番外編 【 koko の Valentine's Day♪ 直呼 (tyoko) 最終話
】
3人は仏間に戻り、 直 が 箱を開けると 光子 が
「
いや~ かわいい … 」
ひとつひとつ手に取りかけた時、
直穂子 と 華子 が そばに
…
「 いや~ これなんなん? 直 これふくらませて … 」
呼子が、 「 ああ~ それはお風呂で使うのよ。
使いだすと結構便利で
…
少し前からベビーバスやめてお風呂に入れてるの。」
「
へえ~ ゆっくりというわけにはいかないやろけど、
ひとりで入れる時には自分も洗えるということやね。 」
そう言いながらまたごそごそと
…
「 いや~ こんなの入ってたわ。
カラフルでにぎやかやね~ 」
最後まで身の回りにあったものを詰め込んだ
箱の中身で 光子 直穂子 華子
は 目を細め楽しんだ。
その後、 結局 ちょこ は
目を覚ますことなく
大人たちはそれぞれの部屋へ引きあげた。
直 と 呼子
は 客間で用意された寝具を整え休みかけると
ちょこ が
目を覚まし、
想定内とはいえ二人は顔を見合わせ苦笑した。
鳴き声を上げることもなくご機嫌で
空腹での目覚めだったのか
強い力で
呼子 の 乳房を吸った。
横で 直 が 眺めていたがそのうち寝息が
…
呼子 も 睡魔と戦いながらの授乳だった。
ちょこ を
ふとんに寝かすとご機嫌で手足をばたばたし遊び出したが、
呼子 も
本格的に睡魔と手を結んでしまった。
一瞬爆睡した 呼子 が 手探りで ちょこ を
…
重たい瞼をうっすらあけると ちょこ の 存在がなかった。
飛び起き 「
直 さん! ちょくさん。 」
直 も
すぐに瞼を開けることができず声の聞こえる方に
ほそ目で顔を向けた。
「 どうしたの? 」
「
ちょこがいないのよ?」
「 えっ! 」
直 は
飛び起き、 まわりをきょろきょろ見渡し、
寝がいりすらひとりできない
ちょこ の 姿がない。
客間の障子は閉められたままだった。
二人は部屋を飛び出し、
とにかく
光子 の やすんでいる部屋に
行きかけると浴室の方に明かりが …
呼子 が
ノックもしないで浴室の扉を開けると浴槽に
ちょこ が 光子に抱かれ 4人が湯船に浸かっていた。
「
お目覚めですか? 」 と、 光子 が ひとこと。
園田家の浴槽は、
大人二人だとゆっくり入れるが
細身の3人とは言え、少し窮屈にも思うが、
3人にはそんなことは問題ないようだ。
大人たちもご機嫌で、 呼子
の 後ろから
遠慮がちに 直 も その様子を …
「
おふたりさんはお疲れのようやから
このあとは私たちに任せておきなはれ。」
あとで光子からの説明によると
…
光子 が、 最後にお風呂に入り 戸じまり 火の元の点検で
家の中を見回っていると
呼子達が休んでいる客間の明かりがついており、
おやすみと声をかけようと障子の外から小声で声をかけたが
応答がなかった。
疲れて電気をつけたまま休んだのだと、
その場を離れようとした時に、
中から
ちょこ の 声が聞こえた。
そ~っと障子をあけると光子が得意げに ちょこ
と
目があい?
ちょこ が にこにこ笑い、 その横で 直 と 呼子
が 熟睡。
静かに部屋に入りちょこを抱き光子が部屋へ
…
ドアを開きかけるとトイレに行こうとした華子と出会い、
そうなると 直穂子 も
仲間に入り結果お風呂に
入れてやろうということになったが、 誰が入れるか
3人は一歩もひかず、 結局 皆でいれようと話がまとまった。
光子が着替えやれいの物を部屋に取りにいった時も
直
と 呼子 は 目を覚ますこともなかった。
と
…
二人は部屋には戻らず、
キッチンで 呼子 は ミネラルウォーターを
直
は ワインを …
こうして、 ちょこ の
存在で両家の流れが大きく変わったのは
当然の事ながら、 今以上に
光子 直穂子 華子 は
元気印に拍車がかかり、
光子 の
子供達 3姉妹もいとこ同士の関係というより
4人目の姉妹とちょこ を
受け止めているようだ。
数日で部屋の片づけや、 呼子 の
一部の荷物を
マンションから園田家に運び込まれた。
直 は
大阪の大学の医学部の胸部外科の助教授として、
呼子 は
元の職場に復帰。
母乳も仕事の復帰とともに出が悪くなり、ミルクへと
…
母乳からミルクへは、 お風呂上がりに
お白湯を哺乳瓶で与えていたので特に問題はなかった。
ちょこ
の 世話は言うまでもなく 光子 直穂子 華子 の手で …
とはいえ、 やはり 光子 が
中心に事が運ばれたが、
お店の方の仕事もあり、
園田家に入り浸りというわけにはいかず、
そうなると、 ちょこ
ともども
神戸と京都を行ったり来たりで、移動する日々が続いた。
そのうち雨がふれば今日は京都で
お泊り。
直 と 呼子 が
仕事で遅くなると 光子 の
携帯に連絡を入れると、
だったらこのまま京都でお泊りということに …
最近では、
週のなか一日 と
週末 直 と 呼子 の もとへちょこ が 帰ってくると言う流れに …
喜んでいるのは
光子 の 3姉妹は勿論だが、
加賀美の父 良樹 も
床に伏せがちだったが元気になり皆を驚かせた。
良樹 は
口には出さないが、
胸の奥底では感無量で血のつながりを …
寂しさを隠しきれないのが 直
である。
しかし、 いつも 呼子 が
そばにいるという幸福感で
ごまかそうとしている自分に言い聞かせていた。
直穂子 は あまりにも
呼子 に 瓜二つの ちょこ を
いとおしく
過去の白いページを埋められた思い出すべてがなつかくし
幸せをかみしめていた。
華子
も
何不自由のない環境の中で幼少を送り成長し、
成長に伴い過ごす日々のすべてにベールが掛けられて
すっきりした日々ではなかったが、 過去の白いページを
埋められたすべての出来事にかけられたベールがどこかに
…
日々、 一点の曇りもなく心地よい今日を過ごしている。
光子 も ちょこ と 呼子
が 常に重なり、
「
今日からお姉ちゃんよ。」
と、 告げられたその言葉は今だに耳から離れず、
呼子 との 出会いは鮮明に
…
多くの大人たちに囲まれていたが、
両親 ・
祖父母も毎日仕事に追われ孤独の中で光子は
孤独だった。
呼子が
「 こおこちゃん こおこちゃん
」 と いつもそばから離れず、
大学の入学ではじめて離れての生活で、
あらためて呼子の存在感をかみしめながら寂し日々を過ごし、
満たされない日々だった。
その後、 血をわけた子供達 3人も恵まれたが、
ちょこ
は 特別な存在で、 光子 に
とっては天使ちゃん。
神様からの大きなプレゼントとして受け止めていた。
ちょこの誕生で園田家と加賀美家の因果な多くの絡み、
こだわり
すべて透明にし それぞれの白いページを塗り替えた。
白いページに綴られていく
誰もが知りえない輝かしい未来につながる今日が
…
明るい日とかく明日が …
白いページの中に …
・
・
・
・
・
《 完 》