【 I'm loving you. 追憶
】 4話
眠りにつけないまま夜明けを迎えシャワー室に
…
バスロープをはおりバスタオルで髪をふきながら
冷蔵庫の前に立つ。
ミネラルウォーターを手に取りふたをあけ
ほぼ1本近くを一気に飲み干し
クーラーボックスの中にミネラルウォーター 2本
お気に入りの缶コーヒー 2本 を 入れた。
クーラーボックスの横に 忘れな草の花束 携帯の椅子
思いついたものを詰め込んだショルダーバック
残りのミネラルウォーターを飲みほし 身支度にかかった。
ベットルームにクローゼットが併設されている。
一瞬にしてベットの上に服が散らばった。
生れてはじめてのことかもしれない。
出かける前にシャワーを済ませ
この部屋に入ると迷うことなく着替えが済む。
彼女はあまり白衣でないない私を見ていない。
私だとわかるだろうか?
白衣を一枚持ち帰ればよかったかな~
そう思いながら 久ぶりだからネクタイをして正装にした方が
…
着てみたがなんだか場違いのような
…
この恰好でクーラーボックス 携帯の椅子?
おかしい…
少し疲れベットに腰を下ろし そんな自分がおかしかった。
小腹がすきキッチンへ
…
買い置きしないのでこれといったものはなかった。
急に1週間以上泊まり込むということもあるので
帰ってきて腐ったものの処理はうんざりしたことが
多々あり最近はできるだけ買い置きには注意を払う。
コーヒーの豆をひき珈琲をたてた。
ひとくち飲み大きくため息をついた。
カップを手に持ち再びベットルームへ
…
いつもきれいに片付いている部屋が一瞬にして
スゴイことになり どちらにしても片づけた方がと
思いそれぞれを元の場所に戻した。
結局ラフなスタイルにジャケットをはおり
用意した荷物を車に積み出発した。
5分ばかり走り 大切な忘れ物をしたのに気がつき戻った。
彼女の病室に差し入れした同じCDは
車にも部屋にもダビングをしていつも聞いているが
彼女のもとで一緒に聞くにはプレイヤーがいることを思い出した。
早い時間帯だったので車はすいていた。
1時間半余りで山の中腹にあるその場所についた。
墓地の管理事務所に彼女の場所を聞いた。
完全に不審に思われているという感じが伝わってきた。
しばらく待たされ奥から衣をまとった住職が
直々にその場所まで案内してくれた。
何かを話しかけてきたようだが覚えていない。
一番奥の眺めがいい位置に5坪いやそれ以上かもしれない。
どのように説明していいか、立派な石塔が中央にあり
とにかく彼女はこの場所に
…
しばらく案内人はその場をなかなか離れようとしなかった。
私は気がついたら 手から荷物が足もとに
…
ただ呆然とその場に立っていた。
自分でも驚いたが第一声が
「
やあ~ 元気だった? 」
なんだかちんぷんかんぷんのようにも思ったがその次の言葉は
「
きたよ。 今日の日曜日から次のに日曜日まで夏休みなんだ!
ここでお泊まリは無理のようだから通ってくるよ。」
そういいながら忘れな草の花束 あ目玉の瓶を置き
白いお皿を出し
あ目玉の瓶のふたを取りお皿にあ目玉をだした。
「
どう? これでいい
…
飲み物は缶コーヒーとミネラルウォーター
どっちがいい?
どちらもあけておくから好きな方をどうぞ
…
そうだ! CD … CD
… 」
カバンから取り出しセットした。
小石が敷かれているその場にあぐらをかきすわった。
ふたを開けた缶コーヒーを手に取り飲み干し煙草に火をつけてた。
たばこの煙がいつもと違がうように思われた。
こんな時にはお線香とろうそくと思ったがそれはしたくなかった。
風が心地よく感じた。
あちらこちらに人の気配を感じた。
次に彼女に語りかけたのは
「
ねえ~ 今すご~く おなかすいているのだけれどどうしたらいい?
昨日から食べていないような気がするよ。」
勤務していると食べることの心配はなかったが
休みの間はそのこともあった。
「
あ目玉いただこうかな~
わかっているよ。
イチゴ味はたべないから
…
レモン味にする。」
CDから流れる曲を聴きながら
口の中であっちこっち行ききするあ目玉の甘酸っぱさを感じ
持ってきた数冊の1冊を読み始めた。
少し眠たくなり囲いの石柱に身を任せ心地よくうとうとした。
目がさめ席を立ち伸びをしながら眺めのいい視界を堪能した。
そんなことを繰り返し夕暮れまで過ごした。
すっかり暗くなり視界の風景の明かりがふえた。
「
ああ~ すっかり暗くなってきたな~
じゃ~ 明日
」
気になっていた。
近くには寄ってはこないが度々作務衣姿のお坊さんを目にした。
やはり不審者と思われているようだ。
片づけ出し忘れな草は置いておくがあ目玉はどしたらいいものか?
「
これどうしよう~? 」
このまま置いておく方がいいのか迷った。
「
そうだな~ 瓶に戻してまたあしただな~ 」
そういいながらお皿のあ目玉を瓶にもどした。
すがすがしい気分だった。
管理事務所の前を通ると目があい軽く会釈をした。
フラワーショップに車が到着したのは8時がすぎていた。
店のシャッターは3分の2程度閉めめられており中には明かりが
…
先日のようにたまにというのならいいだろうが
ここ数日毎日遅くなるのは迷惑をかけるようだから
出来るだけ営業時間内に来ることにしようと思いながら
少しかがみドアをノックして中をのぞいた。
中からドアが開けられ
「
どうぞ 」 と声がかかった。
用意されていた忘れな草の花束を受け取り帰った。
車を走らせふとお腹の方をどこかで満たさなければ
…
すききってしまえば今は何ともないが 何か食べておいた方がと思い
車を路肩に止め覚書のページに少し遠回りになるが
行きつけの寿司屋に電話を入れた。
あまり会話をしたくなかったので お持ち帰りを少し多めに注文した。
ここ2-3日の疲れが出てきているようだ。
寿司屋の前に車を止め店に入るとオーナーが出迎え
懐かしがられ
なにやかやとしゃべりかけたが急いでいるから
また今度ゆっくると言い残し店を出た。
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