【 ドンヒョク 鬼のかく乱! はじめての病気 …
】 16話
3号室からだった。
「 申し訳ありません。 薬の件 ご説明お願いいたします。
」
他の看護師が不思議そうに
「 さっき?
」
ドンヒョクの担当看護師は苦笑し、席を立ち詰所を出た。
3号室のドアをノックをし開けると 二人が並んでソファーに座り薬を前に
かしこまって座っていた。
考えるとこの部屋に入るたびに 平常心では入れないように思っていた。
「すみませ~ん。
なんだか 眠ってしまっていたようで …
たびたび …
看護師さんもどうぞ …
」
ジニョンに進められるままに違和感を感じまがら ソファーに腰をおろす。
看護師は 「それでは …
」 と テーブルの上に置かれた薬を袋から出し
薬の説明をし始めた。
終了後
「
この病棟以外の病棟では
そのつど指定されました服用時間に
1回分をお配りしているのですが この階の患者さんは
ケースバイケースと言う事で 一旦 ナースステーションに
説明させていただきました薬をお預かりしてそのつどお持ちするか
ご家族様か患者様が管理のもと服用していただいてもいいことに
…
どちらになさいますか?
」
ジニョンは ドンヒョクの方を見て判断を促しているようだ。
「
私はちょっと! そのつどお願いできますか? 」
看護師が 「 わかりました。 それではこちらで …
」
そこまでいいかけると ドンヒョクが
「
わかりました。 私が管理しご説明どおり服用いたします。 」
「
そうね。 ドンヒョクさんだったら出来るわ。」
「 はい。
わかりました。」
看護師は部屋はドアを閉め ドアを背に 「 ハア~ 」 と 溜息を
…
たいした事をしたわけでもないのに疲れがピークに達している。
部屋を出てすぐに 妹と言う女性と若い男性
そして入院時についてきていた 中年のやや肥り気味の男性とすれ違った。
看護師がドアを明けた時ドアの外が賑やかだ。
看護師と入れ替わりに ドアが開き レオとジェニ そしてヨンジェが
…
レオが 少しよくなったドンヒョクを見て安心したのか?
いつになくハイテンションで話す。
「
エレベーターの所で逢ったんだ。
昨日はどうなる事かと思った。
ボス。 鬼のかく乱だな。
まさかボスが病気になるなんて考えも及ばなかったよ。
仕事の方はまあ何とかやりくりできているから安心してくれ?
病気だと言う事は 公には言っていないからな。
それから テジュンからこの部屋の電話番号聞いた。
出来るだけかけないようにするが どうしてもの時は頼むよ。
」
ドンヒョクは レオの話が終わりそうにない事を感じ
「
ジェニ ジニョンお腹すかしてるだろうから レオに気にせず … 」
「 レオに気にせずなんて言わないで 私も入れて下さいよ
」
「 沢山あるからみんなで食べましょう。 」
「 ボスと違い 妹様は おやさしい …
」
レオのこんな冗談やはしゃぐ姿に驚きながら
ソファーの前のテーブルに ジェニとヨンジェが料理を手際よく並べた。
「
おお~ すごいじゃないか? 」
「 レオさん 何かいいことでもあったのですか? 」
「
いい事? ありましたよ。
ここに来るまでは昨日のボスの姿がまぶたから離れないで
何度なみだしたか?
なんと一転して今日は 昨日と 比べものにならないぐらい元気だ。
ボスはそうでなくては!
」
「 昨日のレオさん 私の横でず~っ と 泣いていたでしょう。 」
「
違うよ。
昨日はメガネの調子が悪かったのと 目にゴミが入ったんだよ。
」
5人は テーブルをかこんだ。
ジニョンの食欲はいつもの事ながら ドンヒョクもこの時は珍しく箸が進んだ。
それに気がついたジニョンは
「 さあ、これもおいしいわよ。 」
と ドンヒョクの口元に食べ物を運ぶ。
レオが
「
おいおい 独身者ばかりなんだぞ。 いつまで新婚さんしているんだ? 」
ジニョンがヨンジェに 「 テジュンは 忙しいの?
」
「 今日は ヨンジェさんが 仕事早出だったから … 」
「 そお!
この頃 ヨンジェも立派にテジュンの変わりが出来るように
成長してきたわ。 休まないといけないのに迷惑かけるわねえ。
」
「 いいですよ。 気にしないで … 夜のご飯にありつけたし
こうして食べるなんて久しぶりだから。
レオさんじゃないけれど 僕もこれから毎日夕食はここで
食べに来たいです。
」
「 来ればいいわ。 その代わり私の運転手よ。
」
テジュンから口止めされていた。
ジェニとヨンジェは打ち合わせ通りに
…
こんな時に限りありがたいことに忙しく ジニョンの存在感は大きく
ジニョンの仕事の分もそれぞれが手分けをして 走り回っていた。
「
ボス ボスには悪いけれど
しばらくは このまま病院に入院してもらうということで
…
ヨンジェ君は久しぶりなんて言ったけれど この私なんかはじめてだ。
私の場合は ドンヒョクとは違い家族で 家族といっても両親と私だけだが
アメリカに夢を求めて永住したんだ。
勿論 肌の色の違いから ドンヒョクが経験した以上に
苦労はしたが 両親もがんばってそれなりにむくわれた。
うまくいけばいくほど怨みや嫉みがあり
そのうち 気がついたらすべてが奪い取られ
両親は生きる意欲をなくし自ら命を絶った。
そこから 天涯孤独さ。
」
ドンヒョクは レオにそんな過去があったとは夢にも思わなかった。
「
そこで 我武者羅に勉強して見返してやろうと
こお見えてもなかなかの経歴なんだよ。
ドンヒョクに出会った時はどうしてか解らないが こいつとなら
…
それから日ごとに 楽しくなって
…
どうして と聞かれても答えることが出来ないが
毎日が新鮮で 生きていると言う感じがした。
いつしか 時には兄のように 時には父のように すべてを許せた。
ドンヒョクがどう思おおと関係なく
どんなことでも無条件にすべてを受け入れた。
言っておくが変な趣味はないよ。
韓国へ行くと言った時も
ハンターをやめる と言った時も …
昨日は参ったよ。 ドンヒョクのあんな姿初めてだったから
一人取り残された時と同じ思いが
… 辛かった!
今日は 部屋のドアを開けるまでは
…
ああ~ すまない すまない だらだらとしょうもない話をしてしまったなあ
」
レオは ドンヒョクの生い立ちその他 すべてを把握していたが
ドンヒョクはレオが弁護士あると言う事と
勉学を励んだ大学とか? あとはと言うと
…?
ドンヒョクは 知りたいと思わなかったし 知ろうともしなかった。
どういう経緯があろうとも レオが必要だったからだ。
ドンヒョクが向かい側に座っていたが レオのそばに行き
レオも立ち上がりドンヒョクがレオを抱きしめ そして 握手を求め
「
ありがとう … 」
その場は 涙涙で調整がつかなくなっている所へ ノックが
…
ドアが開きテジュンが入って来た。
「 おお … やっているな~ 今日はヨンジェに …
」
そこまで言いかけ 異様な雰囲気に気がつき
「 おいおい 何かあったのか?
」
ジニョンが
「 いいの いいの … はい はい! テジュンも座って …
」
「 そうか? なんだ食事途中じゃないか? 早く食べて …
やはり顔だけでも見ておかないと … 抜けてきたんだ。
」
ジェニがテジュンにお箸を渡す。
「 食事はしてきたからいいよ。
」
ジニョンが
「
いいじゃないの~
あっ! そうだ!
その? ほらほらなんだっけ? 登録者? 全員集合ね。
」
レオが 「 それは何ですか? 」
「
この部屋に入れるのは このメンバーって言う事ですよ。
詳しくは帰りにでも … 」
と テジュンが補足した。
しばらくしてテジュンが 「 さあ、ひきあげるか? 」
「
じゃ~ エレベーターまでお見送りしょうかな~ 」
「
いいよ~ こっちの方が人数が多いんだから
ジニョンは病人を一人にしないで
また病室に送り届けないといけなくなるだろ~
どこへいくかわからないからな~
」
ジニョンは 「 も~ 」 と 口をとがらせながらドアを開けた。
「 ありがと~ 気をつけてね。
」
ジェニとヨンジェは、 社長室でコーヒーを飲みながら
病室で聞いたレオの話を
…
テジュンが 「 そうだったのか。
二人を知れば知るほど、
強い絆を感じるものな。
レオのきのうの取り乱しようはそういうことか。
」
病室ではみんなが帰えり ドンヒョクが窓辺に立ち もの思いに
…
ジニョンはドンヒョクの背中を優しくなで
「 疲れたでしょう。 このあとどうする?
」
ドンヒョクはジニョンの ” このあとどうする ” の
意外な一言で心臓がときめき …? いや
…? ざわめきだした。
「
さっきドアのところで テジュンがエレベーターをおり
部屋に向かおうとした時 看護師さんに呼び止められて
シャワー程度だったらいいって!
シャワーする? 」
ドンヒョクは ” そう言う事か
” と 苦笑いし
少しうつむき 昨日はあのジニョンの逆ヴィゾーンを目にしても
反応しなかった自分を思い出し
心臓の働きが活発になった事が回復への道を確信した。
「
そうだね 」
ドンヒョクはシャワー室へ
…
シャワーを済ませ出て来ると
ジニョンがティシャツとゆったりとしたパンツにはき替え
あの物体と格闘していた。
「
どうしたの? 」
「
ほら 今日の朝 テジュンが 回診がソロソロなんて言うもんだから
慌ててロッカーに押し込んだでしょう。
だから こんなにくちゃくちゃに
… 」
「 また 今日もそれに寝るの? 」
「 そうよ、 どうして?
」
「 僕のベットで一緒に寝るのかと思ったから … 」
「 もう~ ドンヒョクさんったら!
」
「 冗談! 冗談 … 布団にしたら? 」
「 これで寝るわ。
」
二人はテーブルを片付け ソファーをベットにし
ジニョンは病院であることを忘れているかのように
嬉しそうに寝袋へもぐりこんだ。
赤い物体の横に ドンヒョクが横たわり
寝袋のチャックを下ろしたり上げたりしながら
「
ジニョン!」
ドンヒョクは あの夕食のレオを思い出しながら
…
ジニョンが
「 ドンヒョクさん! 変な気起さないでよ。 ここは病院なんだから!
」
「 ジニョン 変な気って? 」
「 変な気よ …
」
「 ああ~ 変な気ねぇ。
ジニョンは僕達の素晴らしい愛のいとなみは 変な事なの?
」
「 違うけど … 」
「 わかっているよ。 レオが話したを思い出していたんだ。
」
静かにレオへの思いを語りだすと
ジニョンは睡魔と手を結んでしまったようだ。
ベットに戻り横になったドンヒョクも
さほど時間がかからずして眠りの園へ
…
鈍いドスンと言う音で ドンヒョクが目を覚ます。
電気をつけると 勿論 赤い物体は床の上に
…
そのまま 身動きもせずに
…
苦笑しながらもとに戻し 目を覚ます事のない
ジニョンの横に腰をおろし 額にかかる髪を
…
そして 軽く チュッ!
よく動く やわらかい唇にも軽く口づけを
…
レオが言った。
「 ボス、鬼のかく乱だな~
」
ドンヒョクは小さな声で
「 鬼のかく乱か?
」
と 苦笑しながら、
手はジニョンをすっぽりと包みこまれている物体のチャックを
…
ドンヒョクのしなやかな手は ジニョンの小さな顔を両手で包みこみ
ドンヒョクの唇は優しく そ~っと 額に 瞼に
…
そして … 唇に そ~っと …
ジニョンは静かに目を
…
”
ドンヒョクさん? ”
じっと見つめあう二人に言葉はいらなかった。
ジニョンの片手はドンヒョクの首の後ろに 片手は 後頭部に
見つめあい
… そして! 静かに どちらともなく そ~っと
唇をかさね …
遠~くの かかり火が
…
優しく やさしく 光を投げかけるように …
お互いの秘められた新たな思いを … 感じながら
…
ドンヒョクの唇は ジニョンの細い 首筋に
…
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