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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 125 HIT数 7210
日付 2011/05/17 ハンドルネーム aoi32
タイトル 若葉のころ -First of May - 後編
本文


- 後編 -







あの後 ドンヒョクさんからの電話もメールの返事もなかったわ。

きっとお仕事が忙しくなってそれどころではなくなったのね。


しばらくお店で待っていると 外は次第に小雨になり明るくなってきた。


短かった通り雨が止んで ハンバーガーショップを出ると
雲の切れ間から明るい光が差し始めている。


良かった! 

さあ、赤ちゃん。 次の場所へ出発よ。

 

 

   ―――――

 


ここまで来て やっと気がついたわ。

遊園地の観覧車 パレード。つつじの名所の公園。 漢江の辺の散歩道。

・・一人で歩くには寂しすぎるの。

ばかね、わたしは。・・自分でも呆れるくらい何も考えていなかった。


わたしは いつもそうなの。


ぱっと思いついて すぐに行動してまう。

そしていつも後悔する。


やっぱり・・ドンヒョクさんと一緒に来ればよかった。

意地を張らないで あなたが帰ってくるまで待ってればよかった。

仕事が忙しいのだから無理しないで・・なんて 良い奥さんのふりなんかしないで

わがままを言えばよかった!

 

雨に濡れた若葉がきらきらと輝いて 今のわたしには眩しすぎて・・目にしみるわ。

 

後悔だらけのソ・ジニョン。

ねえ、赤ちゃん。 こんな わたしはあなたの 良いママになれるのかしら?


ドンヒョクさんにも迷惑かけてばかりいるし 何だか自信がなくなってきちゃった・・・。


最近 こんな風に 元気で穏やかな気分でいたかと思うと

次の瞬間 ふと不安になったり 自信をなくしたりするの。


   ・・・こういうのを マタニティー・ブルーっていうのかしら?

 

 

 

   ― ドンヒョクさんへのメール ―

 

   ドンヒョクさん。

   明日になったら帰ってくるのよね?

   待ってるから 早く帰って来てね。

   これから あの教会に行きます。

   考えてみたら 一人で行くのは久しぶりだわ。

   ・・ああ、赤ちゃんも一緒だったわね。

   これで 今日のお出かけはおしまいにするわ。

   じゃあね。また家に帰ったら連絡します。


                  ジニョン

 

 


   ―――――――

 


キィ……という音を立てて扉が開いた。

ゆっくりと教会の中に入ると 黒い服を着たシスターが一人、十字架の前で祈りを捧げていた。 

もうすぐ夕暮れを迎えようとしている。

教会の中に淡いオレンジ色の夕陽が差し込み、ステンドグラスを照らしている。

幻想的な光が シシターの美しい横顔を優しく包んでいる。


わたしは 静かに そのシスターの斜め後ろに座った。

そして そっと手を合わせ、ゆっくりと目を閉じて祈りを捧げた。

 

生まれてくる赤ちゃんのこと ドンヒョクさんのことを思いながら祈った。

 

   ・・神様 わたしたちにかけがえのない天使を授けてくださって感謝しています。

      どうぞ この子が無事に生まれるように力をお貸しください。


       それから・・わたしたちのドンヒョクさんのことをお守りください。

         もっと、もっとドンヒョクさんが幸せになれますように・・。

 


祈りを終えて目を開けたわたしの前に 優しく微笑んだシスターがいた。


「お祈りはお済みですか?」

シスターはにっこり微笑むとわたしの隣に座った。


「はい、シスター。」

わたしは シスターのやわらかな声にほっと安堵して答えた。
 
 
シスターは首元でキラキラと輝いている十字架の前で手を組むと静かに言った。

「・・・あなたに神のご加護がありますように・・。」


「ありがとうございます、シスター。」


「お腹に赤ちゃんがいらっしゃるのね?」

シスターがわたしのお腹の膨らみを見て微笑んだ。


「はい。」

わたしは少しうつむくと自分のお腹に手を当てた。


「・・確か 今年の初めぐらいにも ここへいらっしゃいましたよね?」


「覚えててくださったんですか?」


「あの時は 背の高い男性とご一緒でしたね。」


   ・・・・・・・・・・

       ・・・・・・・・・・・・・・・


ああ ドンヒョクさん。

あなたって・・本当になんて人なの。

あなたにその気がなくても 誰もがあなたに惹かれる。

・・・それは仕方のない事なの?

カフェのミナさん、産婦人科医のチャン・ヨンエ先生、そして・・・

  神様に仕えるシスターまで・・・。

 

わたしがこんな思いをめぐらせていた事に シスターは気づいたのかもしれない。

シスターはにっこり笑って言った。

「誤解なさらないで。 あの時、お二人がとてもお幸せそうだったから。
 それで覚えていたんですよ。」


「まあ、そうだったんですか。」

わたしは恥ずかしくなってしまった。ああ、神様 愚かなわたしをお許しください。

そうだったわ。 去年の終わりに妊娠した事がわかって 今年に入ってから
ドンヒョクさんと二人で この教会を訪れたのだった。

あの時も 神様に感謝して 赤ちゃんが無事に生まれるように祈ったわ。


「それに・・あの男性は、その後もここにお見えになっていましたから・・
 だから、余計に印象に残っていたのかもしれませんね。」


「え? 彼がここに?」


「ええ。何度かお一人でいらっしゃって 静かに祈りを捧げてましたよ。」


「・・・そうだったんですか・・・・。」

 

わたしはそれだけ言うと もう言葉が出てこなかった。

なんて事なの。・・・ドンヒョクさんが一人でこの教会に来ていたなんて・・・。


「あなた方に神の祝福がありますように・・・。」

シスターは温かい言葉を残して、その場から去っていった。

 

一人残されたわたしは 目の前の十字架を見つめた。


この席に座って 一人で大きな手を合わせ、眼鏡の奥の深い瞳を閉じて

静かに祈りを捧げているドンヒョクさんの姿が見えるような気がした。


真摯で 神々しいほど美しい横顔。


         ・・・あなたは何を祈っていたの?

 


  そうね・・・わたしにはわかる。


  ああ・・そうだったわ。


ドンヒョクさんは そんな人だった。


わたしは知っていたわ。・・・あなたの本当の優しさを 愛の深さを・・・。

誰にも負けない 広くて大きな愛で いつもわたしを包んでくれたことを・・。


“ねえ ジニョン。 僕は 生まれてくる子供の良い父親になれるんだろうか?”

あなたは 不安そうな顔をして 何度もわたしに問いかけた。

お母様が亡くなって お父様とも離れて生きていかなければならなかったあなたは 

肉親の愛情というものを知らなかった。

だから 自分の子供にも愛情を注げるかどうか不安だったの?

 

大丈夫よ ドンヒョクさん。

だって あなたは この上なく誠実に謙虚に 赤ちゃんのことを受け止めてくれたじゃない。

わたしたちの赤ちゃんのことを愛してくれてるもの。

不器用なあなたは 最初は戸惑ったような眼差ししか向けられないかもしれないけど

でも、大丈夫。

赤ちゃんは あなたを愛してやまないわたしのお腹の中にいるのだから。

わたしたちは ドンヒョクさんを愛してるの。


まだまだ頼りなくて不安がいっぱいのドンヒョクさんとわたし。

生まれてくる赤ちゃんと一緒に成長していきましょうね。


だって ドンヒョクさんとわたしはお互いが半身同士なのだから・・・。 
 

ね? そうでしょう ドンヒョクさん。

 

   ・・・・・・・・・・・・・・

 

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ドンヒョクさんに話したいことがたくさんあるの。

でも あなたからの連絡は 最初の電話の後 途絶えてしまったわ。

お仕事が忙しいのね。

でも わたしが行った場所はちゃんと教えてるから心配してないわよね?

 
ほんの数時間だったけど 今日、色々な場所へ行けて良かったわ。

でも どこに行ってもドンヒョクさんのことを思い出していた。

そうね。今日は “あなたと行った思い出の場所を巡る旅”? だったのよね。

   ・・・・あなたを思い出すのは当然だったわ。

 

   ・・・あ~あ・・・。何だか悔しい・・・。


・・・もっと あなたのことが好きになったかもしれない。

 

 

 


   ―――――
  
   

 

重たいお腹を抱えて 半日近くバスに乗って歩き回ったわたしは さすがに疲れたみたい。


・・・ああ、神様 どうしようもないわたしをお許しください。


わたしは また神聖な教会で居眠りをしてしまったの。


最初に ここにドンヒョクさんに連れて来られた時も眠っちゃったのよね。

あの時は とてつもなく早い時間だったのに ドンヒョクさんに無理矢理起こされて

眠くて眠くてしかたなかったのよ。


それなのに・・・


“ どこでも眠れるソ・ジニョン。 頼むから 他の男の前では絶対に寝ないように。

  でないと 僕は心配で心配で 夜も眠れない。・・・わかってる?”

後になって ドンヒョクさんは 本当に真剣な顔で言った。


あの時 わたしはあなたに、こんな大雑把な印象を与えたのね。

 

今日は少し疲れてしまったの。・・・それに 妊婦はいつでも眠くなるのよ。

 

    ・・・・・・・・・・・

 


         ・・・・・・・・・・・・・・・

  

 


だから わたしは気がつかなかった。


また キィ……という音を立てて教会の扉が開いた。


濃いオレンジ色の夕陽を背中に浴びて 一人の男の人が中に入ってきた。

すらりと長身の彼は 身体を斜めにして椅子に寄り掛かっているわたしを見つけた。

そして また何も考えずに無防備に眠りこけているわたしを見て 呆れたように首を振った。

でも しょうがないな、という顔をしてやわらかく微笑んだの。

彼はわたしの隣に座ると 静かにわたしの身体を抱き寄せた。

わたしは眠りから覚める事もなく 彼の肩にもたれていた。


彼の大きな手がわたしの髪を撫でて 長い指が頬に優しく触れた。


彼は わたしの耳元で囁いたの。

 

「帰って来たよ ジニョン。・・・居眠りしてる君に この肩を貸すためにね・・。」


彼は わたしの瞼にそっとキスを落とした・・・。

 

 

 


その時 のん気なわたしは夢を見ていた。


とても、とても幸せな夢を見ていたの。

 


緑の風薫る5月。


初夏のきらきらと眩しい日差しを浴びて ドンヒョクさんが走ってくる。

真直ぐに前を見て 長くてすらりとした脚で颯爽と走ってくる。

白いトレーニングウェアを着たあなたは わたしたちを見つけてサングラスを外す。


目映いほどの若葉が風にさわさわと揺れている。


あなたが あまりにも眩しい笑顔を向けるから わたしも思わず微笑み返してしまうの。


わたしの腕の中には 純白のベビー服を着た赤ちゃん。


ああ、なんて可愛いんでしょう!

こんなに綺麗で可愛い赤ちゃんは見たことないわ!


ふわふわしてて 甘い香りがして やわらかくて 天使のような赤ちゃん。


ドンヒョクさんが おいで、と言って両手を差し出した。

小さな赤ちゃんの大きな瞳がドンヒョクさんをじっと見る。

赤ちゃんはドンヒョクさんの方へ行こうとして手を伸ばすの。

重なり合う大きな手と小さな手。

ドンヒョクさんの長い指をぎゅっと握る赤ちゃんのぷくっとした手。


ドンヒョクさんは軽々と赤ちゃんを抱き上げ 青空に向かって高く上げる。

彼の両手は空に届きそうなほど高く 赤ちゃんを持ち上げるの。 


きゃっきゃっと楽しそうに声を上げる赤ちゃん。

 

ドンヒョクさんとわたしも同じように声を出して笑った。

 


眩しい日差しを浴びて 清々しい緑の木々が風で薫る頃・・・。

 

わたしたちは 美しい若葉色に染まっていた・・・。    

 

   





























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aoi32
ヨンkissさん、こちらにも ありがとう~!本編でジニョンは外のベンチで、ホテルのカウンターで?寝てましたよね。そのイメージが今でも残っています(笑) 2011/08/27 16:54
ヨンkiss
何処でも寝れるジニョン・・・妊婦だからそうかもしれないけどジニョンの場合そうではないでしょ?ドンヒョクの心配のたねは増える一方ね?! (^^ゞ am.2:38 2011/05/19 02:29
 
 

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