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【 I'm loving you. 追憶 】 |
【 I'm loving you. 追憶 】 は 【 I'm loving you. 】の続編です。
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No |
16 |
HIT数 |
3057 |
日付 |
2010/02/13 |
ハンドルネーム |
maako4 |
タイトル |
15話 【 I'm loving you. 追憶 】 |
本文 |
【 I'm loving you. 追憶
】 15話
先輩は床にすわり
ワインの入ったグラスを私のグラスに軽く触れひとくち飲み
箱から折り鶴を開いた千代紙を手にし
「
なんだ! これは?」
私はこの折り鶴のことはまだ話してなかったので
ワインを少しずつ流しこみながら語った。
先輩は話を聞きながら1枚また1枚と読んでいるようだ。
時々天井に向かい大きくため息を
…
確か歌にあった。
涙がこぼれないように上を向いて歩こう
…
先輩は天井を見上げ涙のおさまりを
…
私の話も終わり少し沈黙が続いた。
「
はあ~ たまらんな~
まあ~ 飲め。」
そう言いながらグラスのワインを飲みほし
空になったグラスにワインを注ぎ飲みかけたが 私を見て
「
ああ~ 」
と 私の空のグラスにもワインを …
「
よく人生はドラマだなんて言うがこんなに身近であったんだな~
で
… もう大丈夫なのか?」
私は少し苦笑いを浮かべ
「
自分でも驚いている。
大丈夫のようだ。
涙も一生分流したした。
お酒も一生分飲んだ。
少し時間はかかったが 今回の休みがいい区切りになった。
ここ数日彼女のところへ通って
まわりのみんなの思いやりをあらためて感じた。
静かに休みを過ごさせてくれている職場のみんなにも気を使わせて
長く迷惑をかけた。
言葉ひとつにも気を使わせていた。
多分 最近は少しましにはなっていたと思うが気弱に
…
時折、ピリピリしていたように思う。
先輩を訪ねてよかった。
先輩! じっと待ってくれているには少し長すぎたかな~
ごめん
…
ひょっこり現れたにもかかわらず受け止めてくれて
…
両親もなにも話していないが変わりゆく姿に心配をかけた。
しかしここまで時間が必要だった。」
私は息が苦しくなりガラス戸をあけベランダへ出た。
後ろから先輩が両手にグラスを持ち私に手渡した。
「
大変だったな~
そうだ! 時間かかり過ぎだ。
何度かこそっそりマンションの前まで
…
お前の哀れな姿何度も目にした
…
その姿に声はかけられなかった。」
先輩は肩に手をかけた。
熱いものがこみ上げてきた。
先輩は後の椅子に腰をおろした。
私は空を見上げながら
「
あの千代紙は夏休みの最後の日に彼女の前で灰にしょうと思っている。
その灰はまわりにまいてくるつもりだ。
その日には忘れな草ではなく
特別な意味があるわけでもないが真紅の薔薇の花を1本
… 」
少し声がつまった。
「
そうだ。 フラワーショップしまっていたんだろう。
明日の分は?
最後の日の事は話してあるのか?」
「
最初の日に … 明日の分はまあいいさ。」
「 じゃ~ 最後の日のバラもわからないな~」
「
……… 」
「
部屋に入るか?」
先輩は座る前にリビングを出た。
入ってきたときにはワインセラーからワインを手に
…
「 いいだろ~? さっきから狙っていたんだ!」
「
ああ そのワイン もらいものだ。
先輩に持っていこうと思っていたから … 」
「 そうだ! グラスかえよ。 お前は
… 」
返事をしなかった私のグラスはもってこなかった。
そのままの私のグラスに注ぎ 先輩は新しいグラスに注ぎ
「
ああ~ いい香りだ。
そんなに古くないがデカンタージュしようかな~
」
と 言いながら容器を取りに行った。
ワインを移し
「
おおいい色だ!
この年のぶどうは格別よかったんだ。 」
先輩はソファーに横になった。
しばらくして
「
それでノートどうする気だ!」
「 そうだな~」
「
さっき見ないと即答した時 何か考えはあるのだろ~?」
「
……… 」
先輩は起き上がり
「 お前
… 僕と同じこと考えているかもなあ~
ノート彼女のもとへと思っていないか?
… とすると方法は …
」
私はできればそうしたいと思っていたので驚いた。
「
その顔を見ると図星だな~ 方法はありそうか?
と するとだな~
祖父母に連絡をしてこちらの意図を説明し了解してもらうか?
それとも祖父母抜きで今通っている墓地の責任者に相談するか?
結果を住職から話してもら
… 」
そこまで話しかけ姿勢を変えて
「
祖父母はすでにお前に一任しているから後者だな。
明日にでも相談したらどうだ。」
「
そうだな~ できるかな~ とにかくそうするよ。
墓地にきた帰り 祖父母が帰り管理室に立ち寄り
長く話し込んでいたようだから詳細は語らなくても簡単な説明でいいと思う。
そうだ! 今までまるで犯罪者か不審者扱いで
いつも見張られていたような感じだったんだ。
今日は違ったな~
前を通った時も 『
ご苦労様です。』 と 声をかけてきた。
以前よりは話しやすいかもしれないな~」
「
ノートの件は祖父母は破棄した形だしお前がいつまでももっていても…
かと言っても鶴のように灰にしてしまうというわけにはいかないだろう?
彼女もその方が落ち着くと思うぞ~」
「
そうかもしれない。」
しばらくまた沈黙が続き
「 今日は泊まる。」
「
先輩は明日仕事がある。
ふた晩 ソファーというのも …
僕のベット使って …」
「
そうか。 そうさせてもらうがもうしばらく
ここでこうしてだらだらして眠くなったら移動する。
お前もすることがあったら遠慮しないでしろよ。
たとえば台所の片付けとか? 」
と いたずららっぱく笑いながら千代紙を手にした。
「
そうだな~ 昨日のクラーボックスの中も
そのままだし明日のために清拭してくるか?
ああ~ もちろ台所の後片付けも
…」
先輩は軽く手をあげ
「
がんばれ~ 」
の ひと言で私を見送った。
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