【 ドンヒョク ピンチ? 夜勤のジニョン … 】 2話
廊下に置かれている長イスにドンヒョクを座らせ テジュンも腰をおろした。
「 どうしたんだ~ 」
「 テジュン ジニョンの上司で親しい友人なんだろう。
あんなめにジニョンが合っているのに平気なのか? 」
「 あんなめにって? 」
「 この間 僕が発熱した時の点滴の針より太い針を
あの細い腕に ” グシャ ” と
突き刺したんだぞ~。 それでも黙っておけと言うのか? 」
「 それでジニョンは? 」
「 泣きそうに 顔をしかめて僕の手を … 」
ドンヒョクは 話しながら幾度も声をつまらせた。
「 そのあと 看護師が
『 えっ~と お名前は ソ・ジニョンさん。
ソさんは スリムでいらっしゃるのに 濃い いい血液されていますねえ。
これだったら多く取れそうです。
お食事も 好き嫌いなくきちっと食べられておられるのでしょうね。
採血前の問診で ご病気されたことがないなんて
健康そのものの血液で輸血される患者さんは幸せですね。
きっと 事故の患者さん!
今は 生死を さ迷っていられますがお元気になられますよ。 』
ジニョンの血液が 袋のような所にドンドン量が増えていると言うのに
看護師は のん気に笑いながら … はあ~ 」
「 で! なんで連れ出されたんだ? 」
「 そんなのわかるはずがない? 」
「 それなりの 何か理由があるだろ?
何もなければあんなに押さえつけられ連れ出されるはずが? 」
「 ドンドン血液が採取され このままではジニョンが死んでしまう。
だから! もうやめてください。 つれて帰ります。
こんなに大量に血を抜かれたらジニョンが死んでしまう。」
と 言ったと思う?
そしたら
『 大丈夫ですよ。 反対の腕で血圧を測りながら採っていますので …
それに まだ 100cc も採っていませんよ。
20分ぐらいで終わりますから … 』
何を証拠に大丈夫などと言われているのですか?
ジニョンに もしもの事があれば あなた方全員命がないと覚悟してただきます。
いいですか? それが嫌ならそく中止をしなさい! 」
「 おいおい! それって脅迫? 」
「 ニコニコしながら看護師が 『 奥様 お幸せですね。 』
と 言ったから ちゃんと話を聞いていますか?
そくやめなければ国際弁護士を呼び この病院を訴えますよ! 」
「 おお~ 国際弁護士はレオの事か? で ジニョンは … 」
「 眠い眠い ってうとうとしていた。 」
「 看護師が 『 ご主人様は お外で待たれた方が … 』
何て言い出したから … 」
テジュンが
「 はいはい! よ~くわかった。 看護師さんに同情するよ。
でも! すごいなあ。 さすがだ。
ドンヒョクの脅しに笑って冷静に応答するなんて!
ジニョンが 採血が終われば今日はこのままつれて帰って、
美味しいものでも一杯食べさせてゆっくりとやすませてやれ!
なんなら2~3日休んでもいいとするか! 夜があけてきたな~ 」
ドンヒョクは テジュンの言葉など聞いているのか聞いていないのか?
イスから立ち上がり テジュンの前を行ったりきたりしていた。
ガチャ! と ジニョンが血液を採取している部屋のドアが開き
看護師がでてきた。
テジュンが 「 ドンヒョク! 」 と 声をかけ 振り返ったドンヒョクに看護師が
「 奥様の採血おわりました。
今回は 200cc 採血させていただきました。
このまま待機していただいて 保存血の到着が遅ければ
奥様にもう一回ご協力を … 」
テジュンもさすがに心配になり
「 時間をあけずに採取していいのでしょうか? 」
看護師が
「 採血に当たりまして献血者の健康状態を把握しながら行います。
献血に関して 全血献血の基準と言うのがありまして
400cc 献血 と 200cc 献血 があります。
400cc 献血は 18歳 ~ 69歳 男女ともに 体重が50㎏以上
年間献血回数は 男性3回 ・ 女性2回以内
200cc 献血は 16歳 ~ 69歳 男性45kg ・ 女性40kg以上
年間献血回数は 男性6回 ・ 女性4回以内
年間総献血量は 200cc 献血 と 400cc 献血を合わせて
男性 1,200cc 以内 ・ 女性 800cc 以内 とされています。
また 65歳以上の方は60~64歳の間に 献血経験がある方に限られます。
それから 献血間隔は
400cc 献血の方は 全血献血は
男性12週間後 ・ 女性16週間後の同じ曜日からできます。
200ml 献血の方は 全血献血は 男女とも4週間後の同じ曜日からできます。
献血した日でも 車の運転は可能ですよ。
運転前に30分ほど休憩をとると なお良い ですね。
また 採血後 しばらくは階段等での転倒に注意してください。
採取当日は 力仕事はしない方がいいでしょうね。
他に ご質問 ありましたら … 」
テジュンは 説明を聞きながら 説明する看護師の姿からプロを感じた。
「 …… 何も… 」
ドンヒョクは看護師の説明など どうでもいいと今にも言いそうな雰囲気で
看護師に
「 それで ジニョンは? 」
「 お休みです。 血圧も採取前よりは 少し低いようですが
正常範囲内ですので 心配はいりません。」
「 部屋に入ってもいいでしょうか? 」
「 どうぞ。 少しの間 このまま起されない方が … 」
と 言いながら看護師も一緒にジニョンのベットの横に立ち
「 目を覚まされましたら このジュースを差し上げてください。
献血に ご協力していただきました方には 皆様差し上げておりますので … 」
ジニョンが横になっているベットの横の テーブルに缶ジュースを1本おかれた。
「 栄養剤の点滴とか? 注射はしなくてもいいのですか? 」
と ドンヒョクが強い口調で看護師に …
テジュンがドンヒョクの耳元で
「 また 外に出されたいのか。 ジニョンのそばにいたければ … 」
と ドンヒョクの腕を引っ張る。
ドンヒョクは 「 ジニョンを頼む。 」 と 席を立つ。
「 おい 頼む? どこに行くんだ 」
テジュンは 携帯を手に持ち部屋をでかけようとするドンヒョクに
「 病院での携帯の使用はダメだ。
廊下の突き当たりを右に曲った所に公衆電話が … 」
「 ジェニに電話をしてくる。 」
テジュンは ” はあ~ ” と
溜息をつきあらたな蓄積していく疲れを感じた。
ドンヒョクが帰ってきた。 元気がない。
テジュンが 「 どうした … 」
「 家の電話も携帯にも出なかった。
ジェニにも何かあったのかな? 」
「 早出だったらもう仕事に取り掛かっている時間だ。 」
「 こんなに早く? 」
「 早くホテルをたたれるお客様の時間に合わせるから
5時前には仕込みが始まっている。 」
ドンヒョクはまた席を立ち 部屋を出て行った。
テジュンはそんなドンヒョクを横目で見ながら
「 ジニョンの事になると … 」 と 独り言を言いながら吐息を …
「 おはようございます。 ソウルホテルでござい … 」
「 すぐ厨房のジェニを電話口に … 急いでください! 」
「 はぁいい … 」
電話に出たのはヨンジェだった。
すぐにドンヒョクだとわかった。
ドンヒョクの強い口調に押し切られうろたえるヨンジェ …
ヨンジェもあれから
テジュンからの連絡もなく気になり落ち着かなかった。
そこへ ドンヒョクからの電話。
ヨンジェは ジェニにドンヒョクから電話である事を伝えたが
事情を知らないジェニは 朝のこの時間は猫の手も借りたいほど忙しい。
あとでかけ直す と ドンヒョクに伝えてほしいと
けんもほろろに言われたが、 ヨンジェは そのままドンヒョクに
伝える事など あの 鋭い口調を思い出すだけでも身震いが~
とにかく電話に出てほしいと頼み込み 強引に受話器をジェニの耳に当てた。
ジェニは ヨンジェをじろっと睨みつけながら
「 ハイ! もしもし お兄さんでも今は忙しいからだめなの。
あとでかけるわ。 」
「 病院だから携帯の電源は切っている。 」
「 エッ! 病院? 」
そう言ってヨンジェの持っていた受話器をぬれた手で持ち
「 病院って? 」
ドンヒョクは声をつまらせながら
「 頼みがある。 ジニョンにすぐ何か作ってやって欲しい。 」
「 何か作ってほしいってどういうことなの? 」
「 ・・・・・・・・ 」
「 もう~ 何があったのか?
どうして義姉さんに食べ物がいるのか? 落ち着いて話して! 」
厨房の早出の者には ジェニの電話の相手が ドンヒョクで
早朝の出来事をヨンジェから簡単な説明がされた。
ジェニが電話をしている姿を横目で見ながら
ジェニの仕事は それぞれがすばやく手分けされ進められた。
ドンヒョクから一通りの説明と言っても ドンヒョクの思い込みの
一通りの説明をジェニにされ ジェニは 「 わかったわ。 」
と 言ってヨンジェに受話器を渡した。
厨房にいた早出の仲間達の目線がジェニに注がれているのを感じ
「 アア~ ごめんなさい。 忙しい時に電話なんて! 」
遠慮気味に少し大きめの声で 早出の皆に聞こえるように言った。
奥の部屋から料理長が顔を出し 話はヨンジェから聞いており
「 それで ドンヒョクは何て言っているんだ? 」
「 おはようござます。 料理長。 今日は早いんですね。
はい! お義姉さんが献血を …
それで お兄さんが何か栄養のある飲み物と
今 お姉さんは献血したあと寝ているらしいのですが
お姉さんの事だから 目が覚めたらお腹すかせているだろからって …
それから まだ献血をするかもしれないから
病院で待機しているんですて! 」
ぎこちなく ドンヒョクからの電話の内容を料理長に説明するジェニ
ジェニが 作業の続きに取り掛かると
料理長がしばらく腕を組み考え込んでいたが そばにいたヨンジェに
「 ヨンジェ 少しは時間の都合はつくか? 」
「 勿論です。 ソ支配人は姉同様です。
何かあったら両親をなくした今の僕には … 」
「 俺達もいるぞ~ そうだな?
テジュンとジニョンはヨンジェには … わかってる。」
「 じゃ! 僕は何ををすれば? 」
「 ワゴン車を用意できるか?
それとできるだけ長い電気コードを … 」
「 車の大きさは? 」
「 小さくていい。 出発までどれぐらい時間かかる? 」
「 すぐに手配します。 10分もあれば 食品搬入口に … 」
「 じゃ頼む。 私とジェニが乗っていく。
それに … まあいい とにかく急いでくれ! 」
「 ハイ! 」 ヨンジェが厨房から出て行った。