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IZM CLUB 
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D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 21 HIT数 1575
日付 2010/02/25 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 21.一途な愛
本文


 

 




            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi









   ドンヒョクssi・・・

   アナベルがあなたを想う気持ち

   私には痛いほど・・・伝わってくるの・・・

   だってね
   私も同じだもの・・・
   私も・・・泣きたいくらいにあなたを愛している

   ねぇ、あの子は今もまだ・・泣いているかしら
   泣き疲れて・・震えてないかしら・・・

   でも私にはどうしてあげることもできないのね

   今は声を掛けることさえできない

   あの子を助けてあげられるのはきっと・・・
   あなただけね、ドンヒョクssi

   ドンヒョクssi・・・
   あの子を助けてあげて

   大丈夫
   私にはあなたがいるもの

   私はあなたを信じてる

   こうしてあなたの腕の中に埋もれて・・・

   眠ることさえできるなら・・・

   どんなことにも耐えられるわ

 

「ジニョン・・・」

「ん?」

「愛してる・・・」 ドンヒョクがそう言って、ジニョンの額に唇を付けた

「知ってるわ・・・」 ジニョンはそう言いながら、彼の首にまとわりついた

「それ・・・さっき僕が使った。」 彼もまた彼女にまとわりつくように抱きしめた

「フフ・・・いいでしょ・・・真似たって」 ジニョンはそう言いながら愉快に笑った

ドンヒョクも声を立てて笑いながら、彼女を抱きしめた腕に力を込めた
そして急に彼女を自分から剥がすように体を離すと、姿勢を正し
改まって言った 「ジニョンssi・・お願いがあります」

「何でしょう」 ジニョンもまた彼を真似て姿勢を正して答えた

「僕と一緒にお風呂に入って下さい」

「お風呂?」

「ああ、あの時以来、一緒に入ったこと無かったなと思って」
あの日、別荘でジニョンに抱かれていた心地良さをドンヒョクは思い出していた

「そうだったかしら・・・そうね。いいわ。」

「本当?やった!」 ドンヒョクは目を大きく見開いて歓喜し、両手を挙げた

「あなたって・・子供みたい。仕事の時とギャップ有り過ぎ。」
ジニョンは少しだけ口を尖らせた

「はは・・君の前だけはいいじゃない」

ドンヒョクは本当に子供のようなくしゃくしゃの笑顔をジニョンに向けて
そそくさとバスルームへと向かった

しばらくして、ドンヒョクが浴室から声を張り上げてジニョンを呼んだ


バスルームにはあの時と同じように、美しくアロマキャンドルが焚かれ
湯船がオレンジ色に揺れていた

湯船の中でドンヒョクはそれが至極当然であるかのように、
ジニョンの肌に体を寄せると、その胸に顔を埋め目を閉じた

「ドンヒョクssi、髪の毛が・・・くすぐったいわ・・・」

「君が本当に僕を愛してるって言ってるか
 たまに確認しないとね・・・」

「知ってるんじゃなかったの?」

「シー・・・うん?可笑しいな・・ちょっと聞こえないぞ」

「えっ?・・嘘よ~」

「あ・・大丈夫・・言ってる・・確かに聞こえるよ・・」 
ドンヒョクは小声でそう言って微笑んだ

ジニョンはドンヒョクの他愛無い行動に少し呆れながら、
彼の頭を優しく撫でた


   ジニョン・・今は静かにこうしていよう・・

   今は・・・何も考えず・・・こうしていよう

   何があろうと・・・

   君の温もりだけが・・・僕の確かなしるべ

   それを・・・どうか忘れないで・・・

 

 

「アナベル・・・話を聞いてくれないか・・・
 お願いだ。フランクのことは諦めてくれ・・・
 今までのこと・・・父さんのこと・・・どうか許して欲しい

 私はお前を愛している・・・
 それなのに・・・ずっとお前を苦しめていたんだね

 私はお前の為ならどんなことでもしよう・・
 しかし、力では動かない人間もいる
 彼らはそういう人達だ
 お前もこの2ヶ月、彼らと接して、わかってたんではないのかね・・・

 お前もジニョンさんのことを好きなんだろ?
 しかも・・・あの人は・・・
 アナベル、私達は・・いや私は間違っていた・・・
 ふたりの幸せを壊さないでおこう・・な、アナベル・・」

「いらないわ。」
ヤンの切々と訴える言葉の後に、アナベルはすかさずそう言い切った

「アナベル?・・・」

「何もいらない。
 私にはフランクさえいてくれればいい・・・
 お父様も・・・まして姉さんなんて・・・いらない。」

「明日帰ろう・・・アメリカへ」

「イヤよ」
ふたりは夜通し平行線を辿った

 


「ロイ・・・明日、フランクが渡米しないとなると
 私が行かないわけにはいかない・・・
 アナベルを何んとか説得しなければ・・・」

「会長・・・いえ、伯父さん・・・
 少しアナベルをここで休ませてはいけませんか?」

「ここへ?・・いや、置いていく訳にはいかない」

「僕が・・・僕が付いてます
 今無理やり連れ帰っても、あの子の気持ちが救われるとは思えません・・・
 どうかあの子に・・・少し時間を・・・」

「ロイ・・・・」

ヤンは少し考えた後、ロイに頷いた

 

 

      
アナベルと共にしばらくソウルに残ることを決めたロイは
彼女のベッドサイドに腰を下ろし、そのことを彼女に告げた
アナベルは無表情でそれに対して頷くことも言葉を発することもなかった

「アナ・・・そんなに辛いか?」

「・・・・・・」

「あの人のことがそんなに好きか?」

「・・・・・・」

「僕は六年前から、会長の指示であの人の身辺調査を始めた
 それが何の為なのか・・・十分わかってた・・・
 でもアナ・・僕はそんな仕事、本当は断りたかった・・・

 僕はアナベルを愛しています・・そう言いたかった
 僕ではいけませんか?・・・そう言いたかった
 でも言えなかった・・・

 僕にはあの人に勝てるものが何も無かったから
 会長に歯向かう・・・自信がなかったから・・・

 でもアナ・・・あの人は決して君を受け入れない・・・
 もう諦めてくれないか・・・
 僕では駄目なのか・・僕には・・・君の心を守れないか?」


「ロイ兄さん・・・ごめんなさい・・・
 ずっと私を守ってくれたのに・・・兄さんの気持ち知ってたのに・・・
 ずっと気がつかない振りをしてた・・・

 でもどうしようもなかったの・・・あの人への気持ち
 押さえられなかったの・・・

 私・・どうしていいか・・・わからない
 ねぇ、兄さん・・・助けて・・
 どうしても忘れなきゃいけないの?
 ・・・どうしたら忘れられるの?

 ずっと・・・あの人のことだけを考えて・・・
 あの人だけを愛してきたのよ・・・
 今更・・・どうしたら・・・
 ・・・ねぇ・・どうすればいいの?・・教えて・・・」
アナベルは、止め処なく流れる涙を堪えようと、口を手で覆った
しかし込み上げる嗚咽が胸を激しくせめて、果てには咳き込んだ


「アナ・・・・・」 ロイはそんなアナベルの頭を優しく撫でながらも、
彼女を自分の腕に抱き取ることさえできないことを嘆いた

 


 

「テジュンssi・・・今日暇?一杯付き合わない?」

「暇じゃないが・・・ハハ・・・いいぞ・・・カサブランカでいいか?」

「ああ、じゃあ、7時に・・・」

 

7時より少し前にドンヒョクはカサブランカに着いた

「理事、社長が少し遅れるそうです・・・
 少々、私のカクテルで、お待ち頂けませんか・・・」

「ああ・・・頼むよ・・・」 
馴染みのバーテンダーは自慢の作品をドンヒョクに味わってもらえることが
この上なく幸せであるかのように微笑んだ

丁度バーテンダー自慢のカクテルの二口目を飲もうとした時、
テジュンが現れた「よっ・・お待たせ」

「お忙しいのに・・・悪かったかな・・・」 
ドンヒョクはグラスをカウンターに戻してそう言った

「いや・・今、丁度休憩時間だ
 お前は、ジニョンの退勤時間までの暇つぶしか?」

「失礼だな、ジニョンは今日は先に帰ることになってる・・・
 ちょっと話があったんだよ・・・あなたに
 何にする?これ、美味しいよ」 ドンヒョクはグラスを上げてみせた

「じゃあ、同じもので・・・」 テジュンはバーテンダーに目配せをした
「アナベルのことか?・・・今朝ヤン様は帰国された・・・
 アナベルはロイ氏とサファイヤに残ってる
 出来れば・・連れて帰りたかったが、
 くれぐれもお前達に迷惑が掛からないように頼む、と
 俺に伝言を残された・・・」

「ああ、知ってる・・・ヤン氏から僕のところにも連絡があった
 でも、今日はそのことじゃないんだ・・・ユンヒのこと・・・」

「ユンヒ?・・・」

テジュンはドンヒョクからユンヒの名前が出たことに驚きを隠せなかった

「ユンヒ・・そろそろ、留学が終わって・・・このホテルに戻るよね」

「ああ・・・前社長とキム会長との約束だ・・うちで働いてもらうよ
 でも・・・どうして・・・お前が、ユンヒの話を?」

テジュンはドンヒョクに向かって怪訝な目を向けた

「知らなかった?アメリカに戻っていた時、僕達、結構デートしてたんだ」

「デート?」

「そんなに目くじら立てないでよ」

「目くじらなんぞ、立ててない。」 
テジュンは目の前に置かれたグラスを口元に傾けた

「キム会長の思惑通り、僕達が結ばれていれば
 あなたとしても良かったのかな」
ドンヒョクは真面目な顔を作って天を仰ぎそう言った

「何を言ってる」

「冗談だよ」

「だろうな」

「それで・・・あなたとの関係は?」

「俺と?・・ユンヒのか?・・何も無い」

「キム会長が、ユンヒとヨンジェの縁談を進めてるの知ってるよね」

「ああ」

「いいの?」

「いいも何も・・・二人が決めることだ・・・」

「ユンヒは待ってるよ・・・あなたの言葉を」

「何で、お前にそんなことがわかる」

「今でも連絡取り合ってる
 あなたより彼女とは繋がってるかもね・・・妬ける?」

「バカ言え!」

「テジュンssi・・・彼女は臆病なんだよ
 一途に愛する人を求めてる・・・それでも
 相手にどう思ってもらってるか不安で・・・
 気持ちを伝えてもそれが返って来ないと
 それ以上聞くことを恐れる・・・

 あなたに幾度となく、はぐらかされて、少し弱気になってるんだ
 妹として・・・好かれたままでいるべきか
 嫌われても・・・女としての思いをぶつけるべきか・・・」


「わかってるように言うんだな。」

「似てるから・・・彼女と僕・・・」

「似てる?」

「臆病なとこ・・・」

「お前が?臆病?」

「ああ、僕は臆病だよ・・
 ジニョンに愛されているか不安だった
 彼女が本当に愛しているのは、あなたじゃないかと不安だった
 自分の手元に得ても
 彼女を幸せに出来るか不安だった・・・

 その不安を拭い去ってくれたのは
 ジニョンの僕への真直ぐな愛だった・・・
 相手の心次第で、言葉次第で・・不安は簡単に解消される

 あなたがどう思っているのか・・・
 ユンヒを愛しているのか・・・そうじゃないのか
 ユンヒが必要なのか・・そうじゃないのか
 いい加減・・はっきりさせてやって。」
そう言ったドンヒョクの目には厳しさがこもっていた
テジュンは彼の眼差しを受けて、大きく溜息を吐いてグラスを置いた

「ユンヒがまだソウルにいて・・ここで過ごしていた時
 あの子は真直ぐに俺に向かってきた
 ずかずかと俺の気持ちなんかお構いなしにだ
 正直彼女の一途な想いに戸惑った・・・それでも
 愛しいと想った・・・好きだと想った・・・

 しかし・・・この一年余りは・・・
 ジニョンのことが心から去ってくれなかった・・・
 今・・ジニョンが本当の親友になったからと言って
 はい、次ぎはおまえ、なんて言えるか。」

ドンヒョクのユンヒを思う言葉にテジュンは正直な気持ちで答えた


「まだ・・・ジニョンのことを?」


「いや、あいつは親友・・・妹・・・そっちの方がしっくりくるな・・・
 それにユンヒも・・・
 ユンヒには年齢的にもヨンジェの方がふさわしい」


「あなたから、そんな言葉を聞くなんて思わなかったな・・・
 ふさわしいかどうかなんて・・・あなたが決めることじゃない
 彼女が決めることだ・・それは
 あなたとジニョンが僕に教えてくれたことなのに・・・」

「そうだったな・・・しかし、ヨンジェも彼女のこと本気なんだよ
 あいつは俺にとって弟のようなものだ」

「僕がこんなこと言えた義理ではないが・・・
 あなたは好きな女をみんな弟に持っていかれるの?
 僕は絶対にジニョンは返せない・・・
 しかし・・・ユンヒはまだあなたを想ってる・・・」

「・・・・・・・」

「考えてみて・・・来週には帰国するよ」

「お前の方こそ・・・アナベル、どうするんだ」
テジュンはユンヒの話を回避しようと、矛先をドンヒョクに向けた
「どうするって?」

「アナベルがここへ残っている理由・・お前だろ?」
テジュンの率直な問い掛けに、ドンヒョクは一瞬言葉を詰まらせたが
観念したように口を開いた

「・・・・アナベルとユンヒそして僕・・・似たもの同士なんだ
 正直言うと・・・あの子の一途さに心が揺れた・・・」

「お前・・・」

「大丈夫だよ・・・僕にはジニョンしかいない・・・返さないって言ったろ?
 ただ、あの子の心を救いたい・・・その気持ちがあるのも事実だ」

「ジニョンの妹だからか?」

「そうかも知れない・・・」

「そうでないかも知れない・・・」

「テジュンssi・・・」

「一途に求める心に胸が痛くなる・・・
 お前も人間らしくなったということかな」

「人間らしく?」

「ジニョンを愛して、人の心がわかるようになった・・・
 そんなとこだな・・・」

「僕のこと・・・良くわかるね・・・ヒョン」

「ああ・・・もう、ジニョンのことよりわかるかもな・・・」

ドンヒョクはテジュンの言葉に黙って微笑んだ

 



ドンヒョクはアパートに戻り、ジニョンと共に食事を済ませると
テラスの椅子に腰掛けて夜空を眺めていた

「ドンヒョクssi・・・コーヒー・・・どうぞ」 
そこへジニョンがコーヒーカップを携えて現れた

「ありがとう・・・君も座って?」 
そう言ってドンヒョクは自分の横をポンポンと叩いて見せた
ジニョンは彼の言うままにそこへと収まった

「・・それで・・・ユンヒはまだテジュンssiのことを?」

「ああ」

「そう・・・でも私、複雑・・・」

「何で!」

ドンヒョクが突然、手にしたコーヒーカップをテーブルに戻して
ジニョンを睨むように見た
ジニョンは思わず口にしかけたコーヒーを吹きそうになったが、
辛うじて難を逃れて、彼と同じようにテーブルにカップを戻した

「あ、違うの・・・ヨンジェに相談受けてたから・・・私
 このところ、キム会長もヨンジェのこと可愛がってくださってるし
 ユンヒもいつかは自分の方を向いてくれる・・・そう思ってる」

「ああ、キム会長はふたりの縁談を進めてる・・・強引だからあの人」

「それで、どうするの?」

「どうするかは、テジュンssiとユンヒが決めることだ
 僕達にはどうしようも出来ない・・・
 人の心は、そう簡単に変えられないだろ?」

「そうね・・・」

「ドンヒョクssi・・・」

「ん?」

「今日・・・アナベルに会った?」

「いや・・・会ってない・・・明日、様子を見てくるよ・・・」

「私は・・・会わない方が・・いいかしら・・」

「うん・・・まだ・・・会わない方がいい。・・そう思う」

「そう・・ね・・・」 ジニョンは俯いた

「気になる?」

「少しだけ・・・」

ジニョンはドンヒョクの肩に頭をもたれて、空を見上げた

「ドンヒョクssi・・・」

「ん?」

「星が綺麗ね・・・」

「ああ・・そうだね・・」

その時ひとつの小さな星がスーと南へと流れ落ちた
本当に見逃してしまいそうなほどの微かな流れ星だった

「見た?」 ジニョンが先にそう言った

「ん・・」

ふたりはそれだけ言うと、言葉を繋げなかった

ただ、その星にかけただろう願い事がふたり同じであることを

互いに握り合った手がそっと耳打ちしてくれた・・・


     どうか誰も・・・


        ・・・傷つきませんように・・・


   


      









  
 


 


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tomtommama
テジュンssi・・・「「一途に求める心に胸が痛くなる」鋭いところを突いてきましたね。 それにしても危険を冒してドンヒョクにジニョンのことを話したもんだね^^ 2010/03/02 21:09
tomtommama
ロイの一途さでアナベルを救ってと願う。きっとそれはジニョンの妹であり、二人が幸せであって欲しいと願うからかなぁ。身勝手でごめん^^;。 2010/03/02 21:06
tomtommama
一途に愛されていることがわかると気持ちが揺れるってわかるなぁ。。。 それに応えられるかどうかは別として ^^; 2010/03/02 21:03
tomtommama
みんながそれぞれに一途な気持ちを持って愛している。。叶うこともあればそうでないことも、困難を乗り越えた別荘での幸せな二人が思い出されて、なんとしても乗り越えて欲しいと思うの。。 2010/03/02 21:00
 
 

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