《 続 》 【 koko の Valentine's
Day♪ … 白いページ … 19話
】
昼食を終え、 客間でしていた作業をリビングに移した。
リビングでそれぞれが事務的作業を開始し始めるとインタフォンが
…
訪問者は葬儀業者だった。
客間で、 光子 と 直、 華子 が 応対した。
1年法要までの法要の説明と手順等の説明あり、
その後、 昨日の葬儀と一昨日のお通夜の経費の説明等々が
小1時間ほどで終わった。
その間、リビングの
直穂子 と 呼子
は、 昨夜のことなど
夢物語でもあったかのように、 話には触れる事なく、
光子 に 与えられた作業をもくもくと手順よく進めた。
しかし、 小1時間が長いものに感じていたのは間違いないだろう。
奥から
光子
と 葬儀社との話し声が聞こえた時には、
二人はお互いに気がつかれなように小さな吐息をついた。
その後、 弔問者はあったものの、
長居する事もなく、それぞれがこなす事務的な用事もはかどった。
夕食は、 やはり料亭筒井から届けられたが、
8時過ぎに最後の弔問者が帰り 9時をまわってからの夕食となった。
さすがの
光子 も、 ここ数日の疲れも出始めたのだろう
口数も少なく、1時間ぐらいで夕食を済ませ、光子の提案で
今晩は、光子 と 直穂子は
呼子 の マンションへ引き上げ
園田家には、 直 と 華子が …
直 と 華子がみなを送ったあと、 祭壇を前にお茶を
いただきながら2時間近く話こんだ。
直
は、 華子に今までの大人げない行動のわびと
長い間育ててくれた感謝と礼を述べた。
華子は、 直 が
アメリカにたったあとの園田家と加賀美家との
日々の出来事を交え、 祖母 志乃 父 光太郎も そして、
華子も
充実した日々を過ごせたと加賀美家、特に
光子 には言葉に
言い表せない華子への細かい配慮には、感謝しても感謝しきれない
と涙しながら語った。
昨夜は、 祭壇のある客間で、川の字に布団を並べ
直穂子 光子 華子と休んだが、 今日は
直 と 華子が
布団を並べ休んだ。
華子はこの状態を予期しないことだった。
このような時とはいえ10年のへだたりと、 それまでのことを考えると
直は自分の部屋で休むと思っていた。
華子が
「
すなおつかれたでしょ~
そろそろお風呂に入り部屋で休んだら … 」
と、 切りだすと 直
は
「 お母さんからお風呂にはいったら
…
僕はあとでいいよ。
それから、今日はお母さんとここで寝るよ。」
華子は耳を疑った。
華子は驚きを隠せなかった。
華子だけではない。
直も抵抗なく素直に口から出た言葉に驚いた。
「
何かすることある。 布団はどこ …? 」
まわりを片づけだし
「
掃除帰するの?
ああ~ 何がどこにあるのかわからないな~?
」
華子が掃除機を出すと直がさっさとかけ始めた。
「
簡単でいいね。」
その後、二人で布団を敷き
「 お母さん。 お風呂。 部屋にいるから …
」
直は席を立つた。
華子は直の後姿を
…
そして、並べられた布団をみながら涙が止まらなかった。
一方、 呼子
の マンションでは、 なにをおいてもまずお風呂と、
お風呂好きな 直穂子 が
お風呂に入らないですぐ休むと
着物から、 寝衣に着替えいつも使っている部屋へと引き上げた。
光子 も
すぐに入浴し、 直穂子を追うように部屋に …
呼子
は、ホットミルクを入れリビングに座っていた。
二人のこの行動は助かった。
昨夜から早朝のまで
直 と 過ごした思いが生々しく
残されていて、 今までのように二人に接触するのには
少し時間がほしかった。
ふたくち
・ みくちと温かいミルクが心地よくのどを潤し
” はあ~ ” と溜息と同時に、
携帯をバックに入れたまま
だったことに気がつき書斎兼寝室に取りにいった。
そ~っと 光子 と 直穂子 が
休んでいる隣の部屋をのぞいた。
耳を澄ますと、 二人の規則正しい寝息が聞こえた。
しばらくふたりの寝息を耳にっしながら、 スタンドの
小さな明かりの中の二人を眺めていた。
手にもった携帯が振動した。
直
からのメールだった。
* * * * * * * * * * * * * *
おやすみ
* * * * * * * * * * * * * *
ただそれだけのメールだった。
呼子 も …
* * Re * * * *
おやすみなさい
* * * * * * * * * * * * *
*
と、 返信した。
時がたっても相変わらず簡単なメールは変わりなかった。
呼子
は 直 からのメールを苦笑しながら返信したが多分、 直 も …
しばらく思いに更けていたが、 浴室に
…
光子 が 使った湯船に湯がそのままだったので、
軽くシャワーで身体を流した後、 湯船につかった。
この湯船につかるのは久しぶりだった。
つい! ひとりで生活しているとシャワーで済ませてしまう。
日が昇り始めた頃。
直 が 長く湯船に浸かった湯船に
…
呼子は身体のほてりを抑えることができなかった。
直 に 包み込まれているような錯覚も手伝って
かなり浸かっていたのだろう。
ほてりとは別に身体が冷えてきたのに気がつき
熱めのシャワーを身体に
…
でた時には日が変わっていた。
6時に目覚ましをかけ、 横になった。
なかなか寝付けないで何度も 直 からのメールを眺めた。
いつもの目覚めではなく、 懐かしいにおいと話声が
…
そうだった! と思い、 二人は疲れているだろうから、
きっと朝寝坊するだろうと 6時に目覚まし時計をあわしたが、
まだ、 目覚まし時計はなっていない?
いや! ひょっとして鳴って止めたのかと思い、
目覚まし時計に目をやった。
5時過ぎだった。
どういうこと! と思いながらキッチンへ行った。
キッチンへはいると二人は珍しくというか初めての姿かもしれない。
スポーツウエアー姿で振り返り
「
まだ寝て、 はったらいいのに~ おはようさん! 」
「 どうしたの~ こんなに早く? 」
「
そうなんよ。 ばたんきゅうで … 熟睡ですわ~
心地よく覚醒して それで、 二人しておなかがすいて …
それにしても
呼子ちゃん。
なんぼ 一人暮らしやさかいというても 冷蔵庫の中
何もなさすぎます。」
呼子
は 確かに何もなかったはずだと思った。
少しあったものを 直 と 食べてしまっていた。
牛乳は昨夜
呼子
が 飲んでしまって冷蔵庫の中は
ほとんど空の状態だ。
そしたら、 どうして~? と 思いながらまだ寝ぼけ眼で
その場に立っていた。
「
この食べ物はどうしたん? と思ってるでしょ~
その前に、 この格好の事も気になっているのでしょ~ 」
光子
は 話しながら器用に手を休めることなく次々と …
横で、 直穂子も
…
「 ここは気が楽でよろしいな~
京都ではこうはいきまへん。
起きたらまず何をおいても身支度を
…
こんなに早くお外をうろうろしていたら何を言われるやら
…
うっすら夜が明けたころ、 おかあはん と 私はめがさめて、
『 おなかすきましたな~
』
と、 意見が一致して台所にきたらほんま。 驚きました。
こんな冷蔵庫見たことあれしません。
いや~ 京都の冷蔵庫は入りすぎですけど
…
ふと思いつきました。
道路を挟んだ前のマンションの下にコンビニがあったのを
…
これ! におてますやろ~
だまってお借りしましたえ~
ほらほら。 朝のお散歩。 なんていいました?
そんなふりをして、 二人でお買い物に行ってきました。」
何にもないから朝からこんなにたくさん買ったから
コンビニの方も驚いてはりました。
呼子ちゃんまだ早いからまだ1時間ぐらいは寝てていいよ。
私たちは、 出来上がったらよばれますけど
…
そやそや。 7時45分にタクシーがお迎えに来ますさかいに … 」
呼子
は、 タクシー? と思いながら睡魔には勝てずに寝室へ
…