「ドンヒョクさん、日本語も少し喋れるようになったのね。」


「ジニョンが教えてくれたおかげかな。」

「ふふ・・発音も完璧よ。さすがドンヒョクさんね。」

「ジニョンが褒めてくれるなんて嬉しいね。」

「記憶力も抜群なのよね。　ねえ、ドンヒョクさん。
　わたしが　あなたに初めて教えてあげた日本語・・覚えてる？」

「もちろん。」

「言ってみて。」

「ボクダケヲミテ・・・ボクノハナシダケヲキイテ・・。」

「・・・・・」

「ジニョン？」

「ホカノヒトニハ　イワナイデ。」

「え？　今、何て言ったの？」

「教えな～い。」

「意地悪だな　ジニョンは。」

「あら、ドンヒョクさんに似てきたのかもね。」

「僕が意地悪？」

「そうよ。ドンヒョクさんは時々、すごく意地悪になるもの。」

「ジニョンが初めて教えてくれた日本語なんだけど。」

「？」

「最近、使う機会があって・・。」

「え？」

「あの言葉は　ジニョンにしか言えないと思っていたけど。」

「誰に言ったの？」

「ジニョンと同じホテリアーだよ。日本人女性だけどね。」

「ひどい。」

「ジニョン？」

「ひどいわ、ドンヒョクさん！　そんなことするなんて！」

「ジニョン　僕の話を最後まで聞いて。」

「え・・？」

「マエダケヲミテ・・って言ったんだ。」

「マエダケヲミテ？」

「自分自身を信じて　前だけを見てっていうことだろう？」

「ええ、そうよ　ドンヒョクさん。」

「そう言ったんだ。」

「ドンヒョクさん・・。」

「安心した？」

「意地悪ね、ドンヒョクさんは。」

「僕は意地悪なんだろう？」

「そうよ。　やっぱりドンヒョクさんは意地悪だわ。」

「ジニョンの怒った顔が可愛いから　つい、意地悪したくなるんだ。」

「もうっ・・。」

「ジニョン。」

「え？」

「ボクダケヲミテ・・・ボクノハナシダケヲキイテ・・。」

「ホカノヒトニハ　イワナイデ・・。」

「何て言った？」

「あなたを愛してる・・って言ったのよ。」

「そんな言葉だった？」

「そうよ。」

「じゃあ、ジニョン・・・ホカ・・ノヒトニハ・・イワナイ・・デ？」

「ええ・・。ドンヒョクさん。ホカノヒトニハ　イワナイワ。」

「・・・・・・」

「ドンヒョクサンヲ・・・アイシテイマス。」

「ボクモ　アイシテル・・ジニョン。」

「完璧ね。」

「でも、これが愛してるっていう言葉じゃなかった？」


「他にも言い方があるのよ。・・日本語は奥が深いの。
　それよりドンヒョクさん。
　もうひとつ　あなたに完璧に答えてほしいことがあるの。」

「何かな？」

「いつだったか　あなたのハンカチに微かな香水の香りがしたことがあったの。」

「え・・・？」

「それも　その　可愛い日本女性のホテリアーに貸してあげたのかしら？」

「可愛いなんて言ったかな。」

「言わなくてもわかるわ。」

「ジニョンの方が　ずっと可愛いよ。」

「・・・・・・」

「アイシテル・・・ジニョン。」

「・・・・・」

「ホカノヒトニハ　イワナイデ・・。」