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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:141134/418545
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Imagination
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 107 HIT数 1219
日付 2009/03/04 ハンドルネーム Library Staff
タイトル A good old cookie
本文
『A good old cookie』





目覚めると、あたり一面に香ばしい匂いがした。

ベッドの中で、うつらうつらと目を閉じたまま、その香りに包まれていると、何故だか、たまらなく懐かしい気持ちになってきた。

この匂いは何?

その時、ジニョンがドアを開けて入ってきた。

「あら、起きてたの?ドンヒョクssi」

「ああ・・今目が覚めたよ。」

少し開いたドアの隙間から、どこか懐かしいその匂いが漂ってきた。

ジニョンはふっと微笑むと、僕の額に手を当てながら、こう言った。

「いい匂いでしょう?ジェニーが来て、クッキーを焼いてくれているのよ。」

「ジェニーがクッキーを?」

ジニョンの言った言葉をそのまま繰り返す僕を見て、「まだちょっと熱があるみたいね」とジニョンが少し心配そうな顔をした。

「もう少し、いい子で寝ていたら、クッキーを食べさせてあげる」

そう、微笑むとジニョンはキッチンに戻って行った。

「クッキー・・」

僕はまた同じ言葉を繰り返す。

しばらく、目を閉じて横たわっていた僕の脳裏に、突然アメリカのあの家が甦ってきた。


この匂いは・・これは・・


やがて、ジェニーが小皿を手に部屋に入って来た。

「兄さん、大丈夫?」

「ああ・・たいした事はないよ」

「無理するからよ。最近ずっと忙しかったでしょう」

「心配ないよ。ジェニーこそ忙しいんじゃないのか?」

ジェニーは明るく微笑むと「そうよ。忙しい合間を縫って、特別に兄さんにクッキーを焼きに来てあげたのよ。」
そう言って、小皿の上の狐色に焼けたおいしそうなクッキーを手にした。

「この匂い・・なんだか懐かしくない?」

「・・・そうだな・・どうしてだろう?」

ジェニーは少し遠い目をした。

「私の通っていた教会に、大きな大きなかやの木が立っていたの。秋になるとその実を拾って牧師さんの奥さんがこうやってクッキーを焼いてくれたのよ。」

かやの木・・・

その言葉を聞いて僕の頭にある光景が浮かび上がった。


裏庭の大きな木・・・キッチンにあった旧式の大きなオーブン・・・真っ白なエプロンをした養母の姿・・・・秋の風の匂い・・・・テーブルの上に置かれていた、形の不ぞろいな木の実の入ったクッキー・・


ああ・・これは・・・

「兄さんも食べたことがある?」

ジェニーの無邪気な問いかけに、僕は少し目を閉じると、かすかに頷いた。

「・・そうだな・・・たぶん・・・」

そんな僕の様子を見て、ジェニーが静かに部屋を出て行った。



僕は目を閉じて思い出してみる。

実利的なこと以外、記憶しようとしなかった僕の脳に、しっかりと刻み込まれていた懐かしいこの匂い。



秋の夕暮れの裏庭の景色・・・・木を見上げていた養父の後姿・・・・夕陽に輝いていたかやの実の綺麗なブラウン。


いつの間にか封じ込めていたあの頃の記憶が、一気に甦ってくる。


・ ・・そこに愛はあったのかな・・・・


その時ジニョンが温かなホットミルクを持って入ってきた。

その姿は、まだ幼い頃、熱を出してベッドに寝ていた僕のところに、心配そうに様子を見に来た養母の姿を思い出させた。

「ドンヒョクssi・・どうかした?」

「ジニョン・・・今度休みが取れたら・・」

・ ・・僕は何を言い出すつもりなんだろう?・・・

「今度の休みには、一緒にアメリカへ行かないか?僕の養父母に会いに・・・」

僕の言葉に一瞬目を見張ったジニョンは、ゆっくりと微笑むと僕の額にキスを落とした。

そのしぐさも養母そっくりだった。

「ええ。行きましょう。ドンヒョクssi・・一度ゆっくりとお話がしてみたかったのよ。」

僕は何故だか、子供のように甘えた気持ちになって、ジニョンの手からクッキーをかじる。


そのかやの実入りのクッキーは、懐かしい、いとおしい味がした。




2005/07/18(Mon) 23:08  Milky Way UP

 
 
 

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