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aoiルーム
aoiルーム(https://club.brokore.com/hollyhock)
aoi32の創作ストーリーを集めたお部屋です。 どなたでもご覧いただけます。 どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ。
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ホテリアー創作
妄想爆走!ホテリアー二次創作。                                                     大好きなドンヒョクと 可愛いジニョンの物語…
No 33 HIT数 8040
日付 2010/01/14 ハンドルネーム aoi32
タイトル あなたなんて大嫌い 前編
本文

あなたなんて大嫌い 前編

 


「ドンヒョクさんなんて大嫌い!!!」


そう叫んだジニョンの大きな黒い瞳から涙が溢れてきた。

そして、ジニョンはドンヒョクに背を向けるとリビングから出て行った。


「ジニョン!!!」


ドンヒョクはジニョンの後を追いかけようとするが、足が動かなかった。

「大嫌い」という言葉が胸に突き刺さっていた。

 


…ごめん ジニョン… でも…

今度ばかりは君の言う事を聞くわけにはいかないんだ…


ドンヒョクは悲痛な表情でうつむいた。

 

 

 


ジニョンは外に飛び出していた。

涙は止まらず、後から後からこぼれ落ちてくる。


「…ドンヒョクさんのばか!!!」


ジニョンは振り返った。


追いかけて来てもくれないのね…

 


いつもの彼なら、すぐに追いかけて来て抱きしめてくれる?

…わからない…

  
だって…こんな喧嘩をしたのは初めてだもの

こんなふうに家を飛び出したのも初めてだもの… 

 


ジニョンは歩き出した。


あなたがアメリカから帰ってきてから一年と少し

あなたと結婚して半年


そういえば、わたしたち喧嘩なんてしたことなかったわね…


だって…

あなたと一緒にいるのがとても楽しくて

あなたと一緒に暮らすのがとても幸せで

あなたは少し強引で我儘だけど、とても優しくて

いつも大人だけど、時々子供みたいなところもあって

毎日がとても新鮮だった

あなたについて行くことに夢中だった…

 


でも…

こんなに頑固だとは思わなかった

それに 横暴で、冷酷で


ひどいわ ドンヒョクさん……

 

 

 


「…なぜ…探しに来ないの?」


ジニョンは家の近くの公園のベンチに座っていた。

さっきまでの興奮も少しおさまってきた。


…もう、夜も遅いのよ

心配じゃないの?

誰かが声をかけてくるかもしれないのよ…

 


…どのくらい、そうしていただろう…

 


ジニョンは立ち上がった。


…もう、帰ろう

考えてみたら、何も持たずに飛び出して来たんだわ

お金も持ってないし…

 


“ジニョンは計画性がなさすぎる”


さっきのドンヒョクの言葉がよみがえってきた。


「………」


ジニョンはまた腹が立ってきた。

 


情けない気持ちで家に帰るジニョン。


玄関の鍵は開いてるし、ドンヒョクの靴はあるし…

どうやら彼は書斎にいるらしい。

物音がする。

 


…何だか憎らしい…

必ずわたしが帰ってくると思ってるのね

どこにも行くはずがないと思っているのね…

 


ジニョンは書斎のドアを睨みつけると、さっさとバスルームに向かった。


何よ!! もうシャワーを浴びて、さっさと寝るんだから!

 

 

 

 


…眠れないわ…

やっぱり このベッドは一人で眠るには広すぎる

まさか…ドンヒョクさんは今夜はここで寝ないの?

別々に寝るなんてしないわよね?

 


ジニョンは大きなベッドの隅で体を丸くした。


寂しくて涙が出てきそうだった……。

 

 

 


…しばらくして…


寝室のドアが開き ドンヒョクが静かに入って来た。


ジニョンは慌てて目を閉じて眠ったふりをする。


ドンヒョクはベッドに座り、
背中を向けて眠っているジニョンの髪にそっと触れた。


そして、小さなため息をついた。


彼は毛布をめくると、ジニョンの隣に滑り込んだ。


ジニョンは少し安心する。


でも…


いつもなら 後ろから抱きしめてくれて

「お休み、ジニョン」

そう言ってキスをしてくれるのに…


今夜は、このまま背を向けて眠るしかないのね…


「ごめんなさい」


そう言って、あなたの胸に寄り添えば
きっと あなたは笑って許してくれるのよね…

 


でも、だめよ…

わたしは、まだ怒ってるんだから


あなたがいけないのよ…

 

 

 

 

 


―― 次の日 ――


ソウルホテルのスタッフルーム

 


ジニョンはぼんやりと一枚の写真を見ていた。


イ・スンジョンがそれを見て、あきれたように声をかけた。

「まったく、よくそんなに自分の夫の写真を見てられるわね!」


ま、確かにいつ見てもいい男だけど…

 

「だって、昨夜から顔を見てないんだもの…」

ジニョンがため息をついた。


「ふん、一晩ぐらい何よ! そんなさえない顔しちゃって!
 目も赤いわよ。寝不足かしら? ソ・ジニョン!」


「…そうね…」

ジニョンはまた大きなため息をつく。

 


…そうよ、昨夜はなかなか眠れなかった…

一緒のベッドに寝てるのに 彼がすごく遠くて

いつもはぴったりと寄り添って眠るのに

何だか背中が寒くて…

それに、今朝起きたら 彼はもう出かけていて……

 


「もう、何なのよ! 暗いわね、ジニョン。
 理事と喧嘩でもした?」


スンジョンが声を張り上げて言った。


ジニョンはドキンとした。


「…喧嘩?」

 


喧嘩…なのかしら?

わたしが一人で怒ってる?
    
わたしが意地をはってるだけなの?

 


「…そうね …もう限界かもしれない」

 


たった一晩でギブアップだわ…
    
こんなの耐えられない
    
あなたの顔を見られないだけで、こんなに辛い
    
あなたの声を聞けないだけで、こんなに寂しい。

 


「限界…?」

スンジョンは怪訝な顔をした。


「…もう、だめだわ…」

ジニョンはドンヒョクの写真を見ながらつぶやいた。


…ドンヒョクさんに会いたい…

 


「限界? …もうだめ?」


スンジョンが驚いてジニョンを見た。


「たっ、大変だわ!」


立ち上がるスンジョン。

そして、スタッフルームから出て行こうとした。

…が、その前に何とか踏み止まった。


…落ち着いて、イ・スンジョン!

以前のこともあるし (妊娠勘違い事件)
     
また、あたくしの早とちりかも…

 


少し成長したスンジョンが、また確かめるためにジニョンの方に振り返った。


…ジニョンは泣いていた…

ドンヒョクの写真を見ながら…

 
大きな瞳から涙が溢れ、切ないほどに悲しい顔をしていた。

 


「ジニョン…」

スンジョンは確信した。


こっ、これは本当に大変だわ!!!

まさかっ、わずか半年で破局???

 


今度こそスタッフルームから飛び出すスンジョン。

それは、まさしく氷の上を慌てて走る(?)ペンギンのようだった。

 


「たっ、大変!!! 一大事だわ。 皆に知らせなきゃ!!!」 

スンジョンが声をあげた。

 


「…何が一大事なんですか? イ支配人」


その時、後ろから声をかけた人物がいた。


スンジョンが驚いて振り向いた。

 


「“皆”よりも、まず私が話を聞きましょうか?」


そこには にこやかに、そして大らかに構えた
ソウルホテルの社長 ハン・テジュンが立っていた……。

 








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