ブロコリ サイトマップ | ご利用ガイド | 会員登録 | メルマガ登録 | 有料会員のご案内 | ログイン
トップ ニュース コンテンツ ショッピング サークル ブログ マイページ
aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
サークルオーナー: aoi32 | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 297 | 開設:2008.03.05 | ランキング:100(3927)| 訪問者:1352034/1889275
開設サークル数: 1238
[お知らせ] 更新のお知らせ
容量 : 30M/100M
メンバー Total :297
Today : 0
書き込み Total : 957
Today : 0
ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 129 HIT数 7276
日付 2011/08/27 ハンドルネーム aoi32
タイトル チョコレートの恋人
本文
チョコレートの恋人

 

 


     「ジニョン。」


     「なあに、ドンヒョクさん。」


     「・・今朝 僕も 言い忘れた事があって。」


     「え・・何かしら?」


     「・・・来年のヴァレンタイン・デーも 期待していいかな?」


     「ええ。 じゃあ、来年も傍にいてくれるのね。」


     「うん、約束する。」


     「約束よ。」      

 

      来年も、再来年も、その次の年も・・ずっとずっと傍にいてね。

 

 

 
          。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。゚♡゚・。♥。

 

 


オフィスビルのエントランス・ホール。

緩やかな光が差し込む吹き抜けのロビーを進むとエレベーターホールに辿り着く。

そこには 目にも鮮やかな色とりどりのスーツを着たオフィスレディ達が溢れていた。

このビルに これ程多くの女性がいたのかと思うほどの人数だ。


何だこれは!と地味なビジネススーツを着た男達は遠巻きに彼女達を見ている。

エレベーターに乗ろうとするが、彼女達の冷たい視線を感じて思わず足を止める。

一体、何なんだ! ビジネスマン達は訝しげに思うが先に進むことができない。

なぜ彼女達はエレベーターに乗ろうとしないで、ここに立っているのだろう。


その時、地下駐車場から上がってきたエレベーターの扉が開く。


「来たわ!」
「ここよ!」
「行くわよ!」

まるでそれが合図のように、彼女達は一斉にエレベーターの中に駆け込んでいく。

無念にも、一歩遅れて入りきらなかったオフィスレディ達は後から上ってきた
別のエレベーターに押し寄せる。

それにも遅れを取った彼女達は悲鳴をあげながら 
また別のエレベーターに乗って追いかける。


そして・・誰もいなくなった。

後に残されたのは呆然とその光景を見ていた男達。


  ・・・・何だったんだーーー!!!


訳のわからないビジネスマン達は 
お互いに妙な連帯感を感じながら顔を見合わせて苦笑した。

 

 


   。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。

 

 

「・・何とか渡せたわね。」

「良かった~! 何しろ一年に一度のことだものね。」

「そうそう、こんな時じゃないとあの方の近くに行けないものね。」

「あたし、彼の身体に触っちゃった~!」

「あたしなんて目が合っちゃったのよ。」

「・・びっくりしてたわね。」

「あれだけの女に囲まれたら、さすがにクールな彼も動揺するわよね。」

「でも、いつ見てもいい男だわ。」

「何だかますます素敵になっていくような。」

「でも、妻子がいるのよね。」

「しかもかなりの愛妻家だという噂。」

「その彼にチョコを渡すことに必死になってるあたし達って。」

「一年に一度のイベントだからいいのよ。」

「今日だけだものね、こんなに近くでお顔を見られるのは。」

「うん、みんなで行けば怖くない。」


    ・・・・・・・・

      ・・・・・・・・・

はぁーーーーーーーーー

一気に喋りまくったオフィスレディ達は長~いため息をついた。

 

 


   。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。

 

 

オフィスのデスクの上に山積みにされたチョコレートの箱には目もくれず

シン・ドンヒョクはぼんやりと物思いにふけっていた。

 

  “誰よりも先にチョコレートを渡したかったの”


  “来年も傍にいてくれるのなら”


初めて二人で迎えた三年前のヴァレンタイン・デー

あの時、ジニョンはそう言ったのに。

今までその言葉どおり、誰よりも先にチョコレートをくれたのに。


今朝はあの涼やかな声を聞くこともできなかった。

眩しい笑顔を見ることもできなかった。

ジニョンはベッドでぐっすりと眠ってて目を覚ますこともなかった。

 

・・・わかってる。

昨夜、ジニョンは夜泣きをする娘のジュナに付き合って寝たのは夜明け近かった。

きっと、疲れ果てて 今日がそのヴァレンタイン・デーだということも忘れてるのだろう。

結婚前と去年までの二人だけで過ごした濃密な時とは状況が変わってしまったのだ。

わかってる。僕はそのあたりは冷静に考えられるはずだ。

育児に疲れた妻を思いやるのは、心が広い夫としては当然の事だ。

 

    ・・・・だが・・・。


ドンヒョクは深くため息をつくと、部屋のガラス越しに外の風景を眺めた。

憂いのある横顔がソウルの街を見下ろしている。

そんな様子のドンヒョクを見て、きっと大きな仕事を抱えて
いろいろ考えあぐねているのだろう、と彼のオフィスのスタッフは思っていた。

まさか、あのシン・ドンヒョクが 最愛の妻からチョコレートをもらえずに
少々、いや、かなり拗ねていたなんて誰一人として気づくはずはなかった。

 

 


   。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。

 

 

ソウルホテルのフロントで、ドンヒョクは不機嫌な表情を浮かべてた。


「・・・申し訳ありません、理事。
 社長はただ今、席を外しておりまして 先にこちらでお待ちいただくようにと
伝言を預かっております。」

フロント係は少したじろぎながらドンヒョクに一枚のカードキーを渡した。


   ・・・サファイア・ヴィラで? しかも、ハン・テジュン?・・・


ドンヒョクはその組み合わせを不審に思った。

何だか薄気味悪い予感がする。

ドンヒョクにとってソウルホテルのサファイア・ヴィラは特別な場所だ。

愛するジニョンとの甘く切ない思い出がたくさん詰まった部屋。

そこで、あの憎たらしいハン・テジュンを待つ、だと?


今日は急いで家に帰ろうと思ってたドンヒョクに、夕方近くになって連絡が入った。

もしかしたら、ジニョンがチョコレートを用意してくれてるかもしれないと
ドンヒョクが淡い期待を抱いていた時だった。

 

“すまない、ドンヒョク。至急、相談したいことがあるんだ。こっちに来てくれないか”


受話器の向こうで、テジュンが珍しく切羽詰った声で言った。

それなのに、わざわざ人を呼びつけたあげく、待ってろ、だと?

あの男、こっちが黙ってるのをいいことに やりたい放題じゃないか。

このシン・ドンヒョクも甘く見られたものだ。


ドンヒョクの不機嫌は最高潮の時を迎えていた。

また客室の壁にワインの瓶を投げつけてやろうかと物騒なことまで思った。

 

 ・・・・・・・・・

        ・・・・・・・

 

明かりが点いたサファイア・ヴィラを訝しげに思いながらも
ドンヒョクは部屋の中に入っていった。

 


「・・・え・・・?」


その瞬間、ドンヒョクは思わず立ち止まってしまった。

信じられない光景に目を見張った。

そして、彼の不機嫌は一瞬のうちに吹き飛んでどこかに消える。

見る見るうちに、それまで無愛想だった顔にはやわらかな笑みが浮かぶ。


「・・・これは・・・。」 ドンヒョクは呟く。


光沢のあるシャンパンゴールドのソファにもたれるように、彼女は眠っていた。

大きく胸の開いた艶やかな黒いドレス。

綺麗に結い上げられたシルクのように艶やかな黒髪。

透き通るように白くて滑らかな肌と薔薇の花びらのような唇。

そして、何よりもドンヒョクを感動させたのはその愛らしい寝顔。

安心しきって優しい微笑みさえ浮かべてるようなジニョンの寝顔。


ドンヒョクの胸が喜びで震える。


しばらく、幸せそうな美しい妻の寝顔を見ていたドンヒョクの頭に
ある事が浮かんだ。


・・ジュナ。・・そうだ、ジュナはどうしたんだろう?


愛娘がこの部屋のどこにもいないことを確認したドンヒョクは 
自宅へ電話を入れる。

 

「・・・ドンヒョクです。・・やはり、お義母さんがジュナを? すみません。」


『いいのよ。 ジニョンったらね、1ヵ月も前からわたしに頼み込んできたの。
 ヴァレンタイン・デーはドンヒョクさんと二人で過ごしたいからって。
 それから、育児でお肌も身体もボロボロで、エステと美容院にも行きたいから
 なるべく早く来てって。・・・だから、あの子に言ってあげたのよ。
 いくら子育てで忙しいからって、いつも綺麗にしてないと
 だんな様に嫌われるわよって。
 ・・・ええ、ジュナは大丈夫よ。ジェニーもね、来てくれたの。だから安心して。
 うふ、おかげで美味しい夕食をご馳走になったわ。・・あ、今替わるわね。』


『もしもし、兄さん? どう、二人で甘い夜を過ごしてる?え?お姉さん、寝ちゃったの~?
 せっかくずっと前から計画してたのに。兄さんには黙ってて驚かせるのって言ってた。
 ふふ、でも お姉さん、すごく綺麗でしょう?・・大変だったのよ。
 お店でドレスを選ぶ時、どれがいちばん兄さんが気に入ってくれるかって。
 もうずっとドレスを着てないから似合わないかもしれないって、大騒ぎだったの。
 でも、お洒落したお姉さんを見てまた惚れ直したでしょう、兄さん。
 ジュナちゃんは大丈夫よ、すごくおとなしくてお利口さんなの。きっとわかってるんだわ。
 じゃ、二人でゆっくり過ごしてね。
 ・・もちろん、お礼は後日 たっぷりと兄さんに請求するわ。』

 


義母と妹との賑やかな会話の後、ドンヒョクの口元には笑みが浮かんだ。

そうか、これはジニョンのサプライズだったのか。

ドンヒョクは改めて周りを見回した。

部屋の所々には淡いピンクの薔薇の花が飾られ、
テーブルの上にはワインとフルコースのディナー。

ぐっすりと眠るジニョンの両手が大事そうに包んでいるのは 
薔薇色のリボンがついた小さな箱。


ドンヒョクはふっと笑うとうつむいた。


ねえ、ジニョン。準備は完璧だったね。ハン・テジュンにまで協力させて
(ちょっと気に入らないが)

さすが、ソウルホテルの優秀な支配人だけのことはある。今は育児休暇中だけどね。

君の心のこもった“おもてなし”は、いつも僕を幸せな気分にしてくれる。

だが、残念なことに最後になって・・睡魔に負けてしまったんだね。

どこでも眠れる、僕のジニョン。

でも、君は何て・・素敵なんだろう。

 

    
そんな事を考えてるうちに、眠っていたジニョンの睫毛が微かに揺れた。

そして、ゆっくりと瞼を開けたジニョンは、眩しそうにドンヒョクを見た。 

彼女は寝ぼけたような顔で少し微笑んだ。


「あ・・ドンヒョクさん お帰りなさい。」

「ん? ただいま、ジニョン。」


ぼんやりしているジニョンに合わせてドンヒョクが応えると
彼女は安心したようにまた瞼を閉じた。


  うん?・・また寝ちゃうのか?

ドンヒョクは笑ってしまいそうになるのをこらえた。


   ・・・・・・・・


「・・あーーっ!」


数秒後、ジニョンは突然、思い出したようにがばっと起き上がった。

一瞬で目を覚ましたジニョンは目をぱちぱちさせながらドンヒョクを見た。

「やだっ!わたしったら、いつの間にー? 
 ドンヒョクさんを待ってここに座ってたら、何だか温かくて気持ち良くて・・。
 せっかくドンヒョクさんを驚かせようと思ってたのに!
 ああ、もうわたしったらーー、何で寝ちゃったのかしら!!!」

ジニョンは両手で頬を押さえて叫んだ。


「ジニョン、そんなに興奮しないで。僕はとても驚いたし、・・嬉しかったよ。」

ドンヒョクはジニョンのほっそりとした肩に手を置き笑いかけた。


「え・・?」

「ありがとう、ジニョン。僕のためにお洒落して いろいろ準備してくれたんだね。」

「ドンヒョクさん。」

「今朝、チョコレートを貰えなかったから、ジニョンは今日のことを忘れてるのかと思ってた。」

「やだ、ドンヒョクさんったら、忘れてないわよ。
 はい、これ・・・チョコレートよ。
 ・・・今年も傍にいてくれてありがとう、ドンヒョクさん。」

「ジニョン。」


ジニョンからチョコレートの箱を受け取ったドンヒョクは笑顔になる。


「ありがとう、ジニョン。・・嬉しいよ。」

「・・でも、寝ちゃってごめんなさい。」

「・・・それは慣れてる。」

「もうっ!」

「・・・ジニョン。」

「え?」

「そのドレス、とても似合ってる。綺麗だよ。」

「・・ほんとに?」

「僕は嘘は言わない。」

「ありがとう、ドンヒョクさん。あなたに褒めてもらうとすごく嬉しい。」

「ジニョンを自慢するのは僕の趣味なんだ。」

「ドンヒョクさんったら。」

「・・愛してる ジニョン。」

「・・・ドンヒョクさん。」


ドンヒョクの熱い眼差しで見つめられて、ジニョンは恥ずかしそうにうつむく。

結婚してもうすぐ三年。出会いから何年経っても二人の気持ちは変わらない。

ドンヒョクの唇から溢れ出す愛の言葉は 今でもジニョンの胸を熱くする。


「ね、ドンヒョクさん。チョコレートの包みを開けてみて。」

顔の火照りをごまかすように、ジニョンが最愛の夫にお願いする。

ドンヒョクが笑いながら薔薇色のリボンを解こうとすると、ジニョンが顔を輝かせる。

「きっと美味しいわよ。食べてみて。」


わかってるよ、ジニョンもこのチョコレートが食べたいんだね。


ふと、ドンヒョクの指が止まる。


「・・・?」

「ジニョンは知ってるよね?」

「え、何を?」

「僕は好きなものから食べる主義だということ。」

「え・・?」

ドンヒョクはジニョンの細い手首をつかむと、ぐっと引き寄せた。

ジニョンの華奢な身体はその大きな胸の中へ閉じ込められる。


「ドンヒョクさん?」


ジニョンが驚いて見上げると、ドンヒョクはやわらかく微笑んだ。

そして、ジニョンの頬を両手で包み込むとそっと唇を重ねる。

ドンヒョクの情熱的なキスは 今でもジニョンの胸を震わせる。

それはドンヒョクにとっても同じこと。

チョコレートよりも甘く濃密なジニョンのキス。


ドンヒョクの長い指が リボンを解くようにジニョンの結い上げた髪を振り解く。

さらさらと音がしそうな黒髪が甘い香りを漂わせる。

ドンヒョクの大きな手が 箱の包みを開けるようにジニョンのドレスを脱がせていく。

艶かしく透き通るような白い肌が甘く誘惑してくる。


「・・待って ドンヒョクさん・・。」

戸惑うジニョンの大きな瞳がドンヒョクを見つめる。


「待てない。」


「でも・・。」


「チョコレートもジニョンも包みを開けないと食べられない。」


見る見るうちに、ジニョンの頬が赤く染まっていく。


それを見ただけで ドンヒョクの胸が締めつけられたように痛くなる。 

どんなに長い時間を一緒に過ごして来ても ジニョンを求めてしまう。


・・・ああ、そうなんだ。

僕が本当に欲しかったものは チョコレートではなく目の前にいる愛しい人。


ドンヒョクは ヴァレンタイン・デーのこの日、傍にいてくれる最愛の恋人を抱きしめた。


そして、また彼女の耳元で“愛してる”と囁いた・・・。 

 

 


 














前の書き込み ドンヒョクのおもてなし ― W...
次の書き込み Fly me to the m...
 
aoi32
ヨンkissさん、お返事が遅くなってすみません。いつもありがとう~♪↓のセリフは 今思うとちょっと恥ずかしかったかな(笑)ま、いいか ドンヒョクだから~??? 2011/09/15 21:55
ヨンkiss
「チョコレートもジニョンも包みを開けないと食べられない。」何年経っても甘くてラブラブな二人が素敵❤ 2011/08/28 09:55
 
 

IMX