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IZMCLUB別館(https://club.brokore.com/kurumitom2)
IZM CLUB 
サークルオーナー: kurumi☆ | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 261 | 開設:2007.10.18 | ランキング:66(6784)| 訪問者:1365950/1598632
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D&Jの物語Ⅰ
ドンヒョクとジニョンの物語Ⅰの改訂版 2005.5.17~2005.6.15連載
No 18 HIT数 5289
日付 2008/09/11 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ドンヒョクとジニョンの物語 18.君のたくらみ
本文
 



            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi







   

アメリカに戻ってからのあなたは既に幾つかの案件を
抱えていたせいで結婚後もなかなか休暇が取れなかった

それでも、1分でも多く私のそばにいてくれようと努力してくれた

可能な限り仕事は事務所に行かず自宅の書斎で済ませ
ランチやお茶の時間だけでなく
仕事が一息つく度に私の顔をちゃんと見てくれた

でも、一旦仕事モードに入ると、あなたはやはり厳しい顔をする

あなたもそんな自分をあまり私に見せたくないらしく
そんな時は、「一時間は来ないで」と書斎に消えていった


時折書斎から、あなたの厳しい声が漏れてくる


ドンヒョクssi・・・

以前、そんなに怖い顔しないで、とあなたに言ったことあったけど
本当はあなたのそんな厳しい顔も、嫌いじゃないのよ・・私


そしてあなたは一時間置きに私を呼ぶ

      ほら、また・・・・

   「ジニョン!」

   「な~に」

   「ちょっと来て」

私は取るものもとりあえず、大急ぎで書斎へと向かう

私が辿り着くとあなたはまだ、仕事モードの顔から切りかえられずに
厳しい顔のまま私を手招きしているの

   「キスして」

   「また?」

   「いいから」

そう言いながら、あなたはまず頬を私に突き出し

そして、今度は唇・・・・満足するとまた仕事モードに・・・

   「今日、いったい何回目?」

   「いいの・・・僕の一服」

      まったく・・・

電話が鳴って、あなたは急いで受話器を取った


   「レオ!いったい何やってるんだ!」

私は思わずビクッとする


あなたは、肩と頬で受話器を挟み
私の方へ手の甲を振って 「行って」と合図をした

      何よ!

      私はいったいあなたの何なの?


それでも私は幸せだった  
  
少しプリプリと怒ったふりをしてみせながら、私はテラスで
チーズケーキを頬張って、美味しいダージリンを味わうの


そこへあなたが嬉しそうな顔をして、入ってくるなり
私を後ろから抱き締めて言った

   「ジニョン、明日一日時間が取れそうなんだ
    何処か行きたいとこない?」

それを待ってたのよ

   「ええ、あるわ」

   「何処?」

   「あなたのアメリカのご両親のところ」

   「えっ?」

   「まだ、私ご挨拶してないもの」

   「手紙で結婚の報告しておいたよ
    せっかくの休みなんだから、ふたりだけで過ごそうよ」

   「だめよ・・・連れてって。」

少し不満げなあなたの背中を押して
私達はあなたの養父母を訪ねることにした





   「フランク・・・・」

養母が夢でも見ているような驚きの表情で僕を迎えた

   「よく、・・・・よく来てくれたわ・・・・
    何年ぶりかしら・・・」

   「ご無沙汰してしまって10年になります」

   「そんなに?」

   「申し訳ありません・・・不義理ばかりで・・・・
    今日もお留守なら仕方ないと思いながら
    ご連絡もしないで伺ってみました」

   「いいえ・・・さあ…入って・・・
    お父さんを呼んでくるわね
    ・・・・・あなた!・・・あなた!・・
    フランクよ、フランクが・・・」

   「フランク?」

養父が二階から慌てて転がるように階段を降りてきた

   「フランク・・・・」

養父は養母と同じように驚きを隠さなかった
そして僕を無言のまましっかりと抱き締めた

   「昨日、手紙届いたよ・・・結婚おめでとう」

      妻のジニョンです・・・
      そう紹介しようとしたその時

養母が突然ジニョンに向かって微笑んだ

   「あなたが・・・ジニョンさんね
    よく来てくださったわ…ジニョンさん」

ふたりは交互にジニョンを抱き締めキスをした

僕は彼らのジニョンへの親密さを不思議に思っていたが
後になって、彼女がここへ来る前に何度か養父母に手紙を送り
僕達の近況を伝えていたことを聞かされた

   「ジニョンと呼んでください」

   「本当は結婚式に来ていただくはずでしたが・・・
    申し訳ありません・・・
    ふたりだけで式を済ませました
    そのご報告に・・・・・」

   「そうか・・・・式の招待を受けた時は
    私も母さんも飛びあがって喜んだ
    でも、そのあとに中止の連絡を受けて
    どれほど落胆したか・・・
    母さんは泣いていたよ」

養父も養母も昔のわだかまりなどひとつもなかったかのように
つい昨日も会っていたかのように振舞って
この上無くご機嫌に、僕達の来訪を心から喜んでくれた

不思議だった
ここへ来るまではあれほど気が重かったはずなのに
僕はふたりの笑顔に包まれて幸せな気分だった

今までここで感じたことのない心地良さを味わっていた


直ぐに暇するつもりで出向いたものの
いつの間にか養母が用意してくれた料理を囲んで
和やかな時を四人で過ごしていた




    ドンヒョクssiも心から笑っていた

    しばらくしてお母様がフランクの幼い頃の写真を
    見せましょう、と私を誘った

    私は言われるまま彼女について行った

       「あの子・・・あんな風に笑う子だったのね
        きっと・・あなたのせいなのね・・・」

    お母様は少し悪戯っぽい表情を優しい瞳に忍ばせ
    私を覗き込むように言った

       「ジニョンさん・・・・座って?・・・
        ・・・先日はお手紙ありがとう
        あなたから、必ずふたりで伺います
        そんなお手紙いただいて・・・とても嬉しかったわ・・・
        実は今か今かと・・お待ちしてたの・・」

    そしてお母様は私と向かい合わせに腰を掛けて
    “少しお話をしてもいいかしら”と言うとゆっくりと話し始めた

       「あの子はね・・・フランクは・・・
        もう直ぐ11歳になる頃うちへやって来て・・・

        とても利発でハンサムな子で・・・
        私達の自慢の子だった

        私達は自分の子供に恵まれなくて
        それなら、不幸な生い立ちの子供達に
        私達の愛を捧げようと思ったの・・・
         
        だから・・・
        あの子を幸せにしたくて・・・
        遠い国から連れて来たのよ

        でも・・・あの子は心をなかなか開いてくれなくて
        私は少しいらだってしまったの

        本当の親に捨てられ、遠い国に連れてこられた・・・

        それだけでひどく傷ついていたのに
        わかってやれなかった

        あなたは聞いているかしら・・・

        私があの子の
        激しい性格を受け止められなかったこと・・・

        あの子は私にすがるような眼で言ったの

            僕を捨てないで・・・

            僕を怖がらないで・・・

            あなたが怖がったら

            僕はいる場所がなくなる・・・・

        今でもあの時のあの子の眼を忘れないわ

        この子を幸せにしたくて連れてきたのに・・・
        私はなんてことをしたんだろう

        私はあの子を思い切り抱き締めた

        いとおしくて・・・あの子に謝りたくて

        でももう遅かった・・・あの子はそれ以来
        私達に心を開いてくれようとしなかった

        お父さんともお母さんとも呼んでくれなかった

        死に物狂いで勉強して
        高校は奨学金のある学校の宿舎に入って

        私達の元を少しずつ離れていった

        独立してからは殆ど顔も見せてくれなくなって

        育ててくれたお礼にと
        毎年高価なプレゼントを贈ってくれるの
        でも決して・・・心は届けてくれなかった

        そのフランクが結婚すると聞いて
        私達を・・・・式に呼んでくれると聞いて
        私は飛びあがって喜んだわ

        それは叶わなかったけど
        こうしてふたりで訪ねてくれて・・・・
        私がどんなに嬉しいか・・・・

        あなたにわかるかしら・・・」


       「ええ・・・・わかります」

       「そう?・・・・ありがとう
        ジニョンさん・・・いいえジニョンと
        お呼びしても?」

       「ええ、もちろん・・・」

       「ジニョン・・・あの子のこと・・・
        宜しくお願いしますね・・・」

       「はい」

       「良かったわ・・・あなたのような方が
        あの子の・・・
                 
        これからあの子は今日みたいな笑顔を・・・
        私達にもくれるかしら」

       「ええ・・・きっと・・・」

       「ありがとう・・あなたがそうして下さったのね」

       「いいえ・・・彼がそうしたんです」

   私がそう言うと、お養母様は顔を両手で覆って
   声を殺して泣いていた

   ・・・あなたもお辛かったんですね・・・



   しばらくしてお養母様は「ごめんなさい」と言って
   涙を拭い立ちあがった

   そして“これを・・・”とひとつの箱を私に差し出した

   中には木製の古びたパチンコが入っていた
   前にドンヒョクssiが話してくれていたあのパチンコだった

       「これを・・・あの子に返してくださる?
        あの子は私達がこれを捨てたと思っているわ

        いつか大きくなったら返してあげようと・・・
        とても大事にしてたこと、わかっていたから・・・

        ただ、私達は帰ることの出来ない国を
        思い出すものはあの子には良くないと思って
        でもずっと返しそびれていたの

        あの子に・・・あなたから・・・」

   私はその箱を彼女から受け取ると
   感激の余りその箱を抱きしめてしまった

       「ええ・・・・ええ・・・」

   ドンヒョクssiの幼い日の心の拠り所に巡り合った様で
   それが何故かとてもいとおしくて・・・

   涙が溢れて止まらなかった


   ドンヒョクssi・・・こんなに愛されていたのに

   気付かなかったなんて・・・

   あなたって・・・本当に鈍感ね・・・



   返すのは後にして、というお養母様の言葉をよそに
   私は直ぐに彼の元に走ってその箱を渡した

   ドンヒョクssiは驚いてその中のものを見つめた後
   お養母様の元へ飛んでいった

   そして“おかあさん・・”
   それだけ言うのがやっとのように
   お養母様を強く抱き締めた

   お養父様は私の肩を抱いて二人を見守っていた
   見上げると、お養父様の目にも涙が光っていた


   ああ・・・ありがとうございます

   ドンヒョクssiを・・・
   フランクをこんなに愛してくださって

   ありがとうございます・・・





   私達はドンヒョクssiが六年間過ごした家の敷地を
   ふたりで散歩した

      「20数年前のここに、あなたがいたのね・・・
       可愛くない子供だったでしょうね・・・」


   あなたはフッと笑って懐かしそうに周りを見渡した


      「こんなに空気が澄んでいて
       綺麗なとこだったんだな・・・・
       あの頃は気がつかなかった・・・・」


   あなたは大きく深呼吸して空気を懐かしんでいた


      「いつから企んでた?」

   あなたが突然そう言った

      「何を?」

      「とぼけないで
       東海のことといい、ここのことといい・・・
       企んだでしょ」

      「オモ・・・人聞きの悪いこと言わないでよ・・・
       私はただ・・・」

      「ただ?」

      「あなたが以前、ホテルの人達の笑顔に
       気がつかなかったって言ったことがあったでしょ?

       私はその時、見ようとしなかったからよ・・・
       そう言ったわ・・覚えてる?」

      「ああ、覚えてる」

      「こちらのご両親のことも、東海のお父さんのことも・・・
       そうなんじゃないかと思った

       あなたが見ようとしなかったから・・・

       あなたは私に自分を信じろと言った時

       僕だけを見て・・・僕の声だけを聞いて・・・
       そう言ったのに

       あなたはどうしてあの人達の声を聞かなかったの?
       あの人達の眼を見なかったの?

       だから、見て欲しかった・・・あなたに・・・

       そうすれば、あなたの心は救われる
       そうしたら、あなたはきっと私の元に帰ってくる
       そう思ったの・・・・」


      「それで?」

      「それでって?」

      「君の思うようになった?」

      「ならなかった?」

      「・・・・・・・・なった・・・」

      「でしょ?」

      「でも一つだけ違うな」

      「何が?」

      「そのことがなくても、僕は君の元に戻っていた
       という事実がある・・・違う?」

      「そうね・・・・戻って来てくれたわ」


  そう・・・・僕は他の何でもない・・・君に・・・

  ソ・ジニョンという存在に・・・癒されたから・・・


      「ジニョン・・・」

      「何?」

      「キスしていい?」

      「そんなこと聞かないで」

  君はいつものように顔を真っ赤にしてプイと横を向く

      「君がうるさいんでしょ・・・TPOがどうだとか」

      「だって、あなたはところ構わずキスしたり
       抱きついたり・・
       その・・常識が・・ないのよ・・・」

      「悪かったね、常識無くて・・
       じゃあ、いい、しない・・」

      「え~今はいいわよ・・・しても」

      「しない・・・・君がどうしてもと頼むなら
       してあげてもいいけど」

      「またそれ?」

      「言って」

      「じゃあ・・・して」

  そう言って君が僕の前で目を閉じ顎を上げた


      「何だかやけくそみたいだから・・・
       もういいよ」

  僕は彼女にそっぽを向くように体の向きを変えた

      「いいから・・・して」


  君は急いで僕の前に移動すると
  また僕の顔に自分の顔を近づけた

  僕は片目を開けながら君の唇に自分の唇を寄せて・・・

  ぎりぎりのところで止めた


       「やっぱり、やめた」


  そして僕は君を置いてさっさと歩き出した


       「えー どうしてそんな意地悪するの?」


  君が僕を慌てて追ってくる・・・

  僕は少し足を早めて君を置き去りに歩いた


     ジニョン・・・・
     僕はきっと一生君に頭が上がらないね

     だから、たまにはこうして僕がする意地悪
     黙って受けていなさい・・・


     それからジニョン・・・

     もっと急いで僕を追って来て

     

     君に・・・早く・・・



       ・・・キスしたいから・・・





















  









           
           






     





         




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フレックルス
はじめまして、涙が止まらない・・・ヤバイです。。今週ずっと読み続けてきて、乾いた目と戦って読んでたけど、ここに来て、涙が止まりません。。ありがとうございます。。 2008/12/07 14:45
jijimama
企んだでしょ・・・この言葉、ドンヒョクの最高の感謝の気持ちと、愛しさと、溢れるばかりの愛情と、素直にいえない言葉の全てかな・・・・ 2008/09/22 20:01
kurumi☆
養母の台詞を書いていて、自然と出て来た、という感じだった^^この回を書く前に決まっていたのは「君のたくらみ」という副題だけだった^^後半の「企んでたでしょ」という台詞をDに言わせたくて書いた^^ 2008/09/13 20:50
kurumi☆
でもそのシーンもやはり書きながら出て来たことで、最初からパチンコは捨てられていなかった、という設定を考えていたわけじゃなかった^^; 2008/09/13 20:46
kurumi☆
シータちゃんの>長く心にかけられた鍵がこんなにも鮮やかに解かれてしまって<という言葉^^上手いな~^^ 養父母とのことを描くには、本編でドンヒョクが語っていた「木製のパチンコ」のエピソードしかない^^ 2008/09/13 20:44
ヨンkiss
"僕はきっと一生君に頭が上がらないね"きっとジニョンはお釈迦様の生まれ変わりかもね。 2008/09/12 18:44
Lusieta
ジニョンと一緒だと、長く心にかけられた鍵がこんなにも鮮やかに解かれてしまって、ほんとにもう、ドンヒョクの幸せ度は自分でも怖いくらいだわよね。この振り向いたアップの顔が物語ってるわ。 2008/09/12 01:10
ナタデココ
今日ドンヒョクは、『寂しいフランクだった』という壁を乗越えられた・・・ジニョンと共に幸せになれるね・・・・ 2008/09/12 00:44
4ジュナ
仕事の合間の1時間毎のキス、ジニョンへの小さな意地悪、そんなことも幸せな風景そのもの・・・ドンヒョクssi、本当に幸せなのね、よかった、と心から言ってあげたいわ・・・(T_T)もちろんうれし涙です・・ 2008/09/12 00:25
4ジュナ
結局養父母の家には6年しか住んでいなかったのね・・・ドンヒョクからフランクに生まれ変わって、ずっと心を開けずにいた孤独な少年・・・ジニョンによってやっと救われたのね、ドンヒョクも養父母も・・・ 2008/09/12 00:21
joonmylove
『でも決して・・・心は届けてくれなかった』ご両親の辛さがあらわれていました。解り合えて良かった。寝る前に泣かされちゃった。今日は9.11ですね。NYといえば思い出すのがドンヒョクになってしまった。 2008/09/12 00:16

ドンヒョクの身に降り注ぐ幸せに・・涙があふれます・・・私の涙も幸せの涙・・・掴もうとがんばらなくても肩肘張らなくても・・そっと身を包んでくれる幸せ・・それは・・ジニョン・・・・。 2008/09/11 23:57
 
 

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