【 ドンヒョク 鬼のかく乱! はじめての病気 …
】 17話
ジニョンは 夢の中での出来事かと思いながら
うっすらと目を開けるとドンヒョクが
優しく そ~っと 軽いタッチで口づけを
…
勿論ドンヒョクもここがどういう場所かと言う事は心得ていると思い
ドンヒョクの首の後ろに手をまわし この軽いシンプルなご挨拶程度の
口づけで終了と思っていたのが ドンヒョクの唇が首筋に
…
ジニョンは この流れが進むと もしかして? と 思うと …
「 ドン! ヒョク!
」
どこからこんなに大きな声がと思うぐらい大声で
それでなくても 病院と言う所は静まりかえっている。
勿論その声が病棟全体に響きわたり
まさかこんなに大げさになるなど誰も予測外のことだった。
ドンヒョクは ゆっくりと時の流れ行く中
一瞬にしてこの大声で 再度発熱?
が …
と 思うぐらいに身体全体が熱くなっていくのを感じた。
「
も~ ドンヒョクさんたら少しよくなると油断もすきもないんだから …
ベットにもどってよ!
」
ドンヒョクは
「 キスぐらいいい …
」 と 最後まで話さないうちにジニョンが
「 あのままだとキスぐらいでは …
」
ドンヒョクが電気を消しベットへもどりかけた時
部屋の外が 異様に騒々しくジニョンは
「 ドンヒョクさん!
」
ドンヒョクは明かりをつけ ジニョンは寝袋から出て
おそるおそるドアを少し開けた。
廊下を覗くと 廊下には 顔を合わすことなど全くない
患者と家族が飛び出ていた。
ドンヒョクは ドア越しに覗く程度で廊下には出なかった。
複数の警備人とナースステーションから2名の看護師 当直医が
…
看護師が 「 どうかされましたか? どのお部屋なんでしょうか?
」
と 廊下を行ったりきたりしている。
ドンヒョクとジニョンは こんなに大騒動になっている原因が
まさか自分達であるなどとは 夢にも思っていない。
ジニョンが横にいた人に
「 何かあったのですか? 」
遠慮気味に声をかけると不思議そうな顔で
「
えっ! 何かあったのですか?
あなた様はすごい大きな悲鳴と言うか叫び声が聞こえなかったのですか?
女の人の声で 何を言ったかは良く聞き取れなったのですが
あなた様は聞き取れました? 助けてとか!
というような言葉では
なかったようですが わたくしの空耳と言う事はないと思うのですよ。
これだけの方が こうして何事かとお外に飛び出されているのですから
…
」
50歳代ぐらいの上品なご婦人がジニョンに物静かに話す。
その場にいた人々は きつねにつままれたかのように 唖然と
…
看護師がそれぞれに
「
ご心配をおかけいたしましたが
大事にはいたらなかったような感じですので
いったん各お部屋の方に
…
調べまして解り次第お知らせ致しますので …
」
看護師達の言葉もぎこちなく
皆が口々に何やらぼそぼそと話しながら各自部屋にもどていった。
が ドンヒョクとジニョンは部屋に入るなり顔を見合わせ
この騒ぎの原因が自分達であると言う事を認識をした。
あの大声が 自分達が感じる以上に院内に響き渡りこの騒動へと
…
少し落ち着きジニョンが
「
ドンヒョクさんどうするの? ナースステイションに
説明にいく それとも看護師さんに来ていただく
」
ドンヒョクは冷静に
「 何を? 」
「 何をって!
」
「 どのように君は説明をするつもりかな?
寝言で大声を出してしまいました?
それとも …
」
「 ねえ~ それっていいじゃない ? 」
「 それって? 」
「
ほら 今言った寝言で大きな … 」
「 じゃ! 君一人で説明にいってきたら … 」
「 そんなの
… じゃ~ 看護師さんにここに来ていただいて
二人で説明するっていうのは … 」
「 とにかくこの件は僕は知らない
」
意外にドンヒョクは この件に関して冷静沈着であった。
ドンヒョクは急に
「
ジニョン! 今日退院するよ。
熱も37度近くまで下がり落ち着いたようだし
薬を飲むだけになりそうだ。 ここにいる必要はないだろ。
とにかく 今日朝の回診でドクターに宣言する
」
「 宣言て … 」
「 そう 。 宣言
。 退院していいでしょうか? ではなしに退院します。
とね。」
「 じゃ~ 忙しくなるわね
」
「 どうして? 」
「
ほら 昨日とりに行ったけれど
どの服を持ってきていいか解らなかったから
服持ってこなかったから服ないわよ。 取りにいかないと!
」
「 入院時に着てきた服でいいよ 」
「 あの服はないわよ 」
「
ない? 」
「 そう
。 昨日持って帰ったもの。 今 あなたの着るものといったら
病院でお借りしているその寝着と数枚の下着だけよ
」
うっすらと夜が明けかけている。
ドンヒョクは目を閉じ しばらくして目を見開いたかと思うと
ベットサイドに置かれている電話の受話器を持ち
ダイヤルボタンを押した。
「
今すぐに病院の駐車場に車を …
エレベーターを降り 車まで最短の位置に車を止めて待機して欲しい
…
それから どんなものでもいい一枚コートを … なんでもいい
… 」
受話器を置いた。
ドンヒョクは
「
ジニョンここに座って!」
と ベットに腰をおろしているドンヒョクは 布団の上を軽くたたいた。
「
よく聞いて … 今から少しの間留守にする。
朝の回診までには 必ず帰ってくるから心配しなで
…
それと 帰るまでは僕が留守だと言う事は内緒に
…
できるかなあ。
もうひとつ ここから内緒でぬけられるかな? 」
「
ねえ~どうして? 」
「
説明をすると難しくなる。 とにかく 駐車場にレオがくる。
そこまで内緒で連れ出してほしい。
ジニョンはこのような事って得意だろ?
」
ドンヒョクはジニョンが よいしょ(おだてる)作戦には乗りやすい事は
百も承知で顔を覗き込んだ。
「解った。 ナースステイションの前だけをクリアー出来ればいいのでしょう
」
” おっ! やけにものわかりが … ”
「
エレベーターに乗るのは難しそうだけれど 降りるのは簡単だから …
」
ジニョンという女神は
疑ったり推測をしないと言う点では こんな時には助かる。
「
患者さんが
家族の方をエレベーターの所まで送っていらっしゃるのを見かけるわ。
だから 私と一緒に
…
看護師さんはドンヒョクがその格好で私と一緒だったら
私を見送りにと思うわ
」
僕の奥様はすばらしい
と 言いたい所だがこの時間帯にそんなことがありえないだろ~
とにかく看護師に合わないことだけを願った。
「
じゃ さっそく頼んでいいかなぁ~
それから 家の鍵と携帯電話を貸してほしい …
」
ドンヒョクの携帯電話は書斎の机の上に置かれたままだった。
ドンヒョクは再度 部屋に設置されている電話の受話器をとり
「
今どのあたりを …
駐車場に入る前にこの番号へ連絡してくれ!」
ドンヒョクはジニョンの携帯の番号をつげる。
少ししてジニョンの携帯が作動した。
すでに呼び出し音をバイブレーターに切り替えておいた。
「
駐車場に入ったらそのままエンジンをかけて待っていてくれ。
とにかく乗り込んだらすぐに発進するんだ!
コートは助手席においておいてくれ!」
幸いと言っていのか難なくエレベーターへ乗り込んだ。
駐車場につくとあたりを注意深く見渡したが問題ないようだ。
レオの車の助手席を開け、助手席においてあったコートを
乗り込む前に肩に賭け助手席に乗り込む。
「
早くここを出て! 」
病院を後にし何がなんだかわからないままに動いていたレオが
「
ボス何があったんだ? そんな格好のままで … 」
「 家にいってくれ
何かがあったわけでない。
今日 退院しようと思ったのだがジニョンが僕が着る服がないって言うんだ。
服をとりにいくだけだ
。
ジニョンが取りに行き また4時間も帰ってこないより 私が帰って
着替えて戻る方が合理的と思ったからだ。
明るくなってからではこの格好では
… 」
レオはドンヒョクからの説明は何がなんだかわからないままに
「
まあ~ よくわからないが家に向かうよ。
で ジニョンさん4時間っていうのは? 」
「
昨日 服をとりに帰ると行って
結局何も持ってこないまま4時間後に病院に … 」
「 どうしてたんだ?
」
「 チョコを買いに … 」
「 何だか ドンヒョクとジニョンさんの話は読めないな~
」
レオはドンヒョクとは長い付き合い。
なんだかんだと言っているが
ドンヒョクに何かがあったと思ったがそれ以上ふれなかった。
ドンヒョクの胸の内は
今回の早朝の出来事は 火の粉は飛びかからなかったものの
たとえ自分達が火種であったにせよ
自分が火だねになりこんな些細な事で話題にされるなど
ドンヒョクにとって許しがたい事である。
プライドと言う邪魔者がそうさせるのだろうが 熱も下がったと言う事もあり
病院にいる必要性もない。
一秒たりともここにはいたくないと くだらないこだわりの判断をくだした。
早朝ということもあり さほどかからずして家に着いた。
ドンヒョクはレオに
「 ありがとう。 もう帰ってもいい … 」
「 病院に送っていくよ 」
「
いやいい! 着替えたら運転していく。 帰りに乗って帰ってくるつもりだ 」
「 わかった。 じゃな~
」
ドンヒョクは レオを見送り家に入った。
急いでシャワーをし 淡いブルーのシャツに
良く見ると布地の織りが縦じまに
…
シックな紺のスーツを …
やはり 病み上がり?
と言う事もあり顔色はすぐれない。
いろいろな表現はあるだろうが
どんな言葉を並べるよりただこの一言に尽きるだろう。
...... ばしっと! 決まっている
...........
病室を開けている間に ジニョンが事を起さないとも限らない。
とにかく急いで病院へ
…
すっかり夜は明けた。
駐車場から特別室専用のエレベーターの前につくと 警備員が
「 どちらへ …
」
こういう時のドンヒョクは どうしてもかまえてしまい冷ややかな口調になる。
「 自分の病室に …
それが何か? 」
「 ご自分の病室に? ご本人様ですか? どうしてこんな時間に …
とにかくこの用紙に必要事項を書き込んでください 」
「 急ぎますので失礼します
」
エレベーターの昇降ボタンを押すが作動しない?
警備員はこれ以上は無理と判断し
「
お名前と 部屋番号を … 」
「 シン・ドンヒョクです。 1003号室です
」
帳簿のようなものを見て 「 確かに …? 身分の証明する物を …
」
免許書を提示した。
「 どうぞ
」
警備員はドンヒョクの鋭いまなざしに押し切られ
不思議そうにドンヒョクを見ながら エレベーターの昇降入り口の
ボタンの上の鍵穴に鍵を差し込んだ。
神が私に味方してくれているのか
人には合わずに部屋に入ることができた。
ジニョンは ベットに寄りかかりよく眠っているようだ。
ドンヒョクは大きな溜息の後に 上着を脱ぎ カーテンを開けた。
ジニョンが目を覚まし
「 ドンヒョクさんお帰り 早かったわね 」
半開きの目をこすりながら ドンヒョクを見ながら
「
着替えに帰っていたの。 ほんとに退院するの? 大丈夫? 」
ドンヒョクは微笑みながら 「 そのようだ! 数時間後には
。
何か飲み物をいただけるかな~
」
ジニョンはスポーツドリンクを手渡す。
飲み物ですら嚥下が困難だったが かなりスムーズに通過する。
ひとくち ひとくち味わいながらジニョンの
「 着替えに帰っていたの? 」
の
ひと言を思い出し苦笑した。
あの病院の与えられた寝着からは
比べものにならないぐらいの衣装に着替えダンディーな紳士を掴まえて
さらっと
「 着替えに帰っていたの?
」
入院患者が 着替えだけに家に帰るということが どういうことなの
か ジニョンには結果だけがオンリーなのだ!
まあいいか。
ややっこしい事を言われるよりは
…
ドンヒョクは、また苦笑しスポーツドリンクを口にはこんだ。
ノックがあり看護師が入ってきた。