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IZM CLUB 
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D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 31 HIT数 1269
日付 2010/09/18 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 31.子守唄
本文
 



            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi






その夜、ジニョンを抱きしめたままドンヒョクは思い出せる限りの
自分の子供の頃の話を彼女に聞かせた
ジニョンは時折、笑って冗談を言いながら、彼の話に耳を傾けた

ドンヒョクは話の合間に、ジニョンの額や唇に軽くキスをして、
彼女の気を紛らわせているようだった
激しい苦痛も次第に緩やかになり、ジニョンは穏やかな
まどろみの中で美しく微笑んでいた

  ジニョン・・・

  君が、さっき、母のことを聞いたでしょ?・・・

  10歳になる少し前まで、いつも一緒にいたはずの母・・・

  あまり覚えていない・・そう言ったこと嘘じゃ無いんだよ・・・

  でも、不思議なんだ・・・君が言った、「覚えているはずよ」・・・

  そのひとことが、僕の記憶を鮮明に甦らせたみたいだ

  僕の母さん・・・本当に優しい人だった・・・

  僕は母さんに叱られた記憶が全く無いんだ・・・

  小学校に上がるまでは、毎日母にくっついていた

  母は身体が弱かったけれど、生活のために近くの保育所で
  賄いの手伝いをしていた

  僕は母が仕事している間、その保育所に預けられていたんだ

  でも、困ったことに僕は誰にもなつかない・・・

  かなりの人見知りな子供だった・・・それは今でもあまり変わらないね

  母は直ぐそこにいるのに、離れると、泣き叫んでいたのを覚えている

  困った保母さんが、僕を連れて、母の仕事場をよく覗きに行ってくれていたこと・・・

  母がいつも、そのことで保母さん達に謝っていたこと・・・

  その頃の僕が・・・走馬灯のように蘇るよ・・・

  僕はとにかく母のそばが好きだった・・・

  本当に困った子供だっただろうに、それでも、母は僕を叱らなかった

  母の仕事が終わって帰る時、迎えに来た母に、走って飛びついていた

  母はそんな僕をいつも、強く抱きしめて、

  「待たせてごめんね」そう言ってくれてたんだ

  周りには甘い親に見られていたかもしれないね・・・

  でも、こう思うんだ・・・母は自分の寿命を悟っていた

  だから・・・僕に精一杯の愛情を注いだ・・・

  だから・・・いつも優しく抱きしめてくれていた・・・

  でもね、小学校に上がる頃には、僕は母に抱きしめられることに
  少し抵抗を覚えてた

  もちろん、母は好きだったけれど・・・
  子供じゃないんだ!と強がっていたんだと思う

  そんな僕の態度を、少し寂しそうにしていたな・・・母さん

  本当は僕もいつまでも抱きしめて欲しかったのに・・・

  なんで、強がったんだろう・・・

  そのうち、ドンヒが生まれて・・・

  母はドンヒだけのものになったような気がしてた・・・

  僕がドンヒの面倒をよく見ていたのも、

  母がドンヒを抱くことにやきもち妬いたからかな・・・

  僕がドンヒを見ている間は、母は僕を見てる・・・そう思ったからかな

  もう一度、抱きしめて欲しい・・・そう思っていたのに・・・

  僕は結局、母が亡くなるまで・・・強がったままだった・・・

  小さい頃、人見知りで、母を困らせていたから・・・

  僕はもう大丈夫・・・そう言って母を安心させたかった・・・

  だから子供ながらに・・・母の役に立てる一人前の男を一生懸命演じていたのかも・・・

  本当は・・・僕もまだ・・・沢山抱きしめて欲しかったのに・・・


ジニョンはいつのまにか、夢の中だった


 「ジニョン?寝たの?・・・
  少しは楽になったかい?・・・ゆっくり、お休み・・・」

ドンヒョクは、眠っているジニョンの背中を優しくさすりなら話しを続けた・・・
ジニョンに聞かせる子守唄のように・・・


  ジニョン・・・ありがとう・・・

  君は・・・僕に思い出して欲しかったんだね・・・愛されていた記憶を・・・

  確かに存在していた愛された記憶・・・

  でも、僕がいつの間にか心に封じこめた悲しい記憶・・・

  そして、僕に知って欲しかったんだね

  君が、お腹の子供に抱く愛情・・・

  親は子を無条件に、愛するということ・・・

  僕にも、自分が愛されていたように、自分の子を愛して欲しい・・・

  そう願ったからなんだね・・・

  君のこのお腹の中で生きている・・・僕の分身・・・

  この子に僕は、上手く接することができるだろうか・・・

  母がしてくれたように・・・上手く抱きしめられるだろうか・・・

  この子はこんな僕を愛してくれるだろうか・・・

  ジニョン?・・・
  僕は今、君の体のことが少しずつ安心出来るようになって

  今度は、本当に親という役割を果たせるのか・・・

  そのことに不安を感じ始めている・・・

  母が僕にしてくれたように・・・抱きしめてあげればいいの?

  君が僕にしてくれるように・・・

  ジニョン・・・君の中の僕の分身は今・・・

  僕のこの体温も感じてくれているだろうか・・・

     愛してる・・・

  この気持ち・・・伝わっているだろうか・・・

 



 

ドンヒョクはいつまでも眠れなかった
ジニョンの体温と、彼女のお腹にいる自分の分身の確かな感触に
安らぎと、不安が入り混じった複雑な想いに・・・眠れなかった

 

結局、夜が明けるまでジニョンを抱いて添い寝をしていた

朝方になって、やっとまどろみ始めた頃、誰かの声に気がついた



「ドンヒョク・・・そろそろ起きなさい・・・」

   セヨンssi?・・・

「ごめん・・・もう少し寝かせて・・・」

「何言ってるの・・・朝の検診!・・もう直ぐ院長来るわよ」

「えっ?あっ・・・ごめんなさい・・・
 セヨンssi・・・昨日ジニョンが・・・痛みで・・・それで・・・」

「ふふ・・・いいわよ、私だけなら起こしたりしなかったわ
 あなたの子守唄で気持ちよく寝てるジニョンを、もう少し
 そっとしておきたかったけど・・」

「子守唄?」

「あなたの声が・・・子守唄なの・・この子にとっては・・
 お陰で、いつも夜中に起きる痛みも少なくて、ぐっすり眠れたみたいよ
 ほら、見て・・・まだ夢の中だわ・・・笑ってる・・・
 これからは、いつもこうして寝なさい・・・」

「いいの?」

「いいわよ・・・もうそんなに壊れ物を扱うようにしなくても・・・
 ジニョンが安心するように・・・そうしてあげて・・・」

この上ない微笑を返したドンヒョクを見て、セヨンは呆れた顔をした

「あなた・・・そんなに嬉しい?」

「はい」

「・・・・そうね、ま、いいわ
 とにかく今はベッドから降りなさい」

「はい」

ドンヒョクは素直にセヨンの言うことを聞いた

「ドンヒョク・・」

「はい」

「顔・・」

「えっ?」

セヨンは可笑しくてならなかった

ドンヒョクと出会ってやっと二年になる
今では少しは心を許しているようにも見えるとはいえ、
まだ自分達親の前では、紳士然として、礼儀正しく、
心の奥底を覗かせることは少ない
時に人を寄せ付けないようにも見えるこの男が、
愛する人を前に、無防備にその男らしい顔を崩して見せる

その優しい眼差しを向けられている張本人が我が娘である事実に
セヨンの胸には、何とも言えない幸福感が押し寄せてくるのだった

「何です?」
今度はドンヒョクが怪訝な顔でセヨンの顔を覗いた

「何でもないわ」

「可笑しな人だ」


   ・・・あなたほどじゃないわ・・・











 


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hiro305
あー嬉しいUPです^^つい続きを読みたくてあちらに行ったり・・・^^; 愛されていたことを思い出したD、ジニョンを抱きしめると同じようにお腹の赤ちゃんも愛することに、早く自信を持って欲しいですね。 2010/09/22 21:53
mari181818
kurumiさ~ん、ひさびさのUPありがとうございます。もう忘れらたのかと・・・(ぐすん)・・・  やっぱり、D&Jは私にとって永遠です。何度も何度も感動あじあわさせてもらいます。 2010/09/19 13:55
 
 

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