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OFFICE K&T IZM CLUB
OFFICE K&T IZM CLUB(https://club.brokore.com/izmclub)
Hotelierが好きで ドンヒョクに落ちて DONGHYUK  IZM が好きな方 一緒に遊ぼう\(^○^)/
サークルオーナー: tomtommama | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 335 | 開設:2006.11.13 | ランキング:30(12728)| 訪問者:3848761/4692387
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passion
新作コーナー
No 7 HIT数 7931
日付 2008/10/10 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル Passion-果てしなき愛- 6.執着
本文


   

      

  

 

collage & music by tomtommama

 

story by kurumi

 





「駄目・・・」
「どうして?」
「できない」
「僕を許せないから?」
「・・・・・・」
「待ってる・・・」


ジニョンはしばらく、その場で動くことができず、呆然としていた。
本当は今、そのドアを開けて、≪彼を追いかければ≫
何もかも上手く行くのかもしれない。≪でも・・・≫
ジニョンは10年前、自分を黙って置きざりにしたフランクへのわだかまりを
自分の心からどうしても拭い去ることができなかった。
≪必ず迎えに来てくれる、そう信じていたのに・・・待ってた私を、
 ずっとずっとひとりにしたくせに・・・
 あなたなんかに“待ってる”なんて言って欲しくない≫



急に奥の部屋の明かりが点いてジニョンは驚いた。
居間を覗くと、ジェニーとテジュンがソファーに腰掛け座っていた。
テーブルには蝋燭を立てたデコレーションケーキが置かれ
ふたりが誰を待っていたのか、想像するのは容易かった。


「あ・・・」

ジェニーが睨みつけるような顔をジニョンに向けていた。

「あ・・すまん・・・驚かせたな
 ジェニーがお前の誕生日を祝おうと準備してくれていたんだ。
 それで俺も呼ばれて・・その・・待ってた
 玄関で・・あー・・音がしたんで・・その・・・
 ジェニーが驚かそうと・・電気消して・・
 悪気じゃなかったんだ・・許せ・・・」

たった今しがたの、フランクと自分とのやりとりを目撃していた事実を、
テジュンの言葉をよどみが証明していた。

「・・・・・」

「誕生祝いって雰囲気でもないな・・じゃあ、俺は帰るよ」

テジュンが罰の悪そうな顔をして、立ち上がった。

「あ・・待って、テジュンssi」

ジニョンは逃げるように玄関を出て行ったテジュンを追いかけた。

「待って・・・」
エントランスの出口でジニョンはやっとテジュンに追いついた。

「言い訳はいらない」 テジュンはジニョンを振り向かないまま言った。

「言い訳はしないわ」

「言い訳・・しろよ」 
テジュンがくるりと振り向いて、ジニョンを情けないような表情で見つめた。

「どっちよ」 ジニョンは呆れたように彼を見て言った。

「するだろう・・普通」

「言い訳して欲しいの?」

「いや・・」

「あの人は・・」

「いや・・いい」

「言い訳しろって言ったじゃない」

「誕生日おめでとう・・・」 そう言って、テジュンが小さな包みを出した。

「何?」

「いいから・・受け取れ・・」

そう言った後にテジュンの目にジニョンの首にネックレスが見えた。

「プレゼントか」

「あ・・ええ」

「高そうだな」

「ええ・・でも、外すわ・・・」
ジニョンはテジュンからのプレゼントの箱からネックレスを取り出しながら
そう言った。

「こっちの方が私に合ってそう」
「安物って意味か」
「ええ」
「悪かったな」
ふたりは何も言わず照れくさそうに笑った。

そして、テジュンは「やっぱり帰るよ」とジニョンに手を振った。
ジニョンは複雑な笑顔のまま彼を見送った。





 

≪外ではもう会わない≫ フランクにそう宣言した。

彼もまたそれを聞き入れたかのように思われた。
しかし、その後もフランクの積極的な行動は止まらなかった。
ホテル内のレストラン、カクテルバーなど彼はあらゆる場所に
頻繁に姿を現し、ジニョンと遭遇する機会を狙った。


ハウスキーパー達との朝礼の場所に顔を覗かせることもしばしばで
そんな時も彼は明らかにジニョンに向かって満面の笑みを向けた。
ジニョンは他の従業員達の手前、彼を嗜めるしかなかった。

「こんなところで何をなさってるんですか?」
「ジョギングの途中です」
「お客様、申し訳ございませんが
 ここは走るところではありません」
「クールダウン中だよ・・走ってはいない」 
そう言って彼はわざと空を仰いでジニョンの視線を避けた。
「・・・・・!」

従業員を介してジニョンをカサブランカに呼びつけたこともあった。
「お客様・・・お呼びでございますか?」
「もう仕事は終わりでしょ?一緒にいかがです?支配人」
「御用は何でしょう」
「用・・・んー・・・」
「御用が無いのでしたら・・・」
「逢いたかった」
「・・・・・!」
「それだけでは駄目?」
「・・・・・・」
「だって、外では逢えないのでしょう?」

「ソ支配人に頼みたいことがあるのですが」
そう言って、フロントに電話を掛けてくることもしばしばだった。
「ソ支配人は只今手が離せませんので、代わりのものが・・」
「いや結構。・・・それともソ支配人はふたりいるのですか?」
フランクはホテル従業員に対しても露骨だった。

フランクとジニョンの昔の関係を知らないホテルの人間達の間では、
ひとりの客が、ソ・ジニョンという従業員に入れ込んで、
言い寄っているという噂が駆け巡っていた。
そしてジニョンもまた、プレゼントされた300本の薔薇に逆上せ上がり
ホテリアーの品位を失墜しているという噂を実しやかに広める者もいた。



ジニョンは意を決してフランクの部屋に向かった。

「御用は何でしょう・・ソ支配人」 
フランクは彼女の表情にその真意を読んで、敢えて白々しく言った。

「フランク・・」

「僕はお客様じゃないの?」

「私にいったいどうしろと言うの?」

「どうしろって?」

「私はここで仕事をしているのよ・・生活をしているの
 あなた、私の生活を乱して面白がってるとしか思えない」

「それは心外だな」

「お願いだから・・」

「・・・・・」

「お願いだから・・・私を放っておいて」

「・・・・・」 
彼女の言葉に無言のまま視線を落とした彼を見て、ジニョンは
少し言い過ぎたかと、それ以上彼を責め立てることができなかった。 


しかし彼の彼女への執着は諦めを知らなかった。


「キャッ!」

水温チェックの為にプールを訪れていたジニョンを見つけたフランクが、
そうっと彼女の方に近づき、水面からプールサイドへと飛び上がって
彼女を驚かせた。
「あー驚いた」 ジニョンはその場にしゃがみこんで胸に手を当てた。

「ごめん・・驚かせるつもりはなかった」

「何をなさってるんですか?」

フランクは水からさっと出て、タオルを取った。
「・・・・・見てわからない?」 そう言ってフランクは自分の格好を目で示した。

「・・・・・」 ジニョンは彼の素肌に赤面して俯いた。

「最初に言っておくけど・・待ち伏せたわけじゃないよ」

「そうかしら」 ジニョンは呆れた顔をして、ツンと横を向いた。

「あっ疑ってるね?君が水温チェックに来るなんて情報、
 どうやって掴むの?僕はもう1500は泳いでる」

「ふふ」 フランクの言い様にジニョンは思わず笑ってしまった。

「そうやって笑っている方が可愛い」 フランクも笑顔だった。

「悪かったわね・・いつもは可愛くできなくて・・」
「怒っている顔も好きだけど」

「・・・・・・・困るわ・・本当に・・噂が広まって・・」

「僕が行くところに君が来てるのかもしれない」

「・・・・・!」 ジニョンは彼を横目に睨んで見せた。

「冗談だよ・・・ごめん・・・
 でも、ホテルの外で会えないなら
 仕方ないでしょ?・・しかし・・
 ホテルには色んな遊び場があって良かった」

ジニョンは彼のこれまでの行動に呆れ果てながらも
それが彼が自分と会うために懸命に努力している結果だと思うと
心をくすぐられないわけではなかった。
しかし、それはホテリアーとして決して好ましいこととは言えない。

「誤解を受けるわ」 ジニョンは少し後ずさりしながら言った。

「誤解じゃない」 フランクは彼女の目を射るように見つめて言った。

「困るの」

「僕は困らない」

「・・・・・」 ジニョンはフーと溜息を吐いた

「NYに行かないか」

「・・・・・」

「あの家に・・・」

「えっ?・・だって・・」≪あの家はもう売られたはず≫

「レイモンドが、戻してくれた」

「レイ・・・」
ジニョンは、レイモンドの顔を思い浮かべて懐かしそうに彼の名を口にした。

「レイとは親交が?」

「ああ・・・彼の仕事を請け負っている」

「そう」

「行こう・・・一緒に」

「駄目よ・・行けないわ」 
ジニョンはフランクの目の力に圧倒されて、更に後ずさりしていた。

「どうして?」

「どう・・し・・キャー」
突然ジニョンがプールサイドに躓いて、バランスを崩し、
フランクが慌てて駆け寄り彼女の体を抱えるのと同時に
ふたりの体は宙を舞い、プールの水面へとダイブした。

フランクは先に水上へと浮上し、周りを見渡したが、
ジニョンの姿がなく、一瞬慌てた。
しかし直ぐに水中でもがいているジニョンの姿を見つけて
ホッとしながら、彼女を救い上げた。

「まだ、泳げなかったのかい?」

「ごほっ・・ごほっ・・おお・・きな・・お世話・・」
彼女は水を飲んだようで、咳き込んで、少々パニックを起こしていた。
その後、フランクの声が聞こえなくなった。

ジニョンがやっと落ち着きを取り戻して、状況を把握すると、
自分がしっかりとフランクにしがみついていて、彼は自分の体を
黙ったまま強く抱きしめていることがわかった。

「あ・・あの・・離して・・・」 ジニョンは彼の腕の中でもがきながら言った。

「・・・・・・離すの?」 彼の声が彼女の耳の直ぐそばで聞こえた。

「離して・・ください」 彼女は混乱していた。

「ここで?」 そこはどうもジニョンの足では届かない深さのようだった。

「あ・・・離さないで」 彼女は彼の首に回した手に力を込めた。

「いいよ・・離さない」 
彼はその言葉が自分の本心だと彼女にわからせるように想いを込めて
彼女を更に強く抱きしめた。

「・・・・・」 「・・・・・」

「あの・・プールサイドへ連れて行って」

「もう少しこのまま・・」
フランクはジニョンの体を包み込んだまま動かなかった

「フランク!」 
ジニョンは我に帰ると、この状態から早く脱しなければ、と思った。

「わかったよ・・」
フランクはやっとジニョンの言うことを聞いてくれ、彼女を抱いて動き出した。

プールサイドに辿り着いて、フランクはまず自分が上がり、
ジニョンに手を差し伸べた。
ジニョンは少し躊躇って、それでも彼の手を取った。

ジニョンがプールサイドに上がった時、騒ぎを聞きつけて
テジュンがそこへ現れた。

「従業員がご迷惑をお掛けしましたようで・・
 申し訳ございませんでした・・お客様」

テジュンはフランクに向かって、穏やかさを装ってそう言った。

「いいえ」 フランクも静かに答えた。

「ソ支配人・・・着替えに行きなさい」 
頭の先からずぶぬれのジニョンを見てテジュンは事務的に言った。
「あ・・はい」
ジニョンもまた、自分を取り繕うように、きびすを返した。

テジュンはフランクに一礼した後、ジニョンの腕を取り、
プールサイドを出て行った。

フランクはふたりの後姿を見送った後、
濡れたジニョンを拭こうと手に取っていたタオルを乱暴にイスに放ると、
再度勢い良くプールの中へとダイブして消えた。




「まるで濡れネズミだな」

「失礼ね」

「どうしてあんなことに?」

「つまずいて落ちちゃったの」

「奴も?」

「奴って・・お客様よ」

「お客様も?」 テジュンは嫌味ったらしく誇張して言った。

「彼は助けようとして・・私を」

「そうか」

「それだけのことよ」

「そうだろうな」 

「じゃ」

ジニョンは女子更衣室へと消えて行った。

テジュンはひとつ溜息をついた。
誕生日の一件以来、ジニョンとの進展は特になかった。
真面目な話をしようとすると、冗談で交わされる。

その間、サファイアの客、シン・ドンヒョクという男が、
ジニョンに近づいていることを、ホテルの仲間の口から聞かされた。

ジニョンがあいつとの関係を話そうとしたあの日、思わず、
聞かない選択をしてしまった。

気にならないわけじゃなかった。
≪しかし・・・聞いたところで、どうする・・・≫
ジニョンさえ、自分の元にいてくれるなら、あいつのことなど
気になるわけじゃない。

ただ、一時はあの男を拒絶しているように見えたジニョンがこの所、
彼に対する態度を軟化させたように思えて、胸が騒いだ。



 

フランクは全速力で二往復泳いだ後にやっとプールサイドに上がった。
そしておもむろにイスに腰掛けると、まぶたを閉じ体を横たえた。

さっきこの手に・・・この胸に抱きしめたジニョンの感触が
いつまでも消えてくれなかった。

   あの時・・・
   プールの中で、言葉も無く彼女を抱いていたのは・・・
   声を掛けてしまったら・・・
   現実に戻ってしまったら・・・
   この腕の中から彼女が消えてしまいそうな・・・
   そんな気がしたからだ

   本当は・・・

   離したくなかった・・・本当に・・・



       ・・・離したくなかった・・・



 

 

 














 


 


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hiro305
水の中で見つめ合う2人、本当は想いを通わせたいのに心とは反対の言葉を言ってしまうジニョン、フランクの 離したくなかったは辛い言葉です。 2011/12/05 16:05
anyonn
最後の画面のフランクの唇が***見つめてると勘違いしそうです。はぁ~いいなぁ~あの唇に触れた人・(--) 2008/10/11 23:26
anyonn
すご~い・・フランクになってますよね!!ジニョンの心はもう、フランクの所に行ってますね!私も、一緒につってって~ 2008/10/11 23:20
koparu♪
『いいよ・・・離さない・・・』あぁ・・・ホントにね・・・フランク・・・あなたの心の叫びが聞こえる・・。あなたの心が、愛しいジニョンだけを欲している・・・。 2008/10/11 22:03
yukitanpoo
ちょっと苦しそうな顔に思えて・・・想いがどんどんあふれでてきてますね。 2008/10/11 15:18
yukitanpoo
私の中でだんだんドンヒョクとフランクが違う人になってきました。あのプールのシーンもドンヒョクのはにかんだように助けた顔ではなく、フランクは目を閉じてジニョンのぬくもりをその手に感じていて・・・ 2008/10/11 15:17
ノラン
スゴイ!!!あのプールのシンが蘇りながら、完全に別バージョンになってる~~☆miraggeの時の二人の会話が思い出されます。ここへきて、又miraggeを読み返したくたってきました^^ 2008/10/11 13:44
ayagiku
幸せにならないと私の身が持ちません。。。でも2人は益々苦悩するんでしょうね。。。其処がいいんだけど、タオルは必要でした。 2008/10/11 11:01
ayagiku
ジニョンの気持ちがほんの少しだけ開いたかな~と・・・テジュンは本編とは違いすぎ、サンヒョクが入っているような気が。。。ジニョンの心を開くためにはジョルジュの助けが要るのでは、フランクとジニョンが早く 2008/10/11 10:55
Lusieta
本編でもシーンひとつひとつがこんなふうにもうひとつのストーリーを持つなんて、なんか不思議で、これからも楽しみです。 2008/10/11 09:15
Lusieta
あんなふうに置き去りにしてから10年もほっておいた人へのわだかまりがリアルに共感できて悲しいです。フランクの必死の気持ちも切ないです。 2008/10/11 09:14
eikoada
あのプールのシーンが、こんなに切ない時間になるなんて;;NYの家も思い出されて、お話の深さに・・・私も感動の波に飲み込まれました。ジニョンの心は・・まだ頑なだけど、解け始めてる?頑張れ フランク! 2008/10/11 08:37
utahime27
ご無沙汰です<(_ _)>久し振りにPC開けて見つけた「Passion」 読んでる間だけ現実から逃避できて私もプールではないけれどドボンと嵌りました。フランク!もっと押し捲れ~!(笑) 2008/10/11 08:12
toko7
まるで、映像を観ている様な錯覚に陥ります。これからの展開が楽しみです。 2008/10/11 01:09
れいもん
このシリーズ、初レスですm(__)m本編をたどりながら、あのフランクが読めるなんて、今辛い思いをしているD&Jには申し訳ないけれど、幸せです。もうこの音楽が聞こえた瞬間にすっかり入り込んでしまいます。 2008/10/11 00:49
4ジュナ
本編と同じシーンなのに、kurumiさんのストーリー展開の巧みさで、こんなにも深いシーンになっていて凄いわ!背景の、ジニョンを抱いて愛おしげに彼女を見つめるフランクの想いが胸に迫ってきて、切ない・・・ 2008/10/11 00:39

もう・・・呼吸困難に陥る幸せ?をありがとう~・・待ち伏せの間にミラージュへ再読に走り涙し・・ジニョン・・・置き去りの奥をどうして思わないの???? 2008/10/10 23:52
jijimama
ほんとにあの場面が、こう繋がるなんて・・凄い!フランク辛いね!手放した者と手放された者・・誰のせいにも出来ないだけに手放した者の悲しみと苦しみが辛い・・フランク絶対にがんばるんだよ! 2008/10/10 23:39
フック
本編のプールの場面の「カッチ」が、あのニューヨークの思い出の家への「カッチ」になるなんて・・・・・もう最高です。でもまだジニョンには時間が必要なんですよね。ドンヒョク、もう少し・もう少しだからね。 2008/10/10 23:19
 
 

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