懐かしい部屋のドアを開けて
あなたが僕に言った最初のひとことは
「ごゆっくりお過ごし下さい・・・お客様」 だった
もう・・・お客様は・・・止めてくれないか・・・
あなたから聞くその言葉の響きにはやはり胸が疼く
そしてしばらくの間あなたは・・・
僕のあなたへの熱い視線を
俯きがちに頬を薄く染めながら受けていた・・・
僕を・・・ちゃんと見なさい・・・ソ・ジニョン・・・
そう念じながら僕もしばらく黙したままだった
「あ・・あの・・仕事に・・戻らないと・・・」
「このまま行ってしまうつもり?」
「規則ですから・・・」
「規則ですから・・・」 同時に言った
「そんなに簡単に?・・・
ずっとこの日を待っていたのに?」
「後で伺います・・・」
「後でじゃイヤだと言ったら?・・・」
「でも・・・」
「でも?・・・」
「仕事中だわ・・・」
あなたはきっとあなた自身にも言い聞かせるように
言っていたね・・・
「僕はもう待てないけど・・・
今あなたがこのまま行ってしまったら
僕は壊れてしまうよ・・・それでもいいの?」
「壊れるって・・・冗談言わないで・・・」
「冗談じゃないこと
あなたが一番良く知っているでしょ?・・・」
「ドンヒョクssi・・・」
あなたが少し困ったように眉を顰めて、今日初めて・・・
僕の名を呼んだ・・・
遅いよ・・・
「良かった・・・僕の名前は忘れてなかったね」
「えっ?」
「何でもない・・」
「・・・・・」
「あなたの前ではいつも・・
僕は駄々っ子みたいだ・・・」
「ふふ・・」
「んー仕方ないね・・ジニョンssi・・・
あなたの仕事が終わるまで
大人しくここで待ってるよ」
僕は自分の本音とは裏腹に、あなたに笑顔を作ってみせた
「その代わり・・・一つだけ規則を破って・・・」
「な・・・・」
僕は不意にあなたの腕を掴むと有無を言わせない程素早く
自分の胸に引き寄せ、当然あなたの言葉は待たなかった
僕が・・・
どれほどあなたに逢いたかったのか・・・
どれほどあなたが欲しかったのか・・・
今直ぐに・・・わからせたかった・・・
あなたの戸惑いなど・・・
もう許せなかったんだ・・・
僕は激しく・・・深くあなたの唇を侵略していった・・・
初めは驚いていたあなたが次第に僕の愛と絡みあっていく・・・
あなたの腕が僕の首をなぞるように後ろへと周り
あなたの指が僕の髪に絡まり僕を更に熱くする
ジニョン・・・
そうだよ・・もっとしっかり抱きしめて・・・
あなたにどんなに抱きしめられたかったか・・・
あなたをどんなに・・・抱きしめたかったか・・・
きっとこれは僕の人生で唯一無二の願い・・・
あなたに出逢う前から心の奥深くに潜んでいた
積年の願い・・・
それがやっとこうして叶えられた
・・・本当は・・・
本当は・・・このまま離さずいたかった・・・
いつまでも・・・
・・・こうしていたかった・・・