番外編 【 koko の Valentine's Day♪ 直呼
(tyoko) 10話 】
「 おお~~ お上手 … お上手
… ゲップ出ましたね。
ええ おこやねえ~
おばちゃまの所のおねえちゃん達はよう遊んではりますけど、
ちょこちゃんは
呼子ちゃんみたいにお勉強ばかりしはりますねんやろね~
あんたもお医者様どすかあ~?
いや~ ごめんごめん。 お茶にしましょ~
そやけどもう少ししたら夕食ですな~
どうする? 早めにもう夕食にしますか?
それにしても早すぎますなあ~
やっぱり、 お茶どすなあ~
夕食を少し遅めにしましょかあ~ 」
そう言いながら華子にちょこを渡し光子はキッチンへ
…
少し遅れて呼子もキッチンへ
…
湯のみ茶碗にお湯をはりかけようとした時、 呼子が入ってきた。
光子が歩み寄り 呼子を抱きしめ
「
おかえり。」
しばらく言葉もなく呼子の背中を光子が軽く何度も
ぽんぽんとたたき、 そのあと髪の毛をなでながら
「
も~~ この子は …
連絡くれたらすぐに飛んでいきましたのに
…
大変やったね。 大丈夫やったん? 」
「 いつになったらお茶いただけますの~? 」
直穂子の声で二人は涙をぬぐいながら、光子が
「 はいはい。 ご用意させていただきます。
そうや! 呼子ちゃんのお茶のみたいわ~
いれてくれはりますかあ~ 」
「
なんどす。 帰ったそうそうに人使いのあらいこと。
むこうで待っていますさかいに … 」
「
おかあはん。 ちょっとお待ち。
そこの椅子に腰かけていなさい。」
「 なんでやの~ ちょこちゃんのそばに
… 」
そこまで言いかけ、
「
はいはい。 そうどすなあ~ そうします。」
リビングでしばらく華子と直とちょこを
…
光子のはからいだ。
呼子が湯のみ茶碗にお湯をはり、 光子が加賀美家の
和菓子を菓子器に盛り付けていると呼子が
「
ひとついただいていい。」
「 なんどす。 お行儀の悪いといいたところどすけど、
おわがり … ひとつでもふたつでも
… 」
お皿受けにのせ 竹ぐしでひと口食べ、
「
何度も夢に出てきました。
いつも食べようとすると目が覚めて… 」
「
どう~ おいしおすか~ 」
うなずくだけで、 もうひとつと立て続けに食べ た。
光子が 「
そのあとは、 みんなと一緒にたべなさい。」
そこへ華子が入ってきた。
「
気ぃつこうてくれてはるのとちがいますかあ~
何にも話すことあれしません。
気まづいさかいにはようにきてもらえますかあ~ 」
いつの頃からか
時々京都なまりで話すようになった華子が入ってきた。
「
違うんよ。 呼子がつまみぐいしてはります。
華子ママ 仏間でよばれましょか?
光太郎パパにちょこちゃん見てもらわんと
…
おかあはんもいつまでも座ってへんと
これでお仏間のテーブル拭いて用意お願いします。」
「
はいはい。 ひと使いのあらいことで
…
お部屋の方用意さしてもらいます。」
直穂子と華子がキッチンを出かけると、
「
華子ママはこれ … いつまでもここに置いておくと
呼子が食べてしまいますさかいに
… 」
と、 光子が呼子をちらっとみながら盛りつけられた
菓子器をお盆にのせ、渡した。
二人がキッチンを離れるのを確かめ
「
光子ちゃん。 大変やね。 細やかな気くばり
… 」
光子はどちらか一人に用事を頼む時には、
必ずと言っていいぐらい
もう一人に些細なことでも頼むようにしている。
呼子が感じ取った。
「
いや~ さすが 呼子ちゃん おおきに~
わかってもらえますかあ~ なんて
…
そんなことおへん。
まあまあ なんとか なかように
すごさせてもろうてます。
ほな。 用意できましたなあ~ いきましょか~ 」
仏間に入り光子が
「
いや~ おまたせ … 」
そこまでいうと 直穂子と華子が唇に人さし指をあて、
「 大きな声で
… ちょこちゃんもつかれているやろさかいに
ゆっくり寝かせてあげないと
… 」
この言い回しも何か変なようにも思う。
座布団にバスタオルを敷き、その上に寝かされ
バスタオルを掛けられていた。
「
園田家の初孫ちゃんがこんなところに寝かされて
…
すぐにお布団注文してきます。
華子ママ。 加賀美家がお世話になっている
お布団屋さんにたのんでよろしいいなあ~
そやけど今から今日中にお願できますやろか~
いや、 このさいや。 夜中までかかっても無理してもらいましょ~ 」
そう言いながら、 部屋を出ようとした時、 直穂子が
「
お待ち。 光子。 初孫ちゃんやさかいに
そんなごちゃごちゃにまぎれて、 作ったおふとんなんて
…
ず~っと使うのですえ~
日が明けて、 そうやこよみありますか~
明日はええひやろか?
ええ日にご注文して、 それからいい日に作ってもろて、
納めてもらうのも いいおひにちにしてもらわないと。」
「
え~ そうなん? そしたら私や呼子や子供たちのもそうなん。」
「 そうどす。 直のもそうしました。」
「 そうなん
… 」
華子が仏間に置いてあるふみ机の引出しから暦を出し
直穂子に手渡した。
「
ああ~ 明日は 先勝 どすな~ 午前中にご注文しなはれ。
華子さんと よ~にご相談しなはれや。 」
「
午前中にしますけど、 午後はだめですの~ 」
呼子 が 直 に
「
ちょくさん。
さっきよばれたらおいしかったわ。 いただきましょ~ 」
直
も 呼子に微笑み返し、 湯呑茶碗に手をかけた。
まったくそんなことは上の空で、光子の質問が続いた。
「
いややわ~ あんた今頃。 今まで … 」
「
すいません。 大安がいい日で、仏滅がよくない日
程度で気して生活してませんでした。」
と、 華子が申し訳そうに口を挟んだ。
「
おかあはんの支持通りに動いてました。
勿論。 大安はええおひにちというのは知ってますえ~ 」
やっと3人も冷めかけたお茶に口をつけた。
光子 が 直 と 呼子 に 目をむけ
「
いや~ 珍しいね。 直が お菓子お変わりして食べるなんて。
それにしても、 呼子 も まで
…
すなお。 呼子な~ 台所で2つも食べはったんどすえ~ 」
直穂子が 「
ええやないの~ いくつでもお食べ … 」
「
いややわ~ そんな言い方しはったら、
うちがいじわるで言うてるみたいどす。
もうすぐご飯どすし、ええ年どす。 身体にええことおへん。
呼子ちゃん。 お茶お変わりお願いね。
ほんで(それから) さっきのお話どすけど
… 」
「
詳しく話しますと中国のお話から紐とかなあきません。
あんたはせっかちで聞く耳持ち合わせないどすやろ~
簡単に話しますと、 先勝
は …
午前中は吉、 午後二時より六時までは凶」と言われてます。
ついでに、 先負もありますやろ~
先負は
… 午前中はわるく、午後はよろしい。
万事に平静であることが良いとされてて、
勝負事や急用は避けるべきとされてます。
あとは、 赤口 どすな~
赤口は、 午の刻 の 午前11時ごろから午後1時ごろまでが吉で、
それ以外は凶とされてます。
仏滅や友引は知ってはるとおりです。
京都でお商売してたらこの程度は熟知していないと 恥かきますえ~
明日はちゃんと華子さんとお菓子持って お願いしてきなさい。」
「
いや~ お電話でお願いしようとおもてました。」
「 そしたら、 かがみはお店の方に おまかせどすか? 」
「
なんでお布団やさんで鏡も注文しますの? 」
「 も~ いややわ~ あんたはんは
…
かがみというのは、 掛け布団の真ん中のシーツで
おわれていないところの名前です。
どんな字を書くかわしれまへんけど、 関西仕立てでかがみの生地。
かわいいええのをちょこちゃんに選んでやっておくれやす。」
「
いや~ ほんなら、 お店って10時開店ですやろ~
お昼まで2時間しかあれしません。
ご挨拶して、 お話そこそこですぐにあれやこれや選んでたら
いや~ どうしましょ~
開店すぐにお店に飛び込まないといけまへんな~
ということは、 ここからえらいはように出ないといけまへん。
8時には。 8時なんて高速えらい混んでますえ~ 」
最初は小声で話していたが、 光子はだんだん大きな声で話す。
直穂子が座布団で寝かされている
ちょこ を みながら、
「
ちょこちゃん。 あんた大物ですな~
座布団にねかされて、
こんなざわついた中でもおやすみできるなんて
… 」
光子が口をおさえ
「
いや~ ほんまにぃ~ ちょこちゃん すいまへん。」
小声で 光子 が …
「
華子ママ どうしますぅ~ 夕食いただいたら、 京都に帰ります。」
「
いややわ~
あんたは帰りますやけど、 華子さんはここが家でえ~」
「
も~ おかあはん! 」
インターフォンがなった。
「
いや~ もうそんな時間。 筒井さんどすわ~ 」
光子があわてて席を立った。
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