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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 133 HIT数 8197
日付 2011/09/20 ハンドルネーム aoi32
タイトル 君に会える朝 後編
本文 - 後編 -






一人の男が走っている。

サファイアヴィラからダイヤモンドヴィラへ…本館へ続く道を下り、そしてホテルの裏手へ上って行く。

すらりと長身の彼は 白いトレーニングウェアに身を包み、軽やかに走るその姿は清々しい。

二周目に入り 再びダイヤモンドヴィラの所まで来て、男は担当支配人の彼女を見つける。

何人かいるホテリアーの中でも際立っている彼女を見つけるのは容易なことだ。

美しくて凛とした人だ…いつも彼女を見るとそう思う。

男が足を止めて彼女を見ていると、彼女も彼に気づき 笑顔でお辞儀をしてくれたので
彼は彼女の方へ向かって走って行く。


「おはようございます、ソル様」

「おはよう、ソ支配人」

花のような笑顔を浮かべながら挨拶するソ・ジニョンが眩しくて
ソル・ヨングは思わず目を細めた。


「お早いんですね。
 毎朝ジョギングをなさってるんですか?」


美しいソ支配人は いつもより親しみのある笑顔を向けてくれている…

ヨングは嬉しくなった。


「いえ、時々ですね。
 仕事が忙しくて、なかなか毎日というわけにはいきません」

「そうですよね、毎日走るなんて よほど自分に厳しい人でないと…」

そこまで言うとジニョンはくすっと微笑んだ。


「どうかしましたか?」

「いえ …ただ、わたしの周りにはそういう人がいるな、と思って」

「毎日走ってるんですか?」

「ええ、どんなに遅くまで仕事していても…
 晴れの日も雨の日も…余程の事がない限り 毎朝、必ず走っています」

「すごいな、僕には真似できない」

ヨングは両手を軽く上げると、おどけたように首を振った。

「でも、僕ももっと走る回数を増やそうかな。
 そうすれば、こうしてまたソ支配人に会える」


え?と ジニョンは一瞬、驚いた様子をするが すぐににっこり微笑んだ。


「お客様の健康のためにも そうなさってください」

「…あなたには“お客様”ではなく、名前で呼んでほしいな」

「失礼しました、ソル様」

「いや、そうではなく 名前の方で」

「それは…」


ジニョンが困ったように首を傾げたので、ヨングは笑い出してしまった。


「すみません、無理ならいいんです。
 …その代わり、と言っては何ですが 朝食に付き合っていただけませんか?」

「はい?」

「ルームサービスを頼むので ご一緒に」

「…申し訳ありません。
 まだ勤務中ですし、客室でお客様とお食事するのは禁止されておりますので」

「じゃあ、仕事が終わって ホテルの外だったらいいのかな」

「いえ、あの そういう事ではなくて…」


強引なヨングに押し切られそうになったその時だった。


「…ソ支配人」


ぞくっとするほど冷たい声が辺りに響き渡った。

そこにはドンヒョクが立っていた。

いつもと変わりなく 完璧にスーツを着こなして静かに佇んでいる姿は端正で
薄いフレームの眼鏡の奥から覗く目は鋭い視線を投げ掛けていた。


「ドンヒョクさん!」

ジニョンはほっとして声を上げた。
そして、ヨングに向かって言った。

「あの、申し訳ございません ソル様。
 まだ仕事が残っていますので失礼します」


ジニョンは軽くお辞儀をすると 足早に歩き出しドンヒョクの方へ向かった。

だが、ドンヒョクはそんなジニョンを無視するかのように背を向ける。
  

「ドンヒョクさん?」

ジニョンが呼んでも返事をしないドンヒョクは そのまま歩き出した。

美しく冷たい後姿がジニョンを拒絶している。


…ドンヒョクさんが怒ってる

彼の背中を見たジニョンは直感した。

そして、その原因もわかっていた。


「ドンヒョクさん、待って!」


ジニョンは慌てて駆け寄り、ドンヒョクの腕を掴んだ。

そして両手を彼の腕に回すと寄り添うように体を近づけた。

 

「もう、怒らないで ドンヒョクさん」

「…怒ってなんかいない」

「お客様に食事に誘われて…でも、すぐにお断りしたのよ」

「それにしては嬉しそうな顔してたね」

「だって、お客様だもの 嫌な顔なんてできないわ」

「ホテルの支配人は そこまで気を使うのか?」

「…ドンヒョクさんだって同じようなことをしたじゃない」

「僕はお客様じゃない!」

「ドンヒョクさん」

「初めてジニョンに会った時から 僕は客じゃなかったはずだ」

「……」


久しぶりに自分の激しい感情をぶつけてくるドンヒョクを見て
ジニョンは戸惑い、困惑した。

少しの間、ドンヒョクを見ていたジニョンは小さくため息をつくと
ゆっくりと手を伸ばし 彼の頬を両手で包み込んだ。


ドンヒョクは切なげにジニョンを見つめる。

二人の視線が静かに交錯した。

ジニョンの瞳が揺らいでいた。


「そうよ、ドンヒョクさんは 最初からお客様じゃなかったわ」


「……」


「初めて会った時から気になって 
 強引なあなたに わたしはどんどん惹かれていった…
 あなたのことが好きになって、恋して、深く愛するようになって
 …そして結婚したの」


「ジニョン…」


「それからずっと ドンヒョクさんは わたしのだんな様で 
 わたしはあなたの奥さんよ …そうでしょ?」


ジニョンはそこまで言うと ドンヒョクの首に手を回した。


「ね? 答えて、ドンヒョクさん」


「そうだ、僕はジニョンの夫で 君は僕の妻だ」 


「そうよ …だから心配なんかしないで…
 嫉妬なんかしないで」

耳元で囁くジニョンの声を聞いたドンヒョクは 思わず彼女を抱きしめた。

ドンヒョクの逞しい胸の中にすっぽりとおさまると 
彼の気持ちが安らいできたのがわかって ジニョンは安心する。

ジニョンもドンヒョクの背中にそっと手を回す。


「…ジニョン」


「困った人ね、ドンヒョクさんは…
 もう結婚して何年もたつのに まだ嫉妬するの?」


「…それは…死ぬまで止められそうもない」


「ドンヒョクさんったら」


「…夢を見たんだ」


「え?」


「ジニョンが僕と別れて…他の男と結婚する夢…」


「……」


「最悪な気分で、その後は一睡も出来なかった」

 

ドンヒョクは沈んだ顔で俯いている。

ジニョンは目を丸くして そんな彼を見た。

彼女は 寂しそうな顔をするドンヒョクを見るだけで胸が締めつけられるように痛い。


「…ばか…ね ドンヒョクさんは」


「…ジニョン」


「…それは夢で ありえない事だわ」


「……」


黙っているドンヒョクを見て、ジニョンはふと思いついたように言った。


「…でも、ドンヒョクさん…」


「え?」


「今朝もちゃんと走って来たんでしょう?」


「ああ、気分転換にね。
 何も考えずに ただ走るだけで頭の中がすっきりする」

 


―― 走ることは僕のスタイルなんです

   僕は 何も考えず目的を持たずに生きることはできない

   今まで誰も頼らないで生きてきたから

 


「ねえ、ドンヒョクさん」

今度はジニョンがドンヒョクを抱きしめる。

「わたしにはあなただけよ…
 他の男性には興味はないの 知ってるでしょう?」

 

…あなたはもう孤独な人ではないわよね?

 わたしを頼ってくれてるのよね?

 

「…それは僕のセリフだよ ジニョン」


「ドンヒョクさん」


「僕にはジニョンだけだ …ずっと頼りにしてる」


ああ、ドンヒョクさんったら!

あなたにはわたしの考えてることがわかるの?


「…そうよ、ドンヒョクさん
 わたしは ずっとあなたの傍にいるわ…」


永遠に 永遠に傍にいると…あなたも約束してくれた…

 

ドンヒョクに抱きしめられて ジニョンはうっとりと目を閉じる。

幸せな幸せなひと時…ずっとこのままでいたいけど…


「ごめんなさい、ドンヒョクさん
 わたし…そろそろ仕事に戻らないと」


「うん、その後 一緒に朝食でもどう?」


「ええ、もちろん…  あ…」


ジニョンは言葉を止めると 何か思い出したように瞳を輝かせた。

彼女はコホン、と咳払いをすると言った。


「ごめんなさい ドンヒョクさん
 残念だけど 今日はこれから大事な用があるの」

「え?」


悪戯っぽく笑うジニョンを見て ドンヒョクは不思議そうに首を傾げた。

思いがけないジニョンの返事に また不安がこみ上げてくる。

ジニョンはくすくすと笑っている。


「ジニョン?」


「…嘘よ、ドンヒョクさんと食事するより大事な用なんてないわ」


「騙したんだね」


「…仕返ししただけよ」


「え?」


「そう、4年前の今頃だったかしら
 あなた わたしの誘いを断ったでしょ?
 その仕返しよ」

ジニョンはそう言うとおどけたようにドンヒョクの顔を覗き込んだ。


「…仕返し」

ドンヒョクはその時のことを思い出していた。


ああ、そうか あの時…

そうだ あの朝も こんな風に日差しが降りそそいでいた

そして ジニョンの笑顔も眩しいほど輝いていた…

 

…毎朝、こうしてあなたに会えたらいいのに…


あの時 僕はそう言ったね?
 


ぼんやりしているドンヒョクを見て ジニョンはふと真顔になる。


「…ドンヒョクさん、怒った?」


「え? いや、そんなことない」


「本当に?」


「本当だよ。 …怒るはずがない」


「良かった」


「…ジニョン」


「なあに?」


「まだ言ってなかったね。 …おはよう ジニョン」


「おはよう ドンヒョクさん」


「今朝も…君に会えて嬉しいよ…」


「…わたしも…」

 

二人は お互いに顔を見合わせながら微笑んだ。

こうして 毎朝 会えることが 最高に幸せで愛おしい…

 


さわさわと風に揺れる葉の隙間から 

やわらかな木漏れ日が降りそそぎ いつまでも 二人を包んでいた……。

 

 

 

 

 

 

「…ところで ジニョン」


「なあに?」


「さっき、君を食事に誘っていた身の程知らず、いや 勇気ある男の名前は?」


「え? ソル様、ソル・ヨング様のこと?」


「ソル・ヨング…?」


「ええ、ソル財閥の御曹司よ。
 いつもは会長であるお父様がご宿泊されるんだけど
 今、日本に行ってらして 今回は代わりに息子さんがお仕事で
 サファイアに泊まってらっしゃるの
 …って、ドンヒョクさん どうしてそんなことを聞くの?」


「いや、ただ ソウルホテルの理事として 一度 挨拶でもと思ってね」


「…それだけ?」


「もちろんだよ、ジニョン。
 それに ソル財閥の会長ならよく知ってるからね」


「そうなの?
 ドンヒョクさんってやっぱり顔が広いのね
 すごいわあーーー!」
 

尊敬の眼差しを向けるジニョンを見て ドンヒョクは満足げに微笑んだ。

だが、ふと逸らしたドンヒョクの目が冷たい光を放ったことに
ジニョンは気づかなかった。

 

 

そして その後 

勇気ある男 ソル・ヨングがソウルホテルに姿を見せることは永遠になかった……。

 

 

 

 









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aoi32
ヨンkissさん、いつもありがとうございます。ものすご~く遅くなってすみません(^_^.) はい、私も嫉妬するドンヒョクは お気に入りです(笑) 2011/11/20 22:50
aoi32
本当に遅くなってごめんなさい(^_^.)mizsakiさん、いつもありがとう~^^ はい、そうです。ドンヒョクとジニョンはいつまでも熱々で^す♪ 2011/11/20 22:46
ヨンkiss
ドンヒョクの嫉妬心は凄いね!!!ソル様にどのような挨拶をしたの?って想像しただけで背中がゾクッとしてくる・・・こんな妬き持ち焼きのドンヒョクだけど何処と無く可愛いね♪ 2011/09/22 00:46
mizsaki
おー怖! それで・・彼はどうなったのでしょうか? 怖いもの見たさについ・・^^; でもいつまでも熱々の二人は最高です。 これからもよろしくです! 2011/09/21 16:27
 
 

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