番外編 【 koko の Valentine's Day♪ 直呼 (tyoko) 5話
】
それとも …
のあとの言葉を口にしたら、 弱気なっている
呼子が簡単に
「 うん
。 そうしょうかな~ 」
と、 返事がかえりそのままこちらに帰ってこなかったら、
いや今の 直 には 呼子
と離れて生活をするなど考えられない。
” それとも日本へ … ”
という言葉を飲み込み よそよそしく
…
「 光子さん 。 3人の出産の時はどうだったの。」
「 それが
… 直さんがアメリカに発ってから
園田のおとう様やおかあ様を含み、
みんなそれなりにいい関係で生活されていたの。
私は、 なんだか入れなくて仕事を理由に疎遠だったから
京都にも数えるほど、 それもよほどのことがない限り
…
だから、 光子ちゃんが妊娠して出産したという連絡は
電話で、 詳細はまったく把握していないの。 」
「
そ~ そうかあ~
母は、 加賀美家の皆様には感謝しても感謝しきれない。
特に光子さんにはと話してた 。 」
「
そう~ よかったわ。 会うたびに皆が活気があって
…
加賀美の母とあなたのお父様は、
私の考えすぎかもしれないけれど
少し距離を置かれていたように思えたわ。
ちょくさん 。 」
「 何? 」
「 日本に帰れって言わないでよ。」
直
は ドキッとし 戸惑いながら …
「 さっき 少し思った。」
「
も~ やっぱり! 」
呼子 は、 お腹に手あてがいながら
「 この子ね
。 ああ~ ちょくさん的には ちょこちゃん。
ちょこちゃんには両親揃ってこの小さな命を守って
…
見届けてやりたいの。
多分、 記憶には残らない部分に 私 と
ちょくさんができるだけ
かかわってやれたらと願っているのよ。
成長して、 小さい頃の話になるとどの子にも
お父さんとお母さんはね~ って
…
どう~ すてきでしょ~ 」
直 は、 少し慌てて … 驚いて …
「
ちょっと! 呼子 。 どの子にもって … 」
直は、 やや興奮し … 照れ、 顔を赤くした。
「
ちょくさん 。 どうしたの? 」
「 いや~ どの子にもなんて! 呼子は何人も産む気なの? 」
「
いや~ね~ そんなのわからないわ~ 」
呼子も 直
の 指摘で口元に手でおおった。
場がなごみ、 途中だった朝食の準備に戻った。
朝食を済ませたあと、
呼子はシャワー済ませ少し気分もすぐれたが、
今日はとりあえず直
を 見送り部屋で過ごすことにした。
「
じゃ~ いってくるよ。 行ってきます。 」
と、 直もはじめてのこのシーンに戸惑いながら
呼子
も 少しうつむき加減で
「 うん 。 行ってらっしゃい
。」
映画のワンシーン以上に絵になるふたり。
直 が 呼子 に 近づき口づけを
…
リビングに戻った 呼子
はしばらく余韻に慕っていた。
見送られ、 上の空で顔から笑みがいつまでも消えないまま
職場についた 直
。
朝は、 曇天の気持ちをどうすればいいのかなどと困惑していたが、
そんなものはどこかに飛んでいき、 顔見しりとすれ違うたびに、
「
おめでとうございます。 」 の 言葉にも酔いしれていた。
どのような時も冷静沈着な 直
。
自分でも驚いている。 まったく仕事が手につかない。
直
の クラスになると個室が与えられ、 秘書がついている。
少しは落ち着き、 いつものペースに戻りかけていた頃、
呼子
が 所属している室長が訪ねてきた。
呼子が特例で研究室所属にあたっても力を貸してくれた。
呼子の様子伺いの訪問だった。
すでに、
4人の父親の室長は経験豊富で 30分ほど語っていった。
なかなか話が終わらず心強い味方が
…
話の中で4回も妊娠初期を経験しているにもかかわらず
4人の子供 それぞれが妻の症状が違ったらしい。
ひどい子の時には、 室長自身がつわりのような症状で
5キロもやせたと話した。
しかし、 『 あれは何だったのかと思う日が一夜にしてくるよ。
神秘だよ。』
と、 いい残し部屋をあとにした。
神秘? 直
は その一言が気になりながら仕事を続けた。
部屋つきの秘書が何もなければ退社すると報告にきた。
日本と違い、
上司が仕事をしていても時間がくれば退社意思を告げに来る。
ああ~ もうそんな時間に…
「
お疲れ様
。 ありがと~ 」
と、 いつもの挨拶をし携帯のダイヤルボタンを押した。
呼び出し音が少し長めになり気になりだした時、
「
はい。 どうしたの~ 」
どうしたのはないだろ~ と 苦笑しながら …
「
何してたの~ ご飯食べた? どう~ 身体の方は
…? 」
と、 つぎつぎ 思いのままに質問した。
「 ちょくさん。 待ってよ。
順番に聞いてくれると答えやすいかな~?」
「
ああ~ ごめん! その調子だとまあまあ~ というところかな~」
「 ちょく
さん。 私ね。 ほんの少し前に悟ったの。」
「 さとったって? 」
「 ちょく
さん こうして話していてお仕事いいの~ 」
「
そうだな~ あまりいいことないかな~
秘書も今帰ったよ。 時差出勤だからもう少し働かないと
…
でもこうして電話で普通に会話するのはじめてだよね。」
「 そうだったかな~ そろそろお仕事に戻って
… じゃ~ 」
そう言って 呼子 は 携帯を切った。
直
は、 不消化状態で携帯を眺めていたが
またダイヤルボタンを押していた。
今切ったところだけら、
すぐに電話に出ると思っていたが、
着信音が続いた。
直は、 席を立ち部屋をうろうろしはじめた。
いったん切ったが、 やはり気になり、 かけ直した。
今度は数回の呼び出し音で
呼子 の 声が聞けた。
「 はい
。 どうしたの~ 」
落ちついた声で何もないかのような返答だった。
「 話が途中だったから
… 」
「 話 … ? 」
「
それにしても何してたの~
この電話の前かなり呼び出し音ならしたんだよ。」
「 私ね 。 今忙しいの 。 そうそう
… お仕事何時頃まで? 」
「
あと2時間ぐらいかな~ 何を悟ったの?
その前に、 何がいそがしいの? 」
「 今ね
。 なれない主婦というか食事の用意しているの。
だから邪魔しないでくれるかな~ 」
と、 プッンとまた切られた。
直は、 ”
主婦? 食事の用意 … 呼子が~
”
携帯を眺めながら仕事などしていられない!
とにかく飛んで帰りたい心境にかられたが、
明日10時から行われる、 次回手術患者の検討会に
必要なデーターに目を通しておきたかった。 」
スムーズに事が進んでいたが、
こんな時に限りひとつの検査の結果のデーターが抜けていた。
仕事に関しては人一倍厳しい
直
は、
担当医師に連絡を入れ 確認作業に時間がとられた。
午前中 2時間時差出勤で19時過ぎには引きあげるつもりが、
結局、 帰宅したのが午後10時前になった。