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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1352097/1889338
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 115 HIT数 8611
日付 2011/03/04 ハンドルネーム aoi32
タイトル あなたの瞳に映る私 -2- 幸福なキス 不幸なキス
本文

 









- 2- 幸福なキス 不幸なキス









「ジニョン、疲れてない?」

ひと通りの挨拶が終わった後、ドンヒョクはジニョンの肩を抱きながら
心配そうに彼女の顔を覗き込んだ。

「大丈夫よ、ドンヒョクさん。・・でも、やっぱり
 わたしは、支配人として裏方に徹した方が性に合ってるみたい。
 何だか緊張して、ドレスの裾を踏んで転んでしまいそうよ。」

ジニョンは悪戯っぽい笑顔を向ける。

ドンヒョクはふっと笑ってしまう。

「大丈夫だよ、ジニョン。ちゃんと支えてあげるから。
 それから、疲れたり気分が悪くなったら すぐに言って。
 サファイアヴィラを取っておいたから、休むといい。」

「え? サファイアで?」

「うん。 ここからなら本館に行くより近いだろう?」

「もう・・。」

「明日は休みだったよね。 だから、今夜はサファイアに泊まろう。」

「え・・。でも・・・何だか恥ずかしい・・。」

「何が?」

「だって・・周りはみんな、いつも一緒に仕事してる仲間達なのよ。
 それに 明日、部屋をお掃除するのは ハウスキーパーの人達だし・・。」

「・・・?・・・」

「・・ドンヒョクさんと一緒のベッドで眠ったのがばれてしまうじゃない・・。」

ジニョンは言ってしまった後に頬を赤くした。

思わず、ドンヒョクが声を出して笑い出した。

「ドンヒョクさん!」

ジニョンはますます赤くなっていく。

「な・・何を言い出すかと思ったら。」

ドンヒョクは肩を震わせて・・・・・笑っている。

「そ、そんなに笑う事ないでしょう、ドンヒョクさん!」

ジニョンは頬を膨らませている。

「・・かわいいな、ジニョンは・・。」

「もうっ・・。」

「いいかい、ジニョン。 僕達は夫婦なんだから 別々のベッドで眠る方が
 よほどおかしいと思わないかい?」

「・・それは・・。」

「それに、彼女たちは ゲストのために、清潔で快適な空間を作る
 プロのハウスキーパーなんだ。
 ジニョンが そんな事を気にしてると知ったら
 きっと残念に思うだろうな。」

「・・そうね。・・そうだったわ。」

ドンヒョクの言葉に 素直に頷くジニョンが愛しくてたまらない。

「それと、もう一つ。」

ドンヒョクは小さく咳払いをする。

「え?」

「・・最近、僕達は本当に一緒に眠るだけだろう?
 僕はお腹のベイビーとジニョンを抱きしめるだけ・・。
 ・・・極めてプラトニックな関係だと思うけど・・。」

「きゃ~!!! な、何て事言うの、ドンヒョクさんったら!!」
ジニョンは両手で頬を押さえる。

「ジニョン。」

ドンヒョクは笑いながら ジニョンの耳元で囁いた。

“・・この清らかな関係はいつまで続くの?
   僕は、どのくらい我慢すればいいんだろう・・・”


「!!!」

ジニョンはこれ以上ないというくらい真っ赤になる。

ドンヒョクはジニョンをからかって楽しんでいる。

「もうっ、ドンヒョクさんったら、こんな場所で・・。
 本当に・・信じられないわ。
 数時間前、パーティーなんて行きたくないって
 わがまま言ってたのは誰?
 それにしては、すご~く楽しんでるみたいだけど。」

「・・それはもちろん・・。」

「え・・?」

「・・ジニョンが傍にいるから・・。」

ドンヒョクはやわらかく微笑んだ。

「・・・・・」

ジニョンは 胸の高まりとともに、思わずうつむいた。

 

 

「・・いつもは冷酷で、ポーカーフェイスのシン・ドンヒョクが
 信じられない事に 声をあげて笑ってるが別人じゃないのか?・・と
 みんな言ってるぞ。」

ホールの設計を担当した 建築デザイナーのチェ・ウソンが寄って来た。

「まあ!」

「お!」

「馬子にも衣装ね!」

「馬子にも衣装だな。」

ジニョンとウソンは お互いを見て同時に声をあげた。

「・・・・・」

「・・・・・」

「ウソンさんと蝶タイ・・何だか不気味だわ。」

「ソ支配人、背中が開き過ぎだ。妊婦が身体を冷やしてどうする。」

「ご忠告に感謝します。しかし、僕の妻をそんなに見る必要はない。」

「お・・出た。理事の情けないほどの独占欲。・・ああ、恥ずかしい。」

「ちょっと、ウソンさん。 どこが恥ずかしいのよ。」

「・・ああ、それさえもわからなくなってるのか?あきれて言葉も出ない。
 ・・・お、妊婦が怒ってはいけない。・・おい、酒は飲んでないだろうな?」

「の、飲んでいません。・・今夜はジュースだけ・・。」

「そうか。 ・・ところで、出産祝いなんだが・・。」

「え?」

「俺が、特別にベビーベッドを作ってやる。」

「え?」

「頑丈で、安全性抜群の特製ベッドだ。」

「でも・・。」

「遠慮するなって。 俺は設計だけじゃなく、造る方もいけてるんだぜ。
 良い仕事させてもらって面白かったし、あんた達には色々世話になったからな。」

「・・・・」

「あ、でも ここの仕事は終わったが、
 ちょっと次の用事が済んでからになるからな。」

「次の用事?」

「ああ。今度、日本に行く事になった。」

「日本?」

「女房が東京の大学病院で手術を受ける。」

「まあ、奥様が?」

「あいつは退院したが完治したわけじゃないんだ。
 だから、いつまた発作が起こるかわからないんだ。」

「それで手術を?」

「世界的に有名な心臓外科の権威がいるらしい。
 日本の医療技術はかなり進んでいるようなんだ。」

「そう。良かったですね。」

「ああ・・。今の病院の外科医が紹介してくれたんだ。」

「ソウル病院の?」

「・・でも、本当は違うんじゃないかと思ってるんだ。
 その外科医と日本の外科医の間にもう一人仲介者がいるんじゃないかと。」

ウソンは そこまで言ってから、ちらっとドンヒョクを見た。
ドンヒョクは ずっとジニョンとウソンの会話を黙って聞いていた。

「・・・ソウル病院のアン医師を知ってるな?」

「・・・・」

ドンヒョクは微かに首を傾げた。

「アン先生って、わたしが怪我した時、お世話になったドクターよね?
 ドンヒョクさん。」

ジニョンは驚いてドンヒョクを見た。

「・・アン医師は口止めされてて何も言わないが 噂に聞くと
 どうやら、どこかのお節介な男が間に入ってくれたらしい。
 韓国だけでなく日本にも人脈がある、かなり顔が広い人物なんだろうな。
 そいつは・・・。」

ウソンはそう言うと またドンヒョクに笑いかけた。

ジニョンははっとした。

ドンヒョクは 表情を変えることなく静かに答える。

「・・本当にお節介な人間がいるんですね。」

「ああ、全くだ。 知らない振りして、涼しい顔をしてる気障な奴だよ。」

ウソンは面白そうに言うと、また笑った。

ドンヒョクは横を向くとふっと微笑んだ。


「・・・ドンヒョクさん、素敵!」

突然、ジニョンが叫んで ドンヒョクに抱きついた。

「・・・ジニョン? 珍しいな、こんな公衆の面前で
 君の方から抱きついてくるなんて。」

ドンヒョクが笑いながら ジニョンの背中を優しく撫でる。       
 
ジニョンは うっとりした顔でドンヒョクの胸に頬を寄せる。

「ジニョン?・・みんなが見てるよ。」

「・・・いいの。」

「・・・・」

「・・だって・・嬉しいんだもの・・。」


愛しい妻にぎゅっと抱きしめられて、さすがのドンヒョクも少し戸惑う。
ふと周りに目を向けると 彼が今まで冷徹に合理的な交渉をしてきた
経済界の大物達と目が合う。

 

「ドンヒョクさんは わたしの自慢のだんな様だわ。」

ジニョンがドンヒョクの胸の中で言う。

「・・嬉しい事を言ってくれるね。」

ジニョンの言葉に ドンヒョクの戸惑いは消えてなくなる。

 

  ―― シン・ドンヒョクの弱点は 彼のたった一人の妻だ 

      彼女の前では 彼はただの軟弱な男にすぎない ――


明日には こんな噂が広まるかもしれない。

それでも構わない。

そんなことは何の問題でもない。

ジニョン一人だけが認めてくれれば それでいい。

ジニョンがいつも笑顔でいてくれたら それだけでいい。

 

ドンヒョクはジニョンをきつく抱きしめる。


また 目の前で抱き合う二人を見て、ウソンはあきれたように言った。

「・・お~い、俺がここにいる事を忘れてないか?」


二人だけの世界に浸るドンヒョクとジニョンは
周りのことなど すっかり忘れていた・・・。

 


   ―――――

 


「ジニョン? 何だか疲れたみたいだね。顔色が悪いよ。
 サファイアに行って休んだ方がいいね。」
ドンヒョクがジニョンの頬に触れながら言った。
眼鏡の奥の黒い瞳が 心配そうに見つめている。

パーティーも終盤に近づいていた。

「大丈夫よ。ドンヒョクさん。
 でも、あなたの言うとおり少し疲れたかも・・。
 だから、お言葉に甘えて、少し休んでくるわ。
 すぐ元気になるから心配しないで。」
ジニョンは力のない声で応えながらも微笑んだ。

「連れてってあげるよ。」

「ううん、一人でも大丈夫よ。
 ドンヒョクさんは 最後までここにいなきゃ・・。」

「だめだ。心配だから、一緒に行く。」


ドンヒョクはそう言うと、ジニョンをかばうように彼女の身体を抱き寄せた。


「・・今夜はドンヒョクさんを一人占めしてしまったわ。
 あなたともっと話したがっているお客様がたくさんいたのに・・。
 わたしは理事夫人としては失格ね。」

ジニョンは気落ちしているようだった。


「何言ってるんだ、ジニョンは。
 君が一緒に来なかったら、僕はとっくにパーティーなんて抜け出してたよ。
 そして、すぐに家に帰って、ジニョンを抱きしめてキスをする・・。
 その方が何倍も楽しい。」


「ドンヒョクさんったら・・。」


ドンヒョクの低くて甘い声がジニョンの心を慰める。
どうして この人はこんなにわたしの事を大切にしてくれるのだろう。

ジニョンの大きな瞳が揺れる。
嬉しくて、押さえ切れないほど喜びが溢れてきて震えてしまいそうだ。


・・・こんなに幸せな事ばかり続くとかえって怖くなる・・。


「行こう。」

ドンヒョクはジニョンに手を差し出した。

ジニョンはにっこり笑うと ドンヒョクと手を重ね合わせた。


ドンヒョクは ジニョンの耳元で囁いた。


  “サファイアに行ったらキスしてもいい?”

  “あら、今日は ここではしないの?”

  “・・してもいいの?”

  “だめ・・” 

 

二人は顔を見合わせて笑った・・・。

 

 


「こんばんは、シン・ドンヒョクさん。」

手をつないだ二人が歩き出そうとすると、突然声をかけられた。

振り向くと 一人の若い女が立っていた。
目にも鮮やかな青いドレスを着た彼女は 美しい微笑を向けた。


「・・・?・・・」


「噂通りの愛妻家でいらっしゃるのね。」

彼女は 意思の強そうな大きな鳶色の瞳でドンヒョクを見つめた。


「・・・あなたは・・・?」

ドンヒョクは見知らぬその女性を訝しげに見た。


「今夜は あなたの忘れ物を届けに来たの。」

ドンヒョクの問いには答えずに、彼女は言った。


「え?」


彼女は意味ありげに笑うと、持っていた小さなバッグから
それを取り出し、ドンヒョクに見せた。

万年筆だった。


「あ・・。」
「まあ。」

ドンヒョクとジニョンは同時に声をあげた。

「・・・それを、どこで?」

ドンヒョクは驚いた顔で彼女を見た。

その黒い万年筆は 以前、ジニョンがドンヒョクに贈った
あの万年筆だった。

“いただくばかりじゃ申し訳ないので・・”と言いながら
恥ずかしそうに箱を渡してくれた あの時のジニョンの顔は今でも忘れられない。


しかし、次の彼女の言葉が ドンヒョクとジニョンの甘く切ない思い出を
あっという間に打ち砕いた。

「・・言っていいのかしら?」

彼女の赤い唇が妖しく潤んでいる。


「・・・?・・・」


「・・わたしの部屋のベッドの傍に落ちてたわ。」


「な・・・っ」

ドンヒョクは絶句してしまった。

ジニョンの胸が、どくん・・と波打った。
目の前がぐらりと揺れる。


「・・忘れたの? あなたとわたしが情熱的に過ごした、あの夜の事を・・。
 あの日、あなたが忘れていったのよ、ドンヒョクさん。」


「・・君は何を言って・・。」

ドンヒョクは言葉が続かなかった。


突然の出来事だった。


彼女が すっとドンヒョクに近づき、彼の首に両手を回し
ドンヒョクの唇を塞いだからだった。


彼女は 強引にドンヒョクと唇を合わせた。

 


まるで 映画のようなシーンに 会場にいた人々は声をあげた。


間近で それを見ていたジニョンは呆然と立ちすくんでいた。

 

もう・・周りのざわめきも聞こえなかった。                 

 

 

 



 

 




















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