《 続 》 【 koko の Valentine's Day♪ … 白いページ … 20話
】
呼子 は 睡魔との闘いに勝てなく寝室に
…
光子 と 直穂子はごちそうではないが、
ひと口 ひと口を
かみしめながら少し時間をかけ、 味あった。
「
ごちそうさんでした。 おいしかった~ 」
「
ごちそう様でした。 」
お互いに顔を見合わせ口元に笑みがこぼれた。
呼子
の 食事を残し、
食卓を片づけお茶を飲みながら、 直穂子が …
「 光子
。 これでよかったんやろか~ 」
少し考え込んだ 光子 が、
「
そうどすなあ~ ようわかりまへん。
そやけど、 これだけは確かどす。
お話は、 お話で
…
今までと何にも変わりまへん。
そやそや! なあ~ おかあはん。 大きく変わったことが
あるみたいです。 あの二人
… 」
そう言って 光子 は 意味ありげに含み笑いをした。
「 なあ~ おかあはん。 あのふたり
… 」
光子 が そこまで言いかけると、
「 も~ 光子
。 なんです。 お行儀の悪い。
もう二人はええ大人どすえ~
私は、 なんや胸のつかえが、 風通しが、 ようなって
風邪ひきそうですわ。 」
そんな会話でお茶を濁していると、呼子
が …
「 おはようさん。」
「
はい。 お目覚めですかあ~
おはようさん。 おつゆあたためましょ~
お母さん ごはんいれたげてえ~ 」
「
そんな~ 自分でします。」
「 ええやないの。 さしてもらいます。」
直穂子 が ご飯を
…
光子 が 温かい白みそ仕立てのおみそ汁とお茶を入れ
呼子 の 前におきながら
…
「 もうそろそろ私たち身支度のしますけど、
呼子
ど~する?
少しゆっくりしてあとでくる。 それでもいいよ。」
呼子
は、 ひと口お茶を飲み、
「 食事済んだら、 職場に一度顔をだしてきます。
今日までしかお休みとっていないし
…
無断欠勤というわけにもいかないから。
有給休暇の手続きをしてこようと思うの。
詳しくは話すつもりはないけれど、
これからのことも教授には
… 」
「 呼子 きのうも言ったけれどお仕事もういいのと違う。
今から、 直 との時間大切にしはったら
… 」
と、 光子 が 話しかけると 直穂子が …
「
そのお話はまたあとにしなさい。
光子 。 用意しましょ~ 」
「 そうやね。 呼子ちゃん 。 ゆっくりおあがり
… 」
そう言い残し二人は席をたった。
タクシーの到着を知らせるインターフォンがなった。
二人を見送ったあと、
身支度をし 呼子 は 職場へと
…
私用ということで今日まで休みをとっていた。
職場に顔を出すと、 「
あれ! 加賀美先生今日まで
お休みではなかったのですか~? 」
職場にいた者が一斉に 呼子
を 見た。
「 おはよう~ そうよ。
もう少しお休みさせていただこうかと思っていいかしら
… 」
「 珍しいですね。 というかはじめてですね。
お休みをとられるなんて
…
いいも何も、 有給取っていただかないと私たちが取りずらくて … 」
「
おいおい! 関係なく有給どんどんとっているのはだれだ! 」
と、 元気印の同僚の声で 呼子
は 助けられた。
まだ、 教授にはどこまでどのように話そうかと迷っていた。
教授は、 講師の時代から
呼子 も 学生だった 直 の
面倒をよく見てくれた。
ある時、 話しこんでいたら偶然 直 の
父、 光太郎の
大学の卒業生だった教授が医師として挫折しかかった時に、
直
の 父に世話になったとかで、 それからますます
厚意的にいろいろ目をかけてくれた。
教授室でまっていると
「
おはよう~ 」 と 教授が入ってきた。
部屋に入る前に研究員達に 呼子
が 部屋で待っていることを
聞かされていたのだろう~。
呼子 は、 席を立ち一礼して 「
おはようございます。」
秘書がコーヒーをテーブルに置き部屋を出て行った。
「
今日は、 講義だからあまり時間がないんだ。」
「 お忙しい時間帯にすみません。」
「 どうしたの? そうそう
… ず~っと園田先生の葬儀の後
気になっていたんだけれど、 君。
葬儀の時、 どうして親族の席に …?
職場のみんなに言わせるとやっぱり噂どおり
園田君と
そういうことなの?」
と、 いつも穏やかな教授がひやかし混じりに話した。
呼子
は、 不思議そうに …
「 うわさって!? 」
「 いや~ 若い者は
直君 と 君のことは知らないが、
あんなに素敵な加賀美先生がどうしていつまでもひとりでという
回答がどこからか、 しいれたんだろ~
素敵な人とのお付き合いがあり、 ほら! 直君も医学雑誌に
…
医学雑誌に
直君 が のっている時にはこの方よと
大騒ぎになっていたよ。
そうだ! 葬儀から帰った時も写真よりも素敵と大変だったよ。」
無口な教授が珍しく多弁なのに
呼子 は 驚いた。
教授は、 呼子
が この2日ばかりで
憔悴しているのを見抜いていた。
「
さあ~ 話してごらん。
ああ~ 直君元気そうだったね。」
呼子 は、 うなずき
…
「 偶然。 直さんがアメリカにたつた頃に
わかったのですが、 加賀美家と、 園田家は両親の代かい
深い関係でした。」
勿論 その様子から教授は何かを察しただろうが、
「
そう。 世の中はせまいね。」
「 それで、今回。 直さんがアメリカを引き上げるという
話になりまして
… 」
「 そうか。 もうそろそろとは思っていたけれど
どこの大学が引き抜いたの。」
「
いえ! そういうことと関係なく … 」
「 そうなの。 じゃ~ 帰国のことは、 ごはっとということで
… 」
「
はい。 それで、 直さんも今回帰国してから 流れで
決めたものですから、 今からいろいろ準備に入る段階です。
引きあげる前にアメリカに来てほしいと
… 」
少し照れながら話した。
学生時代から二人のことはよく知っていただけに
呼子
も 抵抗なく話せた。
「 加賀美君。 退職なんてことを考えているのではないだろうね。」
教授は 呼子
の 様子から …
「 とにかく、 退職を考えているのだったらそのことは
後日相談するとして、
今まで休みもとらないで頑張ってくれたんだから、
1ヶ月ぐらいなら研修休暇ということでどうだろう。
1か月ぐらいだったら、 君のほろは私が責任もってしておくよ。
そうしなさい。」
長期休暇というのも虫がよすぎると思い 退職を考えてていた呼子は
教授からのそういう風に切り出しでありがたく思った。
「
お言葉にあまえさせていいのですかあ? 」
「
いいも何も、 若い者は平気で
長期休暇申し入れてくるじゃないか?」
呼子
は、 出生のことは話さなかったが、 少し自分自身を
見つめ直し考えたいこともあると少し話を付けくわえ
長期休暇ということで1ヶ月の休暇の手続きを済ませたあと、
仕事の申し送り等をお昼過ぎまでかかり
昼食を昼食にしては少し豪華に
呼子 が ご馳走し職場をあとにした。
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