《 続 》 【 koko の Valentine's Day♪ …
白いページ … 】 4話
直穂子は、 話を続けた。
「
安定期に入り、 光子も少しは育てやすくなってきました。
そして、 8ヶ月の検診も無事に終え、 数日後に出血と破水が
…
すぐに、 病院へ運ばれましたが、 その子は死産で
私はまた自分の殻に入り込み、 苦しい毎日でした。 」
そんな直穂子に華子がそばに行き、 冷たくなったお茶を進めた。
「
へえ~ おおきに …
ねむるのも薬をいただかないと眠れないようになっていました。
ある日の事どした。
いつものように薬を飲んでやすんだのに、
赤ちゃんの鳴き声で目が覚めました。
薬を飲んでやすむと、 夜があけてからしか目が覚めないのに
その時は、夜が開ける前にかすかに聞こえる
赤ちゃんの声でおこされたのです。
横で寝ている良樹さんを起こして、
どこかであかちゃんがないていると継げたのどす。
良樹さんは耳を澄ましてきいてくれますたけど、
きこえへんというて、 また寝ようとしはりました。
それでも私の異常な振る舞いとなおもひつこく言うもので、
いよいよおかあさんの気が変になったのかと思い、
おばあ様に連絡を
…
二人共、 聞こえないといい、 それでもお母さんは、
赤ちゃんの泣き声がするといいつづけたら、
本当に死産のショックでおかしくなったと思い、
いつも気丈なおばあ様はおろおろして、おとうさんにお医者様に
お電話をするように指示を
…
おかあさんには、 はっきりきこえてました。
声の聞こえる方にひきこまれるようにお寝巻きのまま
履物もはかないで外へ飛び出しました。
おばあ様もおとう様もお母さんが
つぶれてしもうたと思って、 力づくでお母さんを部屋に戻そうと
…
振り切って門をあけようとしていると、また二人につかまり
その時
… お母さんは唇に指をあて
「
静かにして! 耳を澄ましてきいておくれやす。」
と涙して頼みました。
すると、 二人は顔を見合わせやっと、 きこえる。
きこえると騒ぎだしたんです。
門の小門の扉を開けると、 門のすみに箱があり
…
」
呼子は、母 直穂子が何を話そうとしているか少しずつ見え
自分で自分の身体が支える事が出来ず、直にもたれかかっていた。
直も肩を抱きしめ、 時々、 呼子の顔をのぞきこんだ。
「今でもその時の事ははっきり思い出します。」
と、 話した直穂子が笑みを浮かべた。
光子がそんな直穂子に気がつき、 それでなくても直穂子の
スローテンポの話に、 いらいらしているのも手伝い、
大きな声で
…
「 おかあはん! いかげんにしておくれやす。
みんなが
… いや! 呼子がどんな気持ちで、
おかあはんの話しを聞いてきいているか … 笑うやなんて … 」
「 そやけど
… それがね~ 」
ますます、 楽しそうに直穂子は、
「
お母さんはあわてて、 箱の中のタオルに包まれた
あかちゃんを抱いて
『
おはようさん。 かわいいお子や~ もう、 大丈夫どうえ~」
と、 赤ちゃんにご挨拶をしたら、ピタッと泣きやんで笑ろうたんよ。
『
ほら~ … 』 というて、おばあ様と良樹さんに見せようとしたら、
二人はえらい怖い顔で、
『
はよ~ あんたはそのお子とおうちに入りなさい。』
二人は時代劇の泥棒さんが回りを伺うようなしぐさをしてはりました。
きょろきょろと、 あたりをみわたし、 良樹さんは箱をさげて、
お母さんは、 何がなんだかわからないままに、 二人にせかされ
息も絶え絶えに私達の寝室に入り、 おうちの中どすのに
二人はドアをしめる時にもあちらこちらをみて
… 」
また、 直穂子はさっきよりはっきり ”クスッ "
と笑った。
光子の方を見た直穂子は
「 わかってますがな~ 怖い顔でにらまんでも
…
そやけど、 その事を思い出すとおかしくて …
その日から、 いや! その時から加賀美家は生まれ変わりました。
今までとはころっと違って、活気があって、 笑い声も絶えず
…
その騒ぎで、 おきてきたおじい様も加わり
それからと言うものは怒らんときいておくれやす。
ほんまに、 おかしおす。
おかあさんとおとうさんも結婚してその結婚が
間違っていた事に気がつきはじめていました。
すでに、 お互いに限界どした。
ただ、 やさしいお父様は寝込みがちなおかあさんに
切り出す事がでけへんかったのどす。
おじい様もおばあ様も自分達が、 お店のめんつばかりを考えて
若い者に、 罪深い事をしてきたと気づき
どうにかしないとと悩んでいた矢先だったんです。
ほんまに、 あんなに真剣に一致団結して行動したのは
…
それは、 それはすごかったんどすえ~ 」
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