【 koko の Valentine's Day 】 11話
すなおは母が義母であるという他にも
…?
と、不信をいだきだした。
この事に関しても、両親・祖母はすなおには
気がつかれていないと日常平静をよそおっている。
すなおも知った時には動揺し、急に京都の大学に行くと
言い出したのは、今にして思うと無関係とは否定は出来ない。
しかし、時間はかかったものの、
距離をおくことであらたにすなおの中でそれなりの関係となった。
母がどこの誰かを知るより、不器用なぐらい不器用で
何につけ祖母をたよりおろおろしながら、
一生懸命、はぐくんでくれた、母 華子に感謝するようになっていた。
だから、今さらその事を話されたとしても
まったく平気かと聞かれると少しの動揺はあるだろうが、
どうって事はないと思う。
それよりも両親や祖母から告げられる前にすなおが知っていたと
知った家族の方がショックには違いないだろう。
今まで誰もが触れないで、通り過ぎた事柄が
koko を巻き込んで、何が
あるというのか?
このまま引き下がるのか? と、
自分自身に問いかけている自分にも、いらだちを隠しきれない。
少し、強い口調で
「
そちらにはそちらの都合と言うものがあるらしいけれど、
そんな、身勝手な話しに納得しろと僕や koko に
…
とにかく僕には今、話してくれないかな~
僕も、もういい年だ。 何を聞いても …
」
意気込み、そこまで言いかけたが、痛々しい二人が前にいた。
おも苦しい空気で園田家は朝を迎えた。
それぞれが、寝つかれないままに夜があけ、
いち夜にしてやつれた顔はかくせない。
父、光太郎は朝食の後 ソファーへ席を移し、
新聞を読みながら
少し濃い目の緑茶を飲みながら2~30分を過ごすと言うのが、
ここ数十年の過ごし方だが、今朝は、食事を済ませたあと、
食卓で昨夜、光太郎が寝室へ引き上げ、
その後、すなおとの出来事を、母と妻から報告されていた。
そして、今日の加賀美家への手順の相談をかねた話がされた。
「
そろそろ時間だ。
いつの日にかとは思っていたが、こんな形できたのですね。
お母さんや華子に大変な思いをさせることになるでしょうが、
今日は、よろしくお願いします。
あちらと、くれぐれもよくご相談して、
我々の立場より若い者への配慮だけはお願いしますよ。」
そう言い残し身支度をし、6時過ぎに二人に見送られ
玄関を出かけたが、見送る二人の元に光太郎が戻って来た。
「
華子大丈夫か? お袋。 華子の事もよろしくお願いしますよ。」
思いがけない言葉で二人はうるうるおろおろしながら
光太郎の後ろ姿をいつまでも見送った。
「
あの子も大人になりましたね。 」
「 も~ お母様 光太郎さんは50なかばですよ。」
「 そうね。
あなた達もいい夫婦に
… 」
あとは言葉にならなかった。
光太郎のスリッパを片付けている華子に祖母は
「
ありがと~ 長い間。
あなたが一番大変だったわね。 ごめんなさいね。」
そうこしていると、二階からすなおがおりてきた。
いつもは半覚醒の状態でおりてきて、
引き立てのコーヒー豆でいれられたコーヒーで目を覚ます。
何度も母や、祖母から
「
なお! 時間大丈夫?
」 と声をかけられると言うのが
朝の光景だが、今日は二階からおりてきた時には、
すでに身支度を済ませて無言のまま出かけて行った。
どれだけ寝起きが悪い時でも 「
おはようございます 」 と、
いつも明るく 「 おはようございます
」 ばかりではないにしても
必ず、かかしたことがなかった。
二人は、顔を見合わせ 「 はあ~ 」 と
溜息をつき肩をおとした。
「 おかあさま … 」
「
そうね。 とにかくいそぎましょ~
このままだと家庭崩壊になるわね。
それにしても、なおったら
… こんなことはじめてね。
どれだけ急いでいても 『 いってきます。』 と声かけるのに …
」
「 おかあさまお食事いただきましょ~ 」
「 なおのコーヒーいただこかしら … 」
「
コーヒーなんて珍しいですね。 私もいただこうかしら … 」
「
やはり年寄りにはあの時間帯の食事はきつかったのかしら?
なんだかおなかすいていないの … 」
「
わたしもです。 じゃ~ 牛乳たっぷりのコーヒーで … 」
沈黙の中、二人は時間をかけミルクコーヒーを
…
「 ねえ~ 華子さん。 加賀美様のところへのお電話。
早くと言うわけにはいかないわよね。 失礼よね~
」
「 ……… 」
「
でもね。
10時というと私達もそうだけれど出かけてしまう時間でしょ~
」
長い間、華子は祖母につかえ、
こういう言い方をした時にはある程度決めている。
10時ではなく、今すぐにでもと内心決めていると
…
しかし、常識と言う文字が邪魔しているのだろうと察した。
「 そうですね。 お母様。 どちらにしても …
」
華子は、母の心中を察したが今からではまだ、7時過ぎである。
次の言葉に迷った。
母は私の次の言葉を期待し
、華子を見つめた。
華子は大きなため息をつき
胸に手をあて 心臓の波打つ音が静まるのをっまち
「
お母様。 お話させていただく事がことだけに
お時間気になさらないでいいのでは
…
きっとご理解していただけますよ。
このさいお許ししていただくと言う事で、お電話しましょ~
」
義母は、大きく2つ ・
3つうなずき、
華子からその言葉を待っていたように思えた。
コーヒーのあとにいれた緑茶を飲みほし、
「
そうね。 わたくし、お手洗いにいかせていただくわ。」
「
私は、お電話番号書き出します。」
通常なら電話番号を別の用紙に書きだすという作業はしなかった。
緊迫した空気が
…
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