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D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 14 HIT数 1694
日付 2010/02/11 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 14.ドンヒョクのカード
本文
 



            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi






ドンヒョクは考えていた

アメリカに発つまでに、何とかヤンと互角に戦える切り札が欲しい

しかし実際には、手元にそのカードが一枚も無かった

「レオ・・・・どうだ」

「ボス、ダメだ・・・こっちにボスに手を貸す人間は誰もいない。
 ボスがくれたリストの人間、全員当ってみたがな・・
 全てヤンの手の内に落ちていた
 まるで、業界対ボス・・・そんな図式だ
 ヤン氏という男、侮れないぞ・・ボスが考えることがよくわかっている
 そっちに行くまでに、お前が考えそうなこと全て先回りして、手を打った。
 そんなところだな
 このままでは、俺達は破滅だ・・・・どうする・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「ボス」 ドンヒョクの長い沈黙に痺れを切らしたように声を上げた

「黙ってろ!・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「レオ、もう一度確認する・・・DAのヤンの持ち株が16、
 アナベルが5、会社で20、ヤンの義弟のビル・スミスが10
 それで間違い無いな。」

「間違い無い」

「何とか市場に出回ってる株を27集めろ」

「株主の殆どが、ヤンの息が掛かってる人間だぞ
 そう簡単に手放すだろうか・・・」

「相場より高く買うと言え・・・30まで上乗せしてもいい」

「30?そんなに?・・それじゃ資金が・・・」

「僕の資産を全て処分しろ・・・ジニョン名義も抵当に入れて・・・
 それで何とか用意できるはず」

「しかし、27とすると、相当な額だ・・・そこまでして、勝ち目があるのか?
 ボスの持ち株合わせても32・・向こうは51だぞ・・・
 損をしてまで手に入れる意味がどこに・・・」

「集めたら、全てスミスに売る」 

「・・・・・な、何を言ってるんだ・・
 そんなことしたら向こうの思う壺じゃないか?・・・
 ボス、お前・・・まさか・・・」 
ドンヒョクの衝撃的な言葉に、一度は声を詰まらせたレオが
次第に彼の考えに思い当たって、息を呑んだ

「その、まさかだ」

「ビル・スミスにヤンをつぶさせる・・・そういうことか
 しかし、そんなこと、できるのか・・・
 いくら義理とはいえ、兄弟だぞ」

「ビル・スミス・・・あの男はヤンの権力を欲しいはず
 ずっと狙っていたと、僕は踏んでる・・・
 ヤンが僕に後を継がせようと画策しているとわかったら
 奴はどう思う?穏やかではいられないだろう・・・
 しかし、もともとビル・スミスは穏やかな人間、今まで
 ヤンに協力してここまできたのも事実だ
 こちらの話に乗ってくるか・・・これは賭けだ・・・
 スミスとは、僕が直接交渉する・・・まずはレオ、株を・・・」

「ボス・・・もし、スミスが買わないと言ったら?」

「当然、僕の負けだ」

「その時はどうする?ボス・・・」
決して負けを知らない男に、レオは敢えてそれを聞いた

「その時?・・・・レオ・・・・その時は、ジニョンと逃げてもいいか?」
ドンヒョクはまるでそれが本気であるかのように、しんみりと言った
それは成さぬとも彼の真実の声なのだとレオにはわかっていた
「・・・・・・・・・」 本当は、“そうしろ”と彼に言ってやりたかった

「心配するな。何としても、買わせる・・・・例え、言い値であっても・・・」

「わかった・・・俺はとにかく、27揃える・・・資金も俺のも使ってくれ」

「レオ、それはダメだ」

「何言ってる・・お前だけじゃない・・俺達の運命も掛かってるんだ
 俺の資産も使い果たしたっていい」

「いや、僕さえヤンの手の内に入れば、お前達は安全なんだ
 事実僕は自分の欲のためにお前達を危険にさらしてる
 ・・・・・しかし、レオ・・・許してくれ・・・
 僕はもう、ジニョンを手放せない・・・」

「ボス、忘れるな・・俺だってジニョンssiと同じ、お前のパートナーだ・・・
 俺も、その務めを果たすだけだ・・・」

「レオ・・・」

「猶予は二日間だな・・・」

「ああ・・・頼む」

 

 

「ジニョン!」

「お父さん!・・・・どうしたの?」

「出張でこっちまで来たんだ
 これから、ドンヒョクと一杯やろうかと思ってな・・・
 奴に電話したら、6時に終わると・・・カサブランカで待ち合わせだ
 お前の仕事ぶり見たくなって寄ってみた・・・邪魔だったかな」

「そう・・・私ももう少しで終わりなのよ
 カサブランカじゃなく、家で飲みましょうよ・・・
 ジェニーも今日家に来るし、彼女の料理最高よ」

「お前は?・・・相変わらずか?
 ドンヒョクに顔向けできないな」

「オモ、ドンヒョクssiは、そんなこと何にも言わないわ
 君と食べられれば、なんだって美味しい・・・
 そう言ってくれる・・・」 ジニョンは得意げに顎を上げて見せた

「お前ね、セヨンが聞いたら嘆くぞ。どうして母さんに
 似なかったんだろうな・・・料理上手なとこ・・・」

「余計なお世話・・・オンマが上手過ぎて、私が出る幕無かったからよ
 オンマがまた、文句言ったら言っといて・・・オンマのせいだって!」

「ハハハ・・言っておこう・・
 ところでジニョン、もうすぐだったら・・待ってるぞ?」

「ううん、VIPのお客様のところにちょっと寄ってくるから・・
 明日から二日間私、休暇取ってるから、ご挨拶に・・・
 少し時間掛かると思う・・・先に帰ってて・・・
 あ、そうそう・・・その方の昔のお知り合いに、ソ・ジニョンさんって
 いう方がいらっしゃるんですって・・29年前に亡くなったって・・・
 叔母さんかと思っちゃたけど、違ったみたい・・・
 私の名前って、どこにでもある名前なのね」

「へー・・何ていう人だ?」

「ヤン・ユソク氏って、おっしゃるのよ」

「ヤン・ユソク?」

「知ってるの?お父さん・・」

「いや、知らない」

「そうよね、接点無いもの・・・じゃ、お父さん、後でね」

「ジニョン!」

「何?」

「いや・・・早く帰っておいで・・・」

「ええ」 父は笑ってジニョンを見送ったが、彼女が見えなくなると
彼のその笑顔が瞬時に曇った

 

 


アナベルが、書類を持ってドンヒョクの部屋に入ってきた

「ボス・・・先日の案件資料こちらに、置いておきます
 後で、目を通して頂けませんでしょうか・・・」

「ああ」

ドンヒョクはアナベルの顔を見ないまま返事をした
しかし、アナベルは部屋を出ようとしなかった

「もう、用はない」 ドンヒョクが冷たく言った

「ボス・・・怒ってらっしゃるのね
 ・・・父と会われたんですね・・・」

「ああ・・・僕と君はどうやら、結婚するらしい。」 
ドンヒョクは皮肉を込めて、アナベルを下から睨み上げた

アナベルは、ドンヒョクの厳しい目に、思わず涙が込み上げた
アナベルに昨日のあの気丈さは、微塵も見られなかった

「フランク・・・・どうか・・・許してください・・・
 愛してます・・・あなたを・・・心から・・・だから・・
 どうか・・・私をそんな目で見ないで・・・・」
アナベルは涙を堪えながら、やっとの思いで言葉を繋げた

「アナ・・・君はとってもいい子だ・・・・それはよくわかってる
 しかし・・このまま、君の父上の言う通り、君と結婚したとして
 心が君にない僕がそばにいて、君は幸せだろうか・・・」

「きっと・・・あなたに愛されるように・・・私・・・」

「愛は努力して得られるものではない・・愛は・・・
 自分達の意に反しても・・・どんな状況、境遇にあっても
 必ず引き合うものだ・・・僕はジニョンとそうして引き合った。
 例え、君といても、僕は一生ジニョンを想って生きることになる
 それでも、君は幸せか?」

「・・・・・・・・ジニョンssiと、私・・・どこが違うのでしょう」

「どこが違う?・・・それは・・君がジニョンじゃないということだけだ」
アナベルを見るドンヒョクの目は終始厳しく、言葉も淡々と冷たかった
「・・・・・・」

「このまま君と事実上結婚することになったとしても
 ジニョンがそれを許すなら・・・
 僕は生涯身体も心もジニョンの元にいたい
 君達は・・・君と父上はそんな僕達を引き離そうとしてるんだ
 そんなエゴが許されるのか」

「・・・・・」

「アナベル・・・もう、仕事が済んだのなら、帰りなさい」

「はい・・・・・・ボ・・ス・・・」

アナベルは涙を自分で拭ってドンヒョクに一礼すると、部屋を出ていった

 

部屋を出るアナベルを見送ると、ドンヒョクは窓の外に視線を移した

   

   あの子が悪いわけじゃない・・・

   闘わなければならないのもあの子じゃない
     

     ・・・わかってるさ・・・ 






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hiro305
3話を一気に読んで、切なさ、苦しさが迫ります。レオとのやり取りもアナベルとのやり取りも頭の中でははっきり映像化!あぁ、このお話でホテリアⅡを作って欲しい! 2010/02/12 01:00
koparu♪
kurumiさん・・ますますパワーアップしてるv(≧∀≦)v 脳内映像として 物語Ⅱが観ることができてるわ・た・し(〃∇〃人)゚.:。+ 2010/02/11 23:38
mari181818
kurumiさ~ん、アナベルとのやりとり、歯切れいいです(*^^)v 2010/02/11 23:22
 
 

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