2話 【 四月の雪 を スンジョンと… 】
「 先輩! 」
涼しい顔でスンジョンは受話器を置きヴィサインをし
ジニョンに満面の笑顔で
「 さあ~ 忙しくなるわよ~ さあ~ さあ~ お仕事お仕事!
ジニョン! キャンセルなんてなしよ。 あとは大船に乗って
このスンジョンにお任せあれ あなたはお仕事にもどりなさい。 」
スンジョンの携帯が振動した。
「 はい。 イ・スンジョンです。」
「 イ支配人すぐに備品倉庫にお願いできますか? 」
「 はい! わかりました。 わたくし今 手が離せない状態ですので
顧客担当支配人 ソ・ジニョンに至急いっていただきます 」
「 お願いします。 」
受話器を置きながらジニョンに
「 なにをぐずぐずしているのよ~ はやく! 」
「 どうして私が … ?」
ジニョンが言いかけると
「 どうして? あたりまえでしょ~
しばらくあなたは私の分のお仕事もしなさいよ!
わたくしはいいですかあ~
全エネルギーをチケットゲットに注ぎますので …
それでなくても手に入りにくいチケット!
あと数時間後の、 最終7時からの限定よ。
ああ~ 燃えてきたあ~ 」
ジニョンはもう手がつけられないと判断し携帯を手に
ぶつぶつ言いながら部屋を出て行った。
30分程でジニョンがスタッフルームに戻るとスンジョンは受話器を耳に …
「 あら! もう 終わったの 」
「 ええ … 」
「 ああ~ お忙しいのにご無理を …
ええもうそんな贅沢は申しません。
えっ! ご用意していただけるのですか。 ありがとうございます。
とんでもございません! はい。 このお礼はまたということで …
失礼いたします。」
「 ソ ・ ジニョン! わたくしはこれから総支配人に
早退届を出してまいります。
あなたは4時30分上がりですね。
わたくしは今日は7時まででしたが 5時で引き上げます。
ですから映画館入り口で6時ということでいいですね。
では … 」
ジニョンがひと言も口をはさむすきまもなく
スンジョンは部屋を出ていった。
席に着き仕事にとりかかるとスンジョンが戻ってきた。
「 もう~ 先輩落ち着かないわね~ 忘れ物でも? 」
「 いえいえ! それで備品倉庫の方は … 」
「 チェクアウトされたお部屋の掃除のあと備品の数が合わないらしいの~
報告書 書いておきます。」
「 そう~ お世話様。
サインはわたくしがしますのであけておいてくださいね。
そうそう! チケットとれましたから! では … 」
スンジョンはいつものことながら
歯切れのいい丁寧な言葉回しでいつも以上に張り切っている。
それにしてもどうしてチケットを手に入れることが出来たのかが
ジニョンが気になった。
ドンヒョクからのメールの着信音が …
* * * * * ドンヒョク * * * * *
ジニョン変わりない。
今日も今日中に帰れそうにないんだ。 ごめん!
ジニョンのかわいい寝顔とデートするよ。
戸締りだけはしっかりする事!
ジニョンはそろそろ帰る準備に入る頃かな~
また連絡するよ。
* * * * * * * * * * * * * * * * *
ジニョンはどぎまぎしながら返信メールの書き込みを悩んだ!
” う~ん! どうしよ~ 早くしないと …
* * * * * ジニョン * * * * *
お仕事ご苦労様。
はい 戸締りしっかりですね。
ドンヒョクさんが遅いようなのでもう少し仕事して帰ります。
* * * * * * * * * * * * * * * * *
” はあ~ ” 溜息をつきながら送信ボタンをおした。
ちょっと短かすぎたかな~
ジニョンはとにかくロッカールームへと引き上げ
いったん帰宅をしてからとも思ったがそのまま映画館へと …
早過ぎたかな~ と 思いながら映画館に近づくと
女性群の波に吸い込まれそのままたどりついた。
遠くで聞きなれた声がきこえ振り返るとスンジョンが走って近づいてきた。
スンジョンは約束時間から30分遅刻が当たり前の人。
「 先輩早いですね。 あなたを待たせていると
またどこかへふらふらどこかへ行ってしまいそうだから
あわてて来てやったのよ 。 さあ~ はいりましょ~ 」
あの日のことを思い出し照れ笑いをしていると
「 いや~ね~ にたにたわらったりして! 」
「 にたにたなんて! 」
エレベーターの前は先日以上に混雑をしていた。
見終わった人並みと これからの人 ・ ひと ・ 人 …
やっと8階に着きスンジョンがチケット売り場に行き
予約していたチケットを手にし戻ってきた。
いつもならスンジョンは何をおいても直行で
食べ物 ・ 飲み物 の 調達に足を向けるはずが
今日は係員にチケットを渡し半券を手にしながら
「 何しているのよ。 はやく … 」
「 先輩何も買わないの~ 」
「 まだひと仕事があるのよ。 ジニョンいい!
あなたは私の横でにこにこしているのよ 」
ジニョンは早足で歩くスンジョンのあとをついていきました。