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IZM CLUB 
サークルオーナー: kurumi☆ | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 261 | 開設:2007.10.18 | ランキング:66(6784)| 訪問者:1365761/1598443
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D&Jの物語Ⅰ
ドンヒョクとジニョンの物語Ⅰの改訂版 2005.5.17~2005.6.15連載
No 19 HIT数 5132
日付 2008/09/12 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ドンヒョクとジニョンの物語 19.君に浮かんでいたい
本文 ※途中の赤い薔薇の画像をクリックすると背景が変わります^^
 



            collage & music by tomtommama


                                   story by kurumi





二十数年もの間、僕の中で蠢いていた憎しみや悲しみが 
たった一年余りの間に少しずつ、少しずつ浄化されていく

まるでジニョンという名のフィルターにろ過され
僕の中の不純物がすべて取り除かれていくかのように

この世に生を受けたばかりの僕に生まれ変わるかのように


   「レオ・・・個人的に頼みが・・」

   「駄目だ。」

さっきからずっと何か言いたげな視線でレオを追っていたドンヒョクが
やっとその胸の内を切り出そうと口を開いた瞬間にレオは
拒絶の姿勢を取った

   「まだ何も言ってない」

   「いや・・言うな・・・
    お前の個人的な頼みに碌なことはない」
   「一週間の休みが欲しい」

ドンヒョクはレオが両の掌を向け制止するのをまるで無視したように
きっと随分と前から用意していただろう言葉を間髪入れず口にした

   「お前!・・言うなと言ったろ?
    ほら見ろ!碌なことじゃない」

   「頼む」

   「無理だね・・一週間なんてとんでもない話だ
    この前の一日だって、無理して工面したのを
    知らないわけじゃないだろ?
    お前がこっちに戻って取り掛かった仕事だ・・
    責任は取ってもらう」

   「責任は取る・・問題はない・・
    ・・・・五日・・・」

   「ダメだ!ソウルへの帰国はどうする・・
    ああ・・そっちをずらすか?・・・それなら・・」

   「それはダメだ、大事な予定がある・・」

   「大事な用って何だ?それも個人的なことだよな
    だいたい、仕事に個人的な事情を持ち込むなんざあ
    出来ない奴の代名詞だったよな・・・
    俺は昔お前にそう言われた」

レオはここぞとばかり彼に睨みを効かせて、ドンヒョクを追い詰めた    
 
   「四日でいい・・・睡眠時間を削れ」

ドンヒョクはレオの言葉には眉すら上げず
相変わらず淡々としてポーカーフェイスを崩さなかった

   「理由はわかっているがな・・・あー情けない
    まるで牙を抜かれた虎だな
    仕事とジニョンさんとどっちが大事なんだ?」

   「言った方がいいか」

   「あ・・言うな・・・答えはわかっている
    言わなくていい」

ドンヒョクは眼鏡の端をキラリと光らせ、口角だけを斜めに上げた

レオは内心、ドンヒョクのその変わり様を面白がっていた

そして“しょうがないな”と呟きながらスケジュールと睨めっこをして
大きく溜息をつく振りをした

   「どんなに削ったところで・・・三日が限界だな・・・
    実質二日半てとこだ・・・」

   「三日?」

ドンヒョクははすに構えてレオをぎろりと睨んだが直ぐに、
“それでいい”と冷静な表情に戻して言った

   「ボス・・・・・・
    最初から狙いは三日だっただろ・・・」

ドンヒョクはそれには何も答えず、レオからゆっくりと視線を逸らした
呆れたように肩をすくめ「好きにするさ」と部屋を出ようとしたレオに向かって
ドンヒョクが抑揚の無い言葉をポツリと吐いた

   「三日間・・・通信不通・・・」

その言葉にレオは耳を疑って振り返り、彼を凝視した

   「何だって?」

   「電話もメールも無し・・以上」

   「お前!」

ドンヒョクは持っていた新聞でレオの鬼のような視線を遮断した

 


   どうしても、君をここへ連れて来たかった・・・
   ソウルへ帰る前に・・・この季節に・・・どうしても

   君のためだけに建てた君の家

      「どう?可愛いでしょ?」

      「ええ・・・可愛いというより・・・
       まるで小さなお城みたい・・・」

      「色は君のイメージの自然色
       フォレストグリーンとサンドベージュのコンビ・・・
       ぴったりでしょ、君に・・・」

そして、フランスの愛の神殿のようなテラスの周りを埋め尽くす
一面の紅い薔薇・・・

      「いったい・・・何本あるの?」

      「わからない・・・ごめん・・・
       300本もいらないって、聞く前だった・・・
       ここ建てたの・・・」

   ジニョンは僕の言葉に呆れたように笑った


   まるでお城・・・目を丸くした君がとても可愛かった

   僕はそんな君の優しい心と愛らしさをイメージした

   自然で・・・天真爛漫で・・・

   僕の心にいつも安らぎをくれる・・・

   そんな君の・・・天使のイメージ


中に入ると天井まで大きく吹きぬけたひとつの空間があった
そこはキッチンスペースとリビングスペースがバランスよく
一続きになっていた
中央を上る らせん階段の向こうにはオープンになった寝室が見える
ひとつひとつの調度品までもが贅沢な造りであることを伺わせた

   「ここは君のための別荘・・・
    毎年この薔薇の季節にふたりで来よう
    ここには、君と僕しか入れない・・・
    今も・・・これから先も・・・・」

   「誰も?勿体無いわ・・・
    みんなに見せてあげたい」

   「ダメだよ・・・誰もダメ・・・
    例え、僕達の子供であっても・・・」

   「そうなの?」

ジニョンは思わず笑ってしまった

子供のように真剣に話すドンヒョクがちょっと可笑しくて・・・

   「三日間はふたりだけで過ごすんだよ・・・ここで
    電話もパソコンもFAXも無い・・・
    仕事の連絡もシャットアウトした
    誰からも何からも拘束されない
    君とふたりだけの時間を過ごすんだ

    朝起きたら、君は僕が前に頼んだように
    まず、僕を探して・・・僕だけを見て・・・わかった?」

   「わかったわ・・・」

彼の溢れる愛が眩しくて・・・




   お腹が空いたね
   テラスでランチと洒落込もう・・・

君は自分がやるのだと張り切って
僕をキッチンから締め出した

しかし君は僕をことごとくはらはらさせる

   そんなに剥いてしまったら
   いったい何処を食べるんだい?

   ナイフの持ち方がなってないね・・・
   あ・・危ない・・

   どんなものが出来上がるんだろう
   不安?・・・・じゃないよ・・・たぶん・・・
   大丈夫・・・美味し・・そう・・・・

   出来たのかい?

君は満足げに唇を横に伸ばして両の口角をキュッと上げた

   さあ・・・戴こうか・・・

   君との想い出の紅い薔薇を愛でながら・・・



食後にはふたりで読書を楽しんだ
それぞれの好みの本をベンチで背中合わせで・・・

君は本を読むのに飽きると

背中合わせだった僕の頭を自分の膝に降ろして

自分の指に僕の髪を絡めて遊んだ

そして、一方的にお喋りをする・・・

   「ジニョン・・・僕はまだ読書中・・・
    少し静かにしてくれない?」

   「オモ、いいじゃない、私の話しを聞いてくれたって
    こうしてるだけじゃつまらない・・・」

   「どうして?僕を見てるだけじゃつまらない?」

   「あなたもそれ止めて、私を見ればいいわ」

   「嫌だよ」

   「そんな難しそうな本、何がおもしろいの?」

   「おもしろくて読んでるわけじゃないよ」

   「だったら、ね、止めて・・・読むの・・・」

   「ダメ、後少しだから・・・」

君は膨れた顔をしたまま、僕の髪を優しく撫でていた

   ジニョン・・・顔と手が矛盾してるよ

   たまにはそうしていて・・・

   いつもは僕だけが君を見ている・・・

   それって不公平だろ?・・・

   だからそうやってずっと僕を見ていて


夕方日が落ち始めた頃、ふたり並んで敷地を散歩した

   「ねえ・・いつの間にこんなとこを?」

   「半年前・・・完成したのは最近だけど」

   「私と別れて、ここどうするつもりだった?」

   「僕の終の棲家に・・・・
    ここは君に抱かれているような気がするから・・・」

   「私がいないのに?」

   「おかしい?」

   「私がいれば、もっといいでしょ?」

   「ああ・・・・ずっといい・・・」

僕がそう言うと、君は満足そうに微笑んだ

   「ドンヒョクssi・・・周りに何も建物が無いのね」

君が不思議そうに言った

見渡せる全ての土地が君のものだから、と言ったら
きっと驚くだろうから

僕は そうだね・・・とだけ答えた



ディナーは僕の手料理でフルコース・・・
君はこれには反対しなかった

間接照明を挟んで、君の笑顔が僕のデザート・・・

大丈夫、君にはちゃんとスゥィーツを・・・




 

そして・・・ふたりで・・・今日は月夜だ・・・
シャワーを浴びたばかりの君が姿見の前で
黒髪をすいていた

僕は君の後ろから、鏡越しに君を見つめる

   「ドンヒョクssi・・・どうしたの?・・・
    怖い顔をして・・・」

君は僕の熱い視線に照れたように笑った

   「何が怖いの?」

鏡の中の君を見つめながら
君のバスローブの片方をずらして細い肩にくちづけた

君は少し慌てて持っていたブラシを落としてしまった

そして僕の手は君の肩から胸へと滑り降りる
君は驚いて少し身体を硬くした

僕は唇を肩から首筋に移して軽く歯を立てた

  そして、低く囁く

   「知らなかったかい?・・・僕が
    吸血鬼だということ・・・」

   「しら・・な・・・かった・・・」

鏡に写る君が、唇を少し開いて上を仰いだ・・・
僕はその唇を容赦無くふさぐ

バスローブの片方だけが肩から落ち右胸だけがさらされた

君のその乱れた姿に 僕はそそられ・・・
君にくちづけたまま 僕の掌はその胸を乱暴に這う

そして、もう一方の手は君自身に辿り着く・・・・

       
   声を出して・・・ジニョン・・・

   僕を見て・・・

   僕は君の喜ぶ声が聞きたい・・・

   君の甘い吐息を感じたい・・・

   そして、君の甘く・・切なく・・歪む顔が見たい・・・

   僕が捧げる愛の術を 君は全身で受け止めて・・・

   僕は全てを君に捧げるのだから・・・


   君の身体は少しずつ僕に応えていった

   僕の唇に・・・・君の身体が波を打つ

   僕の指に・・・・君の身体が濡れていく

   僕の愛に・・・・君の花びらが開いていく・・・

   そんな君が・・・・僕は愛しい


   僕の手によって  僕の愛によって

   君は少しずつ・・・・女になっていく・・・・


   そして 君の甘く・・・切なく・・・奏でる声が

   僕の心を・・・・僕の身体を・・・・

   昇天させる・・・


     ああ・・・ジニョン…・愛してる・・・・



君は僕を避けるようにうつぶせたまま、向こうを向いていた
いつものことだけど、今はこっちを向いて欲しい・・・

   「ジニョン?こっちを向いて・・」

   「だめ・・・」

   「どうして?」

   「どうしても・・・・」

僕はそんな君に少しいらついていた   

   「こっちを向きなさい」

僕は少し乱暴に君の肩を掴んで振り向かせた
眼にいっぱい涙をためた君が突然目の前に現れ僕は驚いた

君は僕の困惑に気がついて言った

   「あ・・ごめんなさい・・・違うの・・・
    自分でも・・・どう表現したらいいかわからない・・・
    何て言ったらいいか・・・・わからない・・・
    こんなにも・・・こんなにも・・・あなたを愛してる
    そう思ったら・・・知らない間に涙が・・・溢れてた・・・」

   
  ジニョン・・・・

僕は君の涙に 愛しさを込めてくちづけをした

君は僕の左胸に耳を当てるように身体をよせた

そして、しばらく言葉も無く じっとしていた・・・

   「何してるの?」

   「あなたの鼓動を聞いてる・・・」

   「どんなふうに聞こえる?」

   「どんなふうにって?」

   「君を愛してるって、言ってるでしょ?」

   「・・・・・ええ・・・そうね・・・言ってるわ・・・」

   「そう聞こえたら、そこにキスして」

君は戸惑いながら、僕の胸にそっと唇を落とした

君が僕の身体にキスをするのは・・・初めてなんだよ 

  気づいてた?



   「ねえ、ジニョン・・・お願いがある・・・」

   「なあに」

   「お風呂に入りたい・・・いっしょに・・・」

   「いっしょに?・・・」君の顔が瞬時に真っ赤になった

   「おいで」僕は透かさずベッドを下りて彼女に手を差し伸べた

   「これから?」


     私達はローブだけを羽織って、階段を降りた
     バスルームの前であなたが 「ちょっと待ってて」 と言って
     しばらくして、「入っておいで」 と声をかけた
     ガラスのドアの向こうにほんのり明かりが見える
     そこを開けると暗いバスルームの中に灯りがひとつ

     アロマキャンドル?・・・・きれい
     バスタブの泡にその光が反映して
     とてもロマンチックだった・・・・

     あなたは既にバスタブの中で私を待っていた
     私はローブを外し、中へ入った・・・・


  君は照れながらも僕の望みを聞いてくれた
  薄明かりの中に君の生まれたままの
  美しい姿が浮かび上がる

  僕はしばらく君に見とれていた


   「そんなに見ないで・・・・」

   「どうして?」

   「恥ずかしいから・・・」

   「とても綺麗だ・・・・おいで・・・」

  僕は君の手を取ってバスタブに誘うとゆっくり座らせた
  そして 君を抱き寄せ 君の髪にキスをした

  アロマの心地よい香りと オレンジの薄明かりが
  僕達を神秘の世界に導く

  僕は君に抱かれるように身体を寄せて
  君の鼓動を聞いた・・・・

  君が優しい声で言った

   「あなたを愛してるって・・・言ってるでしょ?
    聞こえる?」

   「ああ・・・言ってる・・・聞こえるよ・・・」

  何故だか 涙が込み上げてきた

  それを君に気付かれたくなくて

  僕はしばらく君の胸に顔を埋めたまま 君を抱き締めていた


      ジニョン・・・・

      君はまるで海のような人だね

      そこには僕しかいない・・・

      僕はその中でゆったりと浮かんでいる

      静かに凪ぎいている君の海を

      ときどきバタバタとかき乱し

      波をたててしまうこともあるけれど

      どうか その時は許して・・・


      例え 大きく荒れる日があったとしても

      僕はその波に身を任せ 

      静けさが戻るのを目を閉じて待とう・・・

      きっと その波は直ぐにも穏やかさを取り戻し

      僕を優しく包み込む・・・そして 

      この上ない安らぎをくれると信じるから・・・

      そうだね・・・上空の星星を見上げても

      もう決して 
      吸いこまれそうな恐怖に怯えることも無い

      何故なら 
      君がいつも僕の手を離さないでいてくれるから・・・

      君は海・・・僕だけの・・・美しい海

      僕はいつまでも・・・

      その海に抱かれ生きよう・・・

      いつまでも・・・いつまでも・・・

      ずっとこうして・・・

      ・・・君に浮かんでいたい・・・


      「大丈夫よ・・・安心して・・・私はずっとこうしてる・・・
       ずっと・・・あなたのそばにいるわ・・・
       ドンヒョクssi・・・」

   僕を腕に抱いた君が突然そう言った・・・

   僕は思わず驚いた顔で君を見上げた

   君は優しく首をかしげ僕に微笑んだ

      ジニョン・・・君には・・・

         僕の声が


         ・・・聞こえるんだね・・・




   


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jijimama
 僕の声が・・・聞こえるんだね・・・ここが好きです。ドンヒョクの心が本当に開放されたようで・・ジニョンは彼の全てを受け止めている。彼が幸せを実感しているのが嬉しい・・ 2008/09/22 20:13
kurumi☆
それで結構書き換えてしまいました改訂版を出す時には、やはり前の作品を好きでいてくれる人もいるので、加筆することはあっても書き換えることはしてはいけないと思っていたのですが^^;お許しを^^ 2008/09/13 21:05
kurumi☆
今回改訂版を出すにあたり、読み返していて、一番引っかかったのがラスト二話。特にこの回でした。何だかデレデレし過ぎているというか、甘過ぎるというか、自分自身が馴染めなかった… 2008/09/13 21:05
ナタデココ
少し遠回りして勝ち得た新婚生活・・・これからは喜び、悲しみ、何でも2人で分かち合って頑張れるね。~広い終の住みかに一人は寂しすぎ、しかし今日は【世界は2人の為にある】お幸せにϖ 2008/09/13 11:08
Lusieta
tomさん、シーンがかわった。ステキ!このろうそく、さっきからほんとに揺らめいてるみたいにみえるんです。わての目がうるうるしてるからか? 2008/09/13 06:08
Lusieta
幸福の極みだなぁ~~。純度100パーセントで、結晶になっちゃうくらいの幸福。 2008/09/13 06:06
4ジュナ
あぁ、今夜も幸せ・・・♡ 二人の愛に満ちた日常が、愛の言葉が美しくて、やっぱり泣けてきます・・・(T_T) 「…ジニョン…君には…僕の声が…聞こえるんだね…」また号泣だわ・・・(T_T) 2008/09/13 00:27
 
 

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