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IZMCLUB別館(https://club.brokore.com/kurumitom2)
IZM CLUB 
サークルオーナー: kurumi☆ | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 261 | 開設:2007.10.18 | ランキング:66(6784)| 訪問者:1365912/1598594
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D&Jの物語Ⅰ
ドンヒョクとジニョンの物語Ⅰの改訂版 2005.5.17~2005.6.15連載
No 7 HIT数 8383
日付 2008/09/03 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル ドンヒョクとジニョンの物語 7.事件
本文
 



            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi






   

  
結婚式を三日後に控えたある日
その事件は ソウルホテルで起きた

その日、ドンヒョクは披露宴の最終打ち合わせのため
テジュンを訪ねていた

社長室の応接椅子に深く腰掛けて彼を待っていると
突然ドアが乱暴に開き、ヨンジェが掛け込んで来た

      「理事!ソ支配人が!」

ヨンジェのただならぬ形相にドンヒョクの顔は一瞬にして青ざめた

      「案内しろ!」

ドンヒョクはヨンジェの後に続いて走った

向かう途中で、ヨンジェからことの次第を聞かされる

屋上で男がジニョンを人質にして立てこもっているという

      「ソ支配人が男が銃を持っていることに気がついて
       声を掛けたようです・・
       他の客に迷惑が掛からないようにと思ったんでしょう
       警察に照会したところ、昨日別のホテルで殺人を犯し
       逃げている犯人ではないか、と。
       その犯人がライフルを持っていたという情報が・・
       その男もライフルを持ってました
       警察は後5分位で到着します
       社長が、以前起きた事件とはわけが違うから
       俺にも無茶しないようにって・・・
       とにかく理事を呼んで来い、と」

ヨンジェは息もつかずに要点だけを早口に説明した

      「それで ジニョンは? どうなんだ!」

      「大丈夫・・・です・・」

   ヨンジェの心もとない返事にドンヒョクは彼を睨み付けた
   テジュンが警察が到着するまで、犯人を宥め賺しながら
   時間を稼いでいると言う


エレベーターが屋上で止まるとドンヒョクはドアが開くのを
待つのももどかしく手でこじ開けるようにその四角い箱から飛び出た

屋上に続く扉を開けると柵を囲むように人だかりができていた

ドンヒョクはそれを押し分けて、群集が注目している場所へと進んだ

柵の向こうに若い上気した男に刃物を付きつけられ
男の二の腕で身体を羽交い締めにされたジニョンが見えた

その男の肩にはライフルが掛けられていた


   ジニョン!

男は今にもジニョンを屋上から突き落としかねないような
緊迫した形相をしていて、興奮状態が見て取れた

ジニョンの首に突きつけられた刃物の先に血のような色が見えた

ホテル用に綺麗に整えられていたはずのジニョンの髪は乱れ
その目は恐怖におののいていた

ジェニーがドンヒョクに気が付いて駆け寄り、震えながら彼の袖を掴んだ

その時、ジニョンが人だかりの向こうにドンヒョクを見つけて思わず叫んだ

      「ドンヒョクssi !!」

その拍子にジニョンが動き、焦った男が彼女の頬を後ろ手で叩いた
その瞬間、ドンヒョクは柵を乗り越え男に向かって走っていた

男はとっさにナイフを捨て、ライフルを構えた

ドンヒョクが男の構えたライフルの銃口を上に向けるのと
男が引き金に指を掛け発砲するのとは、ほぼ同時だった

鈍い銃声が空の上で響き渡った

ドンヒョクはライフルを男から取り上げ、それを投げ捨てると
激化のごとくその男に殴りかかっていった

彼は何度も何度も執拗にこぶしをふるい、男を叩きのめしていった
男が堪えきれず悲鳴を上げても彼のその手は休まなかった

慌てたテジュンやヨンジェが止めに入ったがそれも効果はなかった

      「ドンヒョク! 止めろ!」

      「理事! 止めてください!」

彼の怒りは一向に治まることがなく、止めに入ったテジュン達にも
その怒りがぶつけられた

怒り狂ったとしか思えないドンヒョクを誰にも止めることができなかった


      「ドンヒョクssi! 死んでしまう!」

一瞬、ジニョンの声にドンヒョクの手が止まった

      「止めて! ドンヒョクssi!」

ジニョンはドンヒョクと男の間を割って入り、ドンヒョクを前から
しっかりと抱きしめた

      「テジュンssi!早く!早く、その人を連れてって!」

テジュンが男を連れて行こうとしたが、男は既にひとりで立てるような
状態ではなかった

      「待て!」

ドンヒョクは止めるジニョンの手を振り解き、そばに落ちていたライフルを
その手に取ると銃口を男に向けて構えた

その瞬間、ドンヒョクに殴られてふさがりかけた男の目が彼に怯え
傷だらけの体が小刻みに震えているのがわかった

テジュンがとっさに男とドンヒョクの間に立ちはだかった
その銃口の先にあったのはその男ではなくテジュンだったにも係らず
ドンヒョクはそれを逸らすこともせず、彼に向かって怒号を吐いた


      「どけ!」


      「止めろ!」


ドンヒョクが男にいやテジュンに狙いを定めて、緊迫と沈黙が続いた

      「ドンヒョク!」

テジュンが怯むことなく、強く制止するように彼の名前を叫ぶと
ドンヒョクは冷たく笑って、構えたライフルをだらりと下ろした


      「・・・・・安心しろ! 弾は入ってない!」

そう言って、ドンヒョクはライフルをその場に投げ捨てた

それでもドンヒョクの怒りの目はテジュンに向けられたままだった
ドンヒョクの目にはつい数時間前まで存在していたはずの
テジュンへの敬愛の色も信頼の色さえも失せてしまっていた

      「ハン・テジュン!
       このホテルはいったい何をやってる・・・
       高級ホテルが聞いて呆れる

       この様は何だ?安全管理を怠ったな。
       
       ジニョンにもしものことが起こっていたら
       お前も・・・このソウルホテルも・・・
       絶対に許さなかった。」

ドンヒョクの冷徹な目と突き放すように投げられた冷たい言葉に
テジュンは背筋が凍る思いだった



テジュンとヨンジェが男を連れて屋上を立ち去ろうとした時やっと
警察の一団が現れた

そこにいた人だかりも、ドンヒョクに恐れにも似た目を向けながら
散り散りに消えていった

ジェニーはドンヒョクに駆け寄ろうとしたが、それをテジュンが
目で行くな、と阻んだ
ジェニーは心配げに兄を見やりながらも、テジュンの言いつけをきいた



いつの間にか、風が冷たくなってしまっていた屋上に残されたのは
ドンヒョクとジニョンのふたりだけだった

ジニョンは自分の口から出すべき彼への言葉とその時を
懸命に探してた

      「ドンヒョクssi・・・・」

彼女があれからまだ身動きすらしない彼の腕にやっと触れた

      「君も君だ!」

その時彼は振り向きざまに彼女に向かって怒号を浴びせた

      「奴が銃を持っているとわかってて
       何故ひとりで声を掛けたりする!」

彼女の手首を掴んだ彼の手に強い力が入り、彼女に食い込んだ

   ・・・・痛い!・・・・

      「どうして、何も考えないんだ!
       世の中 君の思っている人間ばかりじゃないんだぞ!」

彼女を怒鳴りながら、彼の目には涙が溢れていた
そして彼女の手を掴んだまま、彼は堪えきれずに横を向き唇を噛んだ

   「ごめんなさい・・ドンヒョクssi・・・
    ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

ジニョンはどうすることも出来ず、何度もドンヒョクに謝りながら
彼の怒りと悲しみが納まるまで、彼が震えながら握っている
自分の手を彼にそのまま預けていた




ドンヒョクがホテルの医務室で手の治療を受け終わる頃
そこにテジュンが入って来た

テジュンが人払いをして、二人だけになると、気まずい空気がそこに流れた

先刻、図らずも敵意を剥き出しにしてしまったらしいテジュンに対して
ドンヒョクは言葉が無かった

しばらくふたりは無言のまま向き合い座っていた


      「少しは落ち着いたか・・・」

テジュンが先に口を開いた


      「申し訳ありませんでした・・・」

ドンヒョクがポツリと呟くように言った

      「全くだな・・・・」

テジュンは少し呆れた、と言うように溜息をついた

      「ジニョンは?」

ジニョンに医務室に連れて来られた後、彼女が呼ばれて
ここを出て行ってしまって既に10分は経過していた

      「警察で事情を聞かれてる  
       あの男は重傷だそうだ
       お前もこれから行かなきゃならない
       過剰防衛だと言われても文句言えないぞ」

      「わかってます・・・」

ドンヒョクは静かに言った

      「わかってないだろ!もしあのまま・・・
       それにあの銃が人に向かって発砲されてみろ!
       犠牲者も出たぞ!
       ジニョンのためだとはいえ
       お前がそんなことをしてみろ
       ジニョンはどうなる!
       あいつが一番悲しむんだ
       そんなこともわからないのか!」

今まで静かに話していたテジュンが激高したようにドンヒョクに怒鳴った

      「・・・・・・・」

ドンヒョクはその彼の怒りを甘んじて受けるように俯いていた

      「少しは反省するんだな」

      「ホテルに・・・迷惑かからないですか・・・」

      「それは俺が何とかする」

      「テジュンssi・・・・顔のその傷・・・僕が?・・・」

テジュンの頬についたあざを見てドンヒョクは顔をしかめて言った

      「・・・・・・・」

テジュンはそれには答えず黙っていたが、ドンヒョクはそれだけで
納得したように苦く笑った

      「・・・・・・・・テジュンssi・・・」

ドンヒョクは次第に込み上げるものを堪えるように
上を向いて話し始めた

      「笑わないで聞いてもらえますか・・・

       僕はいつも・・・
       愛する者が自分から遠ざかる
       そんな恐怖に怯えている・・・

       心の何処かで・・・恐れてる

       今までは・・そんなこと・・・どうでもよかった
       愛する者なんて・・誰一人いなかったんですから

       でも・・・今は・・・

       僕は・・・
       ジニョンにもしものことが遭ったら
       本当に生きていけないんです・・・

       さっき僕は、周りのものが何も見えていなかった
       何も考えられなかった・・・

       自分の心がコントロールできなかった

       見えていたのは
       ジニョンを羽交い締めにしたあの男と
       怯えて震える目をしたジニョンだけ

       あの時、あいつがジニョンを・・・
       その瞬間僕の頭の中が真っ白になった

       自分があの後、何をしたのか
       まったく覚えていないんです・・・

       奴に何をしたのか・・・

       あなたに・・・何をしたのか・・・

       でも・・・
       この手の傷がそれを教えてくれた・・・」

そう言ってドンヒョクは自分の酷く傷ついた手を眺めた
しばらくそれを見つめたまま沈黙していたドンヒョクは
テジュンの方へゆっくりと顔を上げた

その顔には哀れなほどの悲愴が浮かんでいた


       「・・・テジュンssi・・・

        教えてください・・・僕は・・・
 
        僕は・・・狂っているんだろうか・・・」


ドンヒョクの頬を一筋の涙が・・・


     助けてくれと・・・



        ・・・伝って落ちた・・・



























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kurumi☆
なり過ぎていた嫌いがあって、それは私の中のドンヒョクの口調ではないな、と今回改めました・・・この辺ではまだテジュンに対しては敬語を使っていただろうな、と思い直したからです^^ 2008/09/07 20:51
kurumi☆
「テジュンssi・・・僕は狂っているんだろうか・・・」この台詞をドンヒョクに言わせたくて、この回を書きました・・・改訂前テジュンssiとの会話で、ドンヒョクの口調が少し、テジュンssiに対して対等に 2008/09/07 20:48
4ジュナ
我を忘れてしまうなんて・・・あぁ、きっと今夜は眠れないなぁ。まだ昼間だけどずっと尾を引いちゃうタイプなので。暫くの間、夜枕を濡らしそう・・・(T_T) 2008/09/03 15:16
4ジュナ
もうこの先のお話が浮かんできちゃって・・・ドンヒョクが切ない・・・辛い・・・(T_T)自分の掌から幸せが零れ落ちてしまうんじゃないかと、ずっと不安に苛まれていたのよね・・・あの冷静なドンヒョクが 2008/09/03 15:15
ナタデココ
テジュンssi公的機関、マスコミ対応など、ホローお願いしますね。ジニョンそっとドンヒョクの側に寄り添っていてください。貴女のキラキラした瞳で、見つめてあげてくださいね。きっと落ち着きますよドンヒョクは 2008/09/03 15:09
ナタデココ
【↓はココ】そんな~結婚式3日前なら尚の事、婚約者ジニョンを助けねばと思うの行動は警察には理解されないのかな?しかしソウルホテルの理事という立場が何かまずい事を生じるのでしょうか? 2008/09/03 15:02

ジニョンは人質になる事件・・・ドンヒョクはジニョンを救出する事以外考えられなかった・・思いが強すぎて犯人が重傷に・・ジニョンを失ったら生きていけないドンヒョクの行動は理解できる・・・過剰防衛になりうる 2008/09/03 14:48
Lusieta
このまま過去旅に行きたいのを我慢してるよ。だから早くおねがいしますm(_ _)m tomさん、ライフルが・・・。薔薇を打ち抜いて壊してしまいそうで、ドンヒョクが切ないです。 2008/09/03 07:39
Lusieta
誰かを愛すると、それまで知らなかった自分の新たな面を知る。そういうことってあるけど、でもほんとにこれは耐えられないくらいの衝撃。去るしかないという決断もうなずけます。・・・って、もう先の話しててごめん 2008/09/03 07:37
Lusieta
ちゃんと読んだよ。苦しくても。なんて痛々しいんだろう。自分自身が覚えていないから、だから自分自身におののいてドンヒョクは去ったんだね。 2008/09/03 07:35
 
 

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