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D&J |
こちらは、ドンヒョク&ジニョンを中心としたお話の部屋です。
私なりに想像した二人のその後・・・というお話になります。
婚約時代から、結婚後、ファミリーのお話・・・とありますが、時系列がばらばらだったりして、読みにくい一面もあると思いますが、よろしければお付き合いくださいませ。
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No |
306 |
HIT数 |
1129 |
日付 |
2009/03/05 |
ハンドルネーム |
Library Staff |
タイトル |
レオのつぶやき かれんside by hant55 |
本文 |
orionnさんの世界を壊さない事を祈って・・・
『レオのつぶやき かれんside by hant55』
ボスが秘書のソヨンssiを伴って出掛けていった。 いつもながら時間どおりだな、もっとも、俺もそれを見越して彼女との約束をセットしたんだが。
夕べ、久しぶりにかれんから電話がきた。聞きたい事があるという。「パパには内緒で・・・」 いつもなら、その申し出は俺を喜ばせるものだが、その声のどこか思いつめた様子にただならないものを感じた。
約束の時間ちょうどにかれんはやってきた。 久しぶりに会う彼女は長い髪を垂らし、眩しいほどに美しく、母親そっくりになっていた。 小さい頃、俺の膝にまとわりつき、「おじちゃん」と言って見上げていた可愛い瞳は、年頃の秘密を宿した眼差しに変わっていた。
「元気にしてたか?勉強のほうはどうだ?『パパに内緒』のお願いなら、こんなところじゃなくてデパートで待ち合わせをしたほうが良かったんじゃないのか?」 それには答えず、黙ってソファーに座った。
こんな年頃の子のお願いってなんだ?俺には全く想像もできない。 欲しい物を買ってもらいたいわけじゃなさそうだ。ボーイフレンド?恋敵がいるとか? そんな相談はお門違いだな。まあ、かれんもそんな事を俺に聞くほど俺の事をわかってないわけないか。
「ジェイはどうしてる?相変わらずか?」 「バカよ、あの子は・・・ 自分が見えてないんだわ。大切な時間の浪費家。」
ジェイ・・・生まれたばかりのボスにそっくりなあの子を見た時、俺の苦労が一つ増えた、と感じたのはまんざらはずれでもなさそうだったわけだ。
いつだったか、ボスとジニョンさんが二人でデイナーに出掛ける間、ベビーシッターを頼んだジェニーさんが急な用事で来られなくなった時があった。 ディナーをキャンセルしようとするジニョンさんに、ボスは意外な提案をした。
「レオに頼もう。」
何度も頭を下げて謝るジニョンさんの横で、ボスが意味ありげに微笑んでいたのを俺は見逃さなかった。
その微笑の意味は二人が出掛けてすぐ、わかった。 なんで子供はじっとしていないんだ!! 次から次と二人のすることといったら、家の中で小さなつむじ風が2個起っているようだった。 かれんに本を読んでいると、ジェイがボスの書斎から大きな本を運んできては放り投げる。 少し静かだと思えば、ビデオテープを引っ張り出し、身体中に巻きつけて黒いミイラのようになっている。 昼間はボスの面倒を見て、夜はボスそっくりの子供の面倒を見させられ・・・ 俺はこれ以上世話はできないからな!!
そんなジェイも今、大人の手前で手探りの闇の中にいるようだ。 誰でも一度は突き当たる壁かもしれない。 かれんは聡明に物事の見通しをつけ、遠い未来をみつめて生きていっているようだが、男の子はなにかと大変だ。 自分の足元さえ見えない時があるんだよ、そんな時期なんだ、ジェイは今。
それにしても、かれんは何をしに来たんだろう。 「どうした?パパに聞かれちゃまずい話か?」 言い出しにくそうにじっと、テーブルを見つめている。
「何か飲もうか、今、頼んでやるよ。」 立ち上がりノブに手を掛けたところで、後ろからかれんの声がした。
「アメリカのおじいちゃんとおばあちゃんはパパの何?」
振り返ると、今度はまっすぐに俺を見つめるかれんの意志の強い瞳がそこにあった。 ボスが初めて俺を訪ねてきた時のような挑むような眼差しだった。 「かれん・・・それは・・・」 「小さい頃、アメリカにおじいちゃんがいるって自慢だったわ。パパの名前が『フランク・シン』ってことも。 でも、今はわかるわ。それが不自然だって事がね。だって、パパには東海にもおじいちゃんがいるじゃない。 ジェニーおばさんにも聞いた事があるわ。 ”アメリカのおじいちゃんはジェニーおばさんのパパなの?”って。そしたら、”ううん、違うわ。私のお父さんは東海のお父さんだけ。 テジュンおじさんは、私の命の恩人よ。”って、それ以上話してくれなかった。 前々からなんだかおかしいと思っていたの。ずっとひっかかってた。 お願い!レオおじさん、おじさんなら知ってるわよね、パパとはずっと、ずっと一緒だったんでしょう。 パパは前に言ってたわ。”レオは僕の父のような、本当の兄のような人だ”って、だったら教えて!お願い!」
本当に大人になったんだなあ、そんな事まで考えるようになっていたのか。
「かれん・・・その話は俺からはできないよ。ボスが・・・いや、お前達のパパがいつかきっと話してくれる時があるはずだ。 この話をお前達がしっかり受け止める事ができる時にパパはちゃんと話してくれるだろう。 隠し事でもなんでもない、パパはその時を待っているんだろう。 今、俺に言えるのはそれだけだ、悪く思わないでくれ、かれん。」
かわいいかれんの頼みでもそれだけは聞けなかった。 M&Aのハンター、シン・ドンヒョクの最大の弱みを俺の口から語るわけにはいかない。 今がどんなに幸せでも、ボスの心の中に時折もたげてくる言いようのない悲しみ。 今まではそれが何か、この子達が理解するには幼すぎたんだろう、だが、もう、話してもいい時期なのかもしれない。 かれんは自分で感じてここまできたじゃないか、自分から求めている。わかろうとしている。 回りが思っているほど、いつまでも子供じゃないってことだ。
「さあ、かれん、もうすぐボスが帰ってくるぞ。いいのか?こんなところで鉢合わせしても?」
しぶしぶ腰をあげたかれんだが、来た時以上に意思の強い目で、 「おじさん、私、聞くまで毎日来るからね、パパのスケジュールくらい掴むのは簡単よ。」
まったく、誰に似たんだか、頑固だな・・・
かれんは、宣言どおりボスがオフィスにいない隙を狙ってはやって来て、俺を締め上げた。 3日目・・・とうとう、俺は降参した。 どうして、俺はかれんのお願いに弱いんだろう・・・
俺はボスのアメリカでの経歴をある程度話してやった。 ボスが初めて俺のオフィスを訪ねてきた日の事、その後知ったアメリカへ渡った経緯。 ずっと抱えてきたであろう、実の父へのわだかまり・・・
「かれん、俺が言えるのはここまでだ。勘弁してくれ。あとは自分で調べてくれ。」
自分の親にそんな秘密があった事は、かれんにとっては衝撃だっただろう。 だが、それも含めてシン・ドンヒョクなんだよ。 愛されずに育ったとはいえ、それは愛を知らないということじゃない。 ジニョンさんを、そしてお前たちを誰よりも愛しているのがその証拠さ。
人生は奇跡の連続だ。シン・ドンヒョクがアメリカに渡った事も、俺と会った事も。 M&Aという職業を選んだ事も、それによってジニョンさんに出逢った事も。 一つ、ひとつの奇跡の積み重ね、それが、かれん、お前とジェイなんだよ。
胸を張って生きていけばいい。そんなシン・ドンヒョクの子供だということに誇りを持って。
(witten by hant55 2005/03/13 サファイアUP)
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