「ね・・・今日の料理どう?ジェニーの新作なんだけど」
「ジェニーの新作?まだ本物食べてないからな・・・
これが新作といわれれば・・・・・そうなの?って感じだけど」
ジニョンがテーブルに肘をついたまま、ぷーと頬を膨らませた
「どういう意味・・・それ」
「そのままの意味」
ジニョンはドンヒョクを睨みながら、自分も料理を口に運んだ
「美味しくない。・・・ジェニーのと違うわ・・・可笑しいわね
どこが違ったのかしら」 ジニョンの顔が一瞬にしてしょげ返った
ドンヒョクはそんなジニョンが可愛くて仕方ないというように見つめ、言った
「美味しいよ」
「うそ。」
「君と一緒に食べれば何だって美味しい」
「それって・・・褒められているように思えない」
「褒めてるわけじゃない」 ドンヒョクは笑ってそう言った
「うーーー」
「吠えるな」 そして彼は目を細めて、彼女の額を指で優しくはじいた。
「アナベル、父上はいつ頃韓国へ?」
「はい、先日電話で話した時に、少し早くなると言ってました
何でも、ボスに早くお会いしたいとか・・」
「ああ・・・仕事のことで、僕も早めにお会いしたい
決まったら教えてくれる?」
「はい、かしこまりました」
「あ、それから・・アナベル・・・昨日はありがとう・・・
ジニョンも喜んでたよ」
「いいえ・・・ボスは・・・お気に召していただけましたか?」
「ああ・・・好みだよ・・・ありがとう」
「良かった・・・」
「でもプレゼント頂くばかりだと悪いから・・お礼しないといけないね」
「本当に?私の方がお礼のつもりだったんですけど
ドンヒョクssiにそう言っていただけると・・・おねだりしたくなります」
「いいよ・・・何か欲しいものあるの?」
「欲しいものですか?今はまだいいです。帰国する時に・・・
高いものですから、覚悟しといてくださいね」
「ハハ・・・いいよ何でも・・・・帰国までに考えといて」
「はい」
ドンヒョクはふと、アナベルに初めて会った時の彼女の印象を思い出した
≪何処と無くジニョンに似ている・・・≫ そう思ったのだった
そして今改めて思っていた
≪笑った時の目元が似てるんだ・・・≫
「ジニョンssi・・・・聞いてもいいですか?」
休憩時間にオフィスでお茶を飲んでいた時、アナベルが問いかけた
その時オフィスはジニョンとアナベルふたりだけだった
「なあに?」
「ドンヒョクssiのどういうところがお好きですか?」
余りに率直な問い掛けに、ジニョンは思わず飲み物を吹き出し掛けた
「皆さんが話していました・・・おふたりの馴れ初めを・・・
凄いロマンスだったって」
ジニョンはアナベルの表情から、彼女の質問が真面目なものだと
わかったので、真剣に答えようと姿勢を正した
「ロマンス・・・ね・・・それはみんなが勝手に言ってるだけよ
私はただ・・あの人のそばにいたかっただけ・・・
いて欲しかっただけ・・」
「そばにいて欲しかった?愛する人というのは
そう願うだけで、そばにいてくれるものですか?」
突然アナベルがジニョンに食いつくようにして言った
「えっ?」
「私だって好きな人にはいつもそばにいて欲しい・・・
でも願うだけでそばにいてくれるとは思えないわ・・
好きな人にとって自分がどれほど役に立つのか
好きな人を自分がどれだけ幸せにできるのか・・・
いつもいつもその人のことを考えて・・・
その人に相応しい女になるために毎日自分を高めていく・・・
そんなこと・・・必要じゃないですか?」
アナベルの目が余りに真剣で、ジニョンは少し戸惑っていた
「アナベル?」
「あ、ごめんなさい・・・変なこといいました?私・・」
「ううん・・そんなことないわ」
「ジニョンssiはドンヒョクssiをどれくらい愛してます?」
「どれくらいって・・・言葉では言い表せるものではないわ」
「そうですよね・・・ごめんなさい
人を愛するって・・・言葉では簡単に表せませんよね・・・・」
「アナベル・・あなた・・・・好きな人がいるのね・・・
どんな方か・・・聞いてもいい?」
「ええ、います・・・・・アメリカに・・・・」
「そう・・・」
ドンヒョクssiではないのね・・・・いやだ、私・・・
変なこと考えてた・・・
「ジニョンssiのようにそばにいて欲しいと願ってるんですが
彼はまだ、いてくれそうにありません」
アナベルの遠くを見つめる目が切なかった
アナベル・・・あなた・・・まだ、幸せではないのね・・・・
ドンヒョクssi・・・・
何故か出逢った頃のあなたを見ている気がした
限りなく寂しそうで・・・愛に飢えている・・・
あなたを守ってあげたくなった・・・あの時と同じ・・・
「アナベル・・・・今度うちに来る?」
「えっ?いいんですか?」
「ええ、今度三人がお休み揃う時にでもどう?」
「はい!ジニョンssi・・・その時、もし宜しかったらですが・・
私に料理させて頂いてもいいですか?」
「えっ?」
「おふたりのために腕を振るいます・・・駄目?」
アナベルは小首をかしげて問いかけた
「ううん、駄目じゃない、嬉しいわ」
ジニョンssi・・・あなたって、本当にいい人なんですね
でも・・・私はあなたのそんなところが・・・大嫌いです
私の好きな人?・・・・アメリカになんかいません・・・・
私の愛する人?・・・・
私も・・・その人にそばにいて欲しい・・・
ずっとそう願ってました・・・
なのに神様は・・・
どうして私の願いは叶えなかったんでしょう
もっと願えば・・・叶いますか?
もっともっともっと・・・
そうしても・・・
・・・いいですか?・・・