私はオフィスのデスクに向かっていた
今何時だろう・・・退勤の時間まであと2時間・・・
今日こそは遅れないようにしなくちゃ
私の唇にあの人の唇の柔らかい感触がまだ鮮明に
残っている・・・
私は思わず両手を自分の唇に宛がってみた・・・
「何、にやけてるんだ?・・・」
「えっ・・・あ・・テジュンssi・・・
に・にやけてなんか・・変なこと言わないで・・」
「十分・・にやけてる」
そう言いながら、テジュンssiは私の顔を覗きこみ
含み笑いを見せた
嫌な言い方をするのね・・・
でもいいわ・・・今日は許してあげる
「テジュンssi、ありがとう・・・
あなたが彼を呼んでくれたこと・・聞いたわ・・・」
「ああ・・本当だよ~!
本当に二人とも困った友達だよな・・・
俺をてこずらせて・・・
お前・・これでやっと支配人の仕事、
手に付きそうか?」
「オモ!まるで今まで手についてなかったみたいなこと・・・
仕事はきちんとやってたでしょ!」
テジュンssi・・・二人の友達・・・今そう言った?
あの人のこと・・友達・・そう言った?
「わかってるよ・・・冗談だ・・感謝してる・・・
お前には幸せになって欲しいと思ってるよ・・・
それを叶えられるのはあいつだけだよな
悔しいけどきっとそうだ・・・だから・・・
少し手伝っただけだ・・・」
「・・・ありがとう・・・」
きっとドンヒョクssi・・・喜ぶわ・・・・
あなたのこと、男として惹かれる・・・そう言っていたのよ・・・
「これで、理事である“奴”に貸しが一つ出来たかな・・・
“奴”にそう言っておけ・・
いつか倍にして返してもらわないとな」
「チ・・・感謝するんじゃなかった」
「それから“奴”に今度一緒に飲もう・・そう伝えろ・・
無論、そちらのおごりで・・・」
「あのね!奴・奴って・・少し失礼じゃない?・・
彼は・・・」
「わかってるよ!・・・それくらい言わせろ!
俺だって、大切なものを離したんだ・・
それ位・・・言わせろ・・・」
「テジュン・・ssi・・・」
「じゃな・・もう上がれ・・待ってるぞ・・“奴”が・・・」
そう言ったテジュンの笑みが少し寂しく見えた
私はそれに気づかない振りをして明るく笑みを返した
テジュンssi・・・私はもう迷わない・・・
あなたは私にとって掛け替えの無い友達
それはこれからも決して変わらないわよね
そして・・・
ドンヒョクssiは・・・私の・・・すべて・・・
それを気づかせてくれたのも・・・
あなただったのね
ドンヒョクssi・・・
テジュンssiが・・・あなたのこと友達だって・・・
あなた言ってたわね・・・
自分は友達を作るのが下手だって・・・
友達ってね・・ドンヒョクssi
決して作るものじゃないわ
相手の心を砕いて理解することで・・・
相手もまた自分を理解してくれる
そうすると自然に互いを大切に思うようになると思うの・・・
それだけできっと・・・
友達になる・・・
ホテルの運営に関して理事の立場を行使しながらも
決してテジュンssiの存在を無視しないあなたの寛容さ
テジュンssiは口には出さなかったけど
あなたのことを尊敬していたわ
あなたもきっとそうでしょ?
これからもっともっと
あなた達は分かり合っていくわね・・・
・・・きっと・・・そうね・・・