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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1357234/1894475
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秘  密
大学講師の深沢潤と人気女優の青山優。                                                実は結婚していることは秘密。                                                       そして、優には誰にも言えないもう一つの秘密が…
No 12 HIT数 7892
日付 2009/04/02 ハンドルネーム aoi32
タイトル 秘密 10 愛してるだけじゃだめなんだ 前編
本文

   秘密 10  愛してるだけじゃだめなんだ 前編 

 





「ごめんね、優。 さっきは言い過ぎたわ。先生にも失礼なことを言ったわ。

 謝るから・・女優をやめるなんて言わないで。

 ・・先生とのお付き合いのこと・・どうすればいいか・・わたしも考えてみるから。

 ・・・それで・・・先生はどうしたの?  ・・・優?」


恭子はそう言って謝ると 一人で戻ってきた優を怪訝な顔で見た。

 


「・・・潤先生も・・同じ・・。・・・・もう一度、考えてみるって・・。

 一人で・・考えてみるって・・。だから・・しばらく会うのはよそうって・・。

 ・・・なぜ・・一人で考えるの・・?・・わたしと一緒じゃだめなの・・?

 潤先生・・それだけ言って・・かえっ・・・ちゃっ・・・た・・・。」


優はやっと言うとその場に泣き崩れた。


恭子と由紀子はどうしたらいいのかわからず途方に暮れていた・・・。

 

 

 

   ―――――――――

 

 


マンションの部屋に戻った潤は 車のキーをテーブルの上に置くと

締め切っていたカーテンと窓を開けた。


蒸し暑かった部屋の中に夜風が入り込んでくる。


潤はぼんやりと外の景色を眺めた。

 

 

数時間前

 

あの駐車場で優を抱きしめた。

“会いたかった!”と言って胸の中に飛び込んできた優の背中を何度も撫でた。

自分の思いを素直に表現する優が可愛くて離したくなくなる。

 

この部屋で優を後ろから抱きしめながら一緒にDVDを見た。

“これじゃ、いつ見終わるかわからないね・・と 優は困ったような顔をしていた。

あの顔を見ると もっとからかってみたくなる。

 

“まだ帰りたくない”と駄々をこねる優に

“そんなこと言うと襲っちゃうよ”とからかったら

“きゃ~、襲って~!”と答えられて逆に焦ってしまった。

 


今夜で三回目なのに まだ見終わらないDVD 


アイスティーを入れて飲んだガラスのティーカップが二つ


顔を寄せ合って撮った二人の写真を入れて 優が持って来た写真立て

 


それらは数時間前と変わってないのに 今は・・何かが変わってしまった。

 

潤はまた遠くを見つめた。

 

憂いを含んだ切ない瞳が 今ここにはいない優の笑顔を見つめている・・・。


潤はその面影に語りかける。

 

 

    ・・・優を・・愛してる・・・。

 

         でも・・それだけでは・・だめなんだ・・・・。

 

 

 

 

    ―――――――――――

 

 

 


雑誌の撮影を終えた優に、マネージャーの恭子が声をかけてきた。

 

「・・優? 何だか疲れてるみたいね。 明日の取材は延期してもいいのよ。

 今から連絡すれば大丈夫よ?」

恭子は優の顔を覗き込むと心配そうに言った。

 

「ううん、大丈夫。・・もうすぐ夏休みも終わりだからお仕事も終わらせる。

 ね、それより恭子さん、約束どおり9月からは大学の方に専念していいのよね?

 ちゃんと講義を受けなくちゃ・・単位ギリギリだもの、わたし。」

優は静かに微笑みながら言った。

 

「え、ええ。・・・そうね。 そのためにこの夏休みはずっと仕事してたものね。

 しばらくはスケジュール空いてるから勉強に専念して。」

恭子は戸惑いの表情を隠せない。

 

「・・・潤先生のことは心配しないで。・・・大丈夫よ。

 ・・あれから・・ずっと会ってないし・・連絡も取ってないもの・・。」

優は寂しそうに笑った。

 

「・・・優・・・。」


恭子はその横顔を見て心が痛んだ。

  
「ごめんね、優。あなたにはかわいそうなことをしてしまった。

 まるでわたしは意地悪な小姑みたいだわ。

 でも あの “潤先生”も情けない男よね。

 ・・聞けば彼とわたしは同い年っていうじゃない?

 わたしに反対されたくらいで“少し考えてみる”なんて・・。

 真面目で誠実なのかもしれないけど

 本気で優のことを好きなら、もっと強引に説得して見せればいいのよ。

 ・・・って、潤先生の悪口を言ったらまた優に怒られちゃうわね。


 ・・・わたし、何言ってるのかしら・・。あなたたちのこと認めたわけじゃないのよ。」

 

怒りながらぶつぶつ言ってる恭子の言葉を聞いて、優は思わず笑ってしまう。


「ありがとう、恭子さん。」


「え?」


「恭子さんにはいつも感謝してる。頼りないわたしをいつもかばってくれて・・助けてくれて。

 女優の仕事をしてこられたのも恭子さんのおかげだと思ってる。

 ごめんなさい・・女優をやめる・・なんて言って・・。」


「優・・・。」


「潤先生がおたがいに一人になって考えてみよう・・って言ったのがわかるような気がする。

 潤先生は知ってたのね。・・わたしが女優という仕事が好きなんだって・・。

 いつか 亡くなったママみたいな舞台女優になりたいって話したことがあるの。

 その時 潤先生は何度も頷きながら・・・“応援するから頑張れ”って言ってくれたの。

 何度も・・わたしの頭を撫でながら・・“頑張れ、優”って・・励ましてくれたの・・。

 だから わたしは “はい”って返事して・・。潤先生は笑ってくれて・・。
 
 真面目すぎるほど真面目で、でも 愛情深くて・・潤先生は・・そんな人なの。」

 

潤のことを思い出したら涙がこぼれてきた。

泣いたらいけないのに・・。もっと強くならなきゃいけないのに・・。

もっと大人にならなきゃ・・潤先生には会えない。

 

「・・・・優・・・。」


「・・でも・・会いたい。・・潤先生に会いたい・・・。」 


「・・・・・」

 

「・・今すぐ会いたいの・・でも・・会えない。」


優はそう言うとその場にしゃがんで泣き出した。


恭子は優の背中を撫でて慰めた。

何か言ってあげたかったが言葉が見つからない。

 


「あ、鬼マネージャーの恭子さんが 優ちゃんを泣かせてる~!」

「何てひどい人なんだ。可愛い優ちゃんを泣かせるなんてーー!」

 

「うるさーい! 余計なこと言ってないでさっさと片付けなさい! もう帰るわよ。」


若い撮影スタッフの野次に怒鳴りつける恭子。

 


    まったく・・。・・・もうっ・・・!

 

      もうーー!!  ・・・・・わかったわよ!


      ここは “青山優の敏腕マネージャー 恭子さん”の出番よ。


          ああ・・わたしって・・優の涙に弱いのよねーーー。

 

 

 

     ・・・恋する女はキレイさ~♪

 

恭子の頭にまたあのメロディーが浮かんできた。


彼女は慌てて打ち消そうとして頭を振った・・。

 


 





























                                後編へ続く・・・











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