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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:141222/418633
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 175 HIT数 1393
日付 2009/03/04 ハンドルネーム Library Staff
タイトル 孤独な夜のココア
本文
『孤独な夜のココア』









「メリーさんと狼」


ある小さな森に、まっ白な子羊が住んでいました。

名前を「メリー」といいました。


メリーさんはふわふわのとっても可愛い子羊でした。

いつもにこにこして、森の人気者。


でも、そんな可愛い子羊のメリーさんを狙う狼がいました。

乱暴者の狼は、森の嫌われ者。

狼は、いつかメリーさんを食べてやろうと、隙をうかがっていました。


そんな事を知らないメリーさんは、ある朝、狐の奥さんに頼まれて編んだ手袋を届けに、村へ出かけました。


村へ行くには途中黒い森を通り抜けなければなりません。

メリーさんは小さな羊でしたが、とっても勇気のある子羊でした。

「黒い森なんか、ちっとも怖くないわ」

そう言うと、メリーさんは元気よく歩き出しました。


それを見て喜んだのは、狼です。

「しめしめ、これであの子羊を食べられるぞ」

そう思った狼は、こっそりメリーさんの後をつけてゆきました。


朝、元気よく歩き出したメリーさんは、お昼過ぎに村につきました。

狐の奥さんに手袋を見せると、たいそう喜ばれました。

狐さんの家で、お昼をご馳走になったメリーさんは、御礼を言って家に帰ることにしました。

「メリーさん、気をつけるんだよ。夕方になれば、黒い森は道に迷いやすいからね。

特に狼には気をつけるんだよ」

狐の奥さんはそう心配してくれましたが、メリーさんは、「ありがとう、でも平気よ。」

そう言うとまた、元気よく家に向かって歩き出しました。


しかし、夕方近くになっても家へつきません。

「おかしいわ・・どこかで道を間違えたのかしら・・」

そろそろお日様が傾きはじめ、森のあちこちで奇妙な鳴き声がし始めました。

勇気のあるメリーさんでしたが、やっぱりちょっと心細くなってきました。


「どうしよう・・・どっちへ行ったらいいのかしら・」

とうとう、黒い森の真ん中でメリーさんは途方にくれてしまいました。


その様子を木の陰から、じっと見ていたのは、あの狼です。

「しめしめ・・これでようやく、誰にも邪魔されずに子羊を食べることができるぞ」

そう思って、道に迷って困っているメリーさんに狙いをつけました。

メリーさんはとっても怖くて心細いのに、一所懸命に泣くのを我慢していました。


その様子を見た狼は「いや・・待て待て・・・こいつはまだ子羊だ。今食べてしまってもたいして、

腹のたしにはなるまい。

それなら、もっと大きくなってから食べた方が、よさそうだ」そう考えると、そっと木の陰から出て、

メリーさんに気がつかれないように、先に立って歩き出しました。

そして、小さな声で「家への道はこっちだよ」と声をかけました。

メリーさんはとっても驚きましたが、その声のする方へ歩き出しました。

もうお腹もすいて、よく考えられません。

でも、なんとか声を頼りに、力を振り絞って歩きました。

ようやく、メリーさんの目に懐かしい我が家が見えてきました。

「ああ、よかった。やっと黒い森を通り抜けることができたわ」

そう喜んだメリーさんは、家へと一目散へ帰りました。


その夜遅く、メリーさんは、ベッドの中で自分を助けてくれた声の主はだれだろう・・と考えていました。

「きっと・・・森のふくろうさんかしら・・そうね。親切だと評判だから。今度会ったら御礼を言わなくちゃ・・・」

そう考えながら、すっかり疲れきっていたメリーさんは眠ってしまいました。


その頃、狼はメリーさんの家の明かりが消えるのをじっと見守っていました。

「せっかく俺様が助けてやったんだ。もっと大きくなるまで無事でいてもらわないとな。

なんていっても俺様の大事な食料だからな。」

そう言うと狼は黒い森へ帰っていきました。


やがて、秋になり、冬がやってきました。

狼はまだメリーさんを狙っていました。

何度か食べるチャンスはあったのですが、その都度狼は「いや・・待て待て・・もっと大きくなってから・・」

と、自分に言い聞かせていました。

食べ物のなくなる冬のためにとっておこうと考えたからです。


やがて雪が何日も降り積もる日が続きました。

狼はこっそりとメリーさんの様子を見に行きました。

そっと窓から覗いてみると、メリーさんはなんだか具合がよくなさそうでした。

雪が続いて、食べ物が少ないうえ、風邪を引いたのでしょうか?

こんこんと咳をしながら、ベッドに横になっていました。


「今なら、あの子羊をぺろりと食べてしまうことができるぞ」

狼はそう考えましたが、「いや、待て待て、今は病気でやせ細っているだろう。

もっとまるまると太らせてからの方が良かろう」そう考えました。


とんとん・・・

メリーさんは誰かが戸を叩くのに気がつきました。

「こほんこほん・・・誰かしら・・」

咳をしながら戸を開けてみると、そこにはたくさんの食べ物がおいてありました。

「一体誰がこんな事を?」


そう不思議に思いましたが、お腹の空いていたメリーさんは食べることにしました。


お腹いっぱいになるとなんだか、元気になってきました。

メリーさんは親切な誰かさんに心の中で御礼を言いました。


元気になったメリーさんの様子を雪の中から狼は覗いていました。

「よしよし、これでまるまると太った羊がもうすぐ食べられるぞ」

狼はそう自分に言い聞かせて森へと帰っていきました。

お腹をすかせたままで・・


元気になったメリーさんは、また頼まれものの手袋を持って村へ出かけました。

その日は雪のないよく晴れた日でした。

「今度はもう迷わないようにしなくちゃ」

メリーさんは道しるべに、木に印をつけながら進みました。


その後をこっそりつけてくるものがいました。

狼です。

でも、あのいつもの狼ではありません。

もっとお腹をすかせた怖い狼でした。

その狼はメリーさんのつけた印を頼りに、音もなくつけてゆきました。


その頃、まだ寝ていたあの狼は小鳥たちの囀りを聞きました。

「ちゅんちゅん、大変よ、メリーさんの後を怖い狼がつけているわ」

「ちゅんちゅん、きっと狙われているのよ。」


狼はがばっと起き上がりました。

大変だ。俺様の子羊が他の奴に食べられてしまう!


狼はメリーさんの家へ向かいました。

雪の上にメリーさんの足跡が残っていると思ったのです。

しかし、降り出してきた雪のせいで、メリーさんの足跡は消えてしまっていました。

どうしよう・・・早くしないとあの子羊が食べられてしまう・・


その時、狼は木につけられた印に気づきました。

これは、きっとメリーさんが道に迷わないようにつけたものに違いない!

狼はその印を頼りに森を急ぎました。


もうどれくらい歩いたでしょうか

雪の中、寒さに震えながら、狼は必死にメリーさんを追いかけました。

そして、ようやく狼は、メリーさんを見つけることができました。

しかし、メリーさんを狙う狼の姿は見えません。

もしかして・・・


狼はそっとメリーさんを追い抜くと先へ進みました。


森の中を進むと、うっそうとした茂みがありました。

案の定、そこには怖い狼が隠れてメリーさんを待ち伏せしていました。

ここなら、誰にも気づかれずにメリーさんを襲うことができます。


あいつだな・・俺様の子羊を食べようとしているのは・・


「おい、何をしている!」

「ああ、びっくりした」

「お前が狙っているのは、俺様がずっと目をつけてきた子羊だ」

「独り占めはずるいぞ。それなら、二人であの子羊を襲って食べてしまおう。

その方が逃げられないですむ」

もう一匹の狼はそういいました。

しかし、狼はもう一匹の狼に襲い掛かりました。

「あの子羊は俺様のものだ。誰にも渡さない」

2匹の狼は激しい戦いを繰り広げました。

傷だらけになりながら、血を流しながら、死に物狂いで狼は戦い、とうとうもう1匹の狼を倒しました。


その時、小道の向こうからメリーさんが歩いてくるのが見えました。

狼はよろめきながらも茂みに隠れました。

メリーさんはきらきらとした冬の光を浴びながら、楽しそうに歌を歌いながら歩いてきます。


雪の上に倒れながら、狼はメリーさんの笑顔を見ました。

・・・・・よかった・・・・・


茂みに隠れた狼に気づくことなく、メリーさんは行ってしまいました。

狼はなんとか目を開けてそんなメリーさんの後ろ姿を見送りました。


狼から流れ出た血が真っ白な雪を真っ赤に染めてゆきます。

冷たい雪の上に倒れた狼の体の上にひらひらと白い雪が降ってきました。


だんだんと薄れてゆく意識の中で狼は自分に問いかけました。

俺は、本当にあの子羊を食べるつもりだったのだろうか?

もしかしたら、一度も本気で食べようとは思わなかったのかもしれない。

ただ、見つめていたくて・・何かをしてやりたくて・・自分に言い訳をしながらあの子羊を追いかけていた。


こんな俺じゃ・・・そう思ってずっと隠れていたのかもしれない。

でも、こんな俺でも、ちょっとはあの子羊の役にたてたかな?

それなら、もう十分だな・・・


狼が最後に見たのは、メリーさんの輝くような笑顔でした。

狼は優しい笑みを浮かべると、そっと目を閉じました。


後から後から降ってくる雪が狼の体を包み隠し、あたり一面を静かな真っ白な世界に変えていきました。


                おしまい





「ふー、パパ、ありがとう」

「もう1冊読むかい?」

「ううん。もう寝るわね。おやすみなさい。パパ」

「おやすみ、かれん」



ぱたん

かれんの柔らかな頬にキスをして、明かりを消すと、僕はそっとドアを閉めた。

君が夜勤の夜。

こうやってかれんに絵本を読んでやるのは僕の楽しみのひとつ。

でも、不思議だな

思わず、ふっと笑ってしまう。

いつもは、伝記や図鑑をねだるかれんが、唯一つ、何度も読んで欲しいとせがむのがあの絵本だ。

一体、かれんはあの絵本の何を感じているのだろう?

幼いながらも、やっぱり女の子なのかな


なんとなく、くすぐったいような、甘酸っぱいような気持ちを持て余して、リビングに戻った僕は、

所在なげにソファーに腰を下ろした。

まだ夜は浅い・・・


コーヒーでも入れようと入ったキッチンで、ふと思いついて、冷蔵庫を開けてみる。

真ん中の棚には、白い四角い箱が納まっている。

君が食べたいと言っていたkaitoのチーズケーキ


「このケーキ屋さん、最近雑誌でもよく取り上げられているのよ。

女性のカリスマパティシエが作ってるんだけど、繊細で奥深い何層もの味わいだってそれはもう評判なのよ。

いつ行っても、凄い行列で、なかなか買えないの。

この前だって、あとちょっとの所で売り切れだったんだからー」


そう悔しそうに言っていたのが、3日前。

仕事の合間に、何度か通って、ついでに、察しのいい秘書の力も借りて、なんとか手に入れてみれば、

君は夜勤で留守だ。

ため息と共に冷蔵庫にしまいこまれたkaitoのチーズケーキ


グッドタイミングに行き違うのが、僕たちの宿命なんだろうか?



カップを取ろうとした僕の手が、なんとなく宙を彷徨う。

いつも、君がコーヒーを淹れてくれる僕のコーヒーカップ、ブルーオニオン。

その横には君のお気に入りのイタリアンフルーツ

僕の手が少し迷って君のカップを手にした。


コーヒーのキャニスターに伸ばした手がまた止まる。

なんだか、今夜はちょっと感傷的な気分だな

かれんに読んでやったあの絵本のせいだろうか?


コーヒーの代わりに君の好きなココアを淹れよう。

君好みの飛び切り甘いミルクココアを君のカップに淹れてリビングのテーブルに座った。


甘い甘いココアを一口・・


せっかく買えたあのチーズケーキは、きっと明日にはもう味が落ちているだろう。

それでも・・・

夜勤明けの君が冷蔵庫を開けて、あのチーズケーキを見つけたときの顔を思い浮かべて、僕は小さく笑った。


何故か突然あのラスベガスのレストランで、君が大声でクレームを言い立てていた姿を思い出す。



独立した大人として、君も僕も、たぶんいろんな「味」を知っている。


君はホテルの支配人として、ちゃんとしたレストランの料理の味も知っているだろうし、友達と食べる屋台の味も、

一人で食べるカルグクスや、ハンバーガーの味も知っている。

「不思議ねー。ドンヒョクssiと食べると、食べなれているこのハンバーガーでさえ、いつもより美味しく感じるわ」


きっと、何かのエッセンスが加わる僕たちの味覚。


出張先の最高のレストランで、年代物のワインを飲みながらも、僕はある意味創作料理の域に達した

君の手料理を恋しく思っているのは、このエッセンスのせいだろうか。


明日の朝、君が食べるチーズケーキの味は?


少し硬くなって風味の落ちたあのケーキを君は世界一美味しいと思ってくれるだろうか?


どんな風にして僕が買ったのか、それを想像しながら、ちょっと笑って君はフォークを入れるのかな?


僕の想いが、エッセンスとなって、君の味覚に訴えかける。


今、側にいない誰かを想って・・・・

離れている、お互いを想いあって・・


あの狼は幸せだったのだろうか?

口にしなくても、きっと想いは誰かに届いて包み込む。

それもひとつの愛の形



まぶたの裏に、君の笑顔を思い浮かべてみる。

冷蔵庫の中に、あのケーキを見つけた時の君の笑顔を・・・

ちょっとびっくりした後に、くすっと微笑む、太陽のような君の笑顔。



孤独な夜に、君のカップで飲む、君好みの甘いココア・・

寂しくて、会いたくて、愛しいという想いを混ぜ込んで、くるくるとスプーンで溶かし込めば、

ちょっとほろ苦い味に変わった。




(2005/11/26 Milky WayUP)

 
 
 

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