【 ドンヒョク 鬼のかく乱! はじめての病気 …
】 20話
ドンヒョクはエレベータのところまでの見送りにしては
時間がかかりすぎると落ち着かず
部屋の中でうろうろしていると 急に部屋の外がにぎやかになり
ドンヒョクはあわてて窓辺と移動し外をながめているふりをした。
ドアが開き
ジニョンの明るい声と共に白衣を着た二人の青年が入ってきた。
「
どうぞ 。 ドンヒョクさんこちらの方 私の高校の後輩なんですて!
お二人共 夜勤明けで こちらの方が少し私とお話をって
…
手続きを待っているだけだからお連れしたの。
主人のシン・ドンヒョクです。
」
ドンヒョクは 振り返っり鋭い目つきで軽く会釈をした。
そのまま外を眺めると言う姿勢をとった。
しかし心中は定かではない!
後輩の研修医は自己紹介も出来ないまま
ジニョンに案内されたソファーに腰をおろす。
ソファーには 研修医二人が並び テーブルをはさみジニョンが座る。
後輩と言う研修医カンが
顔を紅潮をさせ 待ちきれないという様子で
話し出した。
「
僕は 2学年下のカン・ヒョヌと言います。
僕はあの当時最悪の学生でした。
父が医師で 当然医師の道を
…
両親も祖父母も僕の成長を生きがいに
また 僕も期待にこたえようと それなりに頑張っていました。
中学2年の後半ぐらいから
人の引いた路線には 乗らないなどと理屈をつけ
徹底的に家族に反発するようになり中学を卒業するころには
殆んど家族と口をきかなくなっていました。
ますますエスカレートして高校へも行かないなどと
唯一 不憫に思ったのか一人の教師が 僕に無視されながらも
気長く良く面倒をみてくれました。
『
何も これと言ってすることがないんだったら まず高校へ行き
そこで自分を見つめなおせ 』 と
…
特別な受験勉強をしなくても
幸い合格通知をもらいまわりの者も何とか一安心
。
ジニョンさんも ご存知のようにあの高校は格別服装などには厳しく
反抗心に火がつき 入学式当日も制服の決まりを破り
だらしなくボタンをはずし登校しました。
合格はしたものの 気持ちの上ではすっきりしないまま入学式に
…
なら! 行かなければとお思いでしょうが
今 考えても分からないのですが
朝 目が覚め だらだらと布団の中で、一時間ぐらいしていると
前の日に母が用意をしてくれたいた学生服に袖を通し登校していました。
そして 入学式は体育館で
…
校庭に新入生が並び待機していました。
体育館には 三年生が並び新入生を迎えるというスタイルで
僕はいくら注意されても 整列の中には並ばないで少しはなれ
ふてぶてしく立っていると教師に 一番最後に連れて行かれ
お前は最後にと
… 」
研修医のソンが
「 お前にそんな過去があったなんて 今のお前からは想像をできないな
」
ジニョンも
「 こんなに好青年が … それで? 」
「
はい! 入場が はじまり拍手とともに入り口で在校生の3年生が
10センチぐらいのかわいい小さな花束を 一人ひとりに手渡し
やっと最後の僕の番に
…
この時にはじめてジニョンさんに出会いました。
素敵な笑顔の爽やかな女子学生が 花を手に僕の前に立ちました。
僕は 片手をズボンのポケットに入れ 早くその花束を渡せ と
ばかりに花に触れかかった時
その女子学生は手に持っていた小さな花束を
隣の女学生に渡し
ポケットに入れている腕ともう片方の腕を両脇に
きをつけの姿勢をさせ そして制服のボタンを留め 笑顔で
『
入学おめでとう 』
と 言って小さな花束を …
僕は予期していなかった女子学生の行動に ただ呆然と!
」
「 あっ! わかった。 その女学生がジニョンさんだ
」
研修医のカンは ゆっくりと首を縦に数回振り恥じらいながら
口元に笑みを浮かべながら 話を続けた。
「
席に着き 式が終わまでずっとその花束を見ていました。
はっと 我に返り気がついた時には退場の時でした。
その小さなかわいい花束は大切に 今も本の間にはさんであります。
」
ジニョンが
「 あっ! ごめんなさい。
」
一瞬 何がごめんなさいなのか? 研修医は顔を見合わせ
ドンヒョクも背を向けていたが何かあったのかと 振り返っていた。
「
何もないわね~ 飲み物片付けてしまったから? 」
そういうことか。 と
ドンヒョクはまた! 背を向け窓の外を眺めた。
研修医の二人も顔を見合わせ笑みをこぼした。
ソンが 「
僕が何かナースステーションから持ってきます。 」
「 そう お願いしようかな~ 主人の分もお願いね。
」
そのあたりは ジニョンは卒がなかった。
ソン研修医は 手に缶コーヒーを持ち かなりのスピードで戻ってきた。
ソファーの前のテーブルに置かれ
ジニョンは窓の外の景色に目をやるドンヒョクに手渡した。
そして またカン研修医が語りだした。
ジニョンは自分のことを語られているにもかかわらず
「
ねえねえ~ それからどうしたの? 」
「
それから1年 それまで手こずらしてきた家族や
お世話になった教師が驚くのも無理のない事なんです。
1日も休む事なく ジニョンさんが卒業していくまでは
…
1年間 1度も声をかけることもなく
ただ校庭にいるジニョンさを遠くから見ていました。
ジニョンさんのまわりにはいつも人がいて 好奇心旺盛な僕は
いつもジニョンさんを見ながら 自分自身に問いかけていました。
どうしてなんだ? どうしてなんだ? と
…
どうして? いつもそんなに素晴らしい笑顔を どうしたら!
そんなにすばらしい笑顔がをと!
どうして? ジニョンさんのまわりの人は楽しそうなんだ?
そのうち素晴らしい笑顔だけではなしに 少し怒った時の顔
すねた時の顔 と いろいろな顔も出会う事ができました。
そう! 冷や冷やした事もありました。
いじめ? と言うか一人の生徒を大勢で囲みいじめていると
みんなは遠巻きで見ているだけなのに後先考えないで
一人で飛び込んでいき 何を言っているか 僕のところからでは
解らなかったのですが異様な雰囲気だけは感じました。
必死で手振り身振りで ジニョンさんが押し倒されても起き上がり
一歩もあとに引かず そのあげく 団体は退散するのです。
この人は何者? なんて思ったりもしました。
ジニョンさんがゆっくり歩いている姿など 見ることはなかったですね。
いつもぴょんぴょんと いい意味ではじけているという感じでした。
僕は そのうち一度でいいからジニョンさんの 授業風景を見てみたいと
思いました。
ジニョンさんってどんな感じで授業を受けているのかな?
休み時間にあれだけのパワー全開で
…
こうなると僕も歯止めがきかずこっそり事業中のジニョンさんを
のぞきに行ったことがありました。
どこにすわっているのだろ~ するとまさかの光景が
… 」
「 ねえ~ ねえ~ 私どうだったの~? 」
「
それが~
僕の想像では活発に手を上げいきいきしたジニョンさんを … 」
「 そのとおりだったでしょ~
」
カンは暗い表情で首を左右にふり
「 机に伏せ寝ていました。 それも熟睡状態?
」
「
えっ! そうなの。
やっぱり!
高校時代の事業中はよく寝ていたかも?
いつも殆んど寝ていたらしいのよ。
同級生にあうといつも言われるわ~
私は起きている時しか覚えていないから
…
みんなが 言うのには他の子が寝ていると
先生からすごく注意されるのに
ジニョンには先生もお手上げだったと
… 」
窓辺の ドンヒョクの背中が少し揺れているようにも?
ジニョンは寝る事に関してはその当時からだったんだ。
「
後々まで語り継がれたのは ジニョンさんの卒業式の出来事なんです。
卒業生を見送るのは1年生で 新入生を迎えるのが2年生だったのです。
だから僕は 3年生のジニョンさんの卒業式に参加できました。
」
ドンヒョクも 研修医のカンの話に興味を持ったのか
いつしか窓を背に姿勢を変えていた。