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IZM CLUB 
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D&Jの物語Ⅱ
創作ドンヒョクとジニョンの物語Ⅱ2005.6.25~9.15まで連載
No 35 HIT数 1090
日付 2010/10/03 ハンドルネーム kurumi☆
タイトル 物語Ⅱ 35.許しておくれ
本文


 

 




            collage & music by tomtommama

 


                                   story by kurumi






しばらくの間
ドンヒョクはジニョンの身体を覆うように抱きしめたまま動かなかった
言葉もなく、ただただ、二人は再び逢えたことの喜びをかみ締め
静かに互いの肩を濡らしていた

「・・・・・・ドンヒョクssi・・・心配かけて、ごめんなさい・・・
 私・・・帰って来たのよね・・・
 ああ、あったかい・・・夢じゃないわね・・・」
ジニョンはやっとそう言って、ドンヒョクの手に頬ずりをした

「ああ・・・夢じゃない・・僕の声・・ちゃんと聞こえるでしょ?」

「ええ・・・一番聞きたかった・・・あなたの声
 夢の中でもずっと聞いていたけど・・・やっぱりこうして、
 耳元で聞く方がずっとずっと、素敵・・・もっと、話して?」

「何を話して欲しい?」 
ドンヒョクは少しばかり気を持たせるように、彼女の顔を覗いた
ジニョンが今一番知りたいことはとっくにわかっていた

「赤ちゃんのこと・・・まず教えて?」

「心配ない、元気だよ、とっても」

「男の子?女の子?・・・どっち?」

「当ててみて・・・どっちだったと思う?」

「女の子・・・」

「当りだ!良く分かったね」

「ずっと、そう思ってたの。お腹にいる時から、そう思って語りかけてた・・・
 私の心の中でね・・・私に話しかけてくる女の子がいたの・・・
 きっと、この子が私の子・・・そう思ってた
 ドンヒョクssiはもう逢ったんでしょ?
 どうだった?あなたの分身・・・感想を教えて?」
ジニョンは目を輝かせてそう言った

「可愛いよ・・・とっても・・・
 君に似て、とても綺麗な子になるよ・・・」

「それなら、あなたに似て・・・じゃない?
 早く、逢いたいな・・・いつ逢わせてもらえる?」

「今日は駄目だって・・・明日、逢わせてあげるって、
 さっき、セヨンssiが言ってた・・・」

「明日?」 ジニョンが少し寂しそうな顔をした

「君はまだ動けないでしょ?
 それに彼女・・ちょっとだけ早くこの世に出てきちゃったからね
 まだこんなに小さいんだ・・でも安心して・・
 さっきも保育器の中で大きな声で泣いてたよ」

「そう」
ドンヒョクの言葉にジニョンはホッと安堵のため息を吐いた

「しかし、気に入らないな」
ドンヒョクが突然、唇を尖らせた

「えっ?」

「さっきから、君、子供のことしか聞かない」

「オモ!ドンヒョクssi・・・まさか、子供にまでやきもち妬く気?」

「駄目?」

ジニョンは呆れたように、それでいて嬉しそうに笑った

「ドンヒョクssi・・・お願いがあるの」

「何?」

「キスして」

「・・・・・・お願いなの?」

「ええ」

「じゃあ、仕方ないね」

ドンヒョクはわざと仕方ない、と言うように肩を上げて見せた

それでも彼のキスには愛しさと、感謝と、喜びが込められていた
優しく、ゆっくりと、唇を重ねては離し、見つめ合った
互いに互いの存在を確かめるかのような、愛しさに溢れたキス

   ジニョン・・・

   もう、僕にこんな想いをさせないで・・・

   待っている間、息が止まりそうだったよ

   こんなこと・・・これっきりにして

   わかった?・・・

 

 


翌日、ドンヒョクはジニョンを車椅子に乗せて、新生児治療室へと向かった
中へはまだ入らせてもらえなかったものの、看護師が保育器を
二人に良く見えるところまで移動してきてくれた

ガラス越しとはいえ、初めて対面する我が子に、ジニョンは
感嘆の声をあげた

「可愛い~・・・なんて、可愛いの・・・ドンヒョクssi・・・
 写真やビデオで見るよりうんと可愛い・・・」

「そうでしょ?あれはテジュンssiの腕が悪いんだ・・・
 今度は僕がちゃんと撮るよ・・・」

昨日はジニョンのためにと、テジュンがガラス越しに撮影した
赤ちゃんの映像が、ジニョンの慰めとなっていた

「そんなこと・・・フフ・・・悪いわテジュンssiに・・・
 でも・・・見て・・・小さい手・・・足も・・・こんなよ・・・」

そう言って、ジニョンが指で大きさを示した

「ちゃんと、息してるかしら?大丈夫?」

「大丈夫だよ・・・内臓疾患の心配もなさそうだって・・・」

「本当に?」

「ああ、思ったより、大きかったそうだよ・・・」

「そう・・・嬉しい・・・」

 

   私の可愛い赤ちゃん・・・

   小さくしか産んであげられなくて、ごめんね・・・

   すぐに抱っこして上げられなくて・・・ごめんね

   繋がれた管が痛々しいわ・・・

   痛くない?苦しくない?

   ごめんね・・・本当にごめんなさい・・・

   あなたを・・・こんな目に遇わせて・・・

   ママを・・・許してね


ジニョンはガラスに掌をつけて、もどかしそうにいつまでも
我が子を見つめていた


   涙が知らず知らず込み上げてくる

   胸がつぶれるほどに苦しくなる

   あなたを見ていると嬉しいはずなのに・・・

   おかしいわ・・・

 

ドンヒョクがジニョンの涙を指で拭いながら言った

「ジニョン?君の身体にも障るから、あまり長くは居られないよ・・・
 また、明日来よう・・・」


「うん・・・もう少し・・・もう少しだけ・・・」

 

 



ジニョンの手術から十日が過ぎた頃には、一日に1回だけ、
新生児治療室に入って、赤ちゃんと面会することを許されていた
例え直接抱き上げることは叶わなくとも、愛しいわが子の
小さな手や足を触わるだけでも、ジニョンは幸せを感じた

ジニョンの回復も早く、すべてが順調に進行していた
そして今日は赤ちゃんの沐浴の手伝いをさせてもらえることになった

「ドンヒョクssi・・・あなたも、抱いてみる?」

「えっ?いいよ・・・僕は・・・見てるだけで・・・」

「どうして?・・・」

「僕はその・・もう少し大きくなってから・・・」

「まさか・・・怖いの?」

「・・・・・・」

「ドンヒョクssi・・・あなた、パパなんですからね!抱いてみて・・・
 早く・・・ここに座って?・・・」

ジニョンはドンヒョクに椅子に腰掛けるよう、半ば強制的に促した

「腕を前に出して?」

「こう?」

「いい?私がそうと置くから・・・そのまま抱いてね・・・」

ジニョンは自分の腕から、ドンヒョクの腕に我が子を移動させた

「ほら・・・平気でしょ?」

「・・・軽い・・・」

「そうよ・・・まだまだ小さいんだもの・・・」

「目を開けてるよ・・・」

「あなたを見てるのよ・・・きっと・・パパを一生懸命見てる・・・」

「少し顔を近づけてもいいかな・・・」

「あまり、強く抱きしめちゃ駄目よ・・・」


ドンヒョクは自分の頬をそっと子供の頬に近づけてみた

「・・・なんて、柔らかいんだ・・・いい匂いだ・・・」

「そうでしょ?ドンヒョクssi・・・」

突然、ドンヒョクは赤ちゃんを抱いたまま、黙ってしまった

「・・・・・・」

「ドンヒョクssi・・・どうしたの?・・・」


ジニョンは彼を覗いて、ハッとして言葉を呑んだ
ドンヒョクが子供を抱いたまま、声を殺して泣いていたからだった
あまりに悲しげなドンヒョクの様子に、ジニョンはしばらく彼に
声を掛けられなかった

するとドンヒョクの消え入りそうな呟きが聞こえてきた
      

「・・・・・・・・・・ごめん・・・ごめんよ・・・あの時、君を・・・
 いらないなんて・・・いらないなんて・・・言ってしまった・・・
 ごめん・・・ごめん・・・

    僕を・・・


    ・・・許しておくれ・・・」・・・



                 

    



 


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