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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1381232/1918473
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 22 HIT数 7392
日付 2010/01/07 ハンドルネーム aoi32
タイトル 片思い -6- 一発、殴らせろ!
本文

片思い -6- 一発、殴らせろ!



 
夜になっていた。

ソウルのオフィスビル街。

その中の一つのビルの最上階にある、ドンヒョクのオフィス。

誰もいない室内の明かりは消され、
付近の高層ビルのイルミネーションの光が窓から差し込む。

 

レウォンは、薄暗いオフィスルームの中で、
自分のデスクに座り、PCのディスプレイの画像を見ていた。

というより、そのちらつく明かりをぼんやり眺めていたのだ。

 

…もう、忘れよう

やっぱり、ボスには敵わない…そして俺の望みも叶わない

この会社も辞めよう


レウォンは頭を抱えた。

また涙が出てきそうだった。


…俺は、ジニョンさんの あの人の…

たったひと言に負けたんだ…

 

 

 

 

「カン・レウォン」


「!!!」

 

レウォンが振り返ると、そこにはドンヒョクが立っていた。

薄暗い部屋の中に浮かび上がるシルエット…


「…ボ…ス」

レウォンは思わず立ち上がる。


「…ジニョンが好きなのか?」

静かに、しかし体の奥底から搾り出すような低い声で、ドンヒョクが言う。

薄暗くて、その表情は読み取れない。


「…はい …好きです」

レウォンは言う。

そして覚悟する …殴られる!!!


「…そうか…」

ドンヒョクは静かに言う。

しかし、その背後に青白い炎が見える…気がする。


「…ボス?」


「おまえが、ジニョンを好きなのはわかった。
 いくら僕でも、その気持ちを押さえつける事はできない。
 それに…それだけ、彼女に魅力があるのだから仕方がない。
 本当は最悪な気分だが、その思いは認めてやるよ」


「…ボス…」


「だが、おまえがジニョンにした事は許せない」


「…はい…」


「だから、一発、殴らせろ」


「はい」


「ずいぶん素直だな」


「それだけの事をしましたから…」


その言葉にカッとしたドンヒョクは拳を上げた!

鈍い音をたてて、それがレウォンの顔を直撃した!

レウォンの体が吹っ飛び、ぶつかった椅子が次々に音をたてて倒れ
口の中が切れて、血が流れ出した。


「…うっ…」


倒れたレウォンは唇の血を手で拭うと、少し体を起こして、ドンヒョクを見上げた。


「…一つだけ教えてください」


「何だ」


「ジニョンさんは俺がした事に気がついたんですか?」


「ジニョンは何も知らない。
 知ったとしても混乱するだけだ」


「…ジニョンさんは知らないのに、ボスにはわかるんですね」


「……」


「なぜですか?」


「ジニョンは僕の半身だからだ。
 彼女が気づかなくても僕は知っているし
 僕の知らないことは彼女は教えてくれる。
 初めて会った時から、ずっとそうだった。
 おたがいに、なくてはならない存在だった。」

ドンヒョクは、一つ一つ言葉を選びながら言った。


「…半身…?」

レウォンは唇を噛み締めた。

ドンヒョクは、くるっと背を向けた。


「レウォン」


「…はい」


「明日、遅刻するなよ」


「俺は、クビ…じゃないんですか?」


「そんな馬鹿な事するか。
 今まで、おまえに仕事を覚えさせるのに、
 どれだけの時間と労力をかけたと思ってるんだ。
 そんな事したら全てが無駄になる」


「…ボス」


「だが、おまえがもうここで仕事をしたくないのなら、
 辞めてもかまわない…やる気のない奴はいらない。
 どうする? 自分で決めろ」


「俺は…ここで仕事をしたいです。
 ボスと一緒に仕事をしたいです!」


「そうか」


「はい」


「では、明日からまた鍛えてやる。覚悟しておけ」


「はい!」

レウォンは勢いよく返事をした。


ドンヒョクが振り向いた。


「…それから…おまえを採用した理由を、教えてやろうか」


「え?」


「突然、アポも取らずにやって来て、まっすぐに僕を見て、
 一緒に仕事させろって言ったおまえが、面白かったんだ」


「…はあ?」


「それだけだ」


そう言うと、ドンヒョクは、また背を向け歩き出し部屋を出て行った。

後に残されたレウォンは笑い出した。

なぜだか涙が出てきたが、もう我慢する必要はなかった……。

 

 


 ―――――

 

 

「…誰かいるのか?」

オフィスルームの明かりがつく。

レウォンは床に座り込んだままだった。


「レウォンじゃないか。何してるんだ?」


「レオさん」

そう言って見上げたレウォンの左頬が腫れている。


「何だ?その顔は。 喧嘩でもしたのか?」

レオが驚いている。


「いえ」


「…もしかして、ボスに殴られたのか?」


「……」


「まさか、告白したのか?」


「いえ、告白する前にふられました」


「そうか… よし、じゃあ、一杯飲みに行こう。
 こんな時は酒でも飲んで忘れるんだ」


「忘れられるでしょうか…」


「時間が解決するさ」


「はあ…」


「いいか、レウォン。悪い事は言わない。
 今度は男じゃなくて、女を好きになれ。
 まわりを見てみろ。いい女はたくさんいるぞ!」


「…あの、レオさん、前から言おうと思ってたんですが……」


「何だ?」

 

この後、やっとレオの誤解が解け、
二人は一晩中、飲み明かすことになる。

 


レオは思った。


だが、レウォン おまえ、本当に無謀な事をしたな

ジニョンさんを好きになるなんて

ああ、考えただけでも恐ろしい!

ボスに迫るよりはるかに恐ろしい…

だが、よく一発だけですんだな

これが、以前のボスなら…ああ、考えたくない!

 

レオは背筋が凍る思いだった……。


 








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