【 ドンヒョク 鬼のかく乱! はじめての病気 … 】 15話
「 あれ? ジニョンは … 」
ジェニが
「 まだよ?
」
テジュンはドンヒョクの鋭いまなざしを感じながら
「
まさかとは思ったが ジニョンの事だからぐずぐずしてて
家にいたら一緒に車に乗せてこようと思って電話したんだ。
家の電話は呼び出し音だけで 携帯は電源がきれていたから
てっきり病院に帰っていると思っていた。
じゃ! あいつどこにきえたんだあ~
」
テジュンはドンヒョクに目をやると 顔色が変わり
ベットサイドに置かれている電話の受話器を耳にあてていた。
「
どうだ ? 」
「 出ない …
」
家の電話は呼び出し音のみで 携帯電話は電源が入っていない。
ドンヒョクがベットからおりかけようとした時 テジュンが
「
家に行ってくる。 ついたらここに電話するから
ドンヒョクもジニョンが病室に帰って来たら僕の携帯に電話をしてくれ
」
テジュンが部屋を出ようとした時 ジェニが
「 私も行くわ
」
テジュンがドンヒョクに
「
鍵預かっていく。 あっ! そうだな~
あの状況では 鍵もってきていないよな。
ジニョンのやつあれだけ言っていたのに
きっとソファーで寝込んでいるんだ。
チャイムで起きてこなかったら ガラス割って中に入るか
?
いいだろ~ 」
「 ああ~ 頼む!
」
テジュンはドンヒョクの手前おどけてソファーで寝込んでいたらと表現したが
あれだけ家の電話のベルを長く鳴らして出ないということは部屋の中で
何かが
…?
と、 気が気ではなかった。
テジュンとジェニは小走りでエレベーター へ
…
エレベーターの前まで来ると聞き覚えのある声が …
「 おいしいのですよ。 では …
」
テジュン達が振り返り …
「 お姉さん! 」 「 ジニョン!
」
テジュンとジェニが同時に …
「 あら? 二人でどうしたの? どこかへいくの?
」
二人は 「 はあ~
」 と 顔を見合わせため息をつき
ドンヒョクの部屋に歩き出した。
「 ねえ~ 待ってよ! ねえったら
… 荷物持ってよ~ 」
ジェニ と テジュンは
後ろから声をかけるジニョンを無視しドンヒョクの部屋へ
…
ノックの音もなく ” ガチャ! ”
ドンヒョクは 窓辺に立ち受話器を手に
乱暴にあけられた音に振り返った。
今、 出ていったテジュンとジェニが けんもほろろに
つかつかと入って来たかと思うとソファーに直行!
ドスンと腰をおろす。
ドンヒョクは開らかれたドアに目をやり
次にソファーの二人に目をやり 再度ドアに目をやると
「 もうどうしたのよ。 荷物もってていっているのに …
」
と言いながら部屋に入ってきた。
ドンヒョクは 両手に荷物をいっぱい持ったジニョンに駆け寄り抱きしめた。
「
もう~ みんなどうしたの? ドンヒョクさん痛い!
」
ドンヒョクはジニョンの大きな声で我に返り 腕の力をゆるめ
手に提げているジニョンの荷物をベットの上へ置き 肩を抱き
テジュンたちの坐っているソファーの前のソファーに腰をおろす。
要領を得ないジニョンは 目をパチクリきょろきょろと
…
テーブルにのせられている荷物に目をやり
「 これお昼ね。 お腹ぺこぺこ
ジェニ 食べよ。」
鼻歌交じりで荷物をほどきだした。
テジュンは冷静さをなくし
「
ジニョン! さあ聞かしてもらおうか?
今まで何をしてた?
CDと着替えをとって来るぐらいだっら
…
あれだけいるものだけを
…
ああ~ どうせ寝ていたんだろ?
俺達はいい。 入院患者に心配をかけるな!
」
朝9時過ぎに病院を出て テジュンが病院に
ジニョン達の食事をもって再び訪れたのは午後2時過ぎだった。
ソファーを立ったり座ったりしながら興奮し
思いつくままに言葉を並べ 紅潮した顔を両手で時々おおい
それとは反対にテーブルの上の包みをほどきにこにこしながら
容器のふたを開け、並べながら語りだした。
「
そうなの家に入りCDの棚に
…
いつも、いい曲が流れているのだけれど その曲がどのCDなのか?
結局 どれを持ってきていいかわからなくてほら こんなに持ってきたわ
」
ベットの上の紙袋を取りに行き 紙袋口を大きく開け見せる。
「
それから退院の時に来て帰るドンヒョクさんの服を
…
ドンヒョクさんはいつも自分で選んで着てくれるから
どの服選んで持ってきていいかわからなくて?
一度病院に帰ってドンヒョクさんに相談してから
明日 もう一度取りに帰ることにして
それからシャワーを
… 急いだのよ。
そしてお水を飲もうとキッチンへ。
テーブルの上に ドンヒョクがお土産に買ってきてくれた
チョコレートが箱にひとつ残っていて食べたら いつもおいしいんだけれど
今日は格別おいしくて ジェニに買っていってあげようと思ったの。
すぐにお店に行ったらいっぱい並んでいて
でもすぐになくなると聞いていたから
ドキドキしながら並んでいたら買えたのよ。
ほら! 看護師さんやお医者様にも食べていただこうと思って
ナースステーションには ここに来る前にお渡ししてたわ。
このチョコレートはとてもおいしいのですよって
…
そうそう。
ならばないと手に入らないといってきたわ。
今朝、私。 ならんで買ってきたのですよ。」
得意げに話しを続けた。
「4箱なんていったら並んで人にすご~い目でにらまれたわ。
」
そして袋からジェニに 「 はい! テジュンも! 」
ジェニは 「 うわ~ 一度食べてみたかったの。でも、高くて …
」
ジェニはチョコの箱を手にしたとたん
すっかりさっきまでの出来事は忘れたようだ。
「
お姉さんは買わなかったの? 」
「 私はドンヒョクに買ってもらうから … 」
テジュンが
「とにかく食事して … 無事でよかったよ
」
トントン! ドアが開かれた。
午後の検温の時間で看護師が入ってきた。
.........
PPPP .........
「 点滴きいてきましたね。
もうひと頑張りですね。37・6度です。」
脈をとり 変わったことはないか? と言うような2・3の質問があり
そのあとジニョンに
「
先ほどはありがとうございました。
さっそくおいしくいただかせていただきました。 」
「
そうでしょう。 並んで買ってきたのですよ。 大変でした。 」
テジュンは 「 そこまで言わなくてもいいだろ~
」
看護師は苦笑しながら
「 変わった事があればナースステーションご連絡ください。 」
と 言って部屋を後にした。
しばらくして
午後の回診がありキム医師 研修医のソン医師 担当看護師が
…
一通り診察があり キム医師が
「
随分のどの腫れがよくなっていますね。
明日から点滴は1本にしましょ~ 薬の服用を開始します。
抗生物質と炎症を抑える薬 それから胃に負担がかかりますので
胃薬を夕食後から投与いたします。」
その後 キム医師が ジニョンが差し入れしたチョコレートの話題に
…
キム医師も
「 いただきましたよ。
とてもおいしいと
奥様からの直々の差し入れと聞き
実は 私はチョコレートは苦手で
数えるほどしか食べた事がなかったのですが
… 」
話しが途中にもかかわらず ジニョンは上機嫌で
「 主人もです。
でもいつも私が二人分食べれますから。
いかがでしたか?
」
「はい。 とてもおいしくいただかせていただきましたよ。
聞く所によると並んで買ってこられたとか?
」
「
はい! 私も話には聞いたことはあったのですが、
あんなに大変だとは思いませんでした。
並んで買ってきたのは今日がはじめてです。 いつもは主人が
… 」
「 えっ! ご主人が … シンさんが並ばれるんですか? 」
「
だって
私へのお土産ですもの。 先生も今度奥様に きっと喜ばれますよ。 」
「
そうですね。 ワイフのご機嫌伺いの時にでも … 」
3人は部屋をあとにした。
ドンヒョクが 「
今日からもう泊まらなくていいよ。 」
ジニョンが 「 そうねえ。 じゃ! ジェニは今日はゆっくりして
明日から仕事に
… 」
「 お姉さんは? 」
「 私は泊まるわ。 仕事はそうねえ~
」 と テジュンを見た。
「 いいよ ドンヒョクが退院するまでは … 」
「
じゃ! 明日からは私がおいしいもの作って持ってくるわ。 」
「 テジュンさんの車に乗せてもらって 今日は帰って休んで …
」
「 そしたら 夕食から私が持ってくるわ
」
二人は帰って行った。
ジニョンは ベットに横になっているドンヒョクに
「 ごめんね … 心配させたみたいね。
疲れたでしょう。 少し眠ったら 私ここにいるから …
」
そう言ってイスをベットのそばに持ってきて座った。
ジニョンは ベットに横になったドンヒョクの手を握り
「 もう 病気にならないでね。 ドンヒョクさん死んじゃうかと思ったわ 」
「 ばかだなあ。
そんなに簡単に死んだりしないよ 」
” そうだった。
簡単に死んでしまうのではと思った事を頭をよぎりながら …
”
「 そうね。 こんなに早く元気になってよかったわ。
早くよくなってチョコ買ってきてね。
」
「 今日 買ってくればよかったのに … 」
「
だって あんなお値段するなんて!
年に1回 テジュンにバレンタインの時に買うチョコも結構お高いと思って
ふんぱつしているのよ。
あのチョコあんなに有名で高価なチョコとは知らなかったわ。
イギリスのテレビ番組で世界でもっとも贅沢なチョコレートの
1位に選ばれたとならんでいる間にお話きいたわ。
それでね。 ドンヒョクさんが
『
使っていいよ。』
って言ってくれていたカードで支払おうかと思ったわ。
帰った時 ひょっと何かでお金がいるかもしれないと思ったから
お財布にいつもの何倍もいれておいたから
なんとか払えたけれど
だから 私の分は減らしたの。
最初は私の分も数に入っていたのよ 」
ドンヒョクは ”
ああ~ なんてかわいいんだろう ”
思い切り抱きしめたい心境に駆られたが少しばかりの理性が働いた。
余韻にしたっていると
僕の腕に重みを感じたかと思うとジニョンが あの睡魔と戦わずして
落ちてしまったようだ。
僕は横向きに姿勢を変え
ジニョンの顔を隠す髪をかき分け
頭を軽く撫で ジニョンを感じていた。
トントン
…
ドアが開かれ看護師が
…
ドンヒョクは
慌ててそのままの姿勢で髪を撫でていた手の指を唇にあて
「 シ~ 」 という動作をし 小さな声で
「 何か? 」
「 はい! 先ほど先生がおっしゃられておられました薬と服用の説明 …
」
そこまで言いかけるとドンヒョクが
「 急ぎでなければのちほど、こちらから連絡を …
」
看護師は 「 ははい … 」
と 予期しない言葉に戸惑いながら部屋から出て行った。
看護師はドアを閉めドアに背をあて 顔を少し上げ
どうしてかわからない?
胸にこみ上げてくるものを必死でこらえた。
担当看護師は イ・セナは両親を交通事故で亡くしている。
父は即死・母は2ヵ月後に意識が戻らないままに他界した。
その後父方の親戚筋に引き取られ 経済的には
何不自由なく、 環境にも恵まれていた。
2ヶ月間 母の病院での生活は セナの人生を大きく変えた。
母を献身的に手厚い看護に子供ながら こんなにも人に優しく接する事が
…
肌で感じ
その時に自分の進む道は揺るぎもなく 導かれるように勉学に励んだ。
大学も優秀な成績を収め 文句なしに大学の付属病院には
勿論推薦で就職でき 3年間病棟の看護師をし
その後2年間この特別室に順応できるだけのすべての
カリキュラムをこなし 今に至っている。
そんな彼女にとっては ドンヒョクのとった行動は
嫉妬と言うよりも驚きと感激というのに値する。
自分に置き換えて冷静に紐解いているようだ。
ふと気がつくと 机などに伏せてうとうとと
…
ジニョンの姿勢はこれと同等では?
セナは 寝具に収まらない限りは寝るという行動に
熟睡はあり得ないと
…
人の気配や触れられるなど すぐに覚醒するだろう。
しかしながら 妻は夫のそばで 私と夫は小さな声とは言え
すぐそばで会話がなされ 尚も起きる気配なし。
おかしい? いや私がおかしいのか?
何が何だか解らなくなっているというのが
今の正直な気持ちである。
通常 妻を安眠させる為に人払いを
…
ましてやこの看護師の私を
…
ますます解らない? 理解できない?
ふと我に返り 大きなため息をつき ナースステーションに
…
ナースステーションの中でも
その後知らない間にため息でもついていたのだろう。
同僚が
「 あなたまでも! 3号室から帰ってくると ドクターも看護師も
ハア~ ハア~ とため息ばかり。 あの部屋は魔法の部屋なの?
」
などと冷やかされ
「 違うわよ … 」
と 言ったものの 何が違うのか?
またも 「 ハア~
」 と 出る吐息を慌てて口に手をあてた。
ナースコールがなり 「 ハイ! どうされましたか?
」
3号室からだった。