《 続 》 【 koko の Valentine's Day♪ …
白いページ … 】 16話
「 ねえ~ ちょく
さん。 気が変わらないうちって … 」
「 …… 」
直 は 呼子
を 見て笑みを浮かべた。
たった1日で一転した自分の行動とだぶり、 つい出た言葉だった。
「
あっ! ちょく さん! 」
車は 急ブレーキで停車した。
「 ごめんごめん。 大丈夫?
」
「
大丈夫はないでしょ~ も~ 」
赤信号で停止せずそのまま直進しかけた。
信号が変わり、 直らしくないあらい発進に
呼子 が …
「
どうしたの? 」
車線変更を繰り返しプチレースのようなあらあらしい運転に
「
ちょくさん! 」
呼子 が 見かねてあら声で 直
を たしなめた。
園田家に到着した時には、 呼子 の 顔色は 蒼白だった。
紳士的な 直
らしくないあらあらしい運転で何とか
ガレージに車を止めると、
園田家の玄関ドアをあけ、 靴は脱ぎ捨て迎えに出た
光子に
「 お話があります。 全員客間に … 」
そういったあと、 直 は すでに客間のほうに
…
呼子 が 玄関をあけ、 入ってきた。
光子 が 直
の 行動にも驚いたが、 顔面蒼白の
呼子 を みて驚きを隠せない。
「
どうしはったん。 あんた顔色がわるいよ。
そうやね。 昨日の今日やもんね~ 」
まさか、 直
の あらあらしい運転で車よいとは想定外のことだった。
呼子 はため息をついた。
「 大丈夫どすか?
それにしても何があったのどすか~?
直
どうしたん。 なんや怒っているような感じどしたけど?
客間に召集がかけられましたんどすうえ …
」
華子も直穂子も玄関フロアーに出てきてやはり
呼子 の
すぐれない顔色を気にしていた。
「
大丈夫。 お水飲んできます。」
そう言ってキッチンへはいって行った。
あとをおい、 光子
が 冷蔵庫からミネラルウォーターを出し
コップに注ぎ手渡した。
飲みほした 呼子 が 「 おおきに
… 大丈夫です。
乗り物酔いしたみたい … 」
「
乗り物酔い? なんやさっぱりわかれしませんけど、
大丈夫ということやねんねえ~ はやおしたな~ 」
そこへちょくが入ってきて、 呼子 の 手をとり、 光子 に
「 早く、 客間の方に …
」
「 はいはい。 なんやわかりまへんけど行かせてもらいます。」
要領をえない 華子 直穂子
も 光子 の あとに続いた。
直 は、 父、 光太郎 の 祭壇の前に 呼子
を 座らせ、
線香に火をつけ、 りんをならし、 手をあわせた。
呼子 も 直
を 横目で眺めながら手を合わした。
座敷テーブルの前に 直 と 呼子 が 並び、
その前に 華子 ・
直穂子 ・ 光子 が 座った。
「 どうしはったん?
直 帰ってくるなりえらい怖い顔で
…
呼子 は 顔色わるいし… 」
車よいやて~
呼子 の 車よいなんて今まできいたことないわ。
なあ~ おかあはん。」
「 えっ! 」
直 は、 光子 の 言葉に驚き 呼子
の 顔をみた。
呼子 の 顔色が悪いのに気がつき
「
少し横になる。 車よいなの? 」
呼子 は その言葉に驚いた。
「
も~ 車よいなのはないでしょ~
無事に帰れたのがおかしなぐらいよ。」
「 うわ~ すなお が 呼子
に おこられてはる。」
ちょくは、 苦笑しながら頭をかいた。
少し場は和んだ。
「
それでなんどすの? お話って …
それより
すなお。 園田のママがお風呂沸かしてくれてはります。
あんたお風呂長湯やねんて! アメリカではシャワーやろから、
ゆっくりと入らせあげたいというて
… とにかくそうしなさい。」
「 お風呂は 呼子
の マンションではいってきました。」
その言葉に前に座っていた3人に目が一斉に 呼子 をみた。
呼子
は 目をそらし、 あわてて …
「
一緒に入っていません。」
と、 手でも否定した。
「 まあまあ~ ひとりでも二人ででもよろしい
… そうどすかあ~ 」
そう言いながら 光子 が また 呼子 を ながめた。
呼子
は 目線をさげ前の3人に昨夜の出来事を
見通されたようで、 顔が紅潮した。
「 そうどすかあ~ 呼子
の マンションで … 」
光子 が 呼子 の 様子から、 いたずらっぽい言い方を …
「
どちらにしてもお茶いれてきましょ~ 」
「
お茶はいいです。 光子さん! これから僕がすべきことを
ご指示してください。 できるだけ早くすま
… 」
そこまで言いかけると …
「 直
。 お茶を入れてきます。
お茶でいっぷくして、 お話しましょ~
昨日の今日どす。
勿論することは山のようにありますよ。
とにかく、 お風呂は入ったということで、
あんた! 二階の自分のお部屋にも挨拶してきなさい。
華子ママがいつ帰ってきてもいいように
いつもきれいにしてくれてますえ~ 」
そう言いながら、 光子
が たった。
「 おかあはん と ママは 園田のパパさんの子守おねがいします。
呼子
ちゃん 手伝ってね。
すなお は 着替えてきなさい。 」
押しきられて仕方なく 直
も 席を立った。
光子 が 部屋を出かけたが振り返り、
「 すなお
。 わかってはるやろけどラフな物はあきませんよ。
色あいも抑えたものにしてね。」
そう言って部屋を出て行った。
数分でどれだけ ”
すなお。 すなお ” と呼ばれただろう。
と 直
は 思いながら、 考えてみれば10年前
はじめて園田家で出会い、 昨日、 そして今日。
これが血のつながりとでもいうのか?
いや。 光子
の 人柄だろうが不自然差はまったくない。
呼子 と 直 は 光子 の あとを
…
キッチンのドアの前でわかれ、 直
は 階段を上がっていった。
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