/05 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル Passion-果てしなき愛- 29.心の涙
本文


    

    

  

 

collage & music by tomtommama

 

story by kurumi

 







「ドンヒョク・・・」 ジニョンはフランクをそう呼んだ。

しかしそのことを当のジニョンも気が付いてはいなかった。

ただ・・・

今、彼女の目の前に寂しく佇むこの人は・・・

21年前別れた父と妹を前にして、彼らを・・・いや
自分自身を受け入れることの難しさに足掻き苦しむこの人は・・・

間違いなく“シン・ドンヒョク”その人だった。

「ドンヒョク・・・泣かないで・・・」

フランクは泣いてなどいなかった。

しかし、彼自身、説明のできない感情が息苦しく胸を突き上げ
それを持て余したまま、立つのがやっとであるかのように
ただそこに立ち尽くしていた。

少しして、ジニョンの温もりに呼び戻されたかのように我に帰った彼は
目を閉じたまま背中から回された彼女の手にそっと手を重ねた。

前にもこんなことがあった、とフランクは思った。

  まだジニョンと出逢って間もない頃・・・

  あの時もそうだった

  涙など流していない僕の頬を撫でながら

  ジニョンは言った・・・

  ・・・泣かないで・・・

  僕はその時、彼女のその行為に衝撃を受けた

  自分の心を簡単に見透かされたことに・・・

  そして彼女のその温かさに

  本当に泣いてしまいそうな自分に驚いたんだ・・・


「ジニョン・・・僕は今・・・泣いているの?」
フランクは目を閉じたまま上を仰いで静かに口を開いた。

ジニョンは彼のその言葉に、ただ黙って彼に回した腕に力を込めた。

「ごめん・・・」 
しばらくしてフランクはジニョンの手を自分の体から少し緩めると
彼女にゆっくりと振り返って言った。
「ごめん・・・せっかく君達が用意してくれた席を・・
 台無しにしてしまったね」

「・・・・・」 ジニョンはただ黙って彼を見上げていた。

「どうしようもないな・・僕は・・」

「・・・ドンヒョク・・・」

「フランクじゃないのかい?・・今の僕は・・」 
フランクは愉快そうに笑いながらそう言った。

「あ・・・」 ジニョンは彼に言われて、自分が彼をそう呼んでいることに
初めて気がついた。

「フッ・・何だか、変な気分だ」

「そうね・・・でも・・・今のあなたはフランクじゃない
 シン・ドンヒョク・・そうでしょ?」

「ああ・・・そうだ・・・そうだね・・・きっとそうだ」 
ジニョンはそう答えた彼が戸惑いながらも自分自身の存在を
素直に認めたようで何故か嬉しかった。

「ごめんなさい・・」

「何が?」

「あなたにとって、ドンヒョクという名前は・・・
 あなたという存在そのものだったのに・・・私・・」

「ジニョン・・・謝る必要なんて無い
 そんなに大層なことじゃないだろ?」
フランクは少し困ったように、ジニョンの頭を撫でた。

「・・・・・・」 ≪そんなことないわ・・・≫
ジニョンはフランクに掛けるべき言葉を探せないまま、
彼の胸に顔を埋め、その背中に腕を回すと優しく彼を抱きしめた。

「君にとって僕は・・僕であればいいんだ」

「・・・・・・」 ≪そうじゃない・・・あなたは・・・
シン・ドンヒョクに戻りたかったのよ・・・そうよね・・・≫

「あの子に・・ジェニーに悪いこと・・したな・・・」

「ええ・・」

「でも・・・」 フランクはゆっくりと視線を落とした。

「戻りたくない・・・そうなのね・・今は・・・」 
ジニョンは彼の言葉の続きを代わりに言った。

「ああ・・いいだろうか?」

「残念がると思うわ・・ジェニーも・・お父様も・・でも・・」

「・・・・少し・・頭を冷やしたい・・・」

「・・・ひとりで?」 ≪今は私も・・いない方がいいのね≫

「ん・・・ごめん・・・」

「わかったわ・・」 ジニョンはそう言って、また彼の胸に頬を添えた。
「いい?ドンヒョクssi・・・これだけは言わせて・・」

「ん?・・」

「・・・あなたは・・ひとりじゃないのよ」

「ん・・・わかってる・・・」

「なら、いいわ・・・わかっているならいい
 ・・・ひとりにしてあげる」
ジニョンはそう言いながら、彼を抱きしめた腕に更に強く力を込めた。

「ん・・」 
そしてフランクもまたジニョンを包み込むように優しく抱きしめると
彼女の髪に唇を落とした。







「彼はどうした?」 
ジニョンがテジュンの元に出向くと、彼は開口一番にそう言った。

ジニョンは「大丈夫・・」とただ小さく笑みを返した。
「でも今はひとりでいたいんだって・・・」

「ふ~ん・・」

「彼・・・家族という存在に困惑しているの・・・
 たったひとりで生きることに慣れ過ぎてしまっていて・・
 突然目の前に現れた血の繋がった人間と
 どう接していいのかわからないのよ」

「それはジェニーだって同じだろ?」

「そうね・・・同じよね・・でも違うのよ・・・
 彼は親に捨てられたことで深く傷ついて生きてきた
 10歳の時よ・・遠いアメリカに連れて行かれて・・
 言葉もわからない大人達の中に放り込まれたんだわ
 私・・そんなこと想像しただけで震えてしまう
 でもジェニーには父親に捨てられた記憶が無いわ 
 それって・・大きな違いじゃない?・・」

「寂しい男は女心をくすぐる・・か・・」 

「ちゃかさないで」

「あいつのこと・・わかってるんだな」

「いいえ・・わかっていないわ・・」

「・・・・」

「わかっていたら・・・
 何をしてあげればいいのかわかっていたら・・
 こんなに苦しくないもの・・」 
ジニョンが声を詰まらせながらそう言うと、彼女の頬を涙が伝った。

「フッ・・」

「何が可笑しいのよ」 ジニョンはテジュンを涙目で睨み付けた。

「・・・わかってるから・・苦しいんだ」

「・・・・・」

「あいつが羨ましいよ・・あ~あ、
 俺も養子にでも行くんだったな」 テジュンはそう言いながら
両腕を頭の後ろに回して背伸びをした。

「酷いわ・・そんなこと言うの」 

「・・・そうだな・・悪かった・・」

「悪いと思ったなら・・・いいわ」 

「はっ・・」

「思ってないのね」

「思ってるよ」

テジュンとジニョンはふたりで顔を見合わせて笑った。

「彼、言ってたのよ」

「何を?」

「あなたが羨ましいって」

「何で?今やホテルはあいつの思うままだし・・
 お前だって、あいつの・・」 テジュンは言い掛けて止めた。

「ジェニーがあなたのことを自慢げに話すから」

「ああ・・」

「焼もちやいてるの・・彼・・」

「いい気味だ。」

「酷いわ」

「それくらい・・思ったっていいだろ?俺だって・・
 いや、何でもない・・」
テジュンは自分がジニョンへの想いをどれほど制御しているのか
彼女には到底わからないのだろうと、諦めたように溜息をついた。

「・・・それよりジェニーは?」 ジニョンは確かにわかっていなかった。
彼女の心の中は今、フランクへの想いではちきれそうで、
テジュンの心を慮る余裕などなかった。

「ああ・・大丈夫だ・・
 あの後、料理長がフルコースを振舞って
 今は奴が予約を入れたスゥィートで親子で寛いでいる・・
 兄貴のことは気にしていたがな・・」

「そうでしょうね・・後でジェニーには私から話しておくわ」

「ああ・・そうしてやってくれ・・それよりこの前
 ジョルジュから連絡があった」

「ジョルジュ?」

「奴の雇い主が、韓国に事業展開をするらしい
 その手助けをして欲しいと頼まれた
 それが成功したら、ホテルに資金を出してくれると・・」

≪レイ・・・≫ 「そうなの?」

「俺が何の手助けができるのかわからんが
 話を聞いてみようと思う」

「そう・・・ジョルジュ、戻ってくるって?」

「いいや・・そのつもりはないようだ
 今の仕事に生きがいを見出した、そう言っていた」

「そう・・」

「ジニョン・・」

「ん?」

「いや・・何でもない・・・」 ≪もう俺達に望みは無いか≫

「言い掛けて止めるなんて・・失礼・・」
ジニョンはそう言い掛けて、テジュンの熱いまなざしにやっと気が付いた。
「私・・・」

「わかってるさ・・・俺だって、お前のことはよくわかってる
 あいつに負けないくらいにな」

「テジュンssi・・・ごめんなさい」

「それじゃ・・これからジョルジュとまた国際電話だ」

「そう・・頑張って」

「ああ」 テジュンはジニョンに背中を向けたまま手を振り立ち去った。






フランクがサファイアを出て、車で坂を下りかかった時、
坂を上がってくるジェニーの姿が見えた。
フランクは慌てて、レオに停車を命じた。

「ドンヒ!」

ジェニーはフランクの声に驚いて振り返った。

「・・・・僕のところへ?」

「あ・・ええ・・あの・・昨日は・・
 ホテルに部屋を用意してくれて・・・ありがとう・・ございます」

「・・・他人じゃないんだから・・そんなふうに
 言わないでくれないか?」

「お父さん・・お兄さんに会わないで帰って・・
 申し訳ないって・・これ・・お父さんのお土産・・」
ジェニーはそう言いながら、手に持った袋をフランクに渡した。

「ああ・・昨日は・・悪かったね・・」

「ジニョンオンニが・・
 急に仕事が入ったって・・」

「あ・・ああ・・本当にごめん」
フランクが項垂れて謝ると、ジェニーは大きく頭を横に振った。

「・・父さんには家を買おう・・・
 そうしたら君はいつだって父さんに会いに行ける
 それから君は、僕の仕事が終わったら
 一緒にアメリカに帰るんだ
 これからは、今まで出来なかったことを沢山やるといい
 遊びも・・勉強も・・」

「やりたいことなんて・・・ありません・・・
 ただここで料理の勉強をしたかった・・・」
ジェニーはそう言うと表情を曇らせ、俯いた。

「・・・・・」

「この前・・ソ弁護士に呼ばれました」

「あ・・・」

「私・・・リストラされるんですね」

「いや・・それは・・」

「いいの・・・
 もともと厨房には無理を言って入れてもらってたんだし
 経験も浅いし・・それに・・
 私が残るわけにはいかないのもわかる・・だから、私はいいの」

「そんなにここにいたいの?
 君はもう、何ひとつ苦労することなんてないんだよ」

「苦労だなんて・・思ったことないわ
 ここの人達は優しくて・・・居心地が良かった
 本当の家族みたいで・・・」

「僕と一緒にアメリカに帰るのがそんなに嫌かい?」

「あ・・いいえ・・・でも・・・」

「でも?」

「でも・・・私・・テジュンssiに恩返しがしたい
 オッパ・・・オッパにホテルを奪うほどの力があるなら・・
 救うこともできるでしょ?」

「・・・・・」

「このホテルを助けてくれない?ね、オッパ・・お願い・・」

「・・・・・」

「だめ?・・」 ジェニーは切なげにフランクを見上げていた。

「ボス!時間が無いぞ!」 レオが車のウィンドー越しに声を張った。

「ジェニー・・・ごめん・・今は何も言えない
 ごめんよ・・仕事があるんだ、急がないと・・
 また今度、ゆっくり話そう・・ね。」

フランクはドンヒの肩に手を掛けながら心の中で思っていた。
≪この子の為にも・・・失敗は許されない・・・≫







フランクとレオがキム会長とのランチミーティングの席に到着すると
キム会長は既に席に就いていた。

「お待たせして申し訳ございませんでした」

「いや・・今到着したところだ」

「では早速、今までの経緯と・・次回の株主総会についてですが」

フランクが着席するなり、ブリーフケースから書類のファイルを抜き出し
それを開いた時、キム会長は言葉を挟んだ。

「株主総会で、現社長の退任を提議する」

「・・・・・」

「現在のホテルの状況では、彼女の持ち株を処分しなければ
 立ち行かないよう、既に手は打ってある」

「そうですか」

「それから・・これを・・フランク・・」 
キム会長は、持っていた資料をフランクに差し出した。

「これは?」

「その手はずが済んだら・・・」

「・・・・・」 

「ホテルを欲しいという企業が現れたんだ」

そう言いながら、キム会長は資料を顎をしゃくって指した。
フランクは差し出された資料を無言で捲っていた。

「どういうことですか?・・・
 ホテルを手に入れるのが目的だったのでは?」

「そのチェーンに株を譲ると決めた」

「・・・・・」

「先方は君が携わるなら、もう少し高値をつけてもいいと
 言っている・・早速その仕事に掛かってくれ」

「アメリカの企業ですね?」

「ああ」

「そうなると・・・
 ソウルホテルの名前は・・消えてしまう」
フランクはそう言葉にしながらも、胸の内の動揺を悟られまいと、
努めて平静を装った。
 
「名前なんぞ、どうでもいい・・ 」

「ソウルホテルの伝統も・・何もかも・・」 フランクは呟くように言った。

「私は利益さえあれば文句は無い」
キム会長は冷ややかにフランクを見やり、そう言った。

フランクは会長のその目を見据えたまま、少しの沈黙の後
口を開いた。


「お前か・・・

   
     ・・・レオ・・・」・・・










   






  



 



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やまはな
ソウルホテルを欲しいと言ってきたアメリカの企業・・・レオが動いていたのかな?この企業はレイとも絡んでくるのかしら?・・・ 2009/02/11 22:37
六角
ジニョン 今は、そっとやさしく ドンヒョクを包んで見守ってあげて! たとえ一人で居ても心は二人一緒ですもの・・・これからの展開が気になるわぁ~ 2009/02/08 00:48
フック
が切ない!!!! 2009/02/07 23:04
フック
さっさとダイアモンドビィラから早足で出て行くフランク。その苦渋に満ちた顔が浮かんできます。後ろからそっと抱くジニョンの温かさがあれば、ドンヒョクはドンヒョクでいられるはず。あぁ~~~ドンヒョクの心の涙 2009/02/07 23:02
フック
まさかまさかそのアメリカの企業ってレイではないでしょうね。レイとフランクの友情がこれからの展開にどう絡んでくるのか、興味が膨らみます。でも、最後のレオ・・・・の言葉も気になって・・・・。 2009/02/07 22:56
Lusieta
あぁ、こんなにも心の深い部分を感じ取って包んでくれた人の手を、ドンヒョク、君は無理矢理離したんだね。辛かったよね、二人とも。でも今こうしてそんな二人だということをあらためて感じあえてよかった。 2009/02/07 16:18
ノラン
漢江を見ながら一人佇む後姿…後姿オーラが、kurumiさんの言葉によりいっそう表され、思い出されます。今後、レイがどんなふうにからんでくるんでしょうか?最後の「お前か…レオ…」も気になるし… 2009/02/06 21:24
ayagiku
心配・・・でもレオはキム会長の依頼に応えるのであって間違っていない。。。れお、ドンヒョクの力になってください。 2009/02/06 16:26
ayagiku
今回からドンヒョクと呼ぶます。ドンヒョクの肉親への苦悩、kurumiさんの思いと私の思い一緒だった♪レオのこれからの行動が 2009/02/06 16:21
あきちん
お前か・・・レオ・・・って。今までだって苦悩の連続なのに、さらにレオが・・・。ダメだよ、レオ。最後までフランクの味方でいてくれなくっちゃ。お願い。 2009/02/06 11:31
4ジュナ
本編にはなかった、親に捨てられた記憶。確かに!物心付いていたフランクの傷ついた心とまるで記憶の無いジェニー。それが父親との接し方に現れているのか・・・kurumiさんの着眼点に納得!さすがだわ~ 2009/02/06 10:26
4ジュナ
う~~(@_@;)最後のフランクの一言「お前か…レオ…」何?まさかレオが裏切り?そんな~う~~気になる~!!!そして次回、ついにレイ登場?!救世主になってくれるかな・・・ 2009/02/06 10:21
toko7
君にとって僕は・・僕であればいいんだ。。。素敵な言葉ですね❤本編にレイがどう絡んでくるのでしょう・・楽しみです!この背景のフランク!ツボです(*´O`)~♡ 2009/02/06 00:30
 
 

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