《 続 》 【 koko の Valentine's Day♪ … 白いページ … 24話 】
時間をかけ食事を終え、 デザート & ティーは
テラスカフェの方に席を移った。
数組のカップルと 4-5人のグループが2組。
静かに会話を楽しんでいる。
店内のピアノ演奏が耳に邪魔にならない音量でテラスに流れている。
希望すれば、 このように席を移ることができる。
「 いよいよ来週49日だね。
当日というわけにはいかないだろうからいつ、帰ることにする? 」
「 あまり早く帰ってもすることもないわ。」
「 …… そうだね。」
「 1日前でいいのでは … 」
「 じゃ~ 1日前ということでチケット明日用意しておくよ。 」
こちらで生活をするようになり あっというまに 1ヶ月が過ぎた。
その間、 日本の話題はまったく交わされなかった。
直 も 休暇中の仕事の整理。
こちらの生活を引きあげる準備もあり、あわただしい日々を送っている。
その上、 どこからどのように伝わったのか、
日本の大学からの打診の応対がつけくえられ 一日があっという間に …
呼子 は 許されるのなら、 このまましばらく席をおき、
学びたいと思い出していた。
この事は 直 には話していない。
店内とは違い、 呼子 と 直 の 会話は途絶えた。
直 が、 姿勢を変え 呼子 を みつめ …
「 呼子 … 」
呼子 は、 こちらに移った時から何かを感じ取っていたのだろう
身構えて 直 の 視線に目をそらすことなくみつめた。
「 …… 」
直 は 大きくため息をつき
「 呼子 。 あれから話触れなかったけれど、 どう~ … 」
直 は、 そのあとの言葉が見当たらない。
呼子 も 直 が 言っている ” あれから ” というあれからの
あの日に引き戻された。
考えないように、 思いださないように、
ただひとつをのけては、封印してきたが、
このまま帰国するわけにはいかないだろ? と 思った。
このまま、 病気にでもなり49日は欠席できたらと
幼稚な考えも頭をよぎった。
「 もう少しワイン飲む …? 」
「 私はもうやめとくわ。 直さんは … 」
「 僕もやめとくよ。」
そんなたわいな会話から、 同時にそれぞれの名前を …
「 呼子 … 」 「 直さん … 」
こんな時は必ず 呼子 は、 直さんからと譲るのだが
今日は一息入れ、 呼子 が 話しだした。
「 直さん ありがとう。」
と、 呼子 は か細い声で少し涙ぐんでいるようにも思えた。
「 加賀美の母から話されたこと … 」
そう話し始め、 直は 呼子に 目線をやったが痛々しく
すぐに目線をそらそた。
呼子 が ” 加賀美の母 ” と 言い方にも 直は 驚いた。
今までは ” 加賀美 ” とはつけなかった。
「 あの日に加賀美の母から話されたこと。
私の中ではそのまま大きな風呂敷に包んだままという感じなの。
何も考えられなかったし、考えようとしなかったわ。
どう生まれたかということよりも、 どう生きたかということが、
大事だと 直さんに言われてそう思う事にしようと 思えば思う程 … 」
そのあとは、 涙声で聞き取りにくい。
「 大丈夫 … 」
直は 大丈夫の一言が精一杯あった。
もう、 この話はやめようと言いかけたがそうもいかない。
直が 一息入れ話しかけようとした時。
「 直さん。」
呼子 は ますます声を詰まらせた。
呼子 は、 気になるただひとつのこと。
このことだけは気になっていた。
「 生みの母は、 どうして私を加賀美の門の前に …
どんな思いで私を置いていたのかしら …?
そのことだけは気になって … 」
「 呼子 そのことなんだけれど … 」
呼子 の 顔がこわばり …
「 直さん。 何か知っているの? 」
直が 語りだした。
「 初七日の日 … 」
そこまで言いかけた 直が 腕時計に目をやった。
「 呼子。 車で帰るの無理だと思ったから、
すぐそばのホテルとっておいたんだ。
お店も閉店時間になるだろうからホテルに席を移そう。」
そう言って 直が呼子の返事を聞く前に 席を立った。
清算を済ませた 直が 席に戻ってきた。
レストランのオーナーとは、 私生活でも付き合いがあり、
車は早朝取りに来ることにした。
ホテルを出るとすぐに 呼子 は、
「 直さん。 初七日って … 初七日に何かあったの? 」
「 そのことは、 ホテルの部屋ではなそう~ 」
そう言って 直は 呼子 の 肩を …
呼子 は、 直の腕を …
直は、 レストランのオーナーのこと。
今から行くホテルのオーナーことなどを話しだした。
しかし、 呼子 には、 ほとんど耳に入っていなかった。
呼子 には 長い時間に感じたが、 数分でホテルについた。