《 続 》 【 koko の Valentine's Day♪ … 白いページ …
】 6話
客間では、 直穂子と華子が光太郎の
遺骨の置かれた祭壇の前にすわっていた。
部屋に、 コーヒーの香りが漂った。
沈黙の中、 テーブルに運ばれてきたコーヒーを5人は口に運んだ。
「
はあ~ おいし~」
直穂子が一言。
そして、 みなを見渡した。
「 そしたら
… どこまで話しました? 」
光子が直穂子をじろっと見て …
「 みなで、 おなべで、 うぶ湯どす。
」
光子の言いまわしで、 場がなごんだ。
「
そうどした。 みなの注目を浴びながら、
おばあ様が用意した産着をきせ、
口元にてがいくと、 赤ちゃんはお口をぱくぱく
…
『 このお子 おなかがすいているのと違いますか?
あんた、 死産とはいえお産はお産どす。
あんたのお乳ふくませてやってごらん。』
と、 おばあ様に言われて、 あの時の事思い出すと
顔からひがでますわ~
みなが私の胸に注目しました。
私も、 直 や 光子 の授乳の時、 女の方の前でも
飲ませた事おへんのに、 その時は恥ずかしいという
恥じらいどころではなく、 その場で胸をあけ、
あかちゃんの口に乳房をふくませたんです。
すると、 吸いはじめたんです。
直 や 光子 の時のような強さではなかったのですが
乳房を離さなかったのどす。
4人とも顔をみあわせ驚きました。
しばらく、 様子をみていたおばあ様が、あかちゃんから乳房を
…
そして、 今でもあの痛みは覚えています。
私の乳房をつまんだりはなしたり
…
すると、 白いものがでたんです。
『 いや~ おちちや~ ほら~ 』
『
あんたいつまでもそんなことしてんと、 はよ~ … 』
そういううて、 おじい様が
…
勿論、 そんなにたくさんはでなかったと思いますが、
まだ、 あかちゃんもたくさん量はいらなかったのか
すやすや寝はじめたんです。
おばあさまが 『
直穂子。 ええか。 今日から、お餅食べなさい。
昔は、 お乳のでが悪い時にはお餅食べたら出るといわれてました。
あけてもくれてもお餅三昧でした。
またまた、 それからが大変でした。
そやけど、 えらいもんですなあ~
光子の時は、 直 のこともあったからだと思うのよ。
母乳が出なくて、 呼子の時は粉ミルク使わないで出過ぎて大変でした。
一段落したら、
私達がしている事が大きな問題に気がついたのです。
こんな時は警察に連絡しないといけないのでは話をし始めた時、
お父さんが、 走り書きした白い紙を見つけました。
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お願いです。
どうかお願いです。
この子を施設にいかせないでください。
どうか。 どうか
みなさまの手で、
幸せにしてやってください。
お願いです。
くれぐれも、くれぐれも、 そちら様の子としてお願いいたします。
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それだけが、 書かれた紙が入っていました。」
その事を話した直穂子はみなの様子をうかがいながら話を続けた。
「 とにかく、 いつもお世話になっているお医者様に
時間もご迷惑も考えないで電話をしました。
昔から病気の事だけではなく、 私生活でも
お付き合いがあった、 先生でしたのでこの方をまじえて相談を
…
今、 すぐにおひとりできていただけないかという
無理なお電話でしたが、 ただ事ではないと思われたのか、
すぐかけつけてくれました。
一部始終を話したあと、 勿論数日前、 死産の事も知っておられて
この時の、 私達のショックが大きく、 私達とその先生と
一部の方々だけが知っているだけで、
まわりの者は誰も知りませんでした。
先生がこられるまでに4人の考えはまとまっていました。
紙に書かれたいた事も左右しましたが、 数十分の出来事が
よそ事ではなく、 もう横ですやすや寝ているいるお子は
我が家の加賀美のお子でした。
その事を先生に話し、 この5人が大きな罪をおこす事になりました。
よ~く わかっていたのですよ。
犯罪だと言う事は
…
そして、 出生届をその先生にご用意していただいて、
朝一番に役所にお父さんとおばあ様が行き届けました。
名前は、 みなでいろいろ考えましたけどなかなか決まらず、
私が、 ねている赤ちゃんをだいて、
こんなに小さいのに一生懸命お母さん達を呼んでくれて
…
と、 話していたら、 お父様が、
『
そうや! この子は か細い声で私達を呼んで、
私達に幸せを呼びおこしてくれた。』
おとうさんの良樹さんが言った
" 幸せを呼びおこしてくれた "
という言葉にみなは心あたたまり、 このお子が私達を幸せに
…
そして、 しばらく沈黙のあと、 おじいさまが、
幸せを加賀美家に呼びおこしてくれたお子と言う事で
呼ぶ子と書いて 呼子(ここ) と言う事に
… 」
直穂子は 呼子 の方にむき、
「 呼子
ちゃん。 ありがと~
本当に幸せどした。
あんたにはつらいお話でしたな~
そやけど、 今の今まで、 直 や 光子 には悪いと思いますけど、
直 や光子 以上に
呼子
は、 私の子です。
あんたら、 二人がこんなに長く特別な思いであると
知った以上この事は話さんと、前に進む事がでけへんと
思たさかいに話したんよ。
そこの事は、 わかってね。
わかるよね。
ただそれだけで、 何にも今までと変わった事はあれしません。
勝手な話どすけど ええか~ 悩んだりせんとってね。
お医者先生とおじい様とおばあ様は、 もうこの世には
…
私もお父さんも話さんとこと思っていたんよ。
そやから、 今からでも遅い事おへん!
直 とやり直して、 しあわせに
…
」
直穂子は顔を覆って泣き出した。
華子と光子が直穂子のそばににいき慰めた。
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