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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 130 HIT数 8644
日付 2011/08/27 ハンドルネーム aoi32
タイトル ドンヒョクのおもてなし ― White Dayの贈り物 ―
本文
ドンヒョクのおもてなし ― White Dayの贈り物 ―

 


 ― 2月15日 ―


ソウルホテルのロビーは チェックアウトをする宿泊客や
これから観光に向かう団体客で賑わっていた。
前日から降り続いている雪はソウルの街を白く染めていた。
この朝の気温は氷点下を示していたが、ホテル内は快適な温かさで心地良かった。

 

「この度はソウルホテルをご利用いただきましてありがとうございました。」

社長のハン・テジュンはやたら丁寧な挨拶をしたかと思うと意味ありげに笑いかけた。


「・・・こちらこそ、手の込んだ芝居にすっかり騙されたようで。」

シン・ドンヒョクは腕を組むと横を向いてふっと笑った。


「あ、やっぱりそう思うか? ・・・ってことは、俺って役者に向いてるかもしれない?」

「・・いつも女に振られる男の役でしょうか。」

「・・・・・」

「それとも、好きな女にプロポーズできなくて悩んでる男の役かな?」

「シン・ドンヒョク! いつか漢江に沈めてやろうと思ってたんだ!」

「沈むのはどちらでしょうか。」


ドンヒョクとテジュンはしばらく睨み合っていたが、ほぼ同時に笑い出した。


「まあいいでしょう。テジュンさんはジニョンのサプライズに協力してくれたわけだし。」

ドンヒョクは昨夜の妖艶なジニョンを思い出して、思わず口元が緩んだ。


「まったくだ。義理チョコ一個だけじゃ割に合わない。」

ぼそっと言ったテジュンの言葉にドンヒョクはぴくっと反応した。


  義理チョコだって? ジニョンはこの男にまた今年もチョコレートを?


ドンヒョクが不機嫌になるのはあっと言う間だった。

 


ジニョンは 少し離れた所で談笑している(?)二人を見て微笑んだ。
何だか楽しそうじゃない? 昨日はドンヒョクさんも喜んでくれたし・・良かった!

ふと気がつくと、ジニョンの視線の先にはドンヒョクがいる。
彼女は熱っぽい瞳で彼を見つめている。

僅かな隙も与えないほど完璧にダークスーツを着こなした彼は静かに佇み
腕を組んで、クールな横顔を見せつけている。

ホテルのロビーに広がるざわめきの中で
時折ドンヒョクの深い声だけがジニョンの耳に入ってくる。
 

 

   ・・・・・・・・

         ・・・・・・・・

 


   ―― それにしても 昨夜のあなたと今のあなたは まるで別人のようだわ ――

 

   ジニョンは昨夜のドンヒョクとの濃密なシーンを思い出していた。

 

   チョコレートの包みを開けるように
   ドンヒョクの大きな手がジニョンのドレスを脱がせていった。

   戸惑うジニョンが抵抗する間もないくらいに、すぐにドンヒョクが唇を重ねてきた。

   やわらかくて、しっとりとした唇の感触がジニョンの唇を捉えた。

   お互いの甘い吐息を感じながら 二人の唇が優しく情熱的に絡み合った。

   息も出来ないほどの激しいキスにジニョンの身体は震えた。

   熱く激しく魅惑的なドンヒョクのキスに追いつめられて逃げ出したいような思いが過った。

   それなのにドンヒョクの唇が離れると、ジニョンはすがるような瞳で見つめる。

   ドンヒョクはやわらかく微笑み、ジニョンに問いかける。


   “僕にどうして欲しい?” 
   
   “意地悪ね。・・言わなくてもわかってるでしょう?”

   “わからないよ。ちゃんと言葉で伝えて、ジニョン”

   “・・もっとキス・・して”
 
   “それから?”
 
   “・・それから・・きつく抱きしめて・・・もっとわたしに触って・・愛して”

   “ジニョンが望むなら・・・” 

 

   ドンヒョクは眼鏡を外すとテーブルの上に静かに置いた。

   ジニョンの潤んだ瞳はその長くて綺麗な指を追っていた。

  
   もう一度、唇を重ねて そして離れて また重ねて。・・・何度も繰り返す。

   ドンヒョクの大きな手が 露わになったジニョンの身体を包み込んでいる。

   そして、首筋から肩にかけてのなだらかなラインに沿って、ドンヒョクの唇が移動して行く。 

   熱くてやわらかな唇が しっとりとした白い肌を滑るように降りてゆく。

   思わず、ジニョンの唇から声が漏れる。

   甘い吐息と深い呼吸で上下する胸の膨らみに近づくと
   ふいにドンヒョクの動きが止まった。


   “今夜は僕だけのジニョンでいてくれるの?”

   “ええ、そうよ。 今夜はドンヒョクさんしか見えないわ”

   “すごいな、毎日がヴァレンタインデーならいいのに”

   “ドンヒョクさんったら”

   “本当にそう思うよ”

   “ねえ、ドンヒョクさん わたしはあなたの瞳にどんなふうに映ってるのかしら。
    ジュナのママではなく、あなたを愛してる、ただの一人の女として映ってるの?”

   “そうだよ。ジニョンは僕の半身・・それは永遠に変わらないんだよ”

   “嬉しいわ、ドンヒョクさん・・あなたを愛してる”

   “僕も・・愛してるジニョン”


    ジニョンの耳元にドンヒョクの深い声が響いた。

    端正な顔立ち、逞しくてしなやかな身体、そして自然に溢れる優雅な仕草。

    その極上の男が愛してやまないのは妻のジニョンだけ。


    “本当に・・本当に・・わたしだけ?”

    “そうだよ。 今までも、そしてこれからも 僕が愛してるのはジニョンだけだ”


    真っ白なシーツの上で ジニョンはドンヒョクの囁きを聞いていた・・・。

 


    ―― 愛してる、ジニョン・・・愛してる・・ ―― 

 

 


「・・支配人・・ソ支配人・・?」

ジニョンはハッとした。
久しぶりに・・その名前で呼ばれたので驚いて顔を上げた。
気がつくと、目の前に後輩のユン・ジアが笑顔を浮かべながら立っていた。


「あ、ああ ジアさん。」

わたしったら・・何を思い出してたの。・・・途端に顔が熱くなる。


「お久しぶりです、ソ支配人。昨日はゆっくりお過ごしになられましたか?」

「あ、ええ おかげ様で・・とても快適に過ごせたわ。ありがとう、ユン支配人。」

「え?」

「社長から聞いたのよ。ジアさんが支配人になったって。」

「やだ、そうだったんですか? でも、まだ未熟者でソ支配人のようにはできません。」

「そんなことないでしょう?テキパキ仕事をこなして、見るからに立派な支配人だわ。」

「ありがとうございます!・・ソ支配人は・・何だか艶っぽくなって落ち着いてて
 いかにも幸せに満ちた美しい社長夫人っていう感じです。
 優しくて綺麗なママなんでしょうね。とてもホテルの支配人には見えませんよ。」

「・・・え・・・?」


ジアの屈託のない明るい笑顔にジニョンは言葉を失った。
彼女の言葉に深い意味はないのはわかっていた。


「ふふ、、ソ支配人ったら、さっき、ずっと見つめてましたね。」

「え?」

「他の何も目に入らないっていうくらい・・理事のことだけ見つめてましたよ。
 お子様が生まれても、相変わらずラブラブなんですね。う~、ほんとに羨ましい!」

 

 

    ・・・・・・


        ・・・・・・

 

「ジニョン、どうかした?」

自宅へ向かう車の中で、ドンヒョクが声をかけた。


「あ、ううん、何でもないわ。」

ジニョンはドンヒョクの方を向いてにっこり微笑んだ。


「疲れた?」

ドンヒョクはジニョンの手に自分の手を重ねた。
彼の横顔にはやわらかな笑みが浮かんでいる。


「・・疲れたとしたら、それはドンヒョクさんのせいでしょう?」

ジニョンは頬を赤くしながらうつむいた。

恥ずかしがるジニョンが可愛くて、ドンヒョクは彼女の白い手を握りしめた。
ドンヒョクの温かい手に包まれて、なぜかジニョンは泣きそうになった。

わたし・・どうかしてる。・・幸せなのに・・こんなに幸せなのに・・。
ドンヒョクさんに愛されて、可愛いジュナも生まれて・・毎日が穏やかで楽しくて。
辛いことなんて一つもなくて、何のトラブルもなくて、優しさに包まれてるのに。

ドンヒョクさんとジュナだけ見つめて、二人のことだけ考えて・・
それだけで満ち足りてるはずなのに。


ホテルの支配人の仕事は大変だわ。
毎日忙しくて、やることがたくさんあって、家に帰るのも遅いし、
走り回って、お客様のことを考えて、いつもくたくたに疲れてた。

でも、充実していた・・。お客様が喜んでくれたらそれだけで嬉しかった。

何考えてるの・・・それは今も同じじゃない。毎日が充実してるわ。


・・・でも・・  ・・・・・でも・・・?




「ジニョン。」

ドンヒョクはまたジニョンの名前を呼んだ。
ジニョンはゆっくりと顔を上げる。

「ジニョンが今、何を考えてるか知りたいな。」

「え?」

「話してごらん。」

「ドンヒョクさん・・。」

ジニョンはじっとドンヒョクの横顔を見つめる。
静かで穏やかで何もかも受け止めてくれるような横顔。綺麗な横顔。
その横顔を見てるだけで胸に引っ掛かった思いが消えていくような気がした。


「・・あのね。」

「うん。」

「何ていうか・・ちょっと焦ってしまったのかも。」

「え?」

「一人だけ置いていかれたような・・そんな感じなの。」

「ジニョン?」

「久しぶりにソウルホテルに行って、皆が仕事してるところを見て
 相変わらず忙しいけど、皆が生き生きして充実してて・・・そしたら少し寂しくて不安になって
 ・・一人だけ取り残されたような気がしたの。」

ジニョンは自分の気持ちを確かめるようにゆっくりと話していく。

そして、不思議なことに 自分が今どうすればいいのか気づき始めていた。


「でも、大丈夫。今、ドンヒョクさんに話したら何だかすっきりしたわ。
 自分の気持ちを整理して、何を感じていたのかわかったから。
 今はまだジュナを育てることを考えて、また職場復帰したら頑張るわ!」

ジニョンはそう言うと明るく笑った。

黙って聞いていたドンヒョクは静かに微笑んだ。

「・・少し残念な気もする・・かな。」

「え?」

「一人で悩んでいたと思ったら、もう結論を出して。僕のジニョンは立ち直りが速いな。」

「単純な性格なの、わたしって。」

ジニョンはくすくす笑い出した。


「・・育児休暇を短縮して復帰するという選択もあるよ。」

「え?」

「その時はソウルで一番優秀なベビーシッターを探し出してみせるけど?」

「ドンヒョクさんったら。」

「他にも色々選択肢があるということを忘れないで。」

「・・そうね。でも・・・もう決めたわ。
 最初の予定通り、ジュナが一歳になるまではあの子の傍にいるわ。」

「それでいいの?」

「ええ。」

「そうか。」


穏やかに微笑むジニョンを見て、ドンヒョクは安心したように笑った。


「ありがとう、ドンヒョクさん。」

「何が?」

「わたしの話を聞いてくれて。」

「ジニョンの話ならいつでも聞くし、ジニョンの願いなら何でも叶えたいと思ってる。」

「・・・甘い。」

「そうかな?」

「ドンヒョクさんは甘いのが苦手なのに。」

「これはジニョン限定。」


二人は顔を見合わせると同時に吹き出した。

車の中で明るい笑い声が響く。

ドンヒョクとジニョンは 愛娘が待つ温かい家へ向かった。

 

 

 


  * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 

 

 

 ― 3月14日 ―

 

「え? 今、何て言ったの?ドンヒョクさん。」

ジニョンは驚いてドンヒョクを見た。彼女の腕の中には生後7ヶ月のジュナがいる。
母親似の大きくて黒い瞳もドンヒョクを見上げている。


「今日はホワイトデーだから ジニョンに休日をプレゼントするよ。」

二人のつぶらな瞳に見つめられて、思わずドンヒョクは笑みがこぼれる。

「どこでもいいから好きな所へ行っておいで。」

「でも・・。」

「ちなみに、今日のソウルホテルは大きなパーティーが二つ入ってて
 社長と総支配人が猫の手も借りたいとぼやいてた。」

「え?」

「あ、でもこれじゃ休日にはならないかな?」

「ううん。・・わたし、猫の手になってくる。・・でも、いいの?」

「ジニョンが望むなら。」


わかってる。ジニョンにとって ホテルは特別な場所だということ。

ヴァレンタインデーに君が僕だけのジニョンになってくれたから
今日はソウルホテルのソ支配人に戻って、以前のように颯爽と歩いて来て欲しい。

そして、それが終わったら また僕のもとへ帰っておいで。


「ドンヒョクさん。」

「その後は“シン・ドンヒョクのおもてなし”が待ってるから。」


・・・ドンヒョクさんのおもてなしって・・・。その言葉を聞いてなぜか赤くなるジニョン。


「さあ、だから君はこっちへおいで。」

ドンヒョクが手を差し出すと、ジュナが身体を乗り出してくる。

ふわり、小さな娘を抱き上げるとミルクと石鹸の香りがした。


「でも、一日中 ジュナと二人だけで大丈夫?」

心配そうに聞くジニョンに、ドンヒョクは余裕のある微笑みを向けた。

「大丈夫だよ。僕達はとても相性が良いんだ。
 何しろ週2回、それも3ヶ月間も夜は一緒に過ごしたんだからね。
 ジニョンだって感心してたじゃないか。」

「・・そうでした。」

「だから安心して行っておいで。」


ドンヒョクはそう言うと、腕に抱えたジュナのぷくっとした小さな白い手を取って
ジニョンに向かってバイバイと言うように振って見せた。

え?と信じられないように目を丸くしたジニョンは、くすくす笑い出した。
すると・・なぜか目の奥が熱くなってくる。

・・ドンンヒョクさんがこんな事をするなんて。

そう思うと嬉しくて、幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。


「あ・・。」

自分の行動にやっと気づいたドンヒョクは 慌ててジュナを抱き直した。

ドンヒョクの胸の中で、ジュナが嬉しそうに可愛い声を上げた。
彼は困ったような何とも表現できない顔で笑った。


ジニョンは潤んだ瞳でドンヒョクを見つめて微笑んだ。


ありがとう、ドンヒョクさん。 

あなたの笑顔とおもてなし・・世界でいちばん素敵な贈り物だわ。



そして、ジニョンは“行って来ます”のキスをその愛しい人に贈った・・・。



















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aoi32
ヨンkissさん、ありがとうございます。このお話は遥か遠い昔のことを思い出しながら書きました。こんなステキなおもてなしはなかったけど~^m^ 2011/09/15 22:05
ヨンkiss
たった一日の仕事復帰だけどドンヒョクの笑顔とおもてなし・・・ジニョンにとっては素敵なサプライズ!今夜の”おもてなし”が気になる~~甘~いラブな夜を想像しちゃうヨン❤ 2011/08/28 10:16
 
 

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