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D&J |
こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。
婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
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No |
107 |
HIT数 |
1219 |
日付 |
2009/03/04 |
ハンドルネーム |
Library Staff |
タイトル |
A good old cookie |
本文 |
『A good old
cookie』
目覚めると、あたり一面に香ばしい匂いがした。
ベッドの中で、うつらうつらと目を閉じたまま、その香りに包まれていると、何故だか、たまらなく懐かしい気持ちになってきた。
この匂いは何?
その時、ジニョンがドアを開けて入ってきた。
「あら、起きてたの?ドンヒョクssi」
「ああ・・今目が覚めたよ。」
少し開いたドアの隙間から、どこか懐かしいその匂いが漂ってきた。
ジニョンはふっと微笑むと、僕の額に手を当てながら、こう言った。
「いい匂いでしょう?ジェニーが来て、クッキーを焼いてくれているのよ。」
「ジェニーがクッキーを?」
ジニョンの言った言葉をそのまま繰り返す僕を見て、「まだちょっと熱があるみたいね」とジニョンが少し心配そうな顔をした。
「もう少し、いい子で寝ていたら、クッキーを食べさせてあげる」
そう、微笑むとジニョンはキッチンに戻って行った。
「クッキー・・」
僕はまた同じ言葉を繰り返す。
しばらく、目を閉じて横たわっていた僕の脳裏に、突然アメリカのあの家が甦ってきた。
この匂いは・・これは・・
やがて、ジェニーが小皿を手に部屋に入って来た。
「兄さん、大丈夫?」
「ああ・・たいした事はないよ」
「無理するからよ。最近ずっと忙しかったでしょう」
「心配ないよ。ジェニーこそ忙しいんじゃないのか?」
ジェニーは明るく微笑むと「そうよ。忙しい合間を縫って、特別に兄さんにクッキーを焼きに来てあげたのよ。」 そう言って、小皿の上の狐色に焼けたおいしそうなクッキーを手にした。
「この匂い・・なんだか懐かしくない?」
「・・・そうだな・・どうしてだろう?」
ジェニーは少し遠い目をした。
「私の通っていた教会に、大きな大きなかやの木が立っていたの。秋になるとその実を拾って牧師さんの奥さんがこうやってクッキーを焼いてくれたのよ。」
かやの木・・・
その言葉を聞いて僕の頭にある光景が浮かび上がった。
裏庭の大きな木・・・キッチンにあった旧式の大きなオーブン・・・真っ白なエプロンをした養母の姿・・・・秋の風の匂い・・・・テーブルの上に置かれていた、形の不ぞろいな木の実の入ったクッキー・・
ああ・・これは・・・
「兄さんも食べたことがある?」
ジェニーの無邪気な問いかけに、僕は少し目を閉じると、かすかに頷いた。
「・・そうだな・・・たぶん・・・」
そんな僕の様子を見て、ジェニーが静かに部屋を出て行った。
僕は目を閉じて思い出してみる。
実利的なこと以外、記憶しようとしなかった僕の脳に、しっかりと刻み込まれていた懐かしいこの匂い。
秋の夕暮れの裏庭の景色・・・・木を見上げていた養父の後姿・・・・夕陽に輝いていたかやの実の綺麗なブラウン。
いつの間にか封じ込めていたあの頃の記憶が、一気に甦ってくる。
・
・・そこに愛はあったのかな・・・・
その時ジニョンが温かなホットミルクを持って入ってきた。
その姿は、まだ幼い頃、熱を出してベッドに寝ていた僕のところに、心配そうに様子を見に来た養母の姿を思い出させた。
「ドンヒョクssi・・どうかした?」
「ジニョン・・・今度休みが取れたら・・」
・
・・僕は何を言い出すつもりなんだろう?・・・
「今度の休みには、一緒にアメリカへ行かないか?僕の養父母に会いに・・・」
僕の言葉に一瞬目を見張ったジニョンは、ゆっくりと微笑むと僕の額にキスを落とした。
そのしぐさも養母そっくりだった。
「ええ。行きましょう。ドンヒョクssi・・一度ゆっくりとお話がしてみたかったのよ。」
僕は何故だか、子供のように甘えた気持ちになって、ジニョンの手からクッキーをかじる。
そのかやの実入りのクッキーは、懐かしい、いとおしい味がした。
2005/07/18(Mon)
23:08 Milky Way UP
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