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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 117 HIT数 8672
日付 2011/03/04 ハンドルネーム aoi32
タイトル あなたの瞳に映る私 -4- 彼を信じるということ
本文







-4- 彼を信じるということ

 







「・・レウォン?」

ハン・ユリが 部屋のドアを開けると カン・レウォンが立っていた。

レウォンの顔は険しく、青ざめている。

「・・突然、どうしたの?」

ユリは レウォンを部屋に招き入れながら言った。

「レウォンがこの部屋に来るのは 二年ぶりね。・・引越ししたと思ってたでしょう?
 ・・・でも わたし、ここが気に入ってるの。」

 

「・・おまえなのか?」


「え?」


「・・今夜のパーティーで 俺のボスに突然、キスした女っていうのは・・。」


「・・・・・」


「答えろよ! ユリ!」


「・・そうよ、わたしよ。」

レウォンは息を呑んでユリを見た。


「・・どうして、そんなこと・・。」 


「復讐よ。」


「復讐?」


「そうよ。 わたしから あなたを奪って、あなたを騙して、遠くへ行かせた
 あの二人を困らせてやりたかったのよ。」


「・・おまえ・・何・・言って・・。」


「わたし、知ってるんだから! レウォンが好きになったのは
 あなたのボスの奥さんで、だからNYに飛ばされたって!」


「はあ・・?」


「何、とぼけた顔してるのよ! 本当に、あきれるほどお人好しなんだから!
 今夜だって あの人に会えるって嬉しそうな顔して・・。
 あの人はレウォンを騙したのよ!・・なのに、ばかじゃないの?」


「ちょっ、ちょっと待て、ユリ。・・何だか おまえ
 激しく誤解してるような・・。」


「何が・・?」


「確かに、俺が好きになったのはボスの奥さんだけど、ずっと片思いだったし、
 俺の事は弟みたいにしか思えないってふられたし、眠っているジニョンさんに
 キスした時、ボスはその事を知っても 俺は一発、殴られただけで
 NY行きはちらっと言われたけど、その後 俺が希望して行かせてもらったし・・。
 ボスはすごく冷たいけど、何気なく力になってくれるし・・・・
 ああ、そうか! 俺もジニョンさんにキスしたんだった!」


「レ、レウォン?」


「何だよ~!! ユリと俺は 結局、同じ事をしてるんじゃないか!!
 俺って一体・・何なんだ??」

レウォンは頭を抱えた。


「・・・・・」

ユリは 少し前まで追いつめられた気分でいたのが
レウォンと話してるだけで 憂鬱な気分がどこかに飛んで行くような気がした。


相変わらず、天然で単純なカン・レウォン。

 

ユリは思い出していた。


レウォンと付き合っていた頃、自分はもっと素直で、いつも笑っていた。

彼の傍にいるだけで、幸せな気分になれた。

なぜか憎めない 人なつっこい瞳のカン・レウォン。


こんな彼を 誰も陥れることなんてしない。

・・・レウォンは 誰からも好かれる貴重な存在だった。




 

    ―――――



 


   サファイアヴィラ 午後11時
        


「・・・ドンヒョクさん・・。」

ジニョンは ゆっくりと手を伸ばした。

タキシードを脱いで 蝶タイを解いたドンヒョクは
ベッドの上に肘をついて、手を組んでうつむいている。


「・・ジニョン。 気がついたのか?」

ドンヒョクは はっとしてジニョンの白い手を両手で包み込んだ。


「・・ここは・・サファイアヴィラ?・・わたし・・どうして・・。」

ジニョンは ぼんやりしたまま辺りを見回す。


「パーティーの途中で、貧血をおこして倒れたんだ。・・・覚えてない?」

切ない瞳をしたドンヒョクの大きな手が ジニョンの頬を撫でる。


「あ! ・・・・・。」

ジニョンは驚いて起き上がろうとしたが ふらっと目眩がして頭を押さえた。


「ジニョン、まだ寝てなきゃだめだ。」

ドンヒョクはジニョンの身体を支えて ゆっくりとベッドに寝かせた。


「ドンヒョクさん、赤ちゃんは?・・わたしたちの赤ちゃんは・・。」

ジニョンはすがるような瞳でドンヒョクを見つめる。


「大丈夫だよ。僕達のベイビーは、とても元気だ。」

ドンヒョクは やわらかく微笑んだ。

「良かった・・。 」

ジニョンは安心すると ゆっくりと目を閉じた。


「・・ジニョン?」


「あ!」

また、思い出したようにジニョンは目を開けて、ドンヒョクを見た。

「・・わたし・・また、あなたに迷惑をかけてしまったの?
 ・・もしかして・・あのせいで、わたしが倒れたって
 あなたも、みんなも・・思ってる?」


「え?」


「違うのよ。さっきは・・疲れてて、気分も良くなくて・・
 貧血をおこしただけなの。」


「ジニョン。」


「・・・これじゃ・・まるで夫のキスシーンにショックをうけて
 倒れてしまった、か弱い妻みたいじゃない・・。」


「・・・・・」


「それに・・ドンヒョクさんは 浮気相手の女性が押しかけてきて
 突然キスされちゃった 遊び人の夫みたいじゃない・・。
 ああ・・どうしましょう・・。」


「・・・・・」


「ドンヒョクさんの お仕事関係の方がたくさん来てたのに・・
 一人一人、説明して・・まっ・・・・。」


ジニョンのお喋りが止まったのは ドンヒョクのせいだった。


「・・・・・」


しばらくして、ドンヒョクが唇を離すと ジニョンはぼんやりとドンヒョクを見た。


「・・ジニョン・・。少し、黙って・・・。」


「・・・・・」


「ジニョンが信じてくれれば、それでいい。」


「ドンヒョクさん。」


「他の人はどうでもいいんだ・・。ジニョンが わかってくれれば
 僕はそれだけで嬉しいよ。」


ドンヒョクは もう一度ジニョンと唇を重ねる。

優しく、やわらかく、二人の唇が求め合う。


「・・・ドンヒョクさんのことを信じてるわ。」

ジニョンは潤んた瞳でドンヒョクを見つめる。

青白かった彼女の頬が ほんのりと色づいてくる。


「・・うん。」


ドンヒョクは ジニョンに また口づけをする。

何度も確かめるように、二人の唇が重なり合う。

ジニョンの瞳が大きく揺れる。


「あの人が言ってたことは全部、嘘だってわかってるからいいの。
 でも・・ドンヒョクさんにキスしたのは許せないの。」


「わかってる。」


「・・・他の人とキスなんかしないで。」


「僕がキスしたいのは ジニョンだけだ。」


ドンヒョクの言葉を聞いて ジニョン大きな黒い瞳から涙が落ちる。


「ドンヒョクさんとキスができるのは わたしだけよ・・。」


彼女の唇が少し開いて ドンヒョクのキスを待っている。

ドンヒョクはジニョンの願いをかなえてあげる。


ジニョンの潤んだ瞳と唇が ドンヒョクを求めていた・・・。

 


ジニョンの白い手がドンヒョクの腕を引き寄せる。

ドンヒョクは眼鏡を外し、サイドテーブルに置くと ベッドのジニョンの隣に滑り込む。

シーツの衣擦れの音が 静かな部屋の中で響く。


ジニョンはドンヒョクに身体を寄せて、彼の逞しい胸の中でうっとりと目を閉じる。

そして、ジニョンは、ドンヒョクの手を取って自分の頬に重ね合わせる。


「・・こうして、サファイアヴィラで ドンヒョクさんと一緒に眠るなんて
 思わなかったわ。」


「・・そうだね。」

ドンヒョクはやわらかく微笑む。


「ドンヒョクさんは ここで眠れなかったことある?」


「あるよ。」


「いつ?」


「ダイヤモンドヴィラで初めてジニョンと踊った時、
 何だか胸が落ち着かなくて・・その後、ジニョンと電話で話をしたけど
 やっぱり眠れなかった・・・」


「ああ・・あの時・・。」


「それから、ジニョンにネックレスをつき返された時も
 ジニョンに初めてキスした時も
 ジニョンが教会に来てくれなかった時も
 ・・・ジニョンに NYには一緒に行けないと言われた時も。」


「・・・みんな・・わたしが原因なの?」

ジニョンはショックを受ける。


「そうだよ。全部、ジニョンのせいだ。・・だから、ジニョンは
 僕がよく眠れるように協力する義務がある。」


「・・どうすればいいの・・?」


「これからもずっと僕と一緒に眠ること・・。」


「え?」


「ジニョンが傍にいれば 僕は安心して眠れるんだ。」


「・・それでいいの?」


「うん。」


「それなら、今までずっとそうしてきたじゃない。
 ああ・・そうね。 だから、わたしも安心して
 ドンヒョクさんを信じることができるのかも・・。」


「・・ジニョン。」


「・・いつか、あなたは言ったわ。 

 “信じられないことを信じる・・それが本当に信じるということ”だって。

 それなのに、わたしはあなたを信じられなかった。 

 あなたのことを疑ったり、裏切ったりしたわ。

 でも、今のわたしは ドンヒョクさんのことを信じられるわ。

 信じられないことなんてないの。

 だって・・ずっとドンヒョクさんと一緒に生きてきたのよ。

 朝、起きると ドンヒョクさんに“おはよう”って挨拶して

 朝ごはんを一緒に食べて、お休みの日はどこかに行ったり

 家で一緒にDVDを見たり、一緒にコーヒーを飲んだり、話もたくさんして

 夜は一緒に眠って・・・そんなふうに、二人で過ごしてきたんだもの。

 ・・・ずっとわたしたちは一緒だったのよ。

 わたしは ドンヒョクさんを ずっと見てきたの。

 だから・・わたしはドンヒョクさんを信じられるの。」

ひと言ずつ 言葉を選びながらジニョンが言う。


ドンヒョクは 自分の腕の中で 切々と告白するジニョンの言葉を
体中で受け止める。


他の何よりも熱く、切なく 胸に響く“信じてる”という言葉・・・。


「・・すごいな、ジニョンは。」


「え?」


「・・ジニョンは いつも僕に大事な事を教えてくれる。
 暗闇から明るい光の中へ連れ出してくれる。」


「・・・ドンヒョクさん・・・。」 


「だから僕は ジニョンと離れられないんだ。
 ・・・ジニョンがいないと 僕は生きていけない・・。」              

ドンヒョクは ジニョンの身体を抱き寄せる。


ジニョンは 額にドンヒョクの熱い吐息を感じ、彼の低くて甘い声に酔う。 


ベッドの中でよりそう二人は 安心しきってお互いの温もりを確かめ合う。

 

「・・・愛してるよ ジニョン。」


「・・わたしも・・愛してるわ ドンヒョクさん。」

 


     ・・・今夜も一緒に眠ることができて嬉しい・・・

 





   ――――――

 




深夜のサファイアヴィラで ファックスの受信音が鳴り響く。


隣の部屋のベッドで 眠っていたはずのドンヒョクの目がゆっくりと開く。

彼は 彼の胸の中で眠っているジニョンから そっと腕を外した。

そして 身体を起こすと ジニョンの額にかかる髪を指で上げて
そこにキスを落とした。


ジニョンは すやすやと静かな寝息をたてて眠っていた。

彼女の寝顔は まるで微笑んでいるように安らかで
ドンヒョクに限りない信頼感をよせているような気がした。

ドンヒョクの中に ジニョンへのあふれるほどの愛しさがこみ上げてくる。

 

ドンヒョクは ベッドから降りると、部屋の扉を開けた。

そして ファックスで送られてきた用紙を手に取った。


「・・・これは・・。」

報告書を見たドンヒョクの顔色が変わった・・・。

 




 

   ―――――――





 

   ―― 翌朝 ――

 

サファイアヴィラに来客を告げるチャイムが鳴る。

部屋の扉が開く。


「・・・そろそろ来る頃だと思ったよ。  カン・レウォン。」

ドンヒョクはそう言うと、緊張した面持ちのレウォンと
彼の隣でうつむいているユリを見た。


「・・・やっぱり、調べはついてるようで~・・・。」

さすがのレウォンも、恐る恐るドンヒョクを見た。

ドンヒョクは表情を変えることもなく、微かにため息をついた。

 

ふと空を見上げると 眩しいほどの朝陽が降りそそいでいた。

木々に積もった雪に光が反射して輝いている。

豊かな自然に囲まれたサファイアヴィラに 小鳥の囀りが聞こえる。

 

・・・新しい朝の始まりだった。                    

 

 


 











































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