【 koko の Valentine's Day 】 22話
koko
は、じろっと、 こお子をにらみつけ答えなかった。
今の koko は誰とも話したくなかった。
1分 ・
1秒でも早くひとりになりたかった。
そんな koko に、 こお子が …
「
ごめん。 ごめんやす。 愚問どしたなあ~
7年間もの長いおつき合い。 まったくということおへんわな~
」
また! こお子をにらみつけた koko が、
「
まったくおへんでした。
心配していただいているような事は、 一度も … 」
「
うそ~ うそですやろ? 清いなかということどすかあ~ 」
「 そうどす。」
「 このマンションにきはった事は?
」
「 きた事も、泊まったことも何度もあります。」
「 泊まりはったの?」
「
そうや~ もうええやろ~ 」
「 なんや? さっきからの koko ちゃん、こわおすなあ~
」
祖母八重がみかねて、 「
こお子。 もうおやめ。
多分、今頃、園田様のお宅でもすなおに話されているでしょうね。
こお子と同じように、すなおのお母様が違うと言うことも
含めて、姉、こおこがいるということ。
あなたがすなおの妹だと言う事も
…
お母さんが、 あなた達のお母さん。
直穂子であると言う事もね。
今日は、 どんなに遅くなっても京都に帰らなくてはいけまへん。
明日、おばあちゃんもおかあさんも今日、急にこんな運びに
なったさかいに、ご迷惑をおかけした方々にご挨拶に
…
こお子ちゃんだけでも、 いてもろたらいいのどすけど …
koko
ひとり残して帰るのも心配どす。
どうえ~ 一緒に帰れへんか? 」
「
私のことだったら心配しはらんでも、 よろしおす。」
「
そうかあ~ 」
直穂子が掛け時計に目をやった。
9時10分 …
「
おかあさん。 そろそろお電話。」
「
そやね~ どうします。
どうしたら、 よろしいやろなあ~
こちらに来ていただくのもねえ~
こちらから、よせていただきましょかあ~
それとも、後日と言うことに
…
そやけど、園田の志乃さん。 こお子にあいたいと
言われてましたし、私達もひと目すなおに …
とにかくお電話して来ます。」
八重は、 思いつくままに言葉を並べ、 ぶつぶついいながらkoko の寝室へ
…
koko
の寝室の電話から八重は電話を入れた。
リビングでは、直穂子がてんとう虫のチョコを手に
「
このチョコなあ~ すなおの育てのおかあ様が
送ってくださっていたのよ。
子供が安心していただけるチョコレートだからと言ってね。
ヨーロッパでは、てんとう虫は 「
幸せのシンボル 」
として
広く親しまれていると言う事もお手紙に書いてあったわ~
もう、 20年以上月日がながれたのね
…
このチョコレートを見るたびに
すなおも食べているのかな~ いつもおもっていたわ。」
おばあ様も母も何気なくちょくさんのことを、 すなお、
すなお と 呼び捨てで簡単に口にしているけれど、
私は、二人の口から、すなお と耳にするたびに、
どうしてか胸のあたりが重く、 いらだちを感じた。
チョコの事を思い浮かべた。
ちょくさんの手のひらに私がチョコをのせた時、
珍しいチョコだから、ちょくさんがしばらく
眺めていたのだと思ったが、今にしてみるとそうではなく、
他の思いに …
筒井の料亭のおじたんさんも
…
それにしても、ちょくさんはどのような思いでこの話を聞き、受け止めたのだろ~
いままでにない、ちょくさんへの思いがこみ上げてきた。
あいたい
…
しかし …
祖母が、 寝室から出てきた。
「
とにかく、 園田様のご自宅に今からよせていただきます。
koko
私達はこのままでいつでも行けます。
あんた、 着替えてきなさい。
koko
の着替えが終わり次第お邪魔させていただきますので
タクシーを呼びましょ~
あっ! そうそう
… 直穂子あちらにお電話をして道順を聞いておくれやす。
私が聞いても分かりませんさかいに 折り返し
あんたがかけ直すとお話しましたさかいに
… 」
こお子が 「 koko ちゃんが知ってはんのと違うの?」
「
行ったことあれしまへん。 私は控えさせていただきます。」
三人は、いっせいに koko を見た。
「 koko ちゃん。 行きはらへんの~ 」
koko
は、 必死で、いいわけを考えていた。
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