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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1367255/1904496
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秘  密
大学講師の深沢潤と人気女優の青山優。                                                実は結婚していることは秘密。                                                       そして、優には誰にも言えないもう一つの秘密が…
No 1 HIT数 7674
日付 2009/04/01 ハンドルネーム aoi32
タイトル 秘密 1 女優と大学講師 ♪
本文


 

  秘密  1  女優と大学講師







 

        もう二度と恋なんてしない


        あれほど誰かを愛するなんて


        もう・・僕にはできないと


            ・・そう思っていたのに・・・

 

 

      “ ね? わたしと出会えて良かったでしょう? ”

 

      
          君は得意げに言うと 本当に楽しそうに笑った

 

 

             

 

 

 

 

   ―――――――

 

 


      
キャスター:「青山優さんは 最近 “恋人にしたい女優№1に選ばれましたね。」


  優  :「はい。 とっても光栄です! ありがとうございます。」


      「実生活ではどうなんでしょうか? 
       恋人とか好きな男性とか、いらっしゃるんですか?」


      「いいえ。残念ですが なかなか時間がなくて・・。
       今は 女優の仕事と大学の講義を受けるだけで精一杯なんです。」


      「そう言えば 優さんはK大学の学生でしたね。
       どうですか 学生生活は楽しいですか?」


      「ええ、とても楽しいです。
       友人もたくさんいます。もちろん、ボーイフレンドもたくさん!(笑)
       先生方は ちょっと厳しいですけどね・・今も提出しなくちゃいけない
       レポートが二つもあって・・・大変です。
       でも 特別扱いはしないので それが嬉しいです。」


      「そうですか。 それじゃあ、恋愛する時間なんてありませんね。」


      「そうなんですよ~。でも 恋はいつもしていたいですね(笑)」

 

 


「優、お疲れ様。」

TV番組の収録を終えた女優 青山優のマネージャー 桐原恭子は満足そうに笑った。

紺のスーツをぴしっと着て眼鏡をかけた恭子は いかにも敏腕のマネージャーという
雰囲気の女性だ。


「お疲れ様でした~。 じゃあ、わたし これから大学に行くわ。」

それとは反対に ふわりとした雰囲気の優は TV番組の収録を終えてほっとしている。


「そうだったわね。送って行くわ。」


「ええ。 明日のドラマの撮影は午後からよね?」


「そうよ。・・・これから大学に行くのよね。ちょっと心配だな~。
 久しぶりだものね。・・明日、遅刻しないでよ、優。」


「わかってるわ。大丈夫よーー、恭子さん。」

優はそう言うと 花のように綺麗に笑った。


彼女のきらきらと輝くような笑顔に 恭子は思わずつられて笑ってしまうのだった。

 

若手人気女優 青山優。

15歳の時に芸能界にデビューし ここ一年で女優としての実力が認められてきた。

透明感のある感性豊かな演技力に加えて 最近 益々美しくなったと 業界でも噂になっていた。

その原因を知っている有能なマネージャーは 複雑な気分だった。

そう・・優のときめきは これから行く大学に向けられていたのだ。

 

 

   ―――――

 

  ―― K大学 横浜キャンパス ――

 


「・・・ということで 来週の水曜日の正午までにレポートを提出してください。
 いいですか? 一分でも過ぎたら即アウトです。 単位取得は諦めてください。」


広い講義室に低くて甘い声が心地よく響く。

文学部 社会学専攻の講師 深沢潤は静かに微笑んだ。
シルバー・フレームの眼鏡の奥の黒い瞳からの視線は 穏やかに、ゆっくりと周りに向けられる。


その瞬間 講義室にいた学生達から悲鳴に近い声が沸き上がった。

「先生~! そんな涼しい顔で 何て恐ろしいセリフを・・似合いませんよ~!」

「せめて期限を来週中に延長してくださ~い!」

学生達が嘆きの声を上げる。


「・・・合コンを三回から一回に減らして取り組めば 十分に間に合います。
 そうですよね? 高橋翔に・・・森下周平。」 

潤はその二人に にこやかに笑いかけた。

丁寧で穏やかな口調は かえって学生達を緊張させる。


「・・・何で名前まで覚えてるんだよ。」
「何で 合コンの予定まで知ってるんだ・・。」

二人は同時にぼやいた。

 

「・・では 皆さんの素晴らしいレポートを期待しています。」

あくまでも静かに温厚に 深沢潤は学生達を見渡した。


彼の涼しげな視線を浴びた学生達は は~っというため息を漏らした。

 

 

    ――――

 


私立K大学横浜キャンパスは神奈川県横浜市の北部に位置し そのキャンパスは
緩やかで広大な緑いっぱいの丘の斜面に広がっている名門大学である。

豊かな自然に囲まれた大学構内には 学生達の活気で溢れ
授業への取り組む姿勢がとても熱心な彼らは、広大な敷地内で
グループディスカッションを繰り広げる事も珍しくないようだ。


だが・・・中には授業以外の事にも熱心な学生もいる。


「先生!  深沢先生~、あの~、質問があるんですけど
 後で 研究室の方へお伺いしてもいいですか?」

「深沢先生~、あのっ ご一緒にカフェでコーヒーでもいかがですか~?」


キャンパス内で数人の女子学生達に囲まれた潤は くるっと振り返り
彼女達をゆっくりと見回した。

「・・質問なら今ここで聞くし コーヒーは朝からもう三杯も飲んでいます。
 ということで 質問は何ですか?」

潤はそう言うと 静かに微笑んだ。


「え・・あの・・えっと・・。」


「・・・では 質問内容をまとめておいてください。
 次の講義の時間に答えます。 いいですか?」


「は~い!! 先生!」
「わかりました~。では、今度はコーヒーじゃなく紅茶にしますっ!」
「きゃ~! お酒の方がいいんんじゃない?」

彼女達の黄色い声が飛び交う。


「・・・いや・・そういう意味じゃなくて・・。」

潤は困ったように笑うと 首を横に振った。

 

「きゃ・・・。」

そんな潤の何気ない仕草にも 彼女達は息を呑んでしまうのだった。

 

 

   ――――――

 

「・・ふ~ん・・。じゅ・・深沢先生 人気あるのね。
 知らなかった~。」

青山優はそう呟くと 賑やかな学生達に囲まれた講師の方をじっと見つめた。

仕事を終えて大学に来た彼女は 次の講義室へ移動する所で この光景を目にしていた。


「そうか、優は大学に来るの久しぶりだものね。
 最近 人気急上昇なのよ、深沢先生。
 ま、元々 長身であのルックスだし・・それに優秀で 
 そろそろ准教授になるんじゃないかって もっぱらの噂なのよ。」

優の友人である 北城奈美は なかなか会えない友人のために説明を始めた。

「以前は人を寄せ付けないような冷たい所があったのに
 最近、穏やかになったって みんな言ってるわ。」


「ふ~ん、そうなんだ。」

優はそう言うと微笑んだ。


「・・・講師だけにしておくのは惜しい かっこ良すぎる男 深沢潤 30歳
 ・・・一体 彼に何が起こったのか・・・ってね
 最近の女の子たちの話題はそればっかりよ。」


「奈美は 深沢先生に興味ないの?」

優は悪戯っぽい瞳で奈美を見た。


「え~?・・・だって 先生は10歳も年上なのよ?
 ・・・わたしにはちょっと問題外だわ!・・って
 優はもしかして 許容範囲なのーー?」


「・・・もちろんよ わたし 深沢先生、好きーーー!」

優はにっこり笑うと 大声で叫んだ。


「ちょっ、ちょっと優、声が大き過ぎ~!」


「え・・・・?」

 

気がつくと 深沢潤と彼を取り囲んでいる学生達が
驚いたように優を見ていた。

「ちょっと、女優の青山優よ。」
「今、先生が好きとか言ってなかった?」
「何て生意気なの~~。」
「ちょっと美人だからって大胆過ぎない?」

女子学生たちがヒソヒソ話をしながら 敵意むき出しの顔を向ける。

 

その時 潤が声をかける。

「青山優。」


「は、はい。」


「久しぶりですね。今日はこの後の講義を受けられますか?」


「はい、深沢先生。」


「では 前回提出したレポートで確認したいことがあるので
 授業が終わったら研究室の方へ来るように。」

眼鏡の奥の潤の瞳が穏やかに光る。


「はい、先生。」

優は にっこり笑うとお辞儀をしてその場から歩き出した。

 


「きゃ~!!先生ずるい! どうしてあの子ならいいの?」
「先生 あたしたちも行っていいですか~?」

 


彼女達の叫び声を後ろで聞きながら 優は嬉しそうにくすっと笑った。


「ちょっと、優、気をつけなさいよ。
 芸能記者にでも知られたら大変な事になるわよ。
 あなた・・女優なんだから。」

奈美は心配そうに後をついてくる。


「・・・大丈夫よ。大変な事なんて何も起こらないわ。
 わたしは 深沢先生に憧れてるだけなの。
 大人で、上品で、物静かで素敵なんだもの~。」

優はそう言うと明るく笑った。
 

「わ~、優ってば年上が好きだったのね。
 信じられな~い!。」


奈美の言葉に 優は頷くと 眩しい笑顔を向けた。

 

 

「おーー、優じゃないか! 久しぶりだな!!」
「優! 授業が終わったら合コンしようぜ。
 おまえがいれば すぐに人数が集まるからな~!」


「・・相変わらず 高橋君と森下君は合コンばかりしてるの?
 少しは勉強しなさいよーー。」


優を見つけて嬉しそうに駆け寄ってきた彼らに
彼女はあきれたように笑いかけた。

 
 

「・・・どおりで 同級生には見向きもしないわけだわ。」

そんな様子を見て奈美は 納得したように呟いた。

 

  


   ――――――

 


大学の講義の後 翌日の資料集めを終えて帰宅の途につく頃には
辺りはすっかり暗くなっていた。

バスから降りた潤は 自宅マンションまでの桜並木が続く歩道を歩いていた。

ひらひらと薄いピンクの花びらが落ちてくる。

潤はふと立ち止まると その木々を見上げた。

満開の桜だった・・・。


微かに愁いを憂いを帯びた黒い瞳が花を見つめている。


潤は ゆっくりと手を差し伸べると掌を上に向けた。


   ひらひら・・・ゆっくりと 花びらが落ちてきて 掌におさまる。

   小さな花びらが 彼の大きな手の中で重なり合う。

 


  桜の花の下での別れ・・・それは あまりにも儚げで切ない。


  桜の花の下での出会い・・・それは あまりにも穏やかで優しい

 

 

潤は ふっと笑うと掌の花びらをそっと包み込んだ。


そして また歩き始めた。

 

自宅のマンションが見えてきた。

潤は ゆっくりと見上げ 五階の自分の部屋を見る。

一人暮らしのはずの部屋に明かりが灯っている。

彼はやわらかく微笑むと少し足早に歩き出した。

 

 

部屋のチャイムは三度鳴らす。 ・・・これが合図。


すぐに 部屋の中からドアが開く。

 


「お帰りなさい! 潤先生!」

ドアを開けてくれた彼女は これ以上はないというくらいの輝く笑顔を向ける。

 

「・・ただいま。」

潤は そんな彼女を眩しそうに見つめ 優しく笑いかける。

 

部屋の中に入ると 彼女は潤の胸の中に身体を寄せてくる。

潤は彼女の華奢な身体をやわらかく抱きしめる。

まるで 大切な宝物のように胸の中に包み込む。

 


「・・すごく会いたかった・・潤先生。」

抱きしめた腕の中から 彼女は潤んだ瞳で彼を見上げると 小さく呟いた。

 

「・・僕も会いたかったよ・・優。」

彼は彼女の艶やかな髪をいとおしそうに撫でる。

彼の長い指が 彼女の白い頬 桜色の小さな唇に降りてくる。

 

 

そして どちらからともなく 二人の唇が重なり合う。

 

 


     やっと会えた二人の口づけは 儚くて優しくて穏やかで

               涙が出そうなほど切ないキスだった・・・。   

 
 

 

 

 
















画像 構成  ゆとゆと








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