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Milky Way Library
Milky Way Library(https://club.brokore.com/sunjyon)
「Hotelier」にインスパイアされた創作(written by orionn222)の世界です
サークルオーナー: Library Staff | サークルタイプ: 公開 | メンバー数: 732 | 開設:2008.11.22 | ランキング:51(8198)| 訪問者:141516/418927
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D&J


こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。 婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
No 265 HIT数 1272
日付 2009/03/04 ハンドルネーム Library Staff
タイトル peach candy
本文
『peach candy』




「助かったーーーー
まじ、助かったーーー
死ぬかと思ったぜーーー」

そう言うなり、俺は、差し入れのサンドイッチに噛り付いた。

まったく!!
自宅で餓死って、どういう事だよ!!
姉貴の奴!
徹底するにもほどがあるだろーーー

冷蔵庫の中は、ほとんどカラ
生米があったって、炊き方よく知らねーよ!
パントリーに鍵までかけやがって!!
あまりに非道だろ!!
姉貴の奴!!

「はい、オッパ」
ユミンが温かいお茶を俺に差し出した。

「サンキュー」
受け取ってごくり・・と飲み干す。

ああ・・・生き返った・・・

姉貴の彼氏と会うことを避けて、逃げまわる父さんの手引きをした

ばっかりに・・・
逃亡幇助罪って・・・
当の、逃亡犯を先に捕まえろよ!
あっちの方が悪質だぜ!
前科2犯だろ!

俺は、軽くサンドイッチを平らげると、次に、海苔巻きに手を伸ばした。
相変わらず、ユミンの料理は美味い。
俺は、「家庭的」って言葉がぴったりなユミンの差し入れで、なんとか 餓死を免れた。

「あーーマジ、助かったーーー」

俺は、ようやく一息つくと、ベッドに寄りかかった。

俺が、ユミンの料理を食べている間に、ユミンは散らかった 俺の部屋のあちこちを手際よく掃除してくれていた。

お前って・・本当によく気のつく奴だよなぁ・・・
俺は、床で雪崩れている雑誌を綺麗に本棚に収納するユミンを見て、 心底思った。
姉貴の奴も結婚するっていうのなら、これぐらい家庭的になれよ!

「お腹一杯になった?」
ユミンが、いつものような春風のような笑顔で聞いてきた。

「うん、ありがとうな。」
「じゃ、これ」

そう言って、ユミンが俺に手渡したものは・・・
peach candy・・・・

「はい、オッパ、それ好きでしょう?」
・ ・・・・

好きかと聞かれたら、そりゃ・・嫌いじゃないけど・・・
ピーチキャンディー・・
子供の頃の俺の大好物・・・
そういや、よく食べてたな

確か、幼稚園の頃、うちに遊びに来たユミンから 貰ったんじゃなかったかな
すごく気に入って、結局俺がほとんど食べ尽くした。
でも、ユミンは怒りもせずに、今みたいに、にこにこ笑ってそんな俺を 見てた・・・

あれから、うちに遊びにくるユミンはいっつも、この飴を 持ってきてたな。
それで、さっきみたいに「はい、オッパ」って渡してくれた。

あの頃・・・・
怪我をしても、怒られて泣いていても、これがあると機嫌が直った。
あれは、いつだったか・・・
なにかで怒られた俺は、ひどく泣いていたかな。
そんな風に、いつまでも泣き止まない俺の側で、ユミンが 困ったような顔をしながら、ずっと一緒に側にいてくれた。
そんな俺に、ユミンが黙って手渡してくれた、このキャンディー

でも・・・
もう、高校生だぜ。俺
こんなもの、もう、食わねぇよ・・・

とはいえ・・・
無邪気に俺にキャンディーを差し出すユミンから、俺は一粒 受け取った。

「・・・サンキュー・・」

ご丁寧にもポットに淹れてきてくれた珈琲を飲みながら、 二人で取りとめもない話をする。

「オッパは、かれんオンニと同じように、ハーバードを 目指すんでしょう?」
「・・・まぁ・・な・・・」

「頑張ってね。応援してる。」
「・・・サンキュー・・っていうか、人のこと、心配してる場合か? お前はどうすんだよ。この先・・・」

「うん・・・実はホテリアーになりたいけど・・」
「へぇ・・いいな、お前にぴったりだよ。テジュンおじさんも喜ぶじゃん。」

「ううん・・・駄目だって」
「なんで?」

「ホテルには、いろんな人がくるから、変な男にでもあったら 危ないからって・・・
自殺願望の男に人質でもされたらどうするんだって・・・」
「はぁ?」

あの親父、どこまで過保護なんだよ!!
そんな目にあう確率は限りなく低いだろ!!

「大学も女子大へ行けって」
「ユミン・・・おまえ、一生男できなぇな・・」

「えーーーー」
「あーあーーかわいそうになぁーーー」

「そんなぁ・・・同級生では、もうキスを経験した子もいるのに・・」

キスだぁ?!?!・・・
お前らって・・・最近の女の子って・・・

「友達にも、ユミンは幼いねって言われちゃって・・・」
その言葉に、ついこう言いそうになった。

・・・お前はもう経験済みだよ。
・・・しかも、お前のファーストキスの相手はこの俺だ・・・
て、思わず、そんなことを思い出した。

あれは、幼稚園のときのこと・・・俺自身はさっぱり覚えていないけど、 テジュンおじさんがことあるごとに絡んでくるから、どうやら そうだったらしい。

幼稚園の頃のキス・・・
一応・・あれでも・・・ファーストキス・・・だろ?

「あーーあーー」なんて言いながら、ユミンは、俺が床に置きっぱなしに していた参考書を手に取ると、 ぱらぱらと捲り始めた。

「ハーバードかぁ・・・オッパには、合格してもらいたいけど・・・
アメリカかぁ・・ 寂しくなるな」

「遊びに来いよ。」
思わず、そう言う。

泊めてやる・・・のは、さすがにまずいか

俺は、ふと思い出して、机の上の小箱を取った。
そのまま、ユミンに差し出す。

「ほら、もうすぐお前誕生日だろ?」

「えっ?本当に?」
って、聞き返すお前の顔は、本当に嬉しそうだな。

昔から、そうだった。
楽しいときは、本当に楽しそうで、哀しいときは、ものすごく哀しそうな 顔をした。
いつだって、純粋に飾ることなく・・・・

「うわぁ!綺麗―――」
ユミンが、ネックレスを箱から取り出して、掌に置いた。

「ありがとう、オッパ」
そう言うと、そのまま胸に押し当てる。

「大事にするね。」って言って・・・

ふと、そんなユミンから、目を逸らす。
なんか・・・目を逸らす・・・

「安物だよ。」

そんな俺の照れ隠しのそっけない態度なんか、ユミンはもうとっくに 慣れっこだ。

「オッパのお誕生日には、いつものようにケーキを焼くけど・・・」
「それで、十分だよ。」

「じゃ、オッパが大学に合格したら、万年筆をあげる。」
「・・合格・・・しねぇかもな・・」

「そんなことないよ。絶対受かるよ」
「そ、そうか??」

お前にそう言い切られると、そんな気もしてくる・・
不思議とパワーを貰えるユミンの笑顔・・・・

「日曜だったのに、呼び出して悪かったな。なんか予定でも あったんじゃないか?」
特に意味もなく言ったのに、ユミンがふと黙った。

「なにか、あったのか?」
「うん・・実はデートに誘われてたんだけど・・・」

デート!!!!

俺は、危うく飲みかけの珈琲を噴出すところだった。

デートって・・・・
ユミン・・・お前・・・・

「ど、どんな奴だよ!デートって、どこへ行くつもりだったんだよ! お前・・まさか・・・」

いきなり詰問を始めた俺を、きょとん・・とした目で見ながら、 ユミンが話し出した。

「同じクラスの男の子なんだけど、告白されて、何度かデートしたこと あったんだけど・・・」

・ ・・そ、そんなことが・・・あったのか!!
なんで・・なんで、俺、こんなに動揺・・・ってか、取り乱してるんだ?? な、なんで??

「でも、なんだか・・・話してても面白くなくて・・・オッパと こうしているほうが、楽しいなって・・・だから、断ったの」

お前・・・それは正解だ。
つまらない奴なんかと、付き合ったって時間の無駄だ。

「お前・・・告白されたからって、簡単に付き合うなよ。 男は狼なんだから、気をつけろ!」
「そうなの?いい人そうだったよ。優しいし・・・」

「そういう奴に限って、危ないんだよ。とにかく、男は狼なんだよ。」
ふと、ユミンが俺をじっと見た。

「オッパも?」
えっ!!お、俺??!!

いきなり、真面目な顔で問いかけられて、狼狽する。
いや・・お・・俺は・・・狼に・・・なるような・・・ならないような・・・

「と、とにかく、好きでもない奴と付き合っても意味ないだろ。 興味本位でそういうことすんな。」
「別に・・・そういうわけじゃないけど・・・ 彼氏ってどういうものかなって・・・」

「くだらないことすんな!もし、付き合うなら、お前が本気で 好きになった奴と付き合え。安売りすんじゃねぇ。」

いつになく、きつい口調になってしまい、自分でも驚く。
今まで、こんなふうに、ユミンに言ったことなんか、なかったのに・・・
案の定、ユミンは俺に叱られたと思って、しゅん・・としている。

何故か、急に不安になってくる。
いつも当たり前のように、そこにあったユミンの笑顔・・
それが、誰か別の奴のものになるのか?
そいつのことが一番大切になり、こうやって、俺が呼び出しても 来なくなる。

そいつのために、こんなふうに料理を作り、あれこれ世話を焼いて、 優しく気遣い・・・

なんだか無性に腹が立ってきた。
そんなことになったら、誰がこうして俺の苦境を助けてくれるんだ?

お前はずっとそこにいるもんだと思ってた・・・
ずっとずっと・・・あの幼稚園の頃と同じように・・
俺が怪我して痛がっていたときにも、怒られて泣いたときにも、 ずっと俺の側にいたように・・
俺が笑ったら、一緒に笑って、俺が泣いたら、本当に悲しそうな顔で 黙って側にいてくれて・・

当たり前だった、ユミンの笑顔
でも、それは・・決して当たり前なんかじゃないのか・・・

俺に怒られてしょげているユミンの顔をちらっと見てみる。
そんなに悲しそうな顔すんな。
俺まで、悲しくなるから・・
お前が、ただ笑っているだけで、俺も元気になれるんだから・・

「今度バイクに乗せてやるよ。」
俺の言葉に、ユミンはぱっと顔を輝かせた。

「いいの??」
「いいよ。」

「だって、オッパ、誰も後ろに乗せなかったでしょ?」
「いいから、乗せてやるよ。 けど・・・テジュンおじさんにばれないようにしろよ」

「うん。わぁ嬉しいー」
って、お前って、本当に嬉しそうに笑うよな。

「やっぱ、お前女子大に行け。」
「えーーー」

「それから・・・サークルとか入るんなら、料理クラブとか、 そういうのにしておけ」
「えーーなに、それーー」

「合コンとか、簡単に行くなよ。」

「そんなんじゃ、一生彼氏ができないじゃない!かれんオンニみたいな あんな素敵な彼氏に、大学に行ったら、出逢えるかなって 期待してるのにーー女子大じゃ逢えないーー」
「テジュンおじさんは、うちの親父より大変だぜ。 ぜってー認めないって」

「えーー一そんなんじゃ、一生結婚できないじゃないーーー」

ユミンの嘆き声に、急に俺の胸に湧き上がってきた言葉・・・
その時は・・・
その時は、俺がもらってやるよ

はっ!!な、なに言ってるんだ。自分
しっかりしろ!!俺!!
そんなことになったら・・・
あのテジュンおじさんが、義理の父?

いやだ!親戚がものすごーーく濃い!

どんだけ狭いんだよ、俺の世界!
ぜってーー嫌だーーーー

それに、俺たちはまだ学生だ。
この先、どんな出会いがあるかわからないだろ!
お互い、こんな身近でまとまるってのも、どうだよ!
ちょっと安直すぎんじゃねえか?
親父たちだって姉貴だって、結構遠くで見つけてきたぜ

でも・・・

もし、俺がハーバードに合格したら、俺たち・・・結構遠くなるよな・・・
待てるか?って言葉が、どこからともなく浮かんできて・・・

はっ!
しっかりしろ!俺!!

「はい、オッパ」

そう言って、俺にキャンディーを手渡したユミンの髪から 甘酸っぱい香り

お前って・・・

ふわっと優しい香りに包まれて・・・
なんだか、ほんのり酔った気分になってくる・・・

お前って・・・・

なんか・・・peachの匂いがするな・・・




(2008/03/30 Milky WayUP)

 
 
 

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